育休給付金の給付率引き上げ条件【2025年最新】段階的変更を解説

育休給付金の給付率引き上げ条件【2025年最新】段階的変更を解説 育休給付金

育児休業中の生活を支える「育児休業給付金(育休給付金)」は、2025年4月から大きく変わります。これまで一律50%だった給付率が、新たな制度のもとで段階的に引き上げられるのです。

「自分は給付率アップの対象になるのか」「実際にいくら受け取れるのか」「申請手続きは変わるのか」──こうした疑問を抱えている方のために、2025年の最新情報をもとに制度変更の全体像を丁寧に解説します。

育休取得を検討している労働者の方はもちろん、社内制度の整備を進めている人事担当者の方にも役立てていただける内容です。本記事では、給付率引き上げの段階的な仕組み、対象者・条件、具体的な計算方法、申請手続き、注意点をわかりやすく整理しました。


2025年4月から育休給付金の給付率が変わる──改正の背景と目的

時期 給付率 対象期間 主な特徴
改正前(〜2025年3月) 50% 育休全期間 一律給付、変更なし
改正後第1段階(2025年4月〜) 段階的引き上げ開始 育休取得期間による段階設定 新制度スタート、給付率が変動
改正後第2段階以降(時間未定) さらなる引き上げ予定 法改正の段階的実施に従う 最終的な給付率目標を目指す

改正前(〜2025年3月)の給付率:一律50%とは

従来の育児休業給付金は、休業開始時の賃金の50%相当額が支給される仕組みでした。「月給の半分しか出ないなら生活が厳しい」と感じる方も多いかもしれませんが、実態は少し異なります。

育休中は社会保険料(健康保険・厚生年金)の本人負担分が免除され、所得税もかかりません。そのため、手取りベースに換算すると実質約67%相当を受け取れる計算になります。これは制度を理解するうえで非常に重要なポイントです。

給付率50%時代の計算式

育休給付金(月額)= 支給対象額 × 50%

支給対象額 = 休業開始前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180日 × 30日

たとえば月給30万円の方なら、育休給付金は月15万円。社会保険料や所得税の負担がない分、手取りで比べると休業前の約67%の水準が確保される計算になります。

しかし、物価上昇や賃金水準の変化が続くなかで、50%という給付率が家計の実質的な支えとして十分かどうか、見直しを求める声が高まっていました。


改正の法的根拠:雇用保険法の2024年改正成立の経緯

2025年の給付率引き上げは、2024年に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」に基づいています。この改正は少子化対策の一環として位置づけられており、男性育休取得率の大幅な引き上げを国家目標に掲げた「こども未来戦略」とも連動しています。

改正法のポイントは育児休業給付の拡充にとどまりません。新たに創設された給付制度として、以下の2つも注目されています。

新設給付名 概要
出生後休業支援給付 子の出生直後(産後パパ育休期間)に両親ともに育休を取得した場合に、給付率を28日間に限り80%相当に引き上げる給付(2025年4月創設)
育児時短就業給付 育休終了後に時短勤務で就業する場合、賃金減少分を補填する形で新たに給付を行う制度(2025年4月創設)

これらは従来の育児休業給付金とは別立ての給付であり、組み合わせることでより手厚い所得保障が実現できます。2025年4月の改正は、育休に関連する給付制度全体を大きくアップグレードするものといえます。


給付率引き上げの対象者と条件一覧【2025年4月以降】

雇用保険の基本加入要件(全員共通)

育休給付金を受け取るには、まず雇用保険の被保険者であることが前提です。以下の要件をすべて満たしている必要があります。

① 雇用保険の加入期間

育児休業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あることが必要です。産前産後休業期間や過去の育休期間は、この2年間の計算から除外(延長)される特例があります。

② 雇用関係の継続

同一の事業主に継続して雇用されており、育児休業終了後に職場への復帰が予定されていることが条件です。解雇予定者や雇用契約の満了が確実な方は原則として対象外となります。

③ 育休中の就労制限

育休期間中に就労している日数が一支給単位期間(約1ヶ月)につき10日以下(10日を超える場合は就労時間が80時間以下)であることが必要です。

対象となる子ども

  • 原則:満1歳未満の子(実子・養子縁組を問わない)
  • 延長時:保育所等への入所ができない場合、最大で満2歳未満まで延長可能

2025年4月以降の給付率引き上げ条件

新制度における給付率の段階的引き上げは、2025年4月1日以降に育児休業を開始した方が対象です。

通常の育休給付金(育児休業給付金)の給付率

2025年4月以降も、通常の育児休業給付金の給付率は従来と同様に基本的な構造は変わりません。ただし、育休開始から180日目までと181日目以降で異なります。

育休期間 給付率
育休開始〜180日目まで 67%
181日目以降〜育休終了まで 50%

※この「67%」は2014年から適用されている制度で、従来からの仕組みです。

出生後休業支援給付による「80%相当」への引き上げ

2025年4月に新設された「出生後休業支援給付」を活用すると、産後8週間以内の育休期間において給付率が大幅に上がります。

この給付が適用されると、育児休業給付金(67%)と出生後休業支援給付(13%)が合算され、実質的な給付率が80%相当になります。社会保険料免除と合わせると、手取りベースでほぼ従前の賃金水準に相当します。

出生後休業支援給付の受給条件(両親ともに育休取得が前提)

【父親(被用者)の場合】
・子の出生後8週間以内に合計14日以上の育休を取得すること
・支給対象期間:28日間を上限

【母親(被用者)の場合】
・産後休業終了後に育休を開始していること
・子の出生後8週間(産後休業期間)終了後に育休を取得していること
・支給対象期間:28日間を上限

【共通条件】
・雇用保険の被保険者であること
・配偶者も育休を取得していること(両親同時または連続して取得)

つまり「夫婦ともに育休を取る」ことが、給付率80%相当という最大のメリットを受ける核心的な条件です。片方だけが育休を取得した場合は対象外となります。


段階的な給付率の全体像まとめ

2025年4月以降の制度を整理すると、以下のような段階構造になります。

段階 育休期間 給付の組み合わせ 実質給付率
第1段階 育休開始〜28日目(出生後8週以内) 育児休業給付金67% + 出生後休業支援給付13% 約80%相当(両親育休取得の場合)
第2段階 29日目〜180日目 育児休業給付金のみ67% 67%
第3段階 181日目以降 育児休業給付金のみ50% 50%

※「約80%相当」は社会保険料免除を考慮した手取りベースの試算です。給付金自体は給与の80%が直接振り込まれるわけではなく、複数の給付が合算される仕組みです。


給付金額の具体的な計算方法【2025年版】

支給対象額(賃金日額)の計算

給付金額の計算の基礎となる「支給対象額」は、以下の手順で求めます。

【STEP1】育休開始前6ヶ月の賃金を合算する
 例)月給30万円 × 6ヶ月 = 180万円

【STEP2】180日で割り、賃金日額を出す
 例)180万円 ÷ 180日 = 1万円(賃金日額)

【STEP3】賃金月額(支給対象額)を出す
 例)1万円 × 30日 = 30万円(支給対象額)

ボーナスや残業代は「賃金」に含まれますが、育休開始前の直近6ヶ月の平均をベースにするため、変動が大きい方は注意が必要です。


月給30万円のモデルケースで計算

【ケース①】通常の育休取得(単独)

育休期間 給付率 月額給付金
0〜180日(約6ヶ月) 67% 30万円 × 67% = 20.1万円
181日〜(6ヶ月以降) 50% 30万円 × 50% = 15万円

【ケース②】夫婦ともに育休取得(出生後休業支援給付あり)

育休期間 育休給付金 出生後休業支援給付 合計
0〜28日 30万円 × 67% = 20.1万円 30万円 × 13% = 3.9万円 24万円
29〜180日 30万円 × 67% = 20.1万円 なし 20.1万円
181日〜 30万円 × 50% = 15万円 なし 15万円

支給限度額と支給下限額

給付金には上限と下限が設定されています。2025年度の目安は以下の通りです(毎年8月に改定)。

区分 金額(月額・2025年度概算)
支給上限額(給付率67%適用時) 約310,143円
支給上限額(給付率50%適用時) 約231,450円
支給下限額 約50,352円

※上限額・下限額は「賃金日額の上限・下限」に基づいて算出されます。正確な金額はハローワークまたは厚生労働省の最新公表値でご確認ください。


申請手続き・必要書類・申請期限

申請の流れ(一般的な手順)

育休給付金の申請は、原則として事業主(会社)経由でハローワークに提出します。労働者が直接ハローワークに行く必要は通常ありません。

【STEP1】育休開始前に会社へ届出
 └ 育児休業申出書を提出(育休開始予定日の1ヶ月前までが目安)

【STEP2】会社がハローワークへ「育児休業給付受給資格確認票・
    初回支給申請書」を提出
 └ 育休開始後、最初の支給申請は育休開始から約2ヶ月後

【STEP3】2回目以降は2ヶ月ごとに支給申請
 └ 支給単位期間(約1ヶ月ごと)を2期まとめて申請するのが一般的

【STEP4】ハローワークが審査・支給決定
 └ 申請から約2週間程度で振込(会社の口座または本人口座)

必要書類一覧

初回申請時

書類名 準備者 備考
育児休業給付受給資格確認票・初回支給申請書(様式第33号の5) 会社が記載 ハローワーク所定用紙
育児休業給付金支給申請書 会社が記載
賃金台帳(直近6ヶ月分) 会社が準備 賃金日額の確認に使用
出勤簿・タイムカード 会社が準備
母子健康手帳(子の生年月日確認用) 本人が準備 コピーを提出
育児休業申出書(社内文書) 本人が作成 育休の事実確認
振込先口座情報 本人が準備 通帳またはキャッシュカードのコピー

出生後休業支援給付(2025年新設)の追加書類

書類名 備考
出生後休業支援給付金支給申請書 育休給付金と同時に申請可
配偶者の育休取得を証明する書類 配偶者の勤務先が発行する証明書など

申請期限と注意点

申請期限:育休終了日の翌日から2年以内

ただし、2ヶ月ごとの定期申請を逃すと申請漏れになる可能性があるため、会社の人事担当者と密に連携して期限を管理することが重要です。

延長申請(1歳→1歳6ヶ月→2歳)の場合

保育所等の入所ができない場合、育休の延長とあわせて給付金の延長申請も必要です。延長の申請期限は厳格に管理されており、1歳の誕生日の前日までに申請しなければなりません。

「延長申請の手続きを忘れていた」「申請書類の準備が間に合わなかった」というケースが毎年発生しています。育休延長を検討している場合は、子どもの1歳の誕生日の2〜3ヶ月前から準備を始めることをおすすめします。


育休給付金と税・社会保険の関係

育休給付金を受け取る際に見落としがちな「非課税・免除」の仕組みも確認しておきましょう。

育休給付金は非課税

育児休業給付金は所得税・住民税の課税対象外です。確定申告の際に収入として申告する必要はありません。

社会保険料(健康保険・厚生年金)は免除

育休中は健康保険・厚生年金の保険料が、本人負担分も会社負担分も全額免除されます(雇用保険料は免除されません)。

この免除によって、手取りベースの実質給付率が「名目の50%」より大幅に高くなる理由がここにあります。

種別 育休中の扱い
所得税 非課税(課税されない)
住民税 前年収入に基づき課税(翌年分から影響が出る場合あり)
健康保険料 免除(本人・事業主ともに)
厚生年金保険料 免除(本人・事業主ともに)
雇用保険料 育休中の賃金が0円のため実質0円

企業・人事担当者が押さえるべきポイント

2025年4月以降の社内手続き変更点

出生後休業支援給付の創設により、会社側の手続きも一部変更されます。人事担当者が特に注意すべきポイントをまとめます。

① 配偶者の育休取得状況の確認が必要になる

出生後休業支援給付は「両親ともに育休取得」が条件のため、申請時に配偶者(他社勤務の場合も含む)の育休取得を証明する書類を収集・確認する新たな業務が発生します。

② 申請書類の様式が更新される

2025年4月以降、ハローワークの申請様式が改訂されます。旧様式のまま申請すると受理されない場合があるため、必ずハローワークまたは厚生労働省の公式ウェブサイトから最新様式を取得してください。

③ 育休取得率の報告義務(従業員数100人超の企業)

常時雇用する労働者数が100人超の企業は、育休取得率等の状況を毎年公表することが義務化されています。2025年4月以降は、男性育休取得率の目標設定・公表の実効性が一層求められます。


2025年改正をうまく活用するための実践チェックリスト

育休取得を予定している方向けに、制度を最大限活用するための確認事項を整理しました。

【育休開始前(妊娠判明〜育休開始1〜2ヶ月前)】
□ 雇用保険の加入期間が12ヶ月以上あるか確認
□ 育休開始予定日を決め、会社に「育児休業申出書」を提出
□ 配偶者も育休取得の検討(出生後休業支援給付80%相当の対象になるか確認)
□ 保育園の申し込み状況を確認(延長申請の要否)

【育休開始後(会社とハローワークが手続き)】
□ 初回支給申請が提出されているか会社に確認(育休開始約2ヶ月後)
□ 出生後休業支援給付の申請も同時に行われているか確認
□ 2回目以降の申請スケジュールを会社の担当者と共有

【育休期間中】
□ 育休中の就労日数・時間が条件内(月10日以下等)か管理
□ 延長が必要な場合は子の1歳誕生日の2〜3ヶ月前から手続き開始
□ 育児時短就業給付の対象になるか確認(育休後に時短復帰する場合)

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よくある質問

Q1. 2025年4月より前から育休を取得している場合、給付率は上がりますか?

いいえ、原則として対象外です。出生後休業支援給付(80%相当)や育児時短就業給付は、2025年4月1日以降に育休を開始した方が対象です。2025年3月以前から育休を取得している場合は従来の給付率(67%または50%)が継続して適用されます。ただし、延長申請中の方で2025年4月以降に新たに別の育休期間が発生する場合は個別の判断が必要なため、ハローワークまたは社会保険労務士にご相談ください。


Q2. 夫婦ともに同じ会社に勤めている場合も出生後休業支援給付を受けられますか?

はい、受けられます。配偶者が同じ会社に勤めている場合でも、両者がそれぞれ育休を取得し、要件を満たしていれば対象になります。ただし、申請手続きはそれぞれの雇用保険の被保険者として個別に行います。


Q3. パートタイム・有期雇用労働者でも給付率引き上げの対象になりますか?

はい、雇用保険の被保険者であれば、雇用形態(正社員・パート・有期雇用など)にかかわらず対象です。ただし、雇用保険の加入要件(前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヶ月以上)を満たしていることが前提です。有期雇用の方は、「育休終了後も雇用関係が継続することが見込まれる」ことも要件となります。


Q4. 育休給付金の申請は自分でハローワークに行く必要がありますか?

原則として不要です。育休給付金の申請は事業主(会社)を通じて行う仕組みです。ただし、会社が申請手続きを失念している場合や、会社が申請手続きを行わない場合は、本人がハローワークに直接申請することも可能です。申請が滞っていると感じたら、早めに会社の人事担当者に確認しましょう。


Q5. 育休給付金を受け取っていた期間は、将来の年金に影響しますか?

育休中は厚生年金保険料が免除されますが、年金の計算上は保険料を納めたとみなされます(みなし納付)。そのため将来受け取る老齢厚生年金の額に不利な影響は生じません。育休中も年金加入期間は継続してカウントされます。


まとめ:2025年の育休給付金制度を正しく理解して受給漏れを防ごう

2025年4月の制度改正の核心を整理すると、以下の3点になります。

  1. 通常の育児休業給付金の給付率は従来どおり育休開始〜180日が67%、181日目以降が50%
  2. 出生後休業支援給付(新設)を活用すると、夫婦ともに育休を取得した場合に産後28日間は実質給付率約80%相当に
  3. 育児時短就業給付(新設)により、育休後に時短復帰した場合も継続的な所得補助が受けられる

特に重要なのは「夫婦ともに育休を取る」という行動が、給付率を最大化するカギになる点です。男性育休取得率を高める社会的な目標と、家庭の手取り収入を守るという個人の利益が、制度設計において一致しています。

申請手続きは会社経由が基本ですが、書類の準備・期限管理は早め早めに動くことが肝心です。不明点は最寄りのハローワークや社会保険労務士に相談することで、受給漏れや手続きミスを未然に防ぐことができます。

育休給付金の制度改正は、働く親たちの経済的な不安を減らし、子育てと仕事の両立を支援するための重要な施策です。本記事の内容を参考にしながら、2025年4月からの新制度をしっかりと活用して、育児休業期間を安心して過ごしていただきたいと思います。

法改正に関する最新情報は、厚生労働省公式ウェブサイトまたは最寄りのハローワークで必ずご確認ください。本記事は2025年4月時点の情報をもとに作成しています。

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