月途中就業で育休給付金が減額される計算方法と申請手順

月途中就業で育休給付金が減額される計算方法と申請手順 育休給付金

育休中に月の途中から職場に復帰した場合、その月の育休給付金は減額されます。「いつから・いくら減るのか」「どのように申告すれば良いのか」を正確に理解しておかないと、給付金の計算ミスや申請漏れにつながりかねません。

この記事では、月途中就業が発生した場合の給付金の減額計算式・具体的なシミュレーション・申請手続きの流れと必要書類を、育休取得者・人事担当者の両方に向けてわかりやすく解説します。


育休給付金「月途中就業」で減額されるケースとは?

育児休業給付金(以下「育休給付金」)は、育休中に就業していない期間を支援するための給付です。そのため、月の途中で職場復帰した場合や、育休中に一時的に出勤した場合は、就業日数・時間に応じて給付金が調整されます。

この「月途中就業」が発生した月は、通常の支給金額から日割り計算による減額が行われます。どのような状況が該当するかを正確に把握することが、適切な申告の第一歩です。

月途中就業とみなされる具体的なケース

月途中就業とは、育休の「支給単位期間(原則として1か月ごとに区切られた期間)」の途中から就業を開始したケースを指します。

典型的な例を挙げると次のとおりです。

ケース 具体例
月の途中で育休を終了して職場復帰 10月1日〜10月31日が支給単位期間のところ、10月16日から職場復帰
育休中の「就業可能日」に出勤 育休は継続しつつ、月に数日だけ勤務する「育休中就業」
産後パパ育休から通常育休へ移行する月 産後8週間終了後に通常の育休を開始した月
子の誕生日を含む月から育休を開始 月の途中から育休が始まり、その月だけ就業期間と育休期間が混在

とくに多いのが「10月16日から復職」のように、月の中日前後で職場復帰するケースです。この場合、10月1日〜15日が育休期間、10月16日〜31日が就業期間となり、育休期間分の給付金が日割りで計算されます。

また、育休を継続しながら会社の要請や本人希望で一時的に就業する「育休中就業(一時就労)」も同様の扱いになります。この場合は就業日数・時間の上限(月10日以内かつ80時間以下)を超えると給付金の支給資格そのものを失うため注意が必要です。

月の途中就業が発生しても給付金が0にならない理由

月途中就業の月でも、育休期間に該当する日数分については給付金が支給されます。これは、育休給付金が「育休を取得していた日数」に対して支払われるものだからです。

たとえば、10月1日〜31日のうち10月16日から復職した場合、10月1日〜15日(15日間)は育休を取得していたとみなされるため、その15日分に相当する給付金が支給されます。

ただし、後述するように給付率(67%または50%)の判定が変わる場合や、就業中に得た賃金との合算額が一定水準を超える場合は、さらに給付金が減額・不支給になることもあります。


月途中就業時の育休給付金 減額計算式と具体例

ここが本記事の核心です。月途中就業が発生した月の給付金がどのように計算されるか、計算式・図解・シミュレーションを使って丁寧に説明します。

基本の計算式(休業開始時賃金日額×支給日数×給付率)

育休給付金の基本計算式は以下のとおりです。

育休給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率

各要素の意味を整理します。

要素 内容
休業開始時賃金日額 育休開始前6か月間の賃金合計 ÷ 180日で算出
支給日数 1支給単位期間のうち「育休を取得していた日数」(月途中就業の場合は就業開始日の前日まで)
給付率 原則67%(育休開始から通算180日以内)または50%(181日目以降)

月途中就業が発生した場合、支給日数が「その月全体」ではなく「就業開始日の前日まで」になるため、給付金が減額されます。

なお、「休業開始時賃金日額」はハローワークが算定しますが、目安として自身の月収をもとに逆算することもできます。

【計算例】月収30万円の場合の賃金日額目安
月収30万円 × 6か月 ÷ 180日 = 10,000円/日

ただし、賞与・残業代は含まれないケースもあるため、実際の給付金はハローワークが算定した数値を使用してください。

給付率が67%から50%に下がる条件と閾値

給付率は一律ではなく、育休の通算日数に応じて変化します。

育休の通算取得日数 給付率
開始日〜180日目 67%
181日目以降 50%

たとえば、育休開始から180日が経過した月の途中で復職する場合は、その月の給付金に50%の給付率が適用されます。180日をまたぐ月(180日目までは67%、181日目以降は50%)については、日ごとに給付率を分けて計算するのではなく、その月の給付率は原則として「支給単位期間が開始する時点の通算日数」で判断します。

また、育休中に就業して賃金が発生している場合、賃金と給付金の合算額が「休業開始時賃金月額(日額×30日)」の80%を超える場合は、超えた分だけ給付金が減額されます。

【併給調整の計算式】
賃金額 + 給付金額 ≦ 賃金月額 × 80%

上記を超える場合:
支給給付金額 = 賃金月額 × 80% − 就業中の賃金額

ただし、これが適用されるのは主に育休中就業(一時就労)のケースです。月の途中で完全復職した場合、復職後の賃金は通常の給与として扱われ、育休給付金との合算調整は原則として行われません。

月途中就業が発生した月の支給日数の数え方

支給日数は次のルールで数えます。

支給日数 = 就業開始日の「前日」まで(支給単位期間の開始日から起算)

たとえば、支給単位期間が10月1日〜10月31日で、10月16日から職場復帰した場合:

  • 育休期間:10月1日〜10月15日(15日間)
  • 就業開始日:10月16日

この場合、支給日数は15日です。

注意点: 月の最終日まで育休を取得した場合は支給日数が「30日」(または31日・28日などその月の日数)になります。一般的に支給単位期間の日数=その月の日数であるため、月途中就業の月だけ支給日数が少なくなる仕組みです。

計算例:月収30万円・15日から復職した場合のシミュレーション

以下の条件で実際に計算してみましょう。

前提条件

項目 数値
育休前の月収(額面) 30万円
休業開始時賃金日額 10,000円(30万円×6÷180)
支給単位期間 10月1日〜10月31日(31日間)
職場復帰日 10月16日
育休通算日数(10月1日時点) 100日目(67%の給付率が適用)

Step1:支給日数を計算

10月1日〜10月15日 = 15日間

Step2:育休給付金を計算

10,000円(賃金日額)× 15日(支給日数)× 67%(給付率)
= 100,500円

Step3:上限額チェック

育休給付金には1日あたりの上限額が設定されています(2024年度の場合、67%適用時の上限は約15,430円/日)。今回の日額10,000円はこれを下回るため、上限による減額は発生しません。

最終支給額 = 100,500円

参考:通常の月(月まるごと育休の場合)との比較

ケース 計算内容 支給額
月まるごと育休(31日間) 10,000円×31日×67% 207,700円
月途中復職(15日分) 10,000円×15日×67% 100,500円
差額 −107,200円

このように、月の途中で復職すると給付金は約半分になります。復職のタイミングによって家計への影響が大きく変わるため、復職日の設定は慎重に検討することをおすすめします。


月途中就業の申告に必要な書類と提出先

月途中就業が発生した月の申請では、通常の支給申請に加えて就業状況を証明する書類が必要になります。ここでは必要書類と提出方法を整理します。

通常申請との違い|月途中就業で追加となる書類

通常の育休給付金申請との比較は以下のとおりです。

通常申請(育休中、就業なし)

書類名 提出者
育児休業給付金支給申請書 事業主経由(本人情報)
育児休業取得確認書類(初回のみ) 事業主

月途中就業が発生した月の申請(追加書類あり)

書類名 提出者 記載内容
育児休業給付金支給申請書 事業主経由 就業日数・支給日数を反映
就業状況報告書 本人または事業主 就業日・就業時間・就業による賃金額
給与明細書(当該月分) 事業主 月途中就業分の賃金確認
出勤簿またはタイムカード 事業主 就業日・時間の証明

就業状況報告書は、育休中就業(一時就労)の場合に特に重要な書類です。月の途中で完全復職した場合も、就業開始日と支給日数を正確に申告するために、出勤日の記録を事業主に準備してもらう必要があります。

就業状況報告書の書き方と記載上の注意点

就業状況報告書(ハローワーク所定様式)には次の項目を記載します。

記載項目一覧

項目 記載内容 注意点
就業日 就業した具体的な日付(例:10月16日〜31日) カレンダーと照合して正確に記載
就業時間 各日の就業時間数 月合計80時間以下か確認
就業日数 月内の就業日数 10日以下が給付金受給継続の条件
賃金額 就業による賃金の総額 見込み額ではなく確定額を記載
署名・捺印 本人または事業主 様式により異なる

記載時の注意点

  • 賃金は「税込み」で記載することが原則です。
  • 育休中就業の場合は就業日数・時間が上限(月10日・80時間)を超えていないか必ず確認してください。超えた場合はその支給単位期間の給付金が不支給になります。
  • 記載内容と給与明細・出勤簿の内容が一致していることが審査で確認されます。

申請先と提出のタイミング

項目 内容
提出先 事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
提出者 原則として事業主(会社の人事・労務担当者が代行)
提出期限 支給単位期間の末日翌日から2か月以内
振込時期 申請受理後、約2週間〜1か月程度

育休給付金の申請は本人ではなく事業主が行うのが原則です。ただし、事業主が申請を行わない場合などは、本人が「確認書」を添付してハローワークに直接申請することも可能です(雇用保険法施行規則第101条の14)。


人事担当者が押さえるべき実務ポイント

育休取得者が月途中に復職する場合、人事担当者側でも対応が必要な業務があります。ここでは企業側の実務ポイントを整理します。

復職日決定前に従業員と確認すべき事項

復職日の設定次第で給付金の支給額が大きく変わります。従業員が十分な情報を持って復職日を決められるよう、事前に以下の点を共有することが重要です。

  • 月初復職と月途中復職では給付金額が異なること
  • 給付率が67%から50%に変わる時期(育休通算180日)
  • 時短勤務を選択した場合の社会保険・給付金への影響

とくに月の途中(特に月末近く)に復職するよりも、翌月1日に復職するほうが給付金を多く受給できるケースがほとんどです。従業員から「いつ復職すれば有利か」と質問された際は、上記の計算式をもとに具体的な金額をシミュレーションして伝えると親切です。

書類準備と提出スケジュールの管理

月途中就業が発生した月の申請では、通常より多くの書類が必要です。以下のチェックリストを活用してください。

人事担当者 確認チェックリスト(月途中就業発生時)

  • [ ] 従業員の実際の復職日(就業開始日)を確認した
  • [ ] 出勤簿・タイムカードに就業開始日が正確に記録されている
  • [ ] 当月の給与明細(月途中就業分)を作成・用意した
  • [ ] 就業状況報告書を作成した(または従業員に記載依頼した)
  • [ ] 育児休業給付金支給申請書の「支給日数」欄に正しい日数を記載した
  • [ ] ハローワークへの提出期限(支給単位期間末日翌日から2か月以内)を確認した

育休中就業(一時就労)の場合の上限管理

育休を継続したまま一時的に就業する「育休中就業」では、月の就業日数・就業時間の上限管理が重要です。

上限 条件 超過した場合
就業日数 月10日以内(10日を超える場合は就業時間が80時間以内) 給付金が不支給
就業時間 月80時間以内 給付金が不支給

上限を超えた場合は、その支給単位期間(約1か月)の給付金が全額不支給になります。育休中就業の日程調整は、上限を常に意識しながら行ってください。


よくある疑問を解消するQ&A

Q1. 月の途中で復職した場合、その月分の給付金はいつ振り込まれますか?

月途中就業が発生した月分の給付金は、通常の申請と同じく申請受理後おおむね2週間〜1か月程度で振り込まれます。ただし、就業状況報告書や給与明細の確認に時間がかかる場合は、審査に通常より日数がかかることがあります。人事担当者は、書類の不備がないよう事前に確認してから申請することで、支給を早めることができます。

Q2. 月の途中で復職した場合と月初から復職した場合、どちらが給付金を多く受け取れますか?

原則として月末まで育休を取得してから翌月1日に復職した場合のほうが、その月の給付金を満額受け取ることができます。たとえば10月16日に復職すると10月分の給付金は半分程度になりますが、10月31日まで育休を取得して11月1日に復職すれば、10月分は満額支給されます。ただし、復職日は業務の引継ぎや保育園の入園状況などとのバランスを考えて決める必要があります。

Q3. 月途中で復職後、同月に再び育休を取得することはできますか?

原則として同一の育休期間中に一度復職した場合、原則として育休は終了となります。同じ子どもに対して再度育休を取得するためには、一定の要件(やむを得ない事由が生じた場合など)を満たす必要があります(雇用保険法第61条の4)。ただし、産後パパ育休(出生時育児休業)は通常の育休とは別に取得できるため、制度の組み合わせ方については事前にハローワークや社労士に相談することをおすすめします。

Q4. 時短勤務で復職した場合も月途中就業と同じ計算方法ですか?

時短勤務で月の初日から復職した場合は育休を終了したとみなされ、育休給付金は支給されません(時短勤務期間は就業しているため)。一方、育休を継続しながら月に数日だけ時短で就業する「育休中就業」の場合は、就業日数・時間の上限(月10日・80時間以内)を満たせば給付金が支給されます。なお、育児休業期間中に支払われた賃金が休業開始時賃金月額の80%以上になった場合は給付金が不支給になる点も注意が必要です。

Q5. 雇用保険に加入している派遣社員・パート労働者も同じ計算方法が適用されますか?

はい。育休給付金は雇用形態に関わらず、雇用保険に加入している方であれば同じ計算方法が適用されます。ただし、派遣社員の場合は「派遣元(派遣会社)」が申請手続きを行う点、パート労働者は賃金日額が正社員より低くなるケースが多い点に留意してください。また、雇用保険の受給要件(育休開始前2年間に被保険者期間12か月以上)を満たしているかどうかは、育休取得前に確認しておくことをおすすめします。


まとめ:月途中就業の給付金計算ポイントと対応手順

この記事の要点を最後に整理します。

月途中就業の給付金計算 3つのポイント

  1. 支給日数は「就業開始日の前日まで」で計算する
    月全体の日数ではなく、育休を取得していた実日数が支給日数になります。

  2. 給付率は育休通算日数180日を境に67%→50%に変わる
    月途中就業の月が180日をまたぐ場合でも、支給単位期間開始時点の通算日数で判断します。

  3. 就業中に得た賃金が月額の80%を超えると追加の減額が発生する
    育休中就業(一時就労)の場合は、賃金と給付金の合算額が月額賃金の80%以内に収まっているか必ず確認してください。

申請手続きの流れ(月途中就業が発生した月)

①復職日(就業開始日)を確定
  ↓
②出勤簿・タイムカードで就業日・時間を記録
  ↓
③当月の給与明細を準備(人事担当者が作成)
  ↓
④就業状況報告書に就業日・時間・賃金を記載
  ↓
⑤育児休業給付金支給申請書に正しい支給日数を記入
  ↓
⑥事業所管轄のハローワークに書類を提出
 (支給単位期間末日翌日から2か月以内)
  ↓
⑦審査後、給付金が振り込まれる

月途中就業の給付金計算は、自分で計算できるようになっておくと、復職時期を検討する際の重要な判断材料になります。「いつ復職すれば最も合理的か」という問いに答えるためにも、本記事の計算式をぜひ活用してください。

不明点がある場合は、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)または社会保険労務士に相談することをおすすめします。


参考法令・資料
– 雇用保険法 第61条の4・第61条の6・第61条の7
– 雇用保険法施行規則 第87条〜第101条の14
– 厚生労働省「育児休業給付に関する業務取扱要領」
– ハローワークインターネットサービス「育児休業給付について」

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