育休給付金80%いつから?段階的移行スケジュール【2025年最新版】

育休給付金が「80%に引き上げられた」というニュースを耳にしたものの、「自分はいつから対象になるの?」「条件は何?」と疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、育休給付金が80%になるのは一定の条件を満たした場合に限られており、段階的に制度が整備されてきた経緯があります。 2023年10月の改正を皮切りに、2024年4月には正式に80%給付が実現し、2025年以降はさらなる拡大も検討されています。

本記事では、育休給付金の給付率引き上げの背景・スケジュール・対象条件・計算方法を、時系列で丁寧に解説します。これから育休取得を検討している方も、企業の人事担当者の方も、ぜひ最後までお読みください。


育休給付金80%への段階的引き上げとは?制度の全体像

改正前と改正後で何が変わった?給付率の比較表

育休給付金(育児休業給付金)は、雇用保険から支給される給付金です。従来は休業開始から6ヶ月間が67%、6ヶ月以降が50%という給付率でしたが、少子化対策・男性育休の取得促進を目的とした制度改正により、特定条件下で最大80%まで引き上げられる仕組みが導入されました。

以下の表で、改正前後の違いをご確認ください。

比較項目 改正前(〜2023年9月) 改正後(2024年4月〜)
通常の給付率(0〜6ヶ月) 67% 67%(変更なし)
通常の給付率(6ヶ月以降) 50% 50%(変更なし)
出生後60日間の特例給付率 なし 80%(夫婦両取得が条件)
対象となる親 母親・父親(個別) 夫婦ともに育休取得が要件
給付の非課税扱い あり あり(変更なし)
社会保険料免除 あり あり(変更なし)

ポイント: 通常の育休給付金の67%・50%は据え置きのまま、「出生後60日間」に限定した特例として80%給付が追加された形です。「全期間が80%になる」というわけではない点に注意が必要です。


「出生後休業支援給付金」と通常の育休給付金の違い

「出生後休業支援給付金」は、80%給付を実現するために新設された仕組みです。通常の育児休業給付金と組み合わせて支給されます。

比較項目 育児休業給付金 出生後休業支援給付金
支給主体 ハローワーク(雇用保険) ハローワーク(雇用保険)
給付率 67%(前半)・50%(後半) 13%(上乗せ分)
合計給付率 67% 67% + 13% = 80%
対象期間 育休全期間 出生後60日以内の育休28日間
夫婦要件 なし あり(配偶者も育休取得が必要)
適用開始 既存制度 2024年4月1日〜

つまり「80%給付」の実態は、育児休業給付金67%+出生後休業支援給付金13%の合算です。この13%の上乗せが受けられるかどうかが、80%達成の鍵となります。

また重要なのは、出生後休業支援給付金の対象となる期間です。両親それぞれが最大28日間、合計で最大56日間(約60日)分の取得が条件となっています。この期間を消化することで、夫婦それぞれが13%の上乗せ給付を受けられます。


【早見表】2023年〜2025年以降の段階的移行スケジュール一覧

給付率の引き上げは一度に行われたわけではなく、3つのフェーズに分けて段階的に実施されました。自分がどのタイミングで育休を取得するかによって、受け取れる給付率が変わります。

時期 給付率 対象・条件 法的根拠
〜2023年9月 67%/50% 通常の育休給付金(夫婦要件なし) 旧雇用保険法
2023年10月〜2024年3月 実質60%相当 出生後60日間(試行的導入・限定適用) 改正雇用保険法(経過措置)
2024年4月〜 80% 出生後60日間・夫婦両取得が条件 改正雇用保険法 第61条の8
2025年以降 拡大検討中 通常育休への給付率引き上げも議論 今後の法改正予定

2023年10月〜:60日間限定で実質60%スタート

2023年10月は、80%給付に向けた試行的・経過措置的な段階でした。この時期は「産後パパ育休(出生時育児休業)」の活用推進とあわせて、両親で育休を分割取得した場合に上乗せ給付が検討・試行されていました。

ただし、この時期は制度設計が整備途上であったため、給付率の上乗せは限定的かつ複雑な計算となっていました。一般的には「実質60%前後」と説明されることが多く、正式な80%給付ではありませんでした。

2023年10月〜2024年3月に育休を開始した方は、遡及適用はされません。 正式な80%給付の対象となるのは、2024年4月1日以降に育休を開始した方に限られます。


2024年4月〜:出生後60日間が正式に80%へ

2024年4月1日以降、出生後休業支援給付金が正式にスタートし、条件を満たした場合に出生後60日以内の育休が実質80%給付となりました。

この時期から適用される正式なルールは以下のとおりです。

【適用条件まとめ】
– ✅ 子どもの出生日から数えて8週間(56日)以内に育休を開始していること
– ✅ 父母それぞれが28日以上の育休を取得すること
– ✅ 両親ともに雇用保険に加入した労働者であること
– ✅ 育休取得後に復職予定があること

この条件を満たすことで、父母それぞれが育休給付金67%に加えて13%の出生後休業支援給付金が上乗せされ、合計80%の給付率が実現します。

具体例: 月収30万円の方が80%給付を受けた場合、月あたりの給付金は約24万円(税引前)。通常の67%給付(約20万円)と比べて約4万円の増加となります。


2025年以降:通常育休への拡大はどうなる?

2025年以降については、通常の育児休業給付金(出生後60日を超える期間)への給付率引き上げも議論されています。ただし、2025年3月時点では以下の状況です。

検討項目 現状
6ヶ月以降の給付率(現行50%)の引き上げ 検討段階・未確定
自営業者・フリーランスへの育休給付拡大 2025年度以降に新制度創設予定
同性パートナー・事実婚への適用拡大 検討中・現行制度では対象外
育休給付金の申請手続きのデジタル化 2024年〜順次整備中

2025年4月以降の制度改正については、厚生労働省の最新情報やハローワークの案内を必ず確認するようにしてください。本記事は2025年時点の情報に基づいていますが、今後変更される可能性があります。


80%給付を受けるための対象者・条件を徹底解説

「制度は理解できたけど、自分は対象になるの?」という疑問にお答えします。80%給付を受けるためには、3つの要件をすべて満たす必要があります。

雇用保険の加入要件(2年以内に12ヶ月以上)

育児休業給付金(および出生後休業支援給付金)を受け取るには、まず雇用保険の被保険者であることが前提です。

【雇用保険の加入要件チェックリスト】

□ 育児休業開始日から遡って2年以内に、
  雇用保険の「被保険者期間」が12ヶ月以上ある
□ 1ヶ月の被保険者期間は「賃金支払いの基礎となった日数が11日以上」
  または「就労時間が80時間以上」の月をカウント
□ 複数の会社での被保険者期間は通算可能
□ 育休終了後に復職予定(離職予定がない)
□ 育休中に週3日・月80時間を超える就労がない

注意点: 産前産後休業(産休)の期間は、被保険者期間の計算に含まれます。ただし産休中は給与が支払われないケースも多いため、「産休前」の在籍期間で12ヶ月以上を満たしているかを確認してください。

雇用形態別の加入可否

雇用形態 雇用保険加入 育休給付対象
正社員 ✅ 原則加入
契約社員・派遣社員 ✅ 要件を満たせば加入 ✅(育休取得要件も別途確認)
パート・アルバイト ✅ 週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあれば加入 ✅(条件あり)
自営業・フリーランス ❌ 雇用保険加入なし ❌(現行制度では対象外)
公務員 ❌ 雇用保険非適用 ❌(別途共済制度が適用)

配偶者も育休取得が必要?夫婦要件の詳細

出生後休業支援給付金(80%給付の上乗せ13%分)を受けるためには、配偶者も育休を取得していることが条件となります。これが最も重要で、かつ誤解されやすいポイントです。

【夫婦要件の詳細】

要件項目 内容
配偶者の定義 法律上の婚姻関係にある配偶者
配偶者の育休期間 子どもの出生後8週間(56日)以内に育休を取得
取得日数 配偶者が14日以上の育休を取得していること
同時取得の要否 同時取得は不要(期間をずらしても可)
配偶者の雇用形態 雇用保険に加入した労働者であること

【取得パターンの例】

【パターンA:妻が先に取得、夫が後に取得(非同時)】
出生後〜4週:妻が育休取得(28日)
5〜7週:夫が育休取得(14日以上)
→ ✅ 両者が出生後8週以内に育休取得 → 80%給付の対象

【パターンB:夫婦で同時に取得】
出生後〜4週:夫婦同時に育休取得
→ ✅ 同時取得も対象 → 80%給付の対象

【パターンC:夫のみが育休取得(妻は産休のみ)】
妻:産後8週間は産後休業(育休ではない)
夫:出生後4週に28日の育休取得
→ ⚠️ 妻は産後休業中のため、妻分の80%給付は対象外
→ ✅ 夫の育休分は対象となる場合あり(要個別確認)

重要: 母親が産後休業(産後8週間の法定産休)を取得している期間は「育児休業」とは別扱いです。母親が産休中の場合、父親が単独で出生後休業支援給付金を受給できるかは、ハローワークへの個別確認が必要です。


注意:自営業・公務員の配偶者がいる場合は?

配偶者が自営業者・フリーランス・公務員の場合、雇用保険に加入していないため「配偶者も育休を取得した」という要件が満たせないケースがあります。

配偶者の雇用形態 80%給付(上乗せ分)の対象 通常67%給付の対象
正社員・契約社員(雇用保険加入) ✅ 対象 ✅ 対象
パート・アルバイト(雇用保険加入) ✅ 対象(条件を満たす場合) ✅ 対象
自営業・フリーランス 対象外(雇用保険未加入) ✅ 自身の給付は受けられる
公務員(共済加入) 対象外(雇用保険非適用) ✅ 自身の給付は受けられる
専業主婦・主夫 対象外(就業していない) ✅ 自身の給付は受けられる

つまり、自営業・公務員の配偶者を持つ方は、通常の育児休業給付金(最大67%)は受け取れますが、出生後休業支援給付金(上乗せの13%)は受け取れない可能性が高いです。

2025年以降の動向: 自営業・フリーランスを対象とした育休給付制度の新設が政府により検討されており、2025年度以降に整備される見通しです。詳細は厚生労働省の最新情報をご確認ください。


給付金の計算方法:80%で実際にいくらもらえる?

80%給付と聞いても「具体的にいくら受け取れるか」がわからないと、育休取得の計画が立てにくいですよね。ここでは実際の計算方法を解説します。

給付金の計算式

育休給付金の計算のベースとなる「休業開始時賃金日額」は、以下のように求めます。

休業開始時賃金日額 = 育休開始前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180日

育児休業給付金(67%分)の計算:

給付金(月額) = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

出生後休業支援給付金(上乗せ13%分)の計算:

給付金(月額) = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 13%

80%給付時の合計:

合計給付金(月額) = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 80%

給付金の上限・下限額(2024年度)

育休給付金には支給額の上限・下限が設定されています。

項目 金額(2024年度)
賃金日額の上限 15,690円(67%計算時)
賃金日額の下限 2,746円
月額上限(67%・30日換算) 314,985円
月額上限(80%・30日換算) 376,560円

毎年8月に改定されるため、最新の上限額はハローワークまたは厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。


具体的な計算例

【例:月収30万円の方が80%給付を受けた場合】

① 休業前6ヶ月の賃金総額:300,000円 × 6ヶ月 = 1,800,000円
② 賃金日額:1,800,000円 ÷ 180日 = 10,000円
③ 育休給付金(67%):10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円
④ 出生後休業支援給付金(13%):10,000円 × 30日 × 13% = 39,000円
⑤ 合計(80%):201,000円 + 39,000円 = 240,000円/月

【例:月収50万円の方(上限が適用される場合)】

① 賃金日額:500,000円 × 6ヶ月 ÷ 180日 ≒ 16,667円
  → 上限の15,690円が適用される
② 育休給付金(67%):15,690円 × 30日 × 67% ≒ 315,531円
  → 上限により約314,985円
③ 出生後休業支援給付金(13%):15,690円 × 30日 × 13% ≒ 61,191円
④ 合計(80%):約376,000円/月

非課税・社会保険料免除の恩恵:
育休給付金は所得税・住民税が非課税で、かつ社会保険料(健康保険・厚生年金)も免除されます。そのため、「実質的な手取り率」は80%を超えるケースがほとんどです。月収30万円の方が80%給付を受けた場合、手取りベースでは休業前の手取り額の8〜9割程度を確保できると試算されています。


申請方法と必要書類

申請の流れ

育休給付金の申請は、基本的に勤務先を通じてハローワークへ行います。本人が直接ハローワークに行く必要は原則ありません。

STEP1:育休取得の申し出
  └ 育休開始の1ヶ月前までに会社へ申し出(育児・介護休業法)

STEP2:会社が申請書類を準備・提出
  └ 育休開始から4ヶ月以内が初回申請期限

STEP3:ハローワークが審査・支給決定

STEP4:会社経由または本人口座へ給付金が振り込まれる
  └ 通常2ヶ月ごとにまとめて支給

STEP5:出生後休業支援給付金は別途申請が必要な場合あり
  └ 会社に確認・勤務先経由でハローワークへ申請

必要書類一覧

書類名 準備者 取得先
育児休業給付金支給申請書 会社(事業主) ハローワーク書式
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 会社(事業主) ハローワーク書式
育児休業申出書(写し) 本人 会社に提出したもの
母子健康手帳(出生届出済証明欄) 本人 市区町村交付
配偶者の育休取得証明書類 本人 配偶者の勤務先が発行
振込先口座の確認書類 本人 通帳・キャッシュカードなど

出生後休業支援給付金の申請には、配偶者の育休取得を証明する書類が追加で必要となります。具体的には「配偶者の育児休業取得証明書」や「配偶者の勤務先が発行した育休期間の証明書」などが該当します。勤務先の人事担当者や、配偶者の勤務先に早めに確認しておきましょう。


申請期限(重要)

申請種別 期限
育休給付金の初回申請 育休開始日から起算して4ヶ月後の末日まで
2回目以降の申請 2ヶ月ごとにハローワークが定める期限まで
出生後休業支援給付金 育休終了後2ヶ月以内(詳細は勤務先・ハローワークに確認)

申請が期限を過ぎると給付金を受け取れない場合があります。 勤務先の人事担当者に育休取得が決まったら早めに相談し、申請スケジュールを確認しておきましょう。


企業の人事担当者向け:育休給付金申請の実務ポイント

企業側で育休給付金の申請を担当する人事・労務の方向けに、実務上の留意点をまとめます。

【申請に向けた準備段階】

  • 従業員から育休申請を受けた段階で、雇用保険加入状況と被保険者期間を確認する
  • 配偶者の育休取得予定を確認し、出生後休業支援給付金の対象判定を事前に行う
  • ハローワークの指定様式(育児休業給付金支給申請書など)を確認し、書類準備を開始する
  • 給与計算システムから「過去6ヶ月の賃金」データを正確に抽出する仕組みを整える

【2024年4月以降の重要な変更点】

  • 出生後休業支援給付金は育児休業給付金とは別の申請手続きとなる可能性がある
  • 配偶者の育休取得を証明する書類の取集が必須となるため、従業員への事前通知が必要
  • 出生後60日間のカウント方法(暦日 vs. 勤務日)について、ハローワークに確認する

よくある質問(FAQ)

Q1. 産後パパ育休(出生時育児休業)と出生後休業支援給付金は別物ですか?

A. 産後パパ育休は育児・介護休業法に基づく休業の種類(父親が子の出生後8週間以内に取得できる育休)で、出生後休業支援給付金は雇用保険法に基づく給付金の名称です。産後パパ育休を取得することで出生後休業支援給付金の申請要件を満たしやすくなりますが、イコールではありません。取得する休業の種類と給付金の申請は別々の手続きです。


Q2. 夫婦が同時に育休を取った場合も80%給付の対象になりますか?

A. はい、対象になります。出生後休業支援給付金は夫婦の同時取得・交互取得どちらも対象です。ただし、それぞれが条件(出生後8週以内・28日以上の取得)を満たしている必要があります。


Q3. 双子の場合、対象期間は変わりますか?

A. 双子・多胎児の場合も、基本的な制度は同様です。ただし、複数の子どもそれぞれについて給付が発生するわけではなく、親1人につき1つの育休給付が適用されます。詳細はハローワークへ個別に確認することをお勧めします。


Q4. 育休中にアルバイトや副業をした場合、給付金に影響しますか?

A. 育休中の就労が「1ヶ月あたり80時間以上」または「10日を超えた」場合は、その月の給付金が減額または不支給となります。育休中の就労については、事前に勤務先・ハローワークに確認のうえ適切に申告してください。


Q5. 2023年10月〜2024年3月に育休を開始した場合、遡及して80%給付は受けられますか?

A. いいえ、遡及適用はされません。 出生後休業支援給付金(80%給付)は2024年4月1日以降に育休を開始した方が対象です。この時期に育休を取得した方は、通常の育児休業給付金(最大67%)が適用されます。


Q6. 給付金を受け取った後に離職した場合、返還は必要ですか?

A. 育休終了後に正当な理由なく離職した場合、育休給付金の返還を求められる場合があります。 育休給付金は「育休後に復職することを前提」とした給付であるため、受給後の離職については慎重に判断してください。詳細はハローワークに相談することをお勧めします。


Q7. 育休給付金は毎月支給されますか?

A. いいえ、通常は2ヶ月ごとにまとめて支給されます。例えば4月・5月の2ヶ月分が6月下旬~7月初旬に振り込まれるといった形です。ただし初回申請の承認時期によって初回支給のタイミングが異なるため、勤務先やハローワークで確認してください。


Q8. 事実婚や同性パートナーでも80%給付の対象になりますか?

A. 現行制度では、法律上の婚姻関係にある配偶者が対象です。事実婚や同性パートナーは、2025年時点の制度では対象外となっています。ただし、政府レベルで同性パートナーへの対応について検討が進められているため、今後の法改正

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