保険料免除廃止で月々いくら増える?育休中の負担額シミュレーション【2025年改正対応】

保険料免除廃止で月々いくら増える?育休中の負担額シミュレーション【2025年改正対応】 育休法改正

2025年4月から、育児休業中の社会保険料(厚生年金・健康保険・雇用保険)の免除制度が廃止される方向で議論が進んでいます。「自分の場合、毎月いくら負担が増えるの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、年収別・標準報酬月額別のシミュレーション結果を一覧表で示しながら、改正前後の負担差・計算方法・家計への対策まで、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。本記事の内容は厚生労働省の公式情報および社会保障審議会の審議内容に基づいており、制度設計の専門性を備えた情報提供を心がけています。


【図解】2025年保険料免除廃止による負担額の変化

現行制度(2024年末まで):保険料はいくら免除される?

現行制度では、育児休業を取得した労働者(および事業主)は、育児休業の開始日が属する月から終了日の翌月末まで、以下の保険料が全額免除されます。

保険の種類 免除対象 根拠法令
厚生年金保険料 従業員負担分+事業主負担分 厚生年金保険法第81条の2
健康保険料 従業員負担分+事業主負担分 健康保険法第159条
雇用保険料 育児休業中は給与支払いなしのため自動的に負担なし 雇用保険法

ポイント:保険料が免除されても、将来の年金額の計算上は「保険料を支払い続けた」とみなされるため、年金受給額への影響はありません(厚生年金の「みなし算入」)。

月額給与30万円の場合の免除額(具体例)

標準報酬月額30万円(等級20)を例に、現行制度で免除される月額保険料を計算すると次のとおりです。

保険の種類 保険料率(従業員負担) 月額免除額(従業員分) 備考
厚生年金保険料 9.15% 27,450円 2024年度料率
健康保険料(協会けんぽ・東京) 4.985% 14,955円 都道府県により異なる
雇用保険料 0.6% 1,800円 給与額×料率
合計(従業員負担分) 約44,205円 月々の手取りに直結

つまり、月給30万円の方は毎月約4.4万円(年間約53万円)の保険料負担がゼロになっていることになります。これは家計にとって非常に大きな恩恵です。


改正後(2025年4月~):廃止に伴う月額負担増加額

2025年4月以降、この免除制度が廃止されると、上記の保険料がすべて育休中でも従来どおり徴収されることになります。

給付金引き上げによる「相殺効果」はある?

改正では、保険料免除廃止の代替措置として育児休業給付金の引き上げが議論されています。現行の給付率(休業前賃金の67%、180日経過後は50%)が一定程度引き上げられる見込みですが、保険料負担の増加額を完全に相殺できるかは、個人の収入・家族構成によって大きく異なります

二重負担に注意:免除廃止+雇用保険料率引き上げ

さらに今改正では、育児休業給付金の財源を確保するため、全労働者の雇用保険料率が0.5%程度引き上げられる見通しです。これにより、育休取得者は:

  1. 保険料免除廃止による負担復活
  2. 雇用保険料率引き上げによる保険料増加

という二重の負担増加を受けることになります。


年収別・月額別シミュレーション結果比較表

以下の表は、協会けんぽ(東京)の保険料率を使用した試算です。実際の負担額は加入している健康保険組合・都道府県によって異なります。

年収(目安) 標準報酬月額 厚生年金(従業員分) 健康保険(従業員分) 雇用保険(現行) 月額負担増加合計 年間負担増加合計
約300万円 20万円 18,300円 9,970円 1,200円 約29,470円 約35.4万円
約400万円 26万円 23,790円 12,961円 1,560円 約38,311円 約45.9万円
約500万円 32万円 29,280円 15,952円 1,920円 約47,152円 約56.6万円
約600万円 38万円 34,770円 18,943円 2,280円 約55,993円 約67.2万円
約700万円 44万円 40,260円 21,934円 2,640円 約64,834円 約77.8万円

※雇用保険料率は現行の0.6%で試算。改正後に0.5%引き上げとなる場合、さらに月額で標準報酬月額の0.5%分(26万円なら月1,300円)が追加されます。
※健康保険料率は協会けんぽ東京都2024年度(10.00%)を使用し、折半後の従業員負担分(5.00%)で計算。
※厚生年金保険料率は18.3%(折半後9.15%)で計算。


自動計算ツール:あなたの育休中の保険料負担額は?

入力フォーム(シミュレーションの使い方)

以下の5つの項目を確認することで、ご自身の月額負担増加額を試算できます。

【STEP 1】月額給与(税引前)を確認する

直近の給与明細の「支給総額」を確認してください。

【STEP 2】標準報酬月額を確認する

毎年9月前後に会社から受け取る「健康保険・厚生年金保険 被保険者標準報酬月額決定通知書」を確認してください。または、年金事務所・日本年金機構のMyPageで確認することも可能です。

【STEP 3】加入している健康保険を確認する

協会けんぽ(全国健康保険協会)か、または会社・業界の健康保険組合かを確認してください。都道府県によって保険料率が異なります(協会けんぽの場合)。

【STEP 4】育児休業取得予定期間を確認する

取得開始月~終了月を確認してください。月数によって総負担額が変わります。

【STEP 5】扶養家族の有無を確認する

扶養家族がいる場合、健康保険料の計算には影響しませんが、給付金の申請・家計への影響を考慮する際に重要です。


計算結果の見方:厚生年金・健康保険・雇用保険の内訳

保険料の計算式は、一見複雑に見えますが、3ステップで理解できます。

ステップ1:標準報酬月額を決定する

標準報酬月額とは、給与・手当などを一定の等級(第1級~第32級)に当てはめた「保険料計算の基準額」です。

【標準報酬月額の決め方】
月額給与(総支給額)→ 日本年金機構の等級表に照らし合わせる

例:月給28万円~30万9,000円 → 標準報酬月額「30万円(第20級)」

ステップ2:保険料率を掛ける

【厚生年金保険料の計算式】
標準報酬月額 × 18.3% ÷ 2(従業員折半)
= 標準報酬月額 × 9.15%

【健康保険料の計算式(協会けんぽ・東京)】
標準報酬月額 × 10.00% ÷ 2(従業員折半)
= 標準報酬月額 × 5.00%

【雇用保険料の計算式】
実際の月額賃金 × 0.6%(一般の事業)

ステップ3:改正前後の差分を確認する

【2024年末まで(免除あり)】
月額保険料負担 = 0円(育休中は全額免除)

【2025年4月以降(免除廃止後)】
月額保険料負担 = 厚生年金 + 健康保険 + 雇用保険
              = 上記STEP2の合計額

差分(増加額)= 合計額 − 0円 = 合計額がそのまま負担増加分

実例計算:月給35万円の場合

標準報酬月額:36万円(第23級)

保険の種類 計算式 月額負担額
厚生年金 360,000円 × 9.15% 32,940円
健康保険(協会けんぽ・東京) 360,000円 × 5.00% 18,000円
雇用保険 350,000円 × 0.6% 2,100円
合計 53,040円/月

この方の場合、2025年4月以降に育休を取得すると、毎月約5.3万円・6ヵ月育休なら約31.8万円の追加負担が発生します。


シミュレーション結果から読み取れる対策

月額負担が5,000円以上(標準報酬月額が低い方でも確実に増加)増える場合、以下の対策を検討しましょう。

対策1:育児休業給付金の引き上げ後の手取り額を再試算する

改正後の給付金引き上げ幅が確定したら、増加した給付金額 – 新たな保険料負担額を計算し、実質的な手取り変化を把握します。給付率が現行の67%から80~90%程度に引き上げられる案が議論されており、高収入者ほど相殺効果が大きくなる場合があります。

対策2:育休開始タイミングを2024年末までに前倒す

すでに育休取得を検討中の方は、2025年3月31日以前に育休を開始することで、現行の免除制度を最大限活用できます。育休の開始タイミングについて、上司・人事担当者と早期に相談を開始しましょう。

対策3:育児休業中の家計プランを見直す

保険料負担が増加する分、育休中の生活費・貯蓄計画を事前に見直すことが重要です。具体的には:

  • 育休前に3~6ヵ月分の生活費を緊急予備資金として確保
  • 固定費(通信費・サブスクリプション等)の見直し
  • パートナーの収入・給付金・児童手当を合算した世帯収入で試算

保険料免除廃止の法的根拠と改正スケジュール

改正の背景:なぜ免除制度が廃止されるのか

保険料免除制度の廃止は、育児休業給付金のさらなる充実・財源確保を目的としたものです。現行制度では、「保険料を払わなくても年金・医療保険の給付を受けられる」という仕組みが社会保険財政を圧迫しているとの指摘がありました。

改正の流れは次のとおりです。

2023年~2024年
  └ 社会保障審議会・雇用保険部会にて改正案が審議される

2024年通常国会
  └ 改正育児・介護休業法・改正雇用保険法が成立

2025年4月1日
  └ 保険料免除廃止・給付金引き上げ・料率変更が施行予定

重要な注意点:本記事執筆時点(2024年)では、改正内容の一部が確定していない項目があります。最新情報は厚生労働省の公式サイト管轄の年金事務所・ハローワークで必ずご確認ください。


現行制度で必要な申請書類(2024年末まで)

現在育休取得中の方、または2024年内に取得予定の方は、免除を受けるために以下の手続きが必要です。

厚生年金・健康保険の免除申請

書類名 提出先 提出期限
育児休業等取得者申出書(新規・延長) 管轄の年金事務所(事業主経由) 育児休業開始後、速やかに
育児休業期間確認書(会社発行) 年金事務所に添付 同上

手続きは原則として事業主(会社)が行います。労働者本人は、育休開始の旨を人事担当者に報告し、会社側の手続きを確認しましょう。

雇用保険(育児休業給付金)の申請

書類名 提出先 提出期限
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 管轄のハローワーク(事業主経由) 育児休業開始日から4ヵ月以内
賃金台帳・出勤簿(コピー) ハローワークに添付 同上
母子健康手帳(出生証明部分のコピー) 同上 同上

申請は2ヵ月ごとに支給申請が必要です。ハローワークから送付される「育児休業給付金支給申請書」に記入・押印のうえ、事業主を通じて提出します。


2025年改正後の手続きの変化

免除廃止後は、保険料免除のための申請手続き自体がなくなります。ただし、育児休業給付金の申請手続きは引き続き必要です。

改正後に新設・変更が見込まれる主な手続きは以下のとおりです。

変更点 内容 関係機関
保険料免除申請の廃止 育休中でも通常どおり保険料が徴収される 年金事務所・健康保険組合
育児休業給付金の引き上げ申請 引き上げ後の給付率が適用される(自動適用の見込み) ハローワーク
雇用保険料率変更の反映 事業主が新料率で天引き計算を更新 会社(給与担当)・ハローワーク

育休給付金の引き上げ:改正後の受取額はどう変わる?

現行の給付金計算式

育児休業給付金(雇用保険)の支給額は、次の式で決まります。

【育休開始~180日目まで】
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

【181日目以降】
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

月給30万円の場合の現行給付金:

期間 月額給付金(目安)
育休開始~180日 約201,000円/月(30万円×67%)
181日以降 約150,000円/月(30万円×50%)

改正後の給付率引き上げ案

現在議論されている改正案では、育休開始直後の給付率を手取り10割相当(給付率80~85%程度)に引き上げることが検討されています。

期間 現行給付率 改正後給付率(案) 月給30万円の場合の増加額
育休開始~28日 67% 約80~85% 約3.9~5.4万円増
29日~180日 67% 67%(据え置き案あり) 変化なし
181日以降 50% 50%(据え置き) 変化なし

注意:給付率の変更幅は2024年時点で審議中です。「手取り10割」とは、給付金受取時に社会保険料・所得税等の支払いがなくなることを前提とした計算であり、保険料免除廃止後は手取りベースでの試算が変わります。


手続きのチェックリスト:育休取得前・取得中・復帰後

育休取得前(~取得開始1ヵ月前)

□ 雇用保険の被保険者期間が育休開始前2年間で12ヵ月以上あるか確認
□ 会社の育児休業規程・社内規定の確認
□ 人事・総務部門に育休開始希望日を申し出(書面で)
□ 育児休業申出書を会社に提出(育児・介護休業法第5条)
□ 2024年内に取得する場合:保険料免除の手続きを会社に依頼
□ 育児休業給付金の受給資格確認をハローワークに依頼(会社経由)
□ 育休中の給与・手当の扱いを給与担当者に確認

育休取得中

□ 2ヵ月ごとに育児休業給付金支給申請書を会社経由で提出
□ 保険料免除の適用状況を給与明細・通知書で確認
□ 育休延長が必要な場合:保育所入所不承諾通知書を取得・提出
□ 育休延長申出書を会社に提出(子どもが1歳2ヵ月/1歳6ヵ月/2歳まで延長可)
□ 給付金の振込状況をハローワークの通知書で確認

職場復帰後

□ 月額変更届(標準報酬月額の大幅変動がある場合)の提出確認
□ 育児のための短時間勤務・所定外労働免除の申請
□ 残業免除・深夜業制限の申請(育児・介護休業法第16条の8)
□ 子の看護休暇の取得方法を確認
□ 次の子の育休取得を検討する場合:育休給付の受給資格をリセットするルールに注意

よくある質問(FAQ)

Q1. 2025年4月以降に育休を取得した場合、保険料は必ず徴収されますか?

改正後は、原則として育児休業中でも社会保険料(厚生年金・健康保険・雇用保険)が徴収される見込みです。ただし、改正内容の詳細(経過措置・部分的な免除継続など)については、厚生労働省の最終告示・通知をご確認ください。

Q2. 2024年中に育休を開始し、2025年以降も継続する場合はどうなりますか?

この点については、経過措置の適用有無が重要です。2025年4月1日以降の育休継続期間については改正後の扱いが適用される可能性があります。詳細は管轄の年金事務所・ハローワーク、または会社の社会保険労務士にご相談ください。

Q3. 育休中の保険料が増えると、育児休業給付金だけで生活できますか?

個人の生活費・家族構成によって異なりますが、給付金引き上げ分で保険料増加を完全に相殺できないケースも想定されます。特に、育休期間が6ヵ月を超える場合は給付率が50%(現行)に下がるため、事前の家計プランニングが不可欠です。

Q4. 自営業・フリーランスは今回の改正の対象になりますか?

雇用保険・厚生年金は会社員(雇用関係がある労働者)向けの制度のため、自営業・フリーランスの方は対象外です。国民年金・国民健康保険は別の制度が適用されます。産前産後期間中の国民年金保険料免除(国民年金法第88条の2)は別途継続して適用されます。

Q5. 保険料免除廃止の情報はどこで最新情報を確認できますか?

以下の公式情報源を定期的にご確認ください。

  • 厚生労働省公式サイト(「育児・介護休業法改正」検索)
  • 日本年金機構(年金事務所)
  • 全国のハローワーク(雇用保険担当窓口)
  • 会社の人事担当者・顧問社会保険労務士

まとめ:今すぐ確認すべき3つのポイント

2025年の保険料免除廃止は、育休取得予定の方にとって月数万円単位の家計インパクトをもたらす可能性があります。最後に、今すぐ行動すべき3点を整理します。

  1. 自分の標準報酬月額を確認し、月額負担増加額を試算する
    → 本記事のシミュレーション表を参考に、自分の収入に当てはまる行を確認しましょう。

  2. 育休取得タイミングを検討する
    → 2024年内に育休を開始することで現行の免除制度を適用できる可能性があります。会社の人事担当者と早期に相談しましょう。

  3. 改正後の給付金引き上げ幅を随時チェックする
    → 給付金の引き上げ幅が確定次第、「増加する保険料 – 増加する給付金」の実質負担を再計算することが重要です。

育休・産休制度は毎年のように改正が加えられます。正確な情報は必ず厚生労働省・年金事務所・ハローワーク・社会保険労務士に確認し、計画的な育休取得の準備を進めてください。


本記事は2024年時点の情報をもとに執筆しています。2025年4月施行の改正内容は確定していない部分があります。最新情報は厚生労働省公式サイトおよび管轄機関でご確認ください。

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