出生時育休で妻が職場復帰しても給付金は継続【手続き・保育園申請への影響】

出生時育休で妻が職場復帰しても給付金は継続【手続き・保育園申請への影響】 パパ育休

出生時育休(産後パパ育休)を取得中に、妻が職場復帰する予定がある——そんな状況で「給付金はどうなるの?」「保育園申請に影響が出るの?」と不安になっていませんか?

結論からお伝えします。出生時育休中に妻が職場復帰しても、父親の育児休業給付金は継続して受け取れます。

これは制度設計上の明確なルールであり、妻の就業状況は父親の給付要件にまったく含まれていません。しかし、保育園の入園申請においては影響が生じるケースがあるため、正確な知識を持って対処することが重要です。

本記事では、出生時育休中に妻が職場復帰した場合の給付金継続の仕組み、申請手続きのステップ、保育園入園申請への具体的な影響を、法的根拠・必要書類・計算例とともに丁寧に解説します。


出生時育休とは?妻の復帰は給付金に影響しない理由

項目 父親(出生時育休取得者) 母親(妻が職場復帰)
育児休業給付金の支給 継続して受け取れる 職場復帰で支給終了
給付金受給要件 父親の就業状況のみで判定 母親の就業状況で判定
保育園入園申請 育休中のため優先度が低い可能性 職場復帰で入園必要条件を満たす
必要書類 育休期間を証明する書類 職場復帰を証明する書類
手続きのポイント 給付金申請時に育休継続を報告 復帰予定日を保育園に報告

出生時育休制度の基本(取得期間・対象者)

出生時育休(産後パパ育休)は、2022年10月1日に施行された育児・介護休業法の改正によって新設された制度です。それ以前の育児休業とは別枠で設けられており、父親が子どもの出生直後の時期に柔軟に休業を取得できるよう設計されています。

制度の主な概要は以下のとおりです。

項目 内容
対象者 原則として男性労働者(出生した子の父親)
取得可能期間 子の出生後8週間以内
取得日数の上限 最大28日間(4週間)
分割取得 2回まで分割して取得可能
申請期限 取得開始予定日の2週間前までに事業主へ通知
就業の可否 労使協定を締結している場合、一時的な就業が可能

なお、この出生時育休は「パパ・ママ育休プラス」などの従来制度とも別枠であり、出生時育休の28日間を使い切った後に、通常の育児休業(最大1年)に切り替えることも可能です。

なぜ妻の復帰が給付金に影響しないのか【法的根拠】

父親の出生時育休給付金は、雇用保険法第61条の7に基づき支給される「出生時育児休業給付金」です。この給付金の支給要件は以下の4点であり、妻の就業状況はまったく含まれていません。

  1. 雇用保険に加入していること
  2. 育休開始前2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上の月が12か月以上あること
  3. 同一事業主のもとで継続雇用されていること
  4. 出生時育休の期間中に就業日数が一定基準以内であること

法律上、育児・介護休業法第9条の2第1項は「労働者は、その養育する子について、事業主に申し出ることにより、出生時育児休業をすることができる」と規定しており、これは父親固有の権利として位置づけられています。

かつての育児休業給付金(改正前)は、「配偶者が同期間中に育休を取得していないこと」が要件の一つでした。しかし、出生時育休給付金においては、妻が育休中であっても、職場復帰済みであっても、あるいは専業主婦であっても、父親の給付金受給には一切影響しないのです。

これが「妻が復帰しても給付金は継続する」根拠です。

通常の育児休業給付金との重要な違い

出生時育休給付金と、通常の育児休業給付金(育休開始から1歳まで取得する場合の給付金)は、名称が似ていますが別の制度です。以下の比較表で違いを確認してください。

比較項目 出生時育休給付金 通常の育児休業給付金
法的根拠 雇用保険法第61条の7 雇用保険法第61条の4
取得期間 出生後8週間以内・最大28日 子が1歳になるまで(最長2歳)
分割取得 2回まで可能 2回まで可能
妻の就業状況 要件に含まれない 要件に含まれない(2022年改正後)
就業可能日数 休業期間の半分以下かつ10日以内(超える場合は時間数で計算) 10日以内(超える場合は80時間以内)
給付率 休業前賃金の67% 育休開始から180日は67%、以降50%

2022年の法改正により、通常の育児休業においても妻の就業状況は要件から除外されていますが、出生時育休は新設時から一貫してこの設計になっています。


出生時育休給付金の受給要件と計算方法

給付金受給の4つの要件チェックリスト

出生時育休給付金を受け取るには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

✅ 要件1:雇用保険への加入
育休開始日時点で、雇用保険の被保険者であること。パート・アルバイトでも一定の要件を満たせば加入できます。

✅ 要件2:雇用保険の加入実績
育休開始前の2年間(24か月)のうち、「賃金支払い基礎日数が11日以上(または就業時間が80時間以上)の月」が12か月以上あること。

✅ 要件3:継続雇用の見込み
育休終了後も同一事業主のもとで雇用が継続される見込みがあること。有期雇用の場合、子が1歳6か月までに労働契約が満了しないことが原則的な要件です。

✅ 要件4:育休中の就業日数
出生時育休期間中に就業した日数が、休業期間の日数の半分以下、かつ10日以内であること。就業日数が10日を超える場合は、就業時間が80時間以内であること。

妻の就業状況:制限なし
上記4要件に「妻が育休中であること」「妻が就業していないこと」は含まれません。妻が職場復帰済みであっても、父親がこの4要件を満たしていれば給付金は継続受給できます。

給付金額の計算方法と具体例

出生時育休給付金の支給額は、「休業開始時賃金日額」を基に計算されます。

計算式

給付金額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

「休業開始時賃金日額」は、育休開始前6か月間の賃金総額 ÷ 180 で算出します。

具体的な計算例

育休前6か月間の賃金総額が180万円(月平均30万円)の場合:

計算ステップ 計算内容 結果
賃金日額の算出 1,800,000円 ÷ 180日 10,000円/日
28日間の給付金 10,000円 × 28日 × 67% 187,600円
14日間(2週間)の給付金 10,000円 × 14日 × 67% 93,800円

なお、給付金には上限額が設定されています(毎年8月に改定)。2024年度時点では、賃金日額の上限は15,430円となっており、これを超える賃金日額でも上限額で計算されます。

社会保険料の免除について
出生時育休期間中は、健康保険・厚生年金保険の社会保険料が免除されます(事業主負担分も含む)。この免除により、実質的な手取り額はさらに増加します。給与の手取り額と比較した場合、給付金+社会保険料免除で実質約8割相当の収入が確保できると言われています。

妻が復帰した場合の給付金変化(変わらない理由)

ここが本記事の核心部分です。妻が育休を終了して職場復帰した前後で、父親の出生時育休給付金に変化は生じるのか、整理して確認しましょう。

タイミング 父親の給付金
妻が育休中(父親も出生時育休中) 通常通り受給
妻が職場復帰(父親は出生時育休継続) 変化なし・継続受給
妻が復帰後に父親が出生時育休を新規取得 変化なし・受給可能

繰り返しになりますが、出生時育休給付金の支給要件に「妻の就業状況」は含まれていないため、妻の復帰タイミングがいつであっても父親の給付金は影響を受けません。


出生時育休取得〜給付金申請の手続きステップ

申請の全体フローと期限

妊娠・出産予定の把握
    ↓
【出産2週間前まで】事業主への取得申出
    ↓
【出生後8週間以内】出生時育休の開始
    ↓
【事業主経由】ハローワークへの受給資格確認申請
    ↓
【育休終了後2か月以内】給付金申請(原則は事業主が申請)
    ↓
【ハローワーク審査後】給付金の振込

事業主への申出から育休開始まで

STEP1:事業主への申出(取得開始予定日の2週間前まで)

出生時育休の取得を希望する場合、取得開始予定日の2週間前までに事業主へ書面または電子メール等で申し出る必要があります。申出に際して必要な情報は以下のとおりです。

  • 取得を希望する開始日と終了日
  • 子の出生予定日(出生前に申し出る場合)
  • 分割取得を希望する場合はその旨

事業主は、正当な理由がない限り申出を拒否することはできません。申出を拒否された場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談しましょう。

STEP2:育休開始と事業主への出生連絡

子が出生したら速やかに事業主へ連絡します。出産予定日より前に子が生まれた場合でも、出生後8週間以内であれば出生時育休の取得が可能です。

ハローワークへの給付金申請

STEP3:育児休業給付受給資格確認票の提出

給付金の申請は、原則として事業主がハローワークに対して代行申請します。労働者本人が直接申請することは原則できません。事業主は以下の書類を準備してハローワークへ提出します。

書類名 内容
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 休業前6か月分の賃金額を証明する書類
育児休業給付受給資格確認票(初回) 給付金の受給資格確認のための申請書
出生時育児休業給付金支給申請書 実際の給付金支給を申請する書類
母子健康手帳の写し 子の出生日の確認
出生届受理証明書または戸籍謄本 父子関係の確認(出生届提出後)

STEP4:申請期限と支給決定

給付金の申請は、育休終了日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります。申請が遅れると受給できなくなる場合があるため、事業主と密に連携して期限を守ることが重要です。

ハローワークが申請書類を受理し審査を終えると、指定口座(労働者本人名義)に給付金が振り込まれます。

妻が職場復帰した場合の追加手続き

結論として、妻の職場復帰に伴う父親側の追加手続きは原則として不要です。給付要件に妻の就業状況が含まれていないため、妻が復帰したことをハローワークや事業主に届け出る義務もありません。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 父親自身が出生時育休の期間中に就業する場合、就業日数・時間数の上限を超えないよう管理すること
  • 育休期間の変更(短縮・延長)を希望する場合は、事業主への届出が別途必要となること

保育園入園申請への影響と対応策

保育園申請における「両親の就業状況」の扱い

保育園(認可保育所)への入園申請では、保護者全員の「保育が必要な理由」を証明する書類の提出が求められます。自治体ごとに書式や運用が異なりますが、一般的に以下の点が確認されます。

  • 父親・母親それぞれの就業状況
  • 育休取得中かどうか
  • 育休終了(職場復帰)予定日

出生時育休を取得中の父親の場合、「育児休業中」として扱われるため、保育の必要性の点数(指数)に影響を与える可能性があります。

父親が育休中の場合の保育指数への影響

多くの自治体では、認可保育園の入園選考において「保育指数(点数)」を算出し、点数の高い家庭から優先的に入園を認めています。父親が育休中である場合、就労中の保護者と比べて指数が低くなる場合があります。

保護者の状況 一般的な指数の傾向
両親ともに就労中
片方が就労中・片方が育休中
両親ともに育休中 低(入園困難な場合あり)

妻が職場復帰した場合、母親は「就労中」の高い指数が適用されます。一方で父親が出生時育休中(育休中)のままであれば、父親分の指数は「育休中」として計算されます。

結果として、妻が復帰していれば「片方就労・片方育休」の扱いとなり、両親ともに育休中の状態よりも保育指数が高くなるため、入園可能性は上がると言えます。

入園申請のタイミングと注意点

出生時育休を取得中に保育園申請を行う場合、以下の点に注意してください。

① 育休終了後の就労復帰を証明する書類が必要

多くの自治体では、育休中であっても「育休終了後に職場復帰する予定である」ことを証明すれば、就労を理由とした保育の必要性が認められます。一般的に「就労証明書」や「育児休業取得証明書」の提出が必要です。

② 出生時育休終了後に通常育休へ移行する場合の申請

出生時育休(最大28日)終了後に通常の育児休業(最大1歳まで)に切り替える予定がある場合、育休全体の終了予定日(職場復帰予定日)を入園申請書に記載します。

③ 自治体ごとのルールを必ず確認する

保育園申請のルールは自治体によって大きく異なります。「育休中は申請できない」「育休終了前年度から申請できる」など運用が異なるため、居住している市区町村の保育担当窓口へ直接確認することを強く推奨します。

保育園申請のために準備すべき書類

書類名 誰が発行するか 用途
就労証明書(父親分) 父親の勤務先 出生時育休終了後の就労予定を証明
就労証明書(母親分) 母親の勤務先 職場復帰後の就労状況を証明
育児休業取得証明書 父親の勤務先または雇用保険被保険者証 育休中であることの証明
入園申請書 自治体の窓口で入手 希望施設・入園希望日等を記載
児童状況申告書 自治体の書式 子どもの状況を申告

妻が復帰する際のスケジュール管理と実務チェックリスト

育休中はスケジュールの管理がとくに重要です。妻の復帰に合わせて、父親側で確認しておくべき事項をまとめました。

妻の復帰前に確認すべき項目

□ 父親の出生時育休の終了日を確認する
出生後8週間以内・28日以内という制限があります。終了日が近い場合、通常育休への切り替え申請を事業主へ行う必要があります。

□ 通常育休への切り替えを希望する場合は申請する
出生時育休の終了後に通常育休を取得する場合、取得開始日の1か月前までに事業主へ申し出てください。

□ 保育園申請の期限を確認する
多くの自治体では、翌年4月入園の一次申請は前年10〜11月頃です。出生・育休のタイミングによっては申請期限に注意が必要です。

□ 給付金の振込先口座を確認する
事業主またはハローワークに届け出ている振込先口座が正しいか確認しましょう。

妻の復帰後に確認すべき項目

□ 父親の育休継続中の就業日数を管理する
育休中に就業する日がある場合、月ごとの就業日数・時間数が上限を超えていないか確認してください。超過すると給付金が不支給となる場合があります。

□ 保育園の入園内定後の手続きを行う
入園内定が出た場合、保育園と連絡を取りながら入園準備(慣らし保育のスケジュール確認など)を進めます。

□ 育休終了後の職場復帰手続きを確認する
育休終了日の1か月前を目安に、職場へ復帰日の連絡・業務引き継ぎの準備を始めましょう。


よくある質問と誤解への回答

出生時育休に関して多く寄せられる疑問を以下にまとめます。

Q1. 妻が産後すぐに職場復帰した場合でも出生時育休は取得できますか?

はい、取得できます。出生時育休は父親固有の権利であり、妻の就業状況を問いません。妻が産後すぐに復帰する場合でも、父親は出生後8週間以内に最大28日間の育休を取得し、給付金を受け取ることができます。

Q2. 出生時育休の給付金と、通常の育児休業給付金は同時にもらえますか?

いいえ、同時受給はできません。出生時育休給付金は出生時育休期間中に支給され、通常育休に切り替わると育児休業給付金(通常分)が支給されます。切り替えのタイミングで給付金の種類も切り替わります。

Q3. 出生時育休中に少しだけ仕事をした場合、給付金はどうなりますか?

就業日数が「休業期間の半分以下かつ10日以内」であれば、給付金は全額支給されます。ただし、就業日数が10日を超えた場合は就業時間数で判断され、就業時間が80時間以内であれば全額支給、それを超えると不支給となります。就業前に事業主へ必ず確認しましょう。

Q4. 保育園申請で父親が育休中だと不利になりますか?

自治体によりますが、一般的に育休中の保護者は就労中の保護者より保育指数が低く設定されることがあります。ただし、妻が職場復帰済みであれば「母親が就労中・父親が育休中」という状況となり、「両親ともに育休中」よりは指数が高くなるのが一般的です。居住自治体の窓口に指数の計算方法を確認することをお勧めします。

Q5. 育休中に妻が退職した場合、父親の給付金は継続されますか?

はい、継続されます。妻が退職したとしても、父親の出生時育休給付金の支給要件には影響しません。父親自身の雇用保険加入状況と育休取得状況のみで判断されます。

Q6. 申請を事業主に忘れられていた場合、自分で申請できますか?

原則として事業主経由での申請ですが、事業主が申請を行わない場合は本人申請を行うことができます。その場合はハローワークへ直接相談してください。申請期限(育休終了日の翌日から2か月以内)を過ぎると受給できなくなる可能性があるため、早めの確認が必要です。

Q7. 出生時育休給付金の申請に必要な母子健康手帳の写しは、特定のページですか?

母子健康手帳の表紙・氏名記載ページ・出生届出済証明(出生日・性別が記載されているページ)の写しが必要です。写しの提出が難しい場合は、出生届受理証明書でも代替できます。事業主またはハローワークに確認しましょう。


まとめ:出生時育休×妻復帰の重要ポイント

本記事の内容を整理します。

給付金について
– 妻が職場復帰しても、父親の出生時育休給付金は継続して受け取ることができる
– 給付金の支給要件に妻の就業状況は含まれない(法的に明確)
– 給付金額は休業前賃金日額×支給日数×67%で計算される
– 社会保険料の免除により、実質約8割の収入が確保できる

手続きについて
– 妻の復帰に伴う父親側の追加手続きは原則不要
– 給付金申請は事業主が代行し、育休終了後2か月以内に行う
– 通常育休への切り替えを希望する場合は、開始1か月前までに申請

保育園申請について
– 育休中の父親は就労中の保護者より保育指数が低くなる場合がある
– 妻が職場復帰済みであれば「片方就労・片方育休」として扱われ、指数は上がる
– 自治体によってルールが異なるため、必ず地元の窓口へ確認すること

出生時育休は2022年に新設された比較的新しい制度であり、正確な制度設計を理解していない事業主や担当者も少なくありません。権利を正確に知り、適切な手続きを進めることで、父親が安心して育休を取得できる環境を整えましょう。不明な点はハローワーク(各都道府県)または厚生労働省の相談窓口へ積極的に問い合わせることをお勧めします。


参考法令・情報源
– 育児・介護休業法(令和3年法律第58号による改正後)
– 雇用保険法第61条の7
– 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
– ハローワークインターネットサービス「育児休業給付の内容と支給申請手続き

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