育休給付金の給付率は50%と67%どちら?段階と時期を正確解説

育休給付金の給付率は50%と67%どちら?段階と時期を正確解説 育休給付金

育休取得を検討していると、「育休給付金の給付率は50%?60%?67%?」「段階的に上がるって本当?」といった疑問を持つ方が多くいます。

インターネット上には「50%→60%→70%→80%と段階的に上がる」という情報も見受けられますが、これは育休給付金ではなく別の制度に関する情報です

この記事では、育休給付金の正しい給付率とその根拠、よく起きる制度の混同ポイント、2022年10月改正の内容を順序立てて解説します。給付金の計算方法や申請手続きまで網羅していますので、ぜひ最後まで読んでください。


育休給付金の給付率「50%・60%・70%・80%」は誤解!正しい給付率はこれ

まず最初に、よくある誤解を明確に解消しておきましょう。

「育休給付金の給付率は就業期間に応じて50%→60%→70%→80%と段階的に上がる」という情報は完全な誤りです

この情報は失業保険(雇用保険の基本手当) の給付率に関するもので、育休給付金には一切当てはまりません。育休給付金と失業保険は制度の目的・根拠法・給付元・給付率のすべてが異なります。

この混同が広まった背景には、どちらも「雇用保険」という共通の根拠法から支給される点や、「休業中の収入補償」という一見似た性質があることが挙げられます。しかし、両者は全く別の制度です。


育休給付金と失業保険(失業手当)は別制度

以下の比較表で2つの制度の違いを整理します。

比較項目 育休給付金 失業保険(基本手当)
制度の目的 育児のための就業継続支援 離職後の生活保障・再就職支援
法的根拠 雇用保険法第61条〜第67条 雇用保険法第15条〜第56条
支給元 雇用保険(ハローワーク経由) 雇用保険(ハローワーク経由)
雇用状況 在職中(育児休業中) 離職後
給付率 67%(前半6ヶ月)・50%(後半) 賃金日額に応じて45〜80%
50%→80%段階化 対象外 長期受給者に適用される場合あり
申請窓口 事業主経由→ハローワーク 本人がハローワークへ

育休給付金は「在職中」に支給される給付であり、失業状態を前提とした失業保険とは本質的に異なります。 育休中は雇用契約が継続しており、育休終了後に職場に戻ることが前提となっています。

「50%→60%→70%→80%」の段階化について補足

失業保険でも、この数値の段階化は「給付率が段階的に上がる」という意味ではなく、賃金日額の水準(低い賃金〜高い賃金)に応じて給付率が45〜80%の範囲で決まる仕組みです。賃金が低いほど給付率が高くなる逆進的な設計になっています。育休給付金とは無関係のため、混同しないよう注意してください。


育休給付金の正しい給付率:67%と50%の2段階

育休給付金の給付率は、雇用保険法第61条の2に基づき、以下の2段階で設定されています。

【育休給付金の給付率(法定)】

育休開始日
│
├─────────────────────────────────────┤
│      最初の6ヶ月(180日)           │
│      給付率:67%                    │
├─────────────────────────────────────┤
│      6ヶ月超〜最大12ヶ月まで        │
│      給付率:50%                    │
└─────────────────────────────────────┘
                                    子が1歳(原則)

この「67%」という数字の根拠は、雇用保険法第61条の2第4項に明記されており、「休業開始時賃金日額×支給日数×67/100」と規定されています。なお、6ヶ月超の50%についても同条第4項に「100分の50」と明示されています。

給付率の考え方:手取りベースで見ると実質約80%

給付率が67%と聞くと、「手取りが67%に減る」と受け取る方も多いですが、実際には社会保険料(健康保険・厚生年金)が育休中は免除されるため、手取りベースの収入はより高くなります。

通常勤務時の手取りは、額面から社会保険料(約14〜15%)と所得税を差し引いた金額です。育休中は社会保険料が免除されるため、額面ベースの67%であっても、実質的な手取り収入は通常時の約80〜85%程度になるとされています(収入水準により異なります)。


2022年10月改正で何が変わった?給付率の引き上げポイント

2022年10月1日に育児・介護休業法が改正され、育休制度に大きな変化がありました。この改正で初めて「70%」という給付率が登場したことで、混乱が生じるケースも増えています。

改正の主なポイントは以下の3点です。

  1. 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
  2. 育休の分割取得が可能に(最大2回)
  3. 産後パパ育休期間中は給付率が実質70%相当に

出生時育児休業給付金(産後パパ育休)とは

産後パパ育休(出生時育児休業)は、2022年10月1日から新設された制度で、主に父親を念頭に置いた短期集中型の育休です。

項目 内容
取得期間 子の出生後8週間以内
最大取得日数 28日間
分割取得 2回まで可能
申請期限 休業開始予定日の2週間前まで(書面等)
給付率 67%(ただし就業した場合は調整あり)
就業の可否 労使協定がある場合、一定範囲で就業可能
給付金の名称 出生時育児休業給付金
法的根拠 雇用保険法第61条の8

「70%」はどこから来るのか?

産後パパ育休中は、一定の条件下で就業が認められています。就業した場合は給付金が調整されますが、「給付金+就業による収入」の合計が休業前賃金の最大70%相当となるよう設計されています。これが「70%」という数字が出てくる文脈です。給付率そのものが70%になったわけではありません。


改正前後の給付率比較一覧

期間・制度 2022年9月以前 2022年10月以降
育休開始〜6ヶ月 67% 67%(変更なし)
6ヶ月超〜12ヶ月 50% 50%(変更なし)
産後パパ育休(28日以内) 制度なし 67%(新設)※就業時は実質最大70%
パパママ育休プラス 50%(6ヶ月超) 50%(変更なし)

重要なポイント: 2022年10月改正では、従来の育休給付金の給付率(67%・50%)自体は変更されていません。新設された「出生時育児休業給付金」が追加されたという理解が正確です。

2025年度以降の改正動向(参考情報)

2024年の法改正審議では、育休給付率の引き上げが議論されており、「育休開始後28日以内かつ両親ともに育休取得の場合、給付率を80%相当に引き上げる」方向で検討が進んでいます。ただし、これは法改正の検討段階の情報であるため、最新情報は厚生労働省の公式発表を確認してください。


育休給付金の受給条件と対象者

育休給付金を受給するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

基本的な受給要件

【育休給付金の受給要件(チェックリスト)】

✅ 雇用保険の一般被保険者であること
✅ 育児休業を取得していること
✅ 育休開始日前2年間に、
   賃金支払基礎日数が11日以上の月が
   12ヶ月以上あること
✅ 育休期間中の就業日数が
   月に10日以下(または就業時間が80時間以下)であること
✅ 育休終了後に退職予定でないこと

受給できないケース

以下に該当する場合は受給できない(または支給が停止される)ことに注意してください。

  • 育休中の就業日数が月10日超かつ就業時間が80時間超の場合
  • 育休給付金の支給対象期間が終了した後の育休
  • 継続して同一の子について育休を取得していない場合
  • 産前産後休業期間中(育休給付金ではなく出産手当金の対象)

育休給付金の計算方法と支給額の具体例

基本的な計算式

【支給額の計算式】

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率

休業開始時賃金日額 = 育休開始前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180

支給日数 = 各支給単位期間の日数(原則30日)

賃金月額の上限・下限

給付金額には、以下のような上限・下限が設定されています(2024年8月時点)。

区分 金額
賃金月額の上限 469,700円(30歳未満)/ 538,800円(30〜44歳)/ 561,300円(45〜59歳)
賃金月額の下限 71,760円
給付金の上限(67%) 305,319円/月(30歳未満の場合)
給付金の上限(50%) 227,850円/月(30歳未満の場合)

⚠️ 上限額は毎年8月1日に改定されます。最新の金額は厚生労働省またはハローワークの公式サイトでご確認ください。

具体的な計算例

【例】月収30万円の方が育休を取得した場合

① 休業開始時賃金日額の計算
   直前6ヶ月の賃金合計:300,000円 × 6ヶ月 = 1,800,000円
   賃金日額:1,800,000円 ÷ 180日 = 10,000円/日

② 育休開始〜6ヶ月(給付率67%)
   支給額:10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円/月

③ 育休6ヶ月超〜12ヶ月(給付率50%)
   支給額:10,000円 × 30日 × 50% = 150,000円/月

④ 社会保険料免除を含めた実質手取り
   通常時の手取り(概算):300,000円 - 社会保険料約45,000円 - 所得税 ≒ 約240,000円
   育休中の手取り(前半):201,000円(社保免除・所得税も原則なし)
   → 実質的には通常手取りの約83%に相当

申請手続きの流れと必要書類

育休給付金の申請は、事業主(会社)経由でハローワークに行うのが基本です。本人が直接ハローワークに行く必要は原則ありません。

申請の全体タイムライン

【育休給付金申請タイムライン】

育休開始2週間前
├─ ①事業主へ育休取得を申し出(書面または口頭)
│
育休開始後2ヶ月以内
├─ ②「育児休業給付受給資格確認票・
│     (初回)育児休業給付金支給申請書」を
│     事業主がハローワークへ提出
│     ※初回申請はまとめて行う場合が多い
│
以降:2ヶ月ごと(支給単位期間ごと)
├─ ③「育児休業給付金支給申請書」を提出
│     (事業主または本人が申請)
│
支給決定後
└─ ④指定口座に振り込み(原則申請から2週間程度)

必要書類一覧

書類名 取得先 備考
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 ハローワーク / 会社 初回のみ
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク / 会社 2回目以降
賃金台帳 会社が準備 育休前6ヶ月分
出勤簿・タイムカード 会社が準備 育休前6ヶ月分
母子健康手帳(子の出生ページ) 自身で準備 写しでも可
育児休業取得確認書類 会社が準備 休業開始・終了予定が確認できるもの
受取口座確認書類 自身で準備 通帳の写し等

初回申請のポイント

初回申請は「受給資格確認」と「初回支給申請」を同時に行います。育休開始後、まずは会社の人事担当者や総務担当者に「育休給付金の申請手続きをお願いしたい」と早めに伝えておくことが重要です。申請が遅れると、その期間の給付金が受け取れなくなる可能性があります。


育休を延長した場合の給付金はどうなる?

原則として育休給付金の支給期間は子が1歳に達するまでですが、以下の場合は延長が認められます。

延長事由 延長後の期間 給付率
保育所入所不承諾(1歳時点) 1歳〜1歳6ヶ月 50%
保育所入所不承諾(1歳6ヶ月時点) 1歳6ヶ月〜2歳 50%

注意事項:

  • 延長の申請には、市区町村発行の「保育所等利用不承諾通知書」が必要です
  • 延長期間中の給付率は一律50%です(67%には戻りません)
  • 延長は申請期限が厳格なため、1歳の誕生日2週間前までに申請書類を準備することを強く推奨します

パパの育休:パパママ育休プラスと産後パパ育休の違い

父親が育休を取得する場合、「パパママ育休プラス」と「産後パパ育休(出生時育児休業)」の2つの制度があります。

パパママ育休プラス

  • 対象:配偶者(母親)が育休を取得している場合の父親
  • 取得可能期間:子が1歳2ヶ月に達するまで(通常は1歳まで)
  • 給付率:67%(前半6ヶ月)・50%(6ヶ月超)

産後パパ育休(出生時育児休業)

  • 対象:子の出生後8週間以内の父親
  • 取得可能日数:最大28日間(2回に分割可)
  • 給付率:67%(就業なしの場合)
  • 通常育休との関係:産後パパ育休とは別に、通常の育休も取得可能
【父親の育休取得パターン例】

出生     8週         1歳    1歳2ヶ月
│        │           │        │
├────────┤           │        │
│産後パパ │           │        │
│育休    │           │        │
│(最大28日)           │        │
│        ├───────────┤────────┤
│        │ 通常育休       │
│        │(パパママ育休プラス適用)│
└────────┴───────────┴────────┘

よくある質問(FAQ)

Q1. 育休給付金は非課税ですか?

A. はい、育休給付金(育児休業給付金・出生時育児休業給付金)は所得税・住民税ともに非課税です。確定申告も不要です(他の収入がある場合は別途確認が必要です)。

Q2. パート・アルバイトでも育休給付金を受け取れますか?

A. 雇用保険に加入しており、育休開始前2年間に所定の被保険者期間(賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月以上)を満たしていれば、雇用形態を問わず受給できます。ただし、有期雇用の場合は「子が1歳6ヶ月に達する日までの間に労働契約が満了することが明らかでない」という条件も加わります。

Q3. 双子の場合、給付金は2倍になりますか?

A. 双子(多胎)の場合でも、育休給付金は1人分と同額です。ただし育休期間の延長については、多胎児であることを理由に保育所入所不承諾となるケースが多いため、延長申請は比較的通りやすい状況です。

Q4. 育休中に少しだけ仕事をした場合、給付金はどうなりますか?

A. 育休中の就業については、以下のルールが適用されます。

  • 就業日数が月10日以下かつ就業時間が80時間以下:給付金は全額支給(ただし就業収入との調整あり)
  • 就業日数が月10日超かつ就業時間が80時間超:その月は給付金が支給されません

就業収入と給付金の合計が休業前賃金の80%を超える場合は、超えた分だけ給付金が減額されます。

Q5. 育休給付金の「支給単位期間」とはどういう意味ですか?

A. 支給単位期間とは、育休給付金が支給される1回あたりの期間を指します。原則として「育休開始日から1ヶ月ごと」に区切られます。各支給単位期間の終了後に申請を行い、2週間程度で口座に振り込まれます。申請は事業主がまとめて行うことが多いため、会社の担当者と連携を取っておきましょう。

Q6. 育休給付金の受給中に配偶者が亡くなった場合はどうなりますか?

A. 育休給付金の受給要件は本人の育休取得であり、配偶者の状況は直接影響しません。引き続き育休・給付金を継続受給できます。ただし、育休の取得継続が困難になる事情が生じた場合は、会社および社会保険担当者に相談することをお勧めします。

Q7. 育休から職場復帰した後、すぐに2人目の育休を取ることはできますか?

A. 可能です。2人目の育休についても、育休開始前2年間に所定の被保険者期間(12ヶ月以上)があれば、育休給付金を受給できます。1人目の育休期間は「休業していた期間」として被保険者期間に算入できる場合があるため、詳細はハローワークに確認してください。

Q8. 育休給付金と出産手当金は同時に受け取れますか?

A. いいえ、同時受給はできません。出産手当金は産前産後休業中に支給される給付であり、育休給付金は育児休業中に支給される給付です。時系列としては、出産手当金を受け取り終えた後に育児休業に入り、育休給付金を受け取るという流れになります。


まとめ:育休給付金の給付率を正確に理解しよう

この記事の重要ポイントを整理します。

確認事項 正しい情報
給付率「50%→60%→70%→80%」の段階化 育休給付金ではなく失業保険(基本手当)の話
育休給付金の給付率 前半6ヶ月:67%、後半6ヶ月:50%
2022年10月改正での変化 産後パパ育休(出生時育児休業給付金)が新設
「70%」の出所 産後パパ育休で就業した場合の給付金+収入の合計上限
社会保険料 育休中は免除 → 実質手取りは通常時の約80〜85%
申請方法 事業主経由でハローワークへ(原則本人申請不要)

育休給付金に関して不明点がある場合は、最寄りのハローワークまたは会社の人事担当者に相談することをお勧めします。制度改正も随時行われるため、厚生労働省の公式ウェブサイトで最新情報を確認する習慣をつけておきましょう。


参考法令・公式資料

  • 雇用保険法(第61条の2・第61条の8ほか)
  • 育児・介護休業法(2022年10月改正対応版)
  • 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
  • ハローワークインターネットサービス「育児休業給付」

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