育休給付金と生活福祉資金は併用できる?借入条件・手続きを解説

育休給付金と生活福祉資金は併用できる?借入条件・手続きを解説 育休給付金

育休中は収入が大幅に減るため、「給付金だけでは生活費が足りない」と感じる方は少なくありません。そのような状況で選択肢の一つとなるのが、生活福祉資金貸付制度です。しかし、「育休給付金を受け取りながら借入できるのか」「審査に影響しないか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、育休給付金と生活福祉資金の併用可能性・借入条件・申請手続きを、法的根拠を交えてわかりやすく解説します。


育休給付金と生活福祉資金の借入は「併用できる」のか?結論を先に解説

結論:育休給付金を受給しながら生活福祉資金貸付を利用することは、法律上・実務上ともに可能です。

育休給付金と生活福祉資金貸付は、管轄する法律も担当部署も異なる別制度です。両制度の間には「一方を受給・利用していると他方を受けられない」といった排斥規定(併用禁止の条項)は存在しません

比較項目 育休給付金 生活福祉資金貸付
法的根拠 雇用保険法 第61条の4 社会福祉法・厚生労働省通知
管轄 厚生労働省 職業安定局(ハローワーク) 厚生労働省 社会・援護局(社会福祉協議会)
性質 給付金(返済不要) 貸付金(返済義務あり)
申請窓口 ハローワーク(事業主経由) 市区町村社会福祉協議会
課税区分 非課税所得 非課税(貸付金)

ただし、生活福祉資金を申請する際は、育休給付金の受給状況を正直に申告する義務があります。申告した給付金が「収入」として認定され、貸付の必要性や返済能力の審査に影響する場合があるため、申請前に窓口でしっかり確認することが重要です。


そもそも「育休給付金」とは?受給条件・金額・期間の基本

育休給付金(正式名称:育児休業給付金)は、育児休業中の労働者の生活を経済的に支援するために支給される、雇用保険の給付金です。育児・介護休業法に基づいて取得した育児休業期間中に支給されます。

受給するための主な条件

育休給付金を受け取るには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

要件 内容
雇用保険の加入 育児休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日(または80時間)以上ある月が12ヶ月以上あること
育児休業の取得 育児・介護休業法に基づく育児休業であること
就業制限 育児休業期間中に就業していないこと(または就業日数が一定以下であること)
対象児童 原則として1歳未満の子(保育所に入れないなど一定の事情がある場合は最長2歳まで延長可能)

育休給付金の支給額はいくら?計算方法をわかりやすく説明

育休給付金の支給額は、育児休業開始前6ヶ月間の賃金をもとに計算した「休業開始時賃金日額」に基づいて決まります。

計算式

支給額(1支給単位期間あたり)
= 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 支給率

支給率:
・育児休業開始から6ヶ月間 → 67%
・6ヶ月経過後            → 50%

具体的な計算例

条件 計算 支給額(月額目安)
月給 30万円の場合(育休前6ヶ月平均) 30万円 ÷ 30日 × 30日 × 67% 約 201,000円(最初の6ヶ月)
同 6ヶ月経過後 30万円 × 50% 約 150,000円
月給 20万円の場合 20万円 × 67% 約 134,000円(最初の6ヶ月)
月給 20万円(6ヶ月経過後) 20万円 × 50% 約 100,000円

注意: 給付金には上限額が設けられています(2024年度:67%支給期間の上限は約310,143円/月)。また、育休中に一定日数以上就業すると支給額が減額・停止される場合があります。

育休給付金だけでは生活費が不足するケースとは?

育休給付金は従来の給与の67%(6ヶ月経過後は50%)相当であるため、収入が大幅に減少します。特に以下のような状況では、給付金だけでは家計が厳しくなりやすいです。

  • 住宅ローンや家賃が高い世帯:月15万〜20万円以上の固定費がある場合、給付金では賄いきれない
  • パートナーも育休中または求職中の世帯:世帯全体の収入が一気に下がる
  • 多子家庭:既に育児費用(保育料・習い事・食費など)がかかっている
  • 育休前の給与が低かった世帯:そもそも50〜67%では生活水準を維持できない
  • 突発的な出費が発生した場合:医療費・家電の故障・引越しなど

月給30万円の世帯でも、育休給付金は約20万円に減少するため、手取り収入で10万円近くの減少が発生します。このような状況でも、諦めずに活用できる制度が生活福祉資金貸付制度です。


生活福祉資金貸付制度の概要|対象者・資金種別・借入条件

生活福祉資金貸付制度は、経済的に困難な状況にある世帯が自立した生活を送れるよう、国(厚生労働省)の方針に基づいて都道府県・市区町村の社会福祉協議会が実施する貸付制度です。

対象となる世帯

世帯区分 内容
低所得世帯 資金の貸付とあわせて支援を受けることで自立が見込まれる世帯
障害者世帯 障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人がいる世帯
高齢者世帯 65歳以上の高齢者がいる世帯で、日常生活上療養または介護を要する方がいる世帯

育休中の世帯は、収入が一時的に減少しているため、低所得世帯として該当する可能性があります。ただし、「低所得」の基準は市区町村によって運用が異なるため、申請前に窓口で確認することが大切です。

主な資金の種別と借入条件

生活福祉資金には複数の資金種別があります。育休中の生活費不足に関連する代表的なものを紹介します。

総合支援資金

項目 内容
目的 失業などにより生活に困窮する世帯の生活費を継続的に支援
対象 収入の減少により生活が困難な低所得世帯
貸付限度額 単身世帯:月15万円以内 / 2人以上世帯:月20万円以内
貸付期間 原則12ヶ月以内(最長24ヶ月)
利子 連帯保証人あり:無利子 / なし:年1.5%
返済期間 10年以内

緊急小口資金

項目 内容
目的 緊急かつ一時的な生計維持のための小口資金
対象 緊急の資金需要がある低所得世帯
貸付限度額 10万円以内
利子 無利子
返済期間 12ヶ月以内

教育支援資金

項目 内容
目的 低所得世帯の子どもの教育費(高校・大学等)
対象 低所得世帯の学生がいる家庭
貸付限度額 高校:月3.5万円 / 大学等:月6.5万円
利子 無利子

育休中の生活費補填には、主に緊急小口資金(一時的な不足に対応)または総合支援資金(継続的な補填)の活用が検討されます。


育休給付金は生活福祉資金の審査でどう扱われる?収入認定のポイント

生活福祉資金を申請する際に多くの方が不安に思うのが、「育休給付金が収入として扱われ、審査に不利になるのでは?」という点です。

育休給付金の収入認定に関する実態

育休給付金は非課税所得ですが、生活福祉資金の審査では「生活の実態」を把握するために申告が必要です。各社会福祉協議会の運用によって扱いは若干異なりますが、一般的な考え方は以下のとおりです。

審査で確認される主な内容

生活状況調査(審査)で確認されること
├─ 育休給付金の受給状況・受給額
├─ 世帯全体の収入状況(配偶者の収入含む)
├─ 固定費・支出状況(家賃・ローンなど)
├─ 貸付の必要性(なぜお金が不足しているか)
└─ 返済能力(育休終了後の復職予定・見込み収入)

重要なポイント

  • 育休給付金は非課税ですが、生活費の一部をカバーしている収入として審査の参考情報になります
  • 給付金があっても「それでも不足している」という事実と、その具体的な理由・金額を丁寧に説明することが審査通過のカギです
  • 育休終了後に復職する見通しがあることを示せると、返済能力の証明になり審査に有利に働きます

申告漏れは絶対にNG

育休給付金の受給を隠して申請することは、虚偽申告に当たり、貸付の取り消しや一括返済請求につながる可能性があります。必ず正直に申告し、担当者に状況を詳しく説明しましょう。


申請手続きの流れ|社会福祉協議会への相談から借入まで

手続きの全体の流れ

STEP1:市区町村の社会福祉協議会に相談予約
    ↓
STEP2:相談・ヒアリング(育休給付金受給状況を含む生活状況の確認)
    ↓
STEP3:申請書類の提出
    ↓
STEP4:審査(生活状況調査・返済能力確認)
    ↓
STEP5:貸付決定通知
    ↓
STEP6:借用書の作成・契約
    ↓
STEP7:貸付金の振込(指定口座へ)

審査から振込まで、おおむね2〜4週間程度かかる場合が多いです(緊急小口資金はより早い場合あり)。

申請に必要な主な書類

以下は一般的な必要書類の例です。資金種別・自治体によって異なる場合があるため、必ず事前に確認してください。

書類 備考
申請書(所定の様式) 社会福祉協議会の窓口またはホームページから入手
本人確認書類 運転免許証・マイナンバーカードなど
収入を確認できる書類 直近の育休給付金の支給決定通知書・給与明細など
住民票(世帯全員分) 発行後3ヶ月以内のもの
預金通帳のコピー 直近2〜3ヶ月分
連帯保証人に関する書類 保証人がいる場合(印鑑証明・収入証明など)
育児休業取得証明書等 会社が発行する育児休業証明書など
返済計画に関する書類 復職予定日・予定収入などを記載した書類(書式は協議会確認)

ポイント: 育休給付金の「支給決定通知書」は必ず手元に保管しておきましょう。これが収入証明を兼ねる書類として提出を求められることがあります。

申請窓口の探し方

申請窓口はお住まいの市区町村の社会福祉協議会です。

  • 検索方法: 「〇〇市 社会福祉協議会」でWeb検索
  • 全国社会福祉協議会のサイト(https://www.shakyo.or.jp/)から各都道府県の窓口を確認可能
  • 電話やオンラインでの事前相談を受け付けている社協も増えています

育休中の家計不安を解消する他の支援制度

生活福祉資金以外にも、育休中に活用できる支援制度があります。「まず借り入れ以外の選択肢を使う」という視点も大切です。

児童手当

子どもが中学校を卒業するまで支給される手当です。2024年10月の制度改正により所得制限が撤廃されました。

子どもの年齢 支給額(月額)
0〜2歳 15,000円
3歳〜小学校修了前(第1・2子) 10,000円
3歳〜小学校修了前(第3子以降) 30,000円
中学生 10,000円
高校生年代(2024年10月〜対象拡充) 10,000円(所得制限あり)

児童手当は育休中の重要な収入源となります。市区町村に申請して、育休開始時から確実に受け取るようにしましょう。

出産育児一時金

健康保険から、子ども1人につき50万円(2023年4月〜)が支給されます。出産費用の多くをカバーできますが、既に受け取っている方がほとんどです。育休中の生活費には充てられないため注意が必要です。

住居確保給付金

離職や収入減少により家賃が払えなくなった場合に、一定期間家賃相当額を支給する制度です。育休による収入減少も対象になり得ますが、条件があるため福祉事務所(生活困窮者自立支援制度の窓口)に相談してください。

社会保険料の免除

育休期間中は、健康保険料・厚生年金保険料が免除されます(事業主負担分も含む)。手続きは事業主が行いますが、免除によって手取りが改善される点を把握しておきましょう。


生活福祉資金を借りたあと|返済のスケジュールと注意点

生活福祉資金は「貸付」であるため、必ず返済義務があります。借入前に返済計画を立てておくことが重要です。

返済開始時期と期間

資金種別 返済猶予期間 返済期間
総合支援資金 最終貸付から6ヶ月 10年以内
緊急小口資金 2ヶ月 12ヶ月以内

育休中に借り入れた場合、復職後に返済が始まるようなスケジュールになることが多いです。復職後の月収と返済額を事前に試算し、無理のない計画を立てましょう。

例えば、総合支援資金で月20万円を12ヶ月借り入れた場合、返済額は月々約2万円程度(10年返済時)となります。復職後の給与水準で対応可能かどうか、事前に確認することが大切です。

返済が困難になった場合

万が一、復職後も返済が難しい状況になった場合は、早めに社会福祉協議会に相談することが大切です。返済猶予や分割変更の相談に乗ってもらえる場合があります。放置すると延滞扱いとなり、一括返済を求められる可能性があります。


まとめ|育休給付金と生活福祉資金は正しく理解して賢く活用しよう

この記事のポイントを整理します。

  • 育休給付金と生活福祉資金の併用は、法律上・実務上ともに可能(排斥規定なし)
  • ✅ 申請時は育休給付金の受給状況を正直に申告することが必須
  • ✅ 「給付金があっても不足している具体的な理由」と「復職後の返済見通し」を丁寧に説明することで審査に有利になる
  • ✅ 申請窓口は市区町村の社会福祉協議会。早めの相談が重要
  • ✅ 生活福祉資金は「返済義務あり」のため、借入前に返済計画を立てること
  • ✅ 児童手当・住居確保給付金・社会保険料免除など、他の支援制度も組み合わせて活用することが家計安定の近道

育休中の家計不安は、制度を正しく知ることで大きく軽減できます。「自分は対象になるか」「実際にいくら借りられるか」など、具体的な疑問は、まずお住まいの社会福祉協議会に相談することをおすすめします。相談自体は無料ですので、一人で悩まず早めに窓口を頼りましょう。

多くの育休世帯が同じ不安を抱えており、制度はこうした状況を支援するために設計されています。生活福祉資金は育休中の家計を支え、育児に専念できる環境を整える大切な社会的セーフティネットなのです。


よくある質問

Q1. 育休給付金を受け取っていると、生活福祉資金の審査で落とされやすいですか?

育休給付金を受け取っていること自体が審査落ちの理由になるわけではありません。審査では「給付金を含めた世帯全体の収入で生活費が不足しているか」「返済能力があるか」が総合的に判断されます。不足している具体的な金額と理由、復職後の収入見込みを丁寧に説明することが重要です。

Q2. 生活福祉資金は、育休中の配偶者(パートナー)が申請することはできますか?

はい、世帯として申請するため、育休を取得している本人でなくても、同居の配偶者が申請者となることは可能です。ただし、世帯全体の収入・支出・返済能力が審査されます。詳細は窓口に確認してください。

Q3. 育休給付金をもらっている期間中に生活福祉資金を申請し、その後育休が終了したら返済はどうなりますか?

契約時に設定した返済スケジュールに従います。総合支援資金の場合は最終貸付から6ヶ月後、緊急小口資金は貸付から2ヶ月後に返済開始となることが多いため、復職時期と重なるよう申請時期を調整するか、窓口で返済開始時期について相談しておくとよいでしょう。

Q4. 連帯保証人がいないと生活福祉資金は借りられませんか?

連帯保証人がいなくても申請・借入は可能です。ただし、保証人なしの場合は年1.5%の利子がかかります(保証人ありの場合は無利子)。利子の負担と保証人を立てる手間を比較した上で判断しましょう。多くの申請者が保証人なしで借り入れています。

Q5. 育休給付金の支給決定通知書を紛失した場合、どうすればよいですか?

ハローワークに再発行を依頼するか、育休給付金の振込明細(通帳の記録)で代替できる場合があります。社会福祉協議会の窓口に「通知書を紛失した」と相談すれば、代替書類で対応してもらえるケースも多いです。重要な書類のため、再発行手続きを進めることをおすすめします。

Q6. 生活福祉資金以外に、育休中に利用できる公的な借入制度はありますか?

母子父子寡婦福祉資金貸付金(ひとり親世帯向け)や、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」(教育費目的)などがあります。また、各市区町村が独自に設けている緊急支援制度も存在するため、福祉事務所や社会福祉協議会に「他に使える制度はないか」と合わせて相談することをおすすめします。


免責事項: 本記事は2024年時点の情報をもとに執筆しています。制度の内容・金額・手続きは変更される場合があります。実際の申請にあたっては、必ずハローワーク・社会福祉協議会・市区町村窓口など公的機関に最新情報をご確認ください。

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