2025年の制度改正により、パパ育休(出生時育児休業)の給付率が50%から55%へ引き上げられました。育休中の収入が増えることは、育休取得を迷っているパパにとって大きな後押しになります。
この記事では、改正内容の詳細、支給額の計算方法、申請手続きの全ステップを初心者にもわかりやすく解説します。「いくらもらえるの?」「どこに申請すればいいの?」という疑問をまるごと解決します。
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2025年パパ育休の給付率引き上げ|改正内容まとめ
給付率50%→55%で月額いくら増える?
2025年の法改正で最も注目すべき変更点は、出生時育児休業給付金の支給率が50%から55%に引き上げられたことです。
給付金は「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 支給率」で計算されます。これに加えて、育休中は社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除されるため、手取りベースで考えると実質的な給付水準はさらに高くなります。
以下の表で、月給別の給付金額の変化を確認しましょう。
| 月給(税込) | 改正前(50%) | 改正後(55%) | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 約100,000円 | 約110,000円 | +10,000円 |
| 30万円 | 約150,000円 | 約165,000円 | +15,000円 |
| 40万円 | 約200,000円 | 約220,000円 | +20,000円 |
※上記は4週間(28日)取得した場合の概算額です。実際の支給額は賃金日額の計算方法によって異なります。
さらに、育休中に職場から給与の支払いがない場合、社会保険料の免除も加味すると、手取りベースの実質支給率は従前から実質80%相当に達すると言われています。2025年改正後はこれが実質90%相当に近づくとも試算されており、育休中の生活設計がより立てやすくなります。
賃金日額の計算方法
支給額を正確に計算するために、賃金日額の算出方法を押さえておきましょう。
賃金日額 = 休業開始前6ヶ月の賃金総額 ÷ 180
支給額(1日あたり) = 賃金日額 × 55%(2025年改正後)
月額支給総額 = 支給額(1日) × 休業日数
【計算例】月給30万円のパパが28日取得した場合
① 賃金日額 = 300,000円 × 6ヶ月 ÷ 180日 = 10,000円
② 1日あたり支給額 = 10,000円 × 55% = 5,500円
③ 総支給額 = 5,500円 × 28日 = 154,000円(改正後)
(改正前:10,000円 × 50% × 28日 = 140,000円)
なお、賃金日額には上限・下限が設けられており、ハローワークが毎年8月に改定します。2024年8月時点の上限額は15,430円(日額)であり、高収入の方はこの上限が適用されることに留意が必要です。
2025年4月からの適用開始
給付率55%への引き上げは、2025年4月1日以降に開始した育児休業から適用されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2025年4月1日 |
| 適用対象 | 2025年4月1日以降に育休を開始した方 |
| 経過措置 | 2025年3月31日以前に開始した育休は旧給付率(50%)が適用 |
| 先行適用 | なし(施行日以降の開始分から一律適用) |
重要ポイント: 子の出生日ではなく「育休の開始日」が基準になります。子どもが2025年3月に生まれても、育休の開始が4月1日以降であれば新給付率55%が適用されます。出産予定日が3月末前後の方は、開始日のタイミングに注意しましょう。
法的根拠: 今回の改正は雇用保険法の改正(令和6年改正)に基づくもので、男性育休の取得促進を政策目標として掲げた「こども未来戦略」の一環として実施されています。育児・介護休業法第9条の2(令和3年改正で新設)の制度枠組みはそのままに、給付水準の引き上げが行われました。
パパ育休(出生時育児休業)の基本制度|対象者と条件
パパ育休を取得できる5つの必須条件
パパ育休の給付金を受け取るには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると給付対象外になるため、事前にしっかり確認しましょう。
| ✓ | 要件 | 詳細 |
|---|---|---|
| ☐ | 雇用保険への加入 | 子の出生日時点で雇用保険の一般被保険者であること |
| ☐ | 勤務期間の要件 | 出生日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること |
| ☐ | 雇用継続の見込み | 出生日から8週間が経過した後も、引き続き雇用される見込みがあること |
| ☐ | 事前の届出 | 休業予定日の2週間前までに、勤務先に「出生時育児休業申出書」を提出していること |
| ☐ | 出生届の提出 | 子の出生届を市区町村に提出し、出生の事実が確認できること |
よくある疑問:雇用期間の定めがある場合(有期契約)は?
有期契約社員(契約社員・パートなど)でも、以下の条件を両方満たせば取得可能です。
- 子の出生日から8週間の期間内に、労働契約期間が終了しないこと
- 育休終了予定日を超えて労働契約が更新される見込みがあること(期間の定めがあっても取得できるよう、令和3年改正で要件が緩和されました)
パパ育休は母親も対象?ダブル取得のルール
「パパ育休」という通称ですが、正式名称は「出生時育児休業」であり、法的には父親・母親いずれも取得対象です。ただし、実務上は母親が産後休業(産後8週間)の対象となるため、主に父親向けの制度として機能しています。
両親がダブルで育休を取得する場合のルール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 同時取得 | 父親と母親が同時期に育休を取得することが可能 |
| 給付金の支給 | 両親それぞれが要件を満たしていれば、それぞれ独立して給付金を受給できる |
| 分割取得 | パパ育休は最大2回に分割して取得可能(例:2週間+2週間) |
| 注意点 | 分割取得する場合、1回目の申請時に2回分まとめて申請するか、1回ごとに申請するかを確認する |
通常の育児休業(産後パパ育休とは別)と組み合わせれば、子の1歳まで続けて休業することも可能です。育休の設計は複雑になりやすいため、勤務先の人事担当者と早めに相談することをおすすめします。
対象外となるケース
以下に該当する場合は、出生時育児休業給付金を受け取ることができません。
| 対象外のケース | 理由 |
|---|---|
| 雇用保険未加入のパート・アルバイト | 週所定労働時間20時間未満など、雇用保険の被保険者要件を満たさない場合 |
| 公務員 | 公務員には別途「育児休業手当金」(共済組合)が適用される |
| 個人事業主・フリーランス | 雇用保険の被保険者に該当しないため |
| 勤務期間が短い方 | 直近2年間で12ヶ月の要件を満たさない場合 |
| 休業終了日時点で退職予定の方 | 雇用継続見込みの要件を満たさないとみなされる場合がある |
| 育休開始後に一定の就労をした場合 | 休業中の就労が一定日数・時間を超えると給付対象外になる(出生時育休は就労可能日数の上限あり) |
補足:休業中の就労について
パパ育休(出生時育児休業)は、事前に勤務先と合意した場合に限り、休業期間中でも就労することが可能という点が通常の育休と異なる特徴です。ただし、就労日数が「休業期間の半分以下」を超えると、その期間は給付対象外となります。
パパ育休の申請手続き完全ガイド|4ステップで解説
申請の流れを4つのステップに分けて解説します。それぞれのタイミングと注意点を確認しながら、漏れなく手続きを進めましょう。
[STEP 1] 勤務先へ事前届出(出生予定日の2〜3ヶ月前)
↓
[STEP 2] 出生届を市区町村へ提出(出生後14日以内)
↓
[STEP 3] ハローワークへ給付金申請(育休終了後2ヶ月以内)
↓
[STEP 4] 給付金の振込(申請から2〜4週間)
STEP 1|勤務先に事前届出をする
期限:育休開始予定日の2週間前まで(原則)
まず、勤務先の人事担当部署に育休取得の意思を伝え、「出生時育児休業申出書」を提出します。
- 書式:厚生労働省の「育児・介護休業等に関する規則の規定例」に記載のある様式を使用するか、勤務先独自の書式に従う
- 記載事項:育休開始予定日・終了予定日、分割取得の有無、就労する可能性の有無
- 法的根拠:育児・介護休業法第9条の2
ポイント: 法律上は「2週間前まで」の申出が必要ですが、勤務先の業務調整や後任の手配を考えると、出生予定日の2〜3ヶ月前には相談を始めることが望ましいです。育休取得を理由とした不利益取扱い(降格・雇止めなど)は法律で禁止されています。
STEP 2|出生届を市区町村に提出する
期限:子の出生後14日以内
出生届は、子の出生後14日以内に市区町村役場に提出します(戸籍法の定め)。出生届を提出すると、給付金申請に必要な「出生の事実を確認できる書類」を取得できます。
| 提出先 | 市区町村役場(住所地または本籍地) |
|---|---|
| 必要書類 | 出生証明書(医師・助産師が記載)、届出人の印鑑など |
| 取得できる書類 | 母子健康手帳への記載、戸籍謄本(後日) |
ハローワークへの申請では、住民票(子の記載があるもの)や母子健康手帳の写しが出生確認書類として使用できます。
STEP 3|ハローワークへ給付金を申請する
期限:育休終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで
給付金の申請は、勤務先(事業主)がハローワークに対して行うのが原則です。必要書類を揃えて勤務先に渡し、勤務先経由で申請してもらいましょう。
必要書類チェックリスト
| 書類名 | 発行元 | 備考 |
|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金支給申請書 | ハローワーク(書式) | 事業主が記載・押印 |
| 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 | 事業主が作成 | 育休開始前の賃金を証明 |
| 出生の事実を確認できる書類 | 市区町村 | 住民票(子の記載あり)、母子健康手帳の写しなど |
| 育児休業申出書の写し | 勤務先保管 | 事前届出の証明 |
| 出勤簿またはタイムカードの写し | 勤務先保管 | 休業期間の確認用 |
| 賃金台帳の写し | 勤務先保管 | 休業前の賃金確認用 |
受給口座の登録: 初回申請時に、給付金の振込先となる本人名義の銀行口座の情報が必要です。通帳またはキャッシュカードの写しを用意しておきましょう。
申請先のハローワークについて
申請先は、勤務先の所在地を管轄するハローワークです(自宅住所地ではありません)。勤務先の人事担当者に申請先のハローワークを確認しましょう。
STEP 4|給付金の振込を確認する
振込時期:申請後おおむね2〜4週間
ハローワークでの審査が完了すると、登録した口座に給付金が振り込まれます。支給決定通知書が勤務先に届き、従業員本人に通知されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 審査期間 | 申請受理からおおむね2〜4週間 |
| 振込先 | 申請書に記載した本人名義口座 |
| 通知方法 | 「育児休業給付支給決定通知書」が事業主宛に送付 |
| 不支給の場合 | 「不支給決定通知書」が届く。不服がある場合は審査請求が可能 |
申請期限を絶対に守る!よくある失敗と対策
給付金申請では、申請期限の徒過(期限切れ)が最も多いトラブルです。期限を過ぎると原則として給付金を受け取れなくなります。
期限まとめ
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 出生時育休の申出 | 育休開始予定日の2週間前まで |
| 出生届の提出 | 出生後14日以内 |
| ハローワークへの申請 | 育休終了日翌日から2ヶ月を経過する月の末日まで |
よくある失敗と回避策
失敗① 勤務先への届出が遅れた
→ 対策:妊娠がわかった段階で人事担当者に相談を開始する。育休は権利であり、申し出を断ることは違法です。
失敗② 書類の不備で再申請が必要になった
→ 対策:ハローワークの窓口で事前に書類を確認してもらう。郵送申請より窓口申請の方が不備に気づきやすい。
失敗③ 育休中の就労日数が上限を超えた
→ 対策:就労する場合は、事前に勤務先と合意書を作成し、就労日数の記録を必ず残す。
失敗④ 申請を勤務先に任せっきりにして期限が来た
→ 対策:申請期限を自分でカレンダーに記録し、期限1ヶ月前に勤務先に進捗を確認する。
給付金受給中の注意事項|減額・不支給になるケース
給付金は支給決定後も、一定の条件を超えると減額または不支給になることがあります。
育休中に就労した場合の給付調整
出生時育児休業は「就労可能型育休」のため、事前合意のもとで就労が認められています。ただし、以下のルールがあります。
| 就労日数・時間 | 給付金への影響 |
|---|---|
| 休業期間の半分以下かつ所定労働日数の半分以下 | 給付対象(ただし就労した分の賃金は控除) |
| 休業期間の半分を超える | その期間は給付対象外 |
| 所定労働時間の80%以上の就労 | 支給停止(事実上休業とみなされない) |
社会保険料免除との関係
育休期間中は、健康保険・厚生年金の保険料が免除されます(申請が必要)。保険料免除の申請は勤務先が日本年金機構に行います。免除された保険料は、将来の年金額には原則として不利に影響しません(免除期間は保険料を払ったものとみなして計算される)。
よくある質問
Q1. パパ育休と通常の育児休業は何が違うの?
出生時育児休業(パパ育休)は子の出生後8週間以内に取得できる最大4週間の制度です。通常の育児休業(子が1歳になるまで取得可能)とは別の制度であり、組み合わせて取得することができます。給付率・申請手続きも一部異なります。
Q2. 2025年4月より前に出生した子のパパ育休でも55%が適用される?
育休の開始日が2025年4月1日以降であれば55%が適用されます。子の出生日が2025年3月以前でも、育休開始が4月以降なら新給付率の対象です。ただし、出生時育休は出生後8週間以内に取得する必要があるため、出生日から逆算してスケジュールを確認してください。
Q3. 育休中に副業(アルバイト)をしても給付金をもらえる?
本業の育休中に副業・アルバイトをした場合、給付金の減額や不支給になる可能性があります。雇用保険法上、「休業していない」とみなされる場合があるため、事前にハローワークや勤務先に確認することを強くおすすめします。
Q4. 給付金は課税される?
育児休業給付金は非課税です(所得税・住民税の課税対象外)。受け取った給付金を確定申告で申告する必要はありません。ただし、育休中に勤務先から給与の支払いがあった場合、その給与は課税対象となります。
Q5. ハローワークへの申請を自分で行うことはできる?
原則として事業主(勤務先)が申請を行います。ただし、やむを得ない事情がある場合(事業主が手続きをしてくれないなど)は、被保険者本人が申請することも可能です。その場合は最寄りのハローワークに相談してください。
Q6. 申請期限を過ぎてしまったらどうなる?
原則として給付金を受け取れなくなります。ただし、天災その他やむを得ない理由がある場合は、申請期限の延長が認められることがあります。期限を過ぎてしまった場合は、速やかにハローワークに相談してください。
企業の人事担当者向け|手続き対応チェックリスト
人事担当者として以下の対応が必要です。義務を怠ると労働局から指導を受ける場合があります。
☐ 育休申出書を受理し、写しを保管する
☐ 育休取得を理由とした不利益取扱いをしないよう周知する
☐ 「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を作成する
☐ 出勤簿・賃金台帳の写しを準備する
☐ ハローワークに給付金支給申請書を提出する(期限内)
☐ 社会保険料免除の申請を日本年金機構に行う
☐ 支給決定通知書を受け取り、従業員に通知する
☐ 育休期間中の勤怠・給与処理を適切に行う
2025年4月以降の対応として特に重要なこと: 給付率が55%に変わったことを従業員に周知し、育休取得を促進する環境づくりを進めることが求められます。100人超の企業には育休取得率の公表義務(育児・介護休業法第22条の2)もあります。
まとめ|2025年パパ育休のポイント総整理
この記事の重要ポイントを最後に整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給付率 | 2025年4月1日以降の育休開始分から55%(従来50%) |
| 対象制度 | 出生時育児休業(子の出生後8週間以内・最大4週間) |
| 支給イメージ | 月給30万円・4週間取得で約154,000円(社保免除も加味すると実質約90%相当) |
| 申請主体 | 勤務先(事業主)がハローワークへ申請 |
| 申請期限 | 育休終了翌日から2ヶ月を経過する月の末日まで |
| 分割取得 | 最大2回まで分割して取得可能 |
| 法的根拠 | 育児・介護休業法第9条の2、雇用保険法第37条の3 |
給付金の引き上げは、子育てに参加したいパパの背中を押す重要な改正です。「収入が減るから育休を取れない」と感じていた方も、ぜひ制度を活用して、大切な時間を家族とともに過ごしてください。
申請手続きでわからないことがあれば、最寄りのハローワークまたは都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にお気軽に相談できます。
本記事は2025年4月時点の法令・制度に基づいています。制度の詳細は変更される場合があるため、最新情報は厚生労働省ホームページまたはハローワークにてご確認ください。


