育休中の保険料免除廃止【2025年最新】被保険者の負担額と対応策

育休中の保険料免除廃止【2025年最新】被保険者の負担額と対応策 育休法改正

「育児休業中は保険料が免除される」——これまで多くの育休取得者が当たり前のように受け取ってきたこの制度が、2025年10月から段階的に廃止されます。

改正の対象となる方は、育休中も毎月の社会保険料を給与天引きまたは直接納付する必要が生じ、家計への影響は決して小さくありません。一方、企業の人事・労務担当者にとっても、給与システムの改修や従業員への説明対応など、準備すべき業務が山積しています。

この記事では、社会保険労務士監修のもと、廃止の対象者・適用開始日・具体的な保険料の計算方法・企業側の対応手順を、法的根拠とともに一つひとつ丁寧に解説します。「自分はいつから影響を受けるのか」「月にいくら負担が増えるのか」という疑問に、具体的な数字でお答えします。


2025年育休改正で何が変わる?保険料免除廃止の全体像

まずは「何がいつ廃止されるのか」を整理しましょう。制度変更の全体像を把握することが、自身のケースを正確に理解する第一歩です。

現行制度(〜2025年9月)の保険料免除の仕組み

現行制度では、育児休業中の被保険者は厚生年金保険料と健康保険料(介護保険料を含む)の全額が免除されています。「全額」というのは被保険者負担分だけでなく、事業主(会社)が負担すべき分も含めた意味です。

項目 内容
法的根拠 厚生年金保険法第47条の4/健康保険法第152条の2
対象保険料 厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料(40歳以上)
免除期間 育児休業開始月〜育児休業終了日の属する月まで
免除対象 被保険者負担分+事業主負担分(両方が保険料負担を免除)
手続き 事業主が年金事務所へ「育児休業等取得者申出書」を提出

この制度の恩恵は非常に大きく、標準報酬月額30万円の方であれば、厚生年金・健康保険合わせて月額約4〜5万円の保険料が免除されていました(被保険者負担分のみで計算した場合)。

育児休業給付金(賃金の67〜80%)を受け取りながら社会保険料も免除される現行制度は、育休取得者にとって手厚い経済的支援となっていますが、この「ダブルの保護」が廃止に向かいます。

改正後(2025年10月〜)の変更ポイント早見表

改正は一度に全保険料の免除を廃止するのではなく、2段階(Phase1・Phase2)に分けて段階的に実施されます。

保険料の種類 〜2025年9月 Phase1(2025年10月〜2026年3月) Phase2(2026年4月〜)
厚生年金保険料 免除 免除廃止(納付義務発生) 廃止継続
健康保険料 免除 継続免除 免除廃止(納付義務発生)
介護保険料(40歳〜) 免除 継続免除 免除廃止(納付義務発生)

⚠️ 重要: 上記の廃止スケジュールは、2025年10月1日以降に育児休業を新たに開始する方が対象です。2025年9月30日以前から育児休業を取得している方については、経過措置が設けられる可能性があるため、必ず所轄の年金事務所または社労士に確認してください。


段階的廃止スケジュールと適用開始日を正確に確認する

制度改正の「いつから」「誰に」適用されるかを正確に理解することは、手続きの準備と家計の計画に直結します。ここでは、Phase別に詳しく解説します。

Phase1(2025年10月〜2026年3月)厚生年金保険料の免除廃止

2025年10月1日以降に育児休業を新たに開始した被保険者は、育児休業期間中も厚生年金保険料の納付義務が発生します。

Phase1の対象者チェックリスト

  • ☑ 2025年10月1日以降に育児休業を開始した
  • ☑ 厚生年金保険の被保険者である(会社員・公務員等)
  • ☑ 育児休業の取得が子の出生日から子が1歳(最大3歳)に達するまでの期間内である

Phase1期間中の保険料の取り扱い

保険料の種類 Phase1の扱い
厚生年金保険料 納付義務あり(被保険者負担分・事業主負担分ともに)
健康保険料 引き続き免除(2026年4月まで)
介護保険料 引き続き免除(2026年4月まで)

厚生年金保険料のみが先行して廃止される理由は、年金財政の持続性確保を優先する政策判断によるものです。健康保険料については、医療費財政への影響を慎重に検討した上で、6か月遅れのPhase2での廃止とされています。

【計算例】Phase1での月額負担額(厚生年金保険料のみ)

厚生年金保険料率は18.3%(被保険者・事業主それぞれ9.15%)です。

標準報酬月額 厚生年金保険料(被保険者負担分)月額
20万円 約18,300円
25万円 約22,875円
30万円 約27,450円
35万円 約32,025円
40万円 約36,600円

計算式: 標準報酬月額 × 9.15% = 被保険者負担の厚生年金保険料月額

標準報酬月額30万円の方であれば、Phase1開始後から毎月約2万7,000円の厚生年金保険料負担が発生します。育児休業給付金(休業前賃金の67%)を受け取っていても、この金額はかなりの家計負担となることがわかります。

Phase2(2026年4月〜)健康保険料・介護保険料の免除廃止

2026年4月1日以降は、健康保険料(および40歳以上の方の介護保険料)についても免除が廃止され、育休中の被保険者は社会保険料の全種類を納付しなければなりません。

Phase2の対象者

  • 2026年4月1日以降も育児休業を継続している方(Phase1から継続の方を含む)
  • 2026年4月1日以降に育児休業を新たに開始する方

Phase2開始後の総負担額(試算例)

健康保険料率は協会けんぽの全国平均で10.0%前後(被保険者負担分は約5.0%)、介護保険料率は1.82%(被保険者負担分は約0.91%)(2024年度)が目安です。

標準報酬月額30万円・40歳未満の方のPhase2後の月額負担試算:

保険料の種類 月額負担(被保険者分)
厚生年金保険料(9.15%) 約27,450円
健康保険料(5.0%) 約15,000円
合計 約42,450円/月

標準報酬月額30万円・40歳以上の方:

保険料の種類 月額負担(被保険者分)
厚生年金保険料 約27,450円
健康保険料 約15,000円
介護保険料(0.91%) 約2,730円
合計 約45,180円/月

現行制度では0円だった社会保険料負担が、Phase2完全適用後には月額4〜5万円規模になる計算です。育児休業給付金の実受取額から保険料を差し引いた「手取り」は、事前のシミュレーションが欠かせません。


被保険者の実際の手取り額はどう変わるか

改正が家計に与える影響を、具体的な数字で確認しましょう。

育児休業給付金の計算方法(改正後も変わらない部分)

育児休業給付金の計算式は今回の保険料改正の対象外であり、引き続き以下の算式で支給されます。

育児休業給付金の支給額
─────────────────────────────
育児休業開始から180日間:
  休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

181日目以降:
  休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

「休業開始時賃金日額」 とは、育児休業開始前6か月の賃金を180で割った額です。

月収30万円の方の手取り比較(現行制度 vs 改正後)

育休開始から6か月(67%支給期間)の月を例に計算します。

育児休業給付金の月額:
標準的な月収30万円(賃金日額約1万円)の場合、
→ 30万円 × 67% = 約20万1,000円(税・保険料控除前)

時期 給付金 厚生年金保険料 健康保険料 手取り概算
現行(〜2025年9月) 約201,000円 0円(免除) 0円(免除) 約201,000円
Phase1(2025年10月〜) 約201,000円 約27,450円 0円(免除) 約173,550円
Phase2(2026年4月〜) 約201,000円 約27,450円 約15,000円 約158,550円

Phase2完全適用後には、現行制度と比べて月額約4万2,000円の手取り減少となります。年間に換算すると約50万円の差になる計算であり、育児費用が増える時期との重なりから、経済的なインパクトは非常に大きいと言えます。

育児休業給付金と保険料の「セット」で考える資金計画

改正後は以下の順で資金計画を立てることを推奨します。

  1. 育児休業開始前の標準報酬月額を確認する(毎年4〜6月の平均報酬が基準)
  2. 育児休業給付金の見込み額を雇用保険の計算式で試算する
  3. Phase1・Phase2それぞれの保険料負担額を計算する
  4. 育休期間中の月次収支を書き出し、不足分を貯蓄で補う計画を立てる
  5. 育休開始の半年前から積立・節約を開始する

企業(事業主)が取るべき対応手順

保険料免除廃止は、被保険者個人だけでなく、企業の人事・労務部門にも大きな対応が求められます。

給与システムと社会保険手続きの見直し

現行制度では育児休業開始後に「育児休業等取得者申出書」を年金事務所へ提出し、以後の保険料を免除処理していました。改正後は、この免除申出の取り扱いが変わるため、システム上の設定変更が必要です。

企業が対応すべき主な項目

対応項目 内容 期限の目安
給与・労務システムの改修 Phase1(2025年10月)から厚生年金保険料を控除する設定への変更 2025年8月末まで
育休中の保険料控除方法の決定 給与支払い停止中の場合、会社が立替→後日精算 or 振込依頼の方式を選択 2025年7月末まで
就業規則・育休規程の見直し 育休中の保険料負担に関する規定を追加・整備 2025年9月末まで
従業員への周知・説明 対象者への個別説明、説明資料の作成・配布 2025年7月末までに開始
年金事務所への確認 経過措置・手続き変更の最新情報を確認 随時(改正施行前)

育休中の保険料の徴収方法(実務上の選択肢)

育休中は給与が支払われないケースが多いため、企業は保険料の徴収方法をあらかじめ決めておく必要があります。

選択肢1:育休終了(復職)後の給与から一括控除
→ 従業員の立替負担が発生するが、復職後の給与から徴収するため手続きはシンプル。ただし、長期育休の場合は控除額が大きくなる点に注意。

選択肢2:毎月、従業員が会社口座へ振込
→ 毎月の負担が明確だが、振込忘れが発生するリスクがある。振込依頼書・口座情報の管理が必要。

選択肢3:会社が立替払いし、育休終了後に精算合意書を締結
→ 従業員の即時負担を軽減できる。精算時の控除上限(賃金の1/4以内等)に注意が必要。

⚠️ 注意: 労働基準法第24条の「賃金全額払いの原則」との関係から、給与から控除できる金額や方法には制限があります。実務設計は社会保険労務士に相談することを強く推奨します。

従業員への説明で押さえるべきポイント

従業員から最も多く寄せられると予想される質問と、その回答のポイントをまとめます。

  • 「育児休業給付金の額は変わりますか?」
    → 給付金の計算式は変わりません。ただし、保険料の納付が別途発生するため、手取り額は減少します。

  • 「育休の期間や取得要件は変わりますか?」
    → 育児休業の取得要件・期間に関するルールは今回の改正では変更されません。

  • 「将来の年金受給額に影響はありますか?」
    → 育休中も厚生年金保険料を納付することになるため、年金記録上は保険料納付済みの期間として扱われます。これにより、将来の年金受給額への影響(現行の免除期間中の扱い)については慎重に試算することが必要です。詳しくは年金事務所に確認してください。


手続き・必要書類の確認(改正後の申請フロー)

育児休業取得者が行う手続き(2025年10月以降)

改正後も、育児休業の取得自体の申請手続きは基本的に変わりません。ただし、保険料の取り扱いに関して企業の人事担当者との確認が必要になります。

育休開始前に確認・準備すること:

  1. 育児休業申請書 の提出(会社規定のフォーム)→ 育休開始予定日の1か月前まで
  2. 育児休業給付金の受給申請(会社経由でハローワークへ)→ 育休開始後2か月以内が目安
  3. 保険料の徴収方法についての会社との合意(書面での確認が望ましい)
  4. 育休中の月次資金計画の作成(Phase1・Phase2それぞれの負担額を明確にする)

育休中に必要な対応:

  • 保険料が発生した月の翌月末日が納付期限(会社経由で納付)
  • 育児休業給付金の支給申請(2か月に1回、会社がハローワークへ申請)

企業の事務フロー(2025年10月以降)

【育休開始時】
↓ 育児休業申請書を受領
↓ ハローワークへ育児休業給付金の受給資格確認申請
↓ 年金事務所への届出内容を確認(免除申出の要否を改正後ルールで判断)
↓ 保険料控除・徴収方法を従業員と合意
↓ 給与システムに保険料控除の設定を追加(Phase1:厚生年金のみ)

【毎月の処理】
↓ 育児休業給付金の支給申請(2か月ごと)
↓ 保険料の控除・納付処理

【Phase2移行時(2026年4月)】
↓ 健康保険料・介護保険料の控除設定を追加
↓ 従業員への変更通知

よくある疑問と注意点の整理

今回の保険料免除廃止に関して、特に誤解が生じやすいポイントを整理します。

「産前産後休業」中の保険料免除は廃止されるの?

産前産後休業(産休)中の保険料免除は廃止されません。 今回の改正は「育児休業」中の保険料免除が対象です。産前42日(多胎妊娠は98日)・産後56日の産休期間中は、引き続き保険料が免除されます。

育休は産休の後に開始されるため、産休終了後・育休開始時点から保険料の納付義務が生じる(Phase1の場合は厚生年金のみ)点に注意が必要です。

育休延長(1歳6か月・2歳まで)の場合も対象?

はい、育休を延長した期間も保険料免除廃止の対象となります。保育所の入所不承諾等により育休を1歳6か月・2歳まで延長した場合も、2025年10月1日以降の育休期間については保険料の納付が必要です。

育休を長期間取得している場合、累計の保険料負担額が相当大きくなるため、延長を検討している方は早めに資金計画を見直してください。

パパ育休(出生時育児休業)も対象?

出生時育児休業(産後パパ育休)も、育児休業法上の育児休業として取り扱われるため、2025年10月1日以降に取得する場合はPhase1の対象となります。

ただし、出生時育児休業は最大28日間という比較的短い期間であるため、厚生年金保険料の負担額は通常の育休よりも限定的です。

自営業者(国民年金加入者)も免除廃止の対象になるの?

今回の改正は厚生年金保険・健康保険(被用者保険)の被保険者が対象です。自営業者や第1号被保険者(国民年金のみ加入)の方には、今回の廃止は直接適用されません。ただし、配偶者の勤務先の社会保険に被扶養者として加入している方(第3号被保険者)については、扶養認定の要件(年収130万円未満等)との関係で別途確認が必要です。


改正に備えるための行動チェックリスト

育休取得予定者向け

  • [ ] 標準報酬月額を確認し、Phase1・Phase2それぞれの保険料負担額を試算した
  • [ ] 育児休業給付金の見込み支給額を計算した
  • [ ] 保険料差し引き後の月次手取り額を把握した
  • [ ] 育休開始前の半年間で不足額の貯蓄計画を立てた
  • [ ] 会社(人事担当者)と保険料の徴収方法について確認した
  • [ ] 育休開始・終了予定日を確定し、申請書を提出した
  • [ ] 育児休業給付金の申請スケジュールを会社に確認した

企業・人事担当者向け

  • [ ] 対象従業員のリストアップと個別説明を実施した
  • [ ] 給与・社会保険システムの改修スケジュールを確認した
  • [ ] Phase1(2025年10月)対応の給与システム変更を完了した
  • [ ] 育休中の保険料徴収方法を決定し、就業規則等に反映した
  • [ ] 社会保険労務士・年金事務所に最新の手続き情報を確認した
  • [ ] Phase2(2026年4月)対応のスケジュールを策定した

よくある質問(FAQ)

Q1. 2025年9月までに育休を開始し、2025年10月以降も育休を継続している場合はどうなりますか?

経過措置の詳細は施行規則の確定後に明らかになりますが、現時点の情報では「2025年10月1日以降に新たに開始した育児休業」が廃止対象とされています。2025年9月30日以前から継続している育休については、改正の対象外となる可能性がありますが、確定情報は所轄の年金事務所または社労士にご確認ください。

Q2. 育休中に保険料を払うと、将来の年金受給額は増えますか?

育休中に厚生年金保険料を納付した場合、その期間は保険料納付済み期間として年金記録に反映されます。現行制度では育休中の免除期間も「保険料を納付したものとして」標準報酬月額の一定割合を年金額に算入する特例があります。改正後の取り扱いとの詳細な比較は、日本年金機構または社労士にご相談ください。

Q3. 会社が保険料を肩代わりしてくれる制度はありますか?

法律上の義務はありませんが、事業主独自の福利厚生制度として保険料補助を行うこと自体は違法ではありません。 一方、被保険者分の保険料を全額事業主が負担する場合は、税務上の給与所得として課税される可能性があるため、導入を検討する企業は顧問税理士・社労士に相談することをお勧めします。

Q4. 育休中の保険料免除廃止により、育休取得のメリットはなくなりますか?

育休取得の主な経済的メリットは保険料免除だけではありません。育児休業給付金(賃金の最大80%)の受給、雇用の継続保障、育休後の職場復帰権の確保といった点は改正後も変わりません。保険料負担が発生しても、無給で仕事を辞めるよりも経済的に有利なケースが多いため、早めの資金計画を立てた上で取得を検討することをお勧めします。

Q5. Phase1・Phase2の適用日は変更になる可能性はありますか?

法改正の施行日は国会での最終審議・成立を経て確定します。本記事執筆時点では2025年10月(Phase1)・2026年4月(Phase2)が想定されていますが、審議状況により変更される可能性があります。厚生労働省の公式発表を定期的に確認してください。


改正情報の正確な把握のために

本制度改正は、本記事執筆時点(2024年)において法改正の審議・確定過程にある内容を含んでいます。施行規則・通達の内容は最終確定前に変更される可能性があります。 以下の公的情報源で最新情報を必ず確認してください。

  • 厚生労働省 公式ウェブサイト(法改正情報・Q&A)
  • 日本年金機構 公式ウェブサイト(手続き変更のお知らせ)
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ) 公式ウェブサイト
  • 管轄の年金事務所(個別ケースの相談)
  • 社会保険労務士(企業・個人の実務相談)

免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的アドバイスを構成するものではありません。実際の手続きにあたっては、管轄の年金事務所・ハローワーク・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。法令・制度の詳細は改正施行後の最新情報を必ずご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました