育休給付金は非課税!所得税・扶養への影響を徹底解説

育休給付金は非課税!所得税・扶養への影響を徹底解説 育休給付金

育休給付金(育児休業給付金)を受け取る際、「税金はかかるの?」「扶養に影響する?」「確定申告は必要?」といった疑問を持つ方は非常に多いです。

結論からお伝えすると、育休給付金は非課税です。所得税も住民税の課税対象にもなりません。ただし、扶養認定への影響や翌年の住民税計算など、知っておかないと損をするポイントが複数あります。

この記事では、育休給付金の非課税性の法的根拠から、所得税・住民税・扶養認定への具体的な影響、さらに混同しやすい他の給付金との違いまで、2025年最新情報をもとに徹底解説します。


目次

  1. 育休給付金は「非課税」とはどういう意味か?
  2. 育休給付金と所得税・住民税の関係を整理する
  3. 育休給付金は扶養にどう影響するか
  4. 混同しやすい「非課税給付金」との違い
  5. よくある質問(FAQ)

育休給付金は「非課税」とはどういう意味か?

「非課税」という言葉は日常的によく使われますが、正確な意味を理解している方は意外と少ないものです。まずは基本的な定義を整理し、なぜ育休給付金に税金がかからないのかを丁寧に説明します。

課税・非課税の基本的な違い

日本の所得税は、原則として「所得(収入から必要経費を差し引いた金額)」に対して課税されます。給与や事業収益はその代表例です。

一方、非課税所得とは、法律によって所得税の計算対象から除外された収入のことを指します。非課税所得は、たとえ多額であっても税金がかかりません。

具体的な違いを整理すると以下のとおりです。

区分 主な例 所得税
課税所得 給与・賞与、事業収入、副業収入 かかる
非課税所得 育休給付金、傷病手当金、通勤手当(上限あり) かからない

非課税所得は「収入がゼロ」と扱われるのではなく、「所得税の計算対象の外に置かれた収入」です。この違いが、後述する住民税や扶養判定において重要な意味を持ちます。


育休給付金が非課税とされる法律上の根拠

育休給付金が非課税とされる根拠は、所得税法第9条第1項第24号に明記されています。

「雇用保険法の規定による育児休業給付金として支給を受けるものは、所得として課税しない」

この規定により、育休給付金はそもそも「所得」としてカウントされないため、所得税が発生しません。

また、育休給付金の支給根拠は雇用保険法第61条の7(育児休業給付金)に定められており、以下の仕組みで支給されます。

  • 給付額: 育休開始から最初の180日間は休業前賃金の67%、それ以降は50%
  • 支給元: ハローワーク(公共職業安定所)
  • 支給方法: 原則2か月ごとに指定口座へ振込

【POINT】 非課税の根拠は「所得税法」という法律に明記されており、行政の裁量ではなく法律レベルで保障されています。


育休給付金と所得税・住民税の関係を整理する

非課税であることは分かっても、「住民税はどうなるの?」「確定申告はしなくていいの?」という疑問が続くのが現実です。このセクションでは税目ごとに丁寧に整理します。

所得税はかかるのか?結論と理由

結論:育休給付金に所得税はかかりません。

前述のとおり、所得税法第9条第1項第24号により、育休給付金は非課税所得として扱われます。給付金の金額がいくら高額であっても、所得税が発生することはありません。

また、育休期間中は給与の支払いがない(または大幅に減少する)ケースが多いため、源泉徴収される所得税も発生しないのが一般的です。

具体例: 育休前の月給が30万円だった場合、給付金は最初の6か月で月額約20万円(67%)。この20万円は全額非課税であり、手取りがそのまま20万円になります。


住民税への影響はどうなる?前年所得との関係

住民税については、育休給付金そのものには住民税もかかりません。しかし、住民税には「前年所得に基づいて課税される」という特性があるため、以下の点に注意が必要です。

① 育休取得年度の住民税(翌年6月に納付開始)

住民税は前年1月〜12月の所得をもとに計算されます。

たとえば、2024年4月から育休を取得した場合、2025年6月に請求が来る住民税は「2024年1月〜12月の所得」がベースです。育休前に働いていた期間の給与所得は課税対象になるため、育休中でも住民税の支払いは続きます。

育休取得タイミング 翌年の住民税への影響
年度の途中(例:4月〜)から育休 育休前の給与所得に基づく住民税が発生
年度の初め(1月)から育休 前年の給与所得に基づく住民税は発生
育休が1年以上続く場合 育休中の所得がほぼゼロなら翌々年の住民税は大幅減少

② 社会保険料との違い

育休期間中は、本人申請により健康保険料・厚生年金保険料が免除されます(健康保険法第159条、厚生年金保険法第81条の2)。ただし、住民税の免除制度はないため注意してください。

【注意】 育休中の住民税は給与からの天引きができないため、自身で納付書による支払いが必要になる場合があります。勤務先の給与担当者に事前確認しておきましょう。


確定申告は必要か?申告不要のケースと注意点

原則として、育休給付金だけを受け取っている場合、確定申告は不要です。

非課税所得は確定申告書への記載義務もなく、申告しても税額に影響しません。ただし、以下のケースでは確定申告が必要または有利になる場合があります。

確定申告が必要・有利になるケース

ケース 詳細
医療費控除を申請したい 年間の医療費が10万円を超える場合(育休中でも可)
ふるさと納税のワンストップ特例が使えない場合 6自治体以上に寄附した場合は確定申告が必要
年の途中で退職して育休に入った場合 年末調整が未実施のため、確定申告で還付が受けられる可能性がある
副業収入が20万円を超えた 副業収入は課税対象のため申告が必要
育休前の給与が高く、源泉徴収が多かった場合 年末調整で還付される場合が多いが、退職後などは自身で申告

【POINT】 育休中に副業を行っている場合、副業収入は課税所得となります。給付金とは切り離して管理しましょう。


育休給付金は扶養にどう影響するか

「育休中に夫(妻)の扶養に入れるか?」は、育休取得者から最も多く寄せられる質問のひとつです。「扶養」には健康保険上の扶養税法上の扶養の2種類があり、それぞれ判定基準が異なるため、まとめて理解することが重要です。

健康保険上の扶養と収入基準の考え方

健康保険の扶養(被扶養者)に入るためには、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)であることが基本条件です。

ここで問題になるのが、育休給付金を「収入」としてカウントするかどうかです。

結論:健康保険の扶養判定では、育休給付金は収入に含まれます。

健康保険の扶養判定における「収入」は、所得税法上の非課税・課税に関わらず、実際に受け取った金銭の合計で判断されます。育休給付金もこの「収入」に含まれるため、以下のような計算が必要です。

健康保険上の扶養に入れるかどうかの目安

月額給付金 年換算(×12か月) 扶養可否の目安
10万円未満 120万円未満 扶養に入れる可能性あり
10万8,334円以上 130万円以上 扶養に入れない
0円(無給付期間) 0円 扶養に入れる

【注意】 健康保険組合によって判定基準が異なる場合があります。必ず加入している健康保険組合または協会けんぽに確認してください。

なお、育休中は職場の健康保険に加入したまま保険料免除を受けるケースが一般的です。わざわざ配偶者の扶養に入り直す必要があるかどうかは、個別の状況に応じて検討しましょう。


税法上の扶養控除・配偶者控除への影響

税法上の扶養控除・配偶者控除の判定では、育休給付金は所得に含まれません。

所得税法では、扶養控除や配偶者控除の適用可否を「合計所得金額」で判定します。育休給付金は非課税所得であるため、合計所得金額にカウントされません

これにより、育休中に給与所得がほとんどない配偶者は、税法上の「合計所得金額」が低くなり、配偶者控除や扶養控除の対象になりやすい状況が生まれます。

配偶者控除・配偶者特別控除の適用ライン(2025年時点)

控除の種類 配偶者の合計所得金額 控除額(配偶者の所得による)
配偶者控除 48万円以下 最大38万円(納税者の所得による)
配偶者特別控除 48万円超〜133万円以下 最大38万円〜段階的に減少
対象外 133万円超 0円

育休中に給与が発生しない場合は、給付金を除いた所得がほぼゼロになるため、配偶者控除の対象となるケースが多くなります。

【具体例】 育休前の年収が400万円でも、育休期間中に給与所得がゼロ(または極めて少ない)であれば、その年の合計所得金額は低くなり、配偶者が配偶者控除を適用できる可能性があります。


育休中に扶養に入るための条件チェックリスト

以下のチェックリストで、扶養に入れるかどうかを事前に確認しましょう。

✅ 健康保険上の扶養チェック

  • [ ] 月額の育休給付金が10万8,333円以下である
  • [ ] 他に収入(副業・不動産収入など)がない、または少額である
  • [ ] 職場の健康保険を脱退できる状況にある(または保険料免除を受けていない)
  • [ ] 配偶者が加入している健康保険組合に扶養申請の意思がある

✅ 税法上の扶養チェック

  • [ ] その年の給与所得(育休給付金は除く)が48万円以下の見込みである
  • [ ] 給与所得以外の課税所得(副業・株式売却益など)も合計48万円以下である
  • [ ] 配偶者が年末調整または確定申告で配偶者控除を申請する意思がある

【POINT】 健康保険上の扶養と税法上の扶養は別々に判定されます。「税法上は扶養に入れるが、健康保険上は入れない」というケースも十分ありえます。


混同しやすい「非課税給付金」との違い

「育休給付金は非課税」と調べていると、別の「非課税給付金」の情報が混在して混乱するケースがあります。制度の違いを正確に理解しましょう。

育休給付金と非課税世帯給付

近年、政府はさまざまな「給付金」を実施してきましたが、育休給付金とは全く別の制度です。主な給付金をまとめると以下のとおりです。

給付金名 実施時期 対象者 金額 税務扱い 実施主体
育児休業給付金 継続中 雇用保険加入の育休取得者 休業前賃金の50〜67% 非課税 厚生労働省・ハローワーク
定額減税調整給付金 2024年実施 定額減税の恩恵を受けられない低所得者 不足分相当額 非課税 財務省・各市町村
低所得世帯給付金(3万円) 2023年実施済 住民税非課税世帯 3万円(加算あり) 非課税 内閣府・各市町村
均等割のみ課税世帯給付金(10万円) 2023〜2024年 均等割のみ課税の世帯 10万円 非課税 内閣府・各市町村

これらはすべて「非課税」という点は共通していますが、対象者・申請窓口・受給条件が全く異なります


「非課税世帯なのに給付金をもらえない」という疑問への回答

育休給付金について調べているうちに、「非課税世帯給付金が受け取れない」という情報に行き当たる方もいます。主な理由を整理します。

理由 詳細
制度がすでに終了している 2023年実施の3万円給付・10万円給付は申請期限が終了
申請期限を過ぎた 各市町村の申請期限(多くは2023年度末)を過ぎると受け取れない
対象世帯でない 「住民税非課税世帯」の判定には前年所得・扶養人数が関係する
育休給付金が収入カウント 健康保険の扶養判定では給付金が収入に含まれ、非課税世帯と認定されない場合がある

【重要】 「育休給付金をもらっているから非課税世帯給付金はもらえない」という直接的な連動関係はありません。ただし、前年の給与収入が高かった場合は住民税非課税世帯に該当しないため、結果的に対象外になることはあります。


育休給付金の受給手続きの基本フロー

ここで、育休給付金を受け取るための申請手続きをおさらいします。

① 育児休業開始(育休開始日の翌日から申請可能)
   ↓
② 事業主(会社)経由でハローワークに申請
   (初回申請:育児休業給付金支給申請書の提出)
   ↓
③ 必要書類の提出
   ↓
④ 2か月ごとに継続申請書を提出
   ↓
⑤ 審査完了後、指定口座に振込(申請から約2〜3週間)

初回申請に必要な書類

書類名 入手先 備考
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク・会社 会社が代行する場合が多い
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 会社が作成 賃金日額の計算に使用
育児休業取扱通知書(写し) 会社から交付 育休の取得を証明する書類
出生を証明する書類(写し) 市区町村 母子健康手帳・出生届受理証明書など
本人名義の通帳(写し) 自分で用意 振込先口座の確認

【POINT】 多くの会社では育休給付金の申請手続きを会社の給与担当者・総務担当者が代行します。育休取得が決まったら早めに担当者に連絡し、必要書類の準備を進めましょう。


給付金額の計算方法(具体例)

育休給付金の金額は、以下の計算式で算出されます。

【育休開始から180日間(約6か月)】
支給額 = 賃金日額 × 支給日数 × 67%

【181日目以降】
支給額 = 賃金日額 × 支給日数 × 50%

賃金日額は、育休開始前6か月間の給与総額を180で割った金額です。

具体的な計算例

育休前の月給が30万円(賞与なし)だった場合:

期間 計算式 月額給付金
育休開始〜180日 30万円 × 67% 約20.1万円
181日目以降 30万円 × 50% 約15万円

【POINT】 上記の給付金はすべて非課税のため、手取り額がそのまま約20.1万円・15万円になります。通常の給与なら所得税・社会保険料が天引きされますが、給付金にはそれがありません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 育休給付金は確定申告書に記載する必要がありますか?

A. 原則として記載不要です。非課税所得は課税所得の計算に含まれないため、確定申告書への記入義務もありません。ただし、医療費控除や住宅ローン控除など別の理由で確定申告を行う場合でも、育休給付金の記載は不要です。


Q2. 育休中に副業をした場合、給付金は減額されますか?

A. 育休中に就業(副業含む)した場合、一定の要件を超えると給付金が減額または支給停止になる場合があります。具体的には、1か月の就業日数が10日以下かつ就業時間が80時間以下であれば受給を継続できます。副業を検討している場合は、必ずハローワークに事前確認してください。


Q3. 育休給付金をもらっていると、配偶者の会社の家族手当に影響しますか?

A. 家族手当(家族扶養手当)の支給条件は会社ごとに異なります。税法上の扶養控除の範囲に合わせている会社もあれば、独自の収入基準を設けている会社もあります。配偶者の会社の就業規則・給与規程を確認するか、人事担当者に問い合わせることをおすすめします。


Q4. 住民税非課税世帯の判定に育休給付金は含まれますか?

A. 住民税の計算において、育休給付金は非課税所得のため合計所得金額には含まれません。ただし、「住民税非課税世帯」の判定は前年の所得をもとに行うため、育休前に働いていた期間の給与所得が一定額を超えていると、非課税世帯に該当しない場合があります。


Q5. 夫婦が同時に育休を取得した場合、それぞれ給付金を受け取れますか?

A. はい、受け取れます。2022年10月の法改正(育児・介護休業法の改正)により、産後パパ育休(出生時育児休業)が新設され、夫婦が同時または交互に育休を取得しやすくなりました。それぞれが雇用保険に加入していれば、それぞれ育休給付金を受給できます。また、育休分割取得制度も活用することで、受給期間をより柔軟に設定できます。


Q6. 育休給付金を受け取ると、翌年の住民税はどうなりますか?

A. 育休中の所得(給付金を除く)がほぼゼロの場合、翌年の住民税は大幅に減少または非課税になる可能性があります。ただし、育休取得前(同じ年の1月〜育休開始前)に給与所得があった場合は、その分が課税対象となるため、住民税が発生することがあります。育休翌年の住民税の支払い方法(特別徴収か普通徴収か)については、会社の担当者に確認しておきましょう。


まとめ:育休給付金の非課税性に関する重要ポイント

この記事でお伝えした内容を整理します。

テーマ 結論
所得税 育休給付金は非課税。所得税はかからない(所得税法第9条第1項第24号)
住民税 給付金自体は非課税だが、前年給与所得に基づく住民税は発生する
確定申告 原則不要。ただし医療費控除や年途中退職などのケースでは有利になることも
健康保険上の扶養 給付金は「収入」としてカウント。月10万8,333円以上なら扶養に入れない
税法上の扶養 給付金は「所得」に含まれない。給与所得が少なければ配偶者控除の対象になりやすい
他の給付金との違い 定額減税給付金・低所得世帯給付金とは別制度。混同に注意

育休給付金の非課税性を正しく理解することで、不要な税金の心配をせずに育休に専念できます。また、扶養認定や住民税については個別の状況により異なるため、不明点はハローワーク・社会保険労務士・職場の担当者に相談することをおすすめします。


参考法令・参考資料
– 所得税法第9条第1項第24号
– 雇用保険法第61条の7(育児休業給付金)
– 健康保険法第159条(社会保険料免除)
– 厚生年金保険法第81条の2(社会保険料免除)
– 育児・介護休業法(2022年10月改正対応)
– 厚生労働省「育児休業給付金について」(2025年版)

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