育休給付金の月2回支給の計算ルール|分割支給日・合算方法を解説

育休給付金の月2回支給の計算ルール|分割支給日・合算方法を解説 育休給付金

育休給付金は原則として月1回の支給ですが、育児休業を月の途中で開始・終了した場合などに、月2回に分割して支給されるケースがあります。この「月2回支給」は制度上の例外的な扱いであり、計算ルールを正確に理解しないと、受け取れる金額が変わったり、申請手続きでつまずいたりする原因になります。

本記事では、育休給付金の月2回支給が発生する条件、支給対象期間の計算方法、合算時の注意点、具体的な申請書類まで、実務で役立つ情報を体系的に解説します。


育休給付金の「月2回支給」とは何か

支給パターン 支給回数 対象期間の考え方 発生ケース
月1回支給(通常) 1回/月 カレンダー月(1日~末日) 育休が月の初日から月末日まで継続
月2回支給(例外) 2回/月 育休開始日起算の30日単位 育休開始・終了が月の途中
支給なし 0回 基本受給要件を満たさない

月1回支給と月2回支給の違い

育休給付金(育児休業給付金)は、育児休業中の収入を補填するために雇用保険から支給される給付金です。通常は1か月単位の支給対象期間ごとに1回、給付金が支給されます。

しかし、育児休業の開始日や終了日が月の途中に設定されている場合、支給対象期間の区切りがカレンダー月と一致しなくなります。このズレにより、1つのカレンダー月に2回の支給が発生するのが「月2回支給」です。

具体的に2つの支給形態を比較すると、以下のようになります。

項目 月1回支給(通常) 月2回支給(分割)
支給対象期間 1か月単位でカレンダー月に一致 育児休業開始日を起算点として設定
1か月あたりの支給回数 1回 最大2回(開始月・終了月)
対象となる月 育児休業全期間 主に開始月・終了月
支給額の合計 通常計算で算出 前半・後半に分割して合算

月1回支給の場合は毎月同じリズムで給付金を受け取れますが、月2回支給の場合は1回あたりの支給額が少なくなる代わりに、2回の合計額が1か月分の給付金に相当します。支給回数が増えても、合計の受給総額は変わらないという点が重要です。

法的根拠と厚生労働省ガイドライン

育休給付金の月2回支給に関する法的根拠は以下のとおりです。

法令・規則 条文番号 規定内容
雇用保険法 第61条〜第61条の4 育児休業給付金の基本的な支給要件
雇用保険法施行規則 第37条 支給対象期間の設定に関する規定
雇用保険法施行規則 第38条 支給日・支給額の算出に関する規定
雇用保険法施行規則 第101条の14 育児休業給付金の申請手続き

厚生労働省のガイドラインでは、支給対象期間は「育児休業開始日を起算点として1か月ごとに区切る」と定められています。カレンダーの月初・月末とは無関係に計算されるため、開始日が月中旬の場合は必然的に支給対象期間がカレンダー月をまたぐ構造になります。この構造が、月2回支給が発生する根本的な原因です。


月2回支給が適用される対象者の条件

育休給付金の基本受給要件(確認項目チェックリスト)

月2回支給の説明に入る前に、育休給付金そのものを受け取るための基本要件を確認しておきましょう。

  • [ ] 雇用保険の被保険者(一般被保険者)として加入している
  • [ ] 1歳未満の子(延長の場合は最大2歳未満)の育児休業を取得している
  • [ ] 育児休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上ある(被保険者期間の要件)
  • [ ] 育児休業期間中の就業日数が支給対象期間中に10日以下(または就業時間が80時間以下)
  • [ ] 育児休業終了後に引き続き同一の事業主に雇用される見込みがある

上記の要件をすべて満たしていることが、育休給付金受給の前提条件です。

月2回支給の適用要件と対象月

月2回支給が適用されるのは、育児休業の開始月または終了月に限定されます。中間の育児休業期間(開始月・終了月を除く月)は、通常どおり月1回の支給となります。

月2回支給が発生する典型的な条件は次のとおりです。

条件①:育児休業開始日が月の1日以外(月の途中から育児休業を開始した場合)

育児休業開始日が、たとえば「10月15日」であれば、第1支給対象期間は「10月15日〜11月14日」の30日間となります。このうち「10月15日〜10月31日」の部分(前半期間)と、「11月1日〜11月14日」の部分(後半期間)が、1つの支給対象期間として合算されます。11月には別の支給対象期間(11月15日〜12月14日)の給付金も支給されるため、11月に2回の支給が発生します。

条件②:育児休業終了日が月の途中(月末日以外)の場合

育児休業の最終支給対象期間が30日未満になる終了月においても、前月の支給対象期間の後半部分との関係で、同一カレンダー月に2回の支給が重なるケースがあります。

よくある「月2回支給が適用されない」ケース

以下のケースでは、月2回支給は発生しません。

育児休業開始日が月の1日の場合

育児休業が毎月1日から始まれば、支給対象期間は常にカレンダー月と一致するため、月2回支給は発生しません。

育児休業終了日が月の末日の場合

終了月がカレンダー月の末日で完結する場合、支給対象期間の区切りが月末日と一致するため、月2回支給は生じません。

就業日数が支給対象期間の基準を超える場合

支給対象期間内の就業日数が10日を超える(かつ就業時間が80時間を超える)場合、その期間は給付対象外となります。


支給対象期間の設定ルール|カレンダー月と育児休業開始日起算の違い

支給対象期間の「30日単位」という考え方

育休給付金の支給対象期間は、育児休業開始日を起算点として30日ずつ区切るのが基本ルールです。

たとえば育児休業開始日が「4月10日」であれば、支給対象期間は以下のように設定されます。

第1支給対象期間:4月10日 〜 5月9日(30日間)
第2支給対象期間:5月10日 〜 6月8日(30日間)
第3支給対象期間:6月9日 〜 7月8日(30日間)
  ・
  ・(以降30日ごとに続く)

この設定では、支給対象期間がカレンダー月をまたぐため、1つのカレンダー月(例:5月)に「第1支給対象期間の後半(5月1日〜5月9日)」と「第2支給対象期間の前半(5月10日〜5月31日)」が混在します。

ただし実際の支給はあくまで支給対象期間ごと(30日ごと)に行われるため、5月に2回の給付金が振り込まれる状況が生まれます。

育児休業開始日が月の中旬の場合の計算例

より具体的に計算例を見てみましょう。

設定条件

  • 育児休業開始日:6月15日
  • 休業前6か月の賃金総額:180万円
  • 育児休業取得日から6か月以内(給付率67%が適用)

賃金日額の計算

賃金日額 = 休業前6か月の賃金総額 ÷ 180日
= 1,800,000円 ÷ 180日 = 10,000円/日

支給対象期間の設定

第1支給対象期間:6月15日 〜 7月14日(30日間)
第2支給対象期間:7月15日 〜 8月13日(30日間)
第3支給対象期間:8月14日 〜 9月12日(30日間)

月ごとの支給スケジュール(カレンダー月ベース)

カレンダー月 支給される期間 支給回数
6月 第1支給対象期間の前半(6月15日〜6月30日:16日分)※後払い 1回
7月 第1支給対象期間の後半(7月1日〜7月14日)+第2支給対象期間の前半(7月15日〜7月31日) 2回
8月 第2支給対象期間の後半(8月1日〜8月13日)+第3支給対象期間の前半(8月14日〜8月31日) 2回

このように、育児休業が継続している期間中は毎月2回の支給が発生します。

第1支給対象期間の支給額(30日分)

支給額 = 賃金日額 × 支給基礎日数 × 給付率
= 10,000円 × 30日 × 67%
201,000円

上限額の確認

2025年度の支給額上限は、支給対象期間30日あたり310,143円(育児休業開始から6か月以内の場合)です。賃金日額に上限(15,430円/日)が設けられているため、上限を超える場合はこの金額が適用されます。

育児休業終了月における支給対象期間

育児休業が月の途中で終了する場合、最終支給対象期間は30日未満になることがほとんどです。この場合、日割り計算で支給額が算出されます。

終了月の支給額計算式

支給額 = 賃金日額 × 実際の育児休業日数 × 給付率

たとえば上記の例で育児休業を9月5日に終了した場合、最終支給対象期間は「8月14日〜9月5日(23日間)」となります。

支給額 = 10,000円 × 23日 × 67% = 154,100円


月2回支給の計算ルールと合算方法

前半期間・後半期間の定義と計算手順

月2回支給における「前半期間」「後半期間」は、1つの支給対象期間(30日)がカレンダー月をまたぐときに生じる概念的な区分です。支給はあくまで支給対象期間(30日)単位で行われるため、計算上「前半・後半を合算して1回分の給付」として処理されます。

混乱しやすい点を整理すると以下のとおりです。

【誤解されやすい点】
❌「前半期間だけ先に申請して、後半期間を後から申請する」
✅「1つの支給対象期間(30日)分をまとめて1回申請する」

支給が「月2回」発生するのは、
カレンダー上に2つの支給対象期間の支給日が重なるためであって、
1つの支給対象期間を2回に分けて申請するわけではありません。

支給額の合算計算の具体例

月2回の支給が発生する月の実際の受取額を、具体的に確認してみましょう。

前提条件

  • 育児休業開始日:7月20日
  • 賃金日額:12,000円
  • 給付率:67%(育児休業開始6か月以内)

支給対象期間の設定

第1支給対象期間:7月20日 〜 8月18日(30日間)
第2支給対象期間:8月19日 〜 9月17日(30日間)

8月に受け取る給付金の内訳

支給対象期間 支給額 支給時期(目安)
第1支給対象期間(7月20日〜8月18日:30日分) 12,000円 × 30日 × 67% = 241,200円 8月下旬〜9月上旬
第2支給対象期間(8月19日〜9月17日:30日分) 12,000円 × 30日 × 67% = 241,200円 9月下旬〜10月上旬

8月の「受け取り合計」(支給口座へ入金)

8月には第1支給対象期間の給付金241,200円と、場合によっては直前の支給対象期間の給付金が入金されます。月2回の振込は、1回の支給額が通常より少なくなるのではなく、2つの支給対象期間それぞれ30日分が別々に振り込まれるという仕組みです。

育児休業開始月の初回支給のみ特殊なケース

育児休業開始月の第1支給対象期間については、申請タイミングが初回に限り異なります。初回の申請では、育児休業開始から約2か月後に事業主を通じてハローワークに申請することが一般的です(支給対象期間終了後)。


申請手続きの流れと必要書類

ハローワークへの申請手順(月2回支給の場合)

月2回支給の場合でも、申請手続き自体は通常の育休給付金と同じ流れです。事業主が被保険者に代わってハローワークに申請するのが基本となります。

STEP 1:受給資格の確認(育児休業開始前後)

事業主が「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」をハローワークに提出します。提出期限は、育児休業開始日から4か月以内(初回申請)です。

STEP 2:初回申請(第1支給対象期間終了後)

第1支給対象期間が終了したら、速やかに申請を行います。

項目 内容
申請窓口 事業所所在地を管轄するハローワーク
申請者 原則として事業主(被保険者が委任状を提出して自ら申請することも可能)
申請期限 支給対象期間終了日の翌日から起算して2か月以内

STEP 3:2回目以降の申請(継続申請)

2回目以降は「育児休業給付金支給申請書」を使って、支給対象期間ごとに申請を行います。ハローワークから申請書が送付されるため、記載事項を確認のうえ提出します。

必要書類一覧

書類名 提出タイミング 備考
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 初回のみ ハローワーク所定の様式
育児休業給付金支給申請書 2回目以降(毎回) ハローワークから送付される
母子健康手帳(子の出生証明部分の写し) 初回 出生日の確認
育児休業取扱通知書(写し) 初回 事業主が交付する書面
出勤簿・タイムカード等(写し) 毎回 就業日数の確認
賃金台帳(写し) 毎回 賃金の支払状況確認
雇用保険被保険者証 初回(確認のみ) 被保険者番号の確認

月2回支給に関するよくある疑問(FAQ)

月2回支給について、申請者・人事担当者から寄せられる質問をまとめました。

Q1. 月2回支給になると、合計で受け取れる金額は増えますか?

いいえ、増えません。月2回支給はあくまで支給のタイミングが分かれるだけで、受け取れる給付金の合計総額は月1回支給の場合と変わりません。育児休業期間全体の給付額は、育児休業日数・賃金日額・給付率によって決まります。

Q2. 月2回支給の場合、社会保険料の免除はどうなりますか?

月2回支給かどうかにかかわらず、育児休業期間中は社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除されます。免除期間は「育児休業開始日の属する月から、育児休業終了日の翌日が属する月の前月まで」です。支給回数は免除の範囲に影響しません。

Q3. 申請書類は月2回それぞれ提出が必要ですか?

いいえ、申請は支給対象期間(30日)ごとに1回ずつ行います。カレンダー上で月2回振り込まれる場合でも、申請書類の提出回数は支給対象期間の数に対応します。1つの支給対象期間を2回に分けて申請する必要はありません。

Q4. 育児休業給付金の振込日はいつですか?

ハローワークが申請を受理・審査したうえで支給決定が行われ、通常は審査完了後1〜2週間程度で指定口座に振り込まれます。具体的な振込日はハローワークから送付される「支給決定通知書」で確認できます。

Q5. 月2回支給はパパ(父親)の育休取得でも適用されますか?

はい、適用されます。育児休業給付金の月2回支給は、母親・父親を問わず同じルールが適用されます。また、2022年10月に創設された「産後パパ育休(出生時育児休業)」も、育児休業給付金の対象であり、開始日・終了日が月の途中になれば同様に月2回支給が発生します。

Q6. 賃金日額の上限・下限はありますか?

2025年度における賃金日額の上限・下限は以下のとおりです。

区分 金額(目安)
賃金日額の上限 15,430円/日(給付率67%の場合)
賃金日額の下限 2,869円/日
30日あたりの支給上限 310,143円(6か月以内・67%)
30日あたりの支給上限 228,150円(6か月経過後・50%)

※金額は毎年8月に改定されるため、最新情報はハローワークまたは厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

育休給付金の申請を検討されている場合は、事業所の所在地を管轄するハローワークに相談することで、より正確で最新の情報を得られます。特に月2回支給が発生する可能性がある場合は、事前にハローワークに問い合わせ、支給対象期間の計算や申請書類の準備を早めに進めることをお勧めします。


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まとめ|月2回支給を正確に理解して確実に申請しよう

育休給付金の月2回支給は、制度の複雑さから「申請漏れ」「計算ミス」が起きやすいポイントです。本記事の重要ポイントを整理します。

月2回支給の重要ポイント

  1. 月2回支給は「育児休業開始日を起算点とする30日単位」の支給対象期間設定から生まれる。カレンダー月ではなく育児休業開始日が基準になる。

  2. 月2回支給が発生するのは主に開始月・終了月。中間期間は通常どおり月1回の支給となる。

  3. 合計受給額は変わらない。月2回支給は支給タイミングの問題であり、給付総額への影響はない。

  4. 申請は支給対象期間(30日)ごとに1回。1つの期間を2回に分けて申請する必要はなく、事業主を通じてハローワークへ提出する。

  5. 賃金日額に上限・下限がある。毎年改定されるため、申請前に最新の金額をハローワークで確認する。

育休給付金の申請手続きや計算方法に不明な点がある場合は、事業所の所在地を管轄するハローワークに直接問い合わせることをお勧めします。人事担当者の方は、従業員への案内資料を作成する際に本記事の計算例をご活用ください。


参考情報・問い合わせ先

  • ハローワークインターネットサービス「育児休業給付」:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
  • 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
  • 雇用保険法 第61条〜第61条の4
  • 雇用保険法施行規則 第37条〜第39条、第101条の14

免責事項: 本記事は2025年度時点の法令・制度に基づいて作成しています。給付額や手続きは毎年改定される場合があるため、最新情報は必ずハローワークまたは厚生労働省の公式情報でご確認ください。

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