育休給付金の就業日数20日・80時間判定を完全解説【2025年版】

育休給付金の就業日数20日・80時間判定を完全解説【2025年版】 育休給付金

育休中に「少しだけ働いても大丈夫?」と考えたことはありませんか?育休給付金には就業日数と就業時間に明確な制限があり、どちらか一方でも超えると、その月の給付金が支給されなくなります。

この記事では、育休給付金の就業制限ルール「20日以内」「80時間以内」の判定基準を法的根拠から具体的な計算方法まで徹底的に解説します。申請手続き必要書類・よくある疑問もまとめて確認できますので、ぜひ最後まで読んでください。


育休給付金の就業制限とは?「20日以内」と「80時間以内」の基本ルール

育休中に就業した場合、その月(支給単位期間)の給付金が支給されるかどうかは、2つの基準で判定されます。

判定基準 内容
日数基準 支給単位期間中の就業日数が 20日以内
時間基準 支給単位期間中の就業時間が 80時間以内

この2つは「どちらも満たす必要がある」AND条件です。どちらか一方でも超えると、その月の給付金は不支給となります。

「20日は超えていないから大丈夫」「時間だけ気をつければいい」という誤解が非常に多いため、両方の基準を常に意識することが重要です。

法的根拠:雇用保険法・育児介護休業法のどこに定められているか

育休給付金の就業制限は、以下の法令・通達に根拠があります。

① 雇用保険法 第61条の4(育児休業給付)

育児休業給付金の支給要件と支給停止条件が定められています。具体的には、支給単位期間中に就業した日数・時間が一定基準を超えた場合に不支給とする旨が規定されています。

② 育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)

育児休業の取得要件や対象者の範囲を定める法律です。育休給付金の受給には、この法律に基づく「育児休業」であることが前提となります。

③ 雇用保険の給付関係業務取扱要領(厚生労働省)

法令を補足する行政内部の取扱指針です。就業日数・就業時間のカウント方法、半日勤務の取扱い、在宅勤務の算入など、実務上の細かいルールが記載されています。ハローワークの窓口担当者もこの要領に基づいて判定を行います。

④ ハローワーク配布の「育児休業給付金の支給要件フロー図」

支給判定の手順を視覚的に示した公式資料です。申請時に窓口でも確認できます。

ポイント: 法律の条文だけでなく、業務取扱要領まで確認することで、実務上の判断基準が明確になります。不明点はハローワークの窓口に直接照会することをおすすめします。

「いずれか一方でも超えると不支給」のルールを図解

就業制限の判定は、以下の図のように日数・時間の両方を同時にチェックします。

【支給単位期間ごとの判定フロー】

就業日数を集計
       ↓
  20日以内?
 ┌──────────────┐
YES(20日以下)    NO(21日以上)
       ↓                 ↓
就業時間を集計       → その月は【不支給】
       ↓
  80時間以内?
 ┌──────────────┐
YES(80時間以下)   NO(81時間以上)
       ↓                 ↓
  【支給対象】     → その月は【不支給】

具体的なケース比較表

ケース 就業日数 就業時間 判定結果
A 10日 60時間 ✅ 支給対象
B 21日 50時間 ❌ 不支給(日数超過)
C 15日 85時間 ❌ 不支給(時間超過)
D 22日 100時間 ❌ 不支給(両方超過)
E 20日 80時間 ✅ 支給対象(ちょうど上限)

注意: 上限の「20日」「80時間」は以内(ちょうどを含む)なので、ぴったり20日・80時間であれば支給対象です。21日・81時間以上になると不支給となります。


20日基準・80時間基準の具体的な計算方法

実際に判定を行うには、「何を1日とカウントするか」「何を就業時間に含めるか」を正確に理解する必要があります。

「就業日数20日以内」の数え方:休日・半日勤務はどう扱う?

● 基本ルール:1日でも就業したら「1日」

就業日数のカウントは、実際に就業した日を1日単位で数えます。たとえば、1時間だけ出勤した日も「1日」としてカウントされます。

● 半日勤務・時短勤務の取扱い

午前だけ・午後だけなど半日勤務の場合も、就業した日として1日にカウントされます。ただし、業務取扱要領では「就業した時間が4時間未満の場合は0.5日として計算できる」という取扱いがあるケースも存在します。実務上の取扱いはハローワークに確認することをおすすめします。

● 休日出勤の取扱い

会社の公休日(土日・祝日・年末年始等)に出勤した場合も、就業日数に含まれます。育休中の就業であれば、曜日・休日を問わず実際に働いた日はすべてカウント対象です。

● テレワーク・在宅勤務の取扱い

在宅勤務も就業日数に含まれます。「出勤ではないから」という理由でカウントを省略することはできません。

● 具体的な計算例

【例:月の就業パターン】
第1週:月・水・金の3日 × 1時間ずつ在宅勤務 → 3日
第2週:月・火の2日 × 4時間ずつ出社 → 2日
第3週:木・金の2日 × 6時間ずつ出社 → 2日
第4週:月のみ1日 × 8時間 → 1日

合計就業日数:3+2+2+1 = 8日 → 20日以内 ✅

「就業時間80時間以内」の計算:残業・移動時間は含まれるか?

● 基本ルール:実際に就業した時間を合計する

就業時間の合計は、実際に労働した時間(実労働時間)の合計で計算します。

● 残業時間の取扱い

残業時間も就業時間に含まれます。「育休中に残業は発生しないはず」と思われるかもしれませんが、育休中の就業として残業が発生した場合はすべて算入します。

● 研修・教育訓練の時間

会社の命令で受講した研修・社内教育は就業時間に含まれます。一方、自己啓発目的の社外研修(会社の指示ではない)は含まれないケースもありますが、判断が難しい場合はハローワークに確認しましょう。

● 移動時間の取扱い

通勤時間などの移動時間は就業時間に含まれません。ただし、業務上の移動(外回り営業・出張移動など)は実労働時間として算入されます。

● 在宅勤務・テレワークの時間

PCへのログイン・ログアウト記録などで把握できる場合は、その実時間が算入されます。「在宅だから時間が分からない」という場合も、自己申告の実労働時間が基準となります。

● 具体的な計算例

【例:月の就業時間集計】
1日目:出社 6時間(残業1時間含む) → 6時間
2日目:在宅 3時間 → 3時間
3日目:出社 7時間 → 7時間
4日目:研修参加(会社命令) 5時間 → 5時間
5日目:在宅 4時間 → 4時間
...(以下続く)

月合計:仮に78時間 → 80時間以内 ✅

支給単位期間(1か月)の区切り

就業日数・就業時間の判定は、「支給単位期間」ごとに行います。支給単位期間は、育児休業開始日を起点とした1か月ごとの区切りです。

● 支給単位期間の計算方法

育児休業開始日:2025年4月10日(例)

第1期:2025年4月10日 ~ 2025年5月9日(30日間)
第2期:2025年5月10日 ~ 2025年6月9日(31日間)
第3期:2025年6月10日 ~ 2025年7月9日(30日間)
        ↑ 各期間ごとに20日・80時間の判定を行う

重要: 支給単位期間は「暦月(1月・2月…)」ではなく、育休開始日を基準とした1か月であることに注意してください。例えば、4月10日開始の場合、4月分は「4月10日〜5月9日」の期間で判定されます。

● 支給単位期間をまたぐ就業の取扱い

日をまたぐ夜勤などの場合、その勤務が属する日(勤務開始日)の支給単位期間に算入するのが基本です。具体的な取扱いはハローワークで確認することをおすすめします。


就業日数・時間が制限を超えた場合の影響

制限を超えた月の給付金がどうなるのか、具体的に確認しましょう。

不支給になるとどうなる?給付金への影響を解説

就業制限(20日超または80時間超)に該当する月は、その支給単位期間の給付金が全額不支給となります。一部減額ではなく、その月は0円です。

ただし、不支給になった月があっても、次の支給単位期間で条件を満たせば、再び支給対象になります。1か月不支給になっただけで育休給付金の受給資格が消えるわけではありません。

【例:3か月間の支給パターン】

第1期:就業日数8日・時間48時間 → ✅ 支給対象
第2期:就業日数22日・時間88時間 → ❌ 不支給
第3期:就業日数10日・時間60時間 → ✅ 支給対象

→ 第2期のみ不支給。第1期・第3期は通常通り支給。

給付金の「減額」ルールとの関係:就業による賃金支払いがある場合

就業日数・時間が制限内であっても、育休中に就業して賃金が支払われた場合、給付金が減額されることがあります。

● 減額の仕組み(賃金80%ルール)

育休給付金の支給額と就業による賃金の合計が、休業開始前賃金月額の80%を超える場合、超過分が給付金から差し引かれます。

【計算式】

① 休業開始前賃金月額(基準額)を確認
② 就業による賃金支払額を確認
③ 基準額 × 80% ー 賃金支払額 = 給付金の上限額

【例】
・休業開始前賃金月額:30万円
・就業による賃金:5万円
・基準額の80%:30万円 × 80% = 24万円
・給付金の上限:24万円 ー 5万円 = 19万円

→ 本来の給付金額(例:18万円)が19万円以内なら全額支給
→ 本来の給付金額が19万円を超える場合は19万円に減額

注意: 就業日数・時間が制限内であっても、賃金額によっては給付金が減額される点を把握しておきましょう。


申請手続きの流れと必要書類

育休給付金の申請ステップ:初回から継続まで

【ステップ1】育児休業の開始前:会社への申請

育児休業開始の原則1か月前までに、会社(人事担当者)へ育児休業申出書を提出します。

【ステップ2】育児休業開始後:初回申請(8週間以内)

育児休業開始後、会社がハローワークへ初回の育休給付金申請を行います(多くの場合、会社経由での申請となります)。育休開始から原則8週間以内が目安です。

【ステップ3】継続申請(2か月ごと)

初回申請以降は、2か月ごとに継続申請を行います。この際、就業した月の就業日数・就業時間・賃金支払状況を報告します。

【ステップ4】ハローワークによる支給判定

提出書類をもとにハローワークが支給判定を行い、支給決定通知書が届いた後、指定口座に振り込まれます。

【ステップ5】育休終了・復職時の届出

育休終了時(子の1歳誕生日前日など)は、会社経由で育休終了の届出を行います。

必要書類一覧:初回申請・継続申請

● 初回申請時の主な必要書類

書類名 提出者・取得先 備考
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 会社が作成 休業開始前の賃金を証明
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 会社が作成 ハローワーク所定様式
母子健康手帳のコピー(出生証明部分) 本人が取得 子の生年月日確認
出勤簿・賃金台帳のコピー 会社が提出 勤怠・賃金の確認
マイナンバーカードまたは通知カードのコピー 本人が提出 本人確認

● 継続申請時の主な必要書類

書類名 提出者・取得先 備考
育児休業給付金支給申請書 会社が作成 2か月ごとに提出
出勤簿(タイムカード)のコピー 会社が提出 就業日数・時間の確認
賃金台帳のコピー 会社が提出 就業による賃金支払額の確認

ポイント: 育休中に就業した場合は、出勤簿・タイムカードの記録が非常に重要です。就業日数・時間の正確な記録を毎月残しておきましょう。


よくある疑問:副業・在宅勤務・パーシャル就業のケース

育休中の副業・ダブルワーク:給付金への影響は?

Q. 育休中に副業(アルバイト)をした場合、給付金はどうなる?

A. 副業・アルバイトの就業日数・時間もカウント対象です。本業と副業の合算で20日・80時間を判定します。

育休給付金は「育児休業中の所得保障」という性質があるため、別の会社でのアルバイト収入も就業実績として申告が必要です。虚偽申告や未申告は不正受給にあたり、給付金の返還請求・場合によっては刑事罰の対象となります。

在宅勤務・テレワーク中心の育休就業

Q. テレワークで少しだけ働いた場合も申告が必要?

A. 必要です。在宅勤務であっても実際に就業した日数・時間は申告義務があります。「会社に来ていないから申告しなくていい」という誤解は非常に危険です。

出勤記録がなくても、メールの送受信記録・業務システムのログ・上司の証言などで就業実績が確認される場合があります。

パーシャル就業(育休中の部分的な復帰)

Q. 「パーシャル就業」で週2〜3日だけ出勤している場合の計算は?

A. 週2〜3日程度の就業であれば、月の就業日数は8〜12日程度となり、就業日数20日の基準はクリアしやすい状況です。ただし、1日の就業時間が長い場合は80時間基準を超える可能性があります。

【例:週3日×1日6時間の場合】

月の就業日数:約12〜13日 → 20日以内 ✅
月の就業時間:12〜13日 × 6時間 = 72〜78時間 → 80時間以内 ✅
→ 支給対象
【例:週3日×1日8時間の場合】

月の就業日数:約12〜13日 → 20日以内 ✅
月の就業時間:12〜13日 × 8時間 = 96〜104時間 → 80時間超え ❌
→ 不支給

育休中に会社から「少しだけ手伝ってほしい」と頼まれた場合

Q. 会社からスポット的な業務依頼があった場合、断れる?

A. 育休中の就業は、労働者本人の合意がある場合に限り可能です(育児・介護休業法の趣旨)。会社から強制することはできません。

また、就業した場合は就業日数・時間にカウントされるため、制限超過のリスクがある場合は断ることも重要な選択肢です。業務依頼を受ける前に、その月の残り就業日数・時間を必ず確認しましょう。


育休給付金の就業制限:2025年最新情報と注意点

2025年の制度改正ポイント

2025年時点では、育休給付金に関連する主なポイントは以下の通りです。

● 給付率の確認(2025年版)

育休期間 給付率(休業開始前賃金比)
育休開始後180日以内 67%
育休開始後181日以降 50%

参考: 2025年度以降、「育児休業給付金の給付率引き上げ(80%相当)」の議論が続いていますが、2025年時点での法令上の給付率は上記の通りです。最新情報は厚生労働省・ハローワークの公式サイトでご確認ください。

● 出生時育児休業(産後パパ育休)の就業制限

2022年10月に創設された「出生時育児休業給付金(産後パパ育休)」にも、同様の就業制限があります。

判定基準 内容
日数基準 就業日数が支給単位期間の所定労働日数の50%以下
時間基準 就業時間が支給単位期間中80時間以下

通常の育休給付金と判定基準が一部異なるため、産後パパ育休を取得する方は特に注意が必要です。

よくあるミスと注意点まとめ

育休給付金の就業制限でよく見られるミスをまとめます。

❌ ミス1:暦月(1日〜末日)で日数・時間を計算してしまう

支給単位期間は育休開始日からの1か月であり、暦月とは異なります。必ず育休開始日を基準に計算しましょう。

❌ ミス2:在宅勤務・副業の就業実績を申告しない

「出社していないから」「副業先の収入だから」という理由で申告を省略すると、不正受給となります。

❌ ミス3:日数のみ、または時間のみを確認して安心してしまう

両方の基準を毎月確認する習慣をつけましょう。

❌ ミス4:支給停止と受給資格喪失を混同する

1か月不支給になっても受給資格は失いません。翌月以降に条件を満たせば再び支給されます。


よくある質問(FAQ)

Q1. 就業日数が20日ちょうど・就業時間が80時間ちょうどの場合は支給されますか?

A. 支給されます。基準は「20日以内」「80時間以内」であるため、ちょうど20日・80時間は支給対象です。21日・81時間になった時点で不支給となります。


Q2. 育休中に就業した実績を会社が申告し忘れた場合はどうなりますか?

A. 後から就業実績が判明した場合、不正受給として支給済みの給付金の返還を求められる可能性があります。会社の人事担当者と連携し、就業実績は毎月正確に申告することが重要です。


Q3. 配偶者が育休を取っている間、もう一方が育休取得した場合(パパ・ママ育休プラス)の就業制限は?

A. パパ・ママ育休プラスにより子が1歳2か月まで育休を延長できる場合も、就業制限の基準(20日・80時間)は同様です。期間が延長されるだけで、就業制限のルールは変わりません。


Q4. 育休中の就業は、会社の就業規則で禁止されている場合もありますか?

A. あります。育児・介護休業法では育休中の就業を禁止していませんが、会社の就業規則で「育休中の就業・副業を禁止する」と定めているケースがあります。事前に就業規則を確認し、必要に応じて会社に許可を取りましょう。


Q5. 育休給付金の申請期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

A. 育休給付金の申請期限は、育児休業終了日の翌日から2年以内です。この期間内であれば、遅れての申請も認められる場合があります。ただし、なるべく早くハローワークに相談することをおすすめします。


Q6. 育休中の就業制限について、会社の人事担当者はどう管理すればよいですか?

A. 人事担当者は以下の管理を行いましょう。

  1. 育休中の就業者について、毎月の就業日数・時間を出勤簿・タイムカードで正確に記録する
  2. 支給単位期間の区切りを把握し、期間ごとに20日・80時間の基準をチェックする
  3. 就業実績がある月は、継続申請時に正確な実績を書類に反映させる
  4. 就業者本人にも制限ルールを事前に説明し、認識を共有する

まとめ:育休給付金の就業制限を正しく理解して安心して育休を取得しよう

育休給付金の就業制限は、「就業日数20日以内」と「就業時間80時間以内」の両方を満たす必要があるという基本ルールを押さえることが最重要です。

この記事のポイントをまとめます。

確認項目 内容
判定基準 日数20日以内 かつ 時間80時間以内(AND条件)
超えた場合の影響 その月の給付金が全額不支給(翌月は復活可能)
カウント対象 在宅勤務・副業・研修(会社命令)も含む
期間の区切り 育休開始日から1か月ごとの「支給単位期間」
申請 会社経由でハローワークへ(2か月ごとに継続申請)

育休中に少しでも就業する予定がある場合は、毎月の就業実績を記録し、支給単位期間ごとに20日・80時間の基準を確認する習慣をつけましょう。

不明な点はハローワークまたは社会保険労務士に相談することをおすすめします。制度を正しく理解して、安心して育児休業を取得してください。


参考法令・資料

  • 雇用保険法 第61条の4
  • 育児・介護休業法(令和6年改正対応)
  • 雇用保険の給付関係業務取扱要領(厚生労働省)
  • ハローワーク「育児休業給付金の御案内」
  • 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」

免責事項: 本記事は2025年現在の情報に基づいています。制度は今後変更される可能性があります。申請時には必ず最新の情報をハローワークや厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

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