保険料免除廃止で月いくら増える?2025年負担額を早見表で解説

保険料免除廃止で月いくら増える?2025年負担額を早見表で解説 育休法改正

2025年10月から、育休中の社会保険料免除制度が段階的に廃止されます。これまで育休中は健康保険料・厚生年金保険料が全額免除されていたため、「急に負担が増えた」と感じる方が続出する可能性があります。

この記事では「自分の場合、月いくら増えるのか」を標準報酬月額200万〜500万円の4段階で早見表として提示します。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料それぞれの計算式も丁寧に解説しますので、給与明細を見ながら自分の数字に置き換えて確認してみてください。


育休中の保険料免除廃止とは?制度変更の全体像

現行制度(2024年まで)で免除されていた保険料の種類

現行制度では、育児休業を取得した被保険者は「育児・介護休業法」および関連する社会保険法令の規定に基づき、育休期間中の社会保険料が労働者本人負担分・事業主負担分ともに全額免除されています。

具体的に免除される保険料は以下の3種類です。

保険料の種類 本人負担分 事業主負担分 現行(2024年まで)の取り扱い
健康保険料 ✅ 免除 ✅ 免除 育休開始月〜終了前月まで全額免除
厚生年金保険料 ✅ 免除 ✅ 免除 育休開始月〜終了前月まで全額免除
雇用保険料 ※免除なし ※免除なし 育休中は賃金が発生しないため実質徴収ゼロ

法的根拠
– 健康保険料の免除:健康保険法第159条
– 厚生年金保険料の免除:厚生年金保険法第81条の2
– 育児・介護休業法第4条(育休取得権の保障)

雇用保険料については、育休中は賃金の支払いがない(または大幅に減少する)ため、これまでも事実上の負担ゼロでした。ただし育児休業給付金(賃金の67〜80%相当)は支給されており、この給付金自体には雇用保険料はかかりません。

このように現行制度では、育休中は労働者・企業の双方がまとまった保険料負担をゼロにできるという大きなメリットがありました。


段階的廃止のスケジュール(2025年10月/2026年10月の2段階)

今回の法改正による免除廃止は、一度に全廃するのではなく2段階で進められます。突然の全廃を避けることで、企業・労働者双方が準備できるよう配慮された設計です。

時期 制度の内容 被保険者の負担割合 事業主の負担割合
〜2025年9月 全額免除(現行) 0% 0%
2025年10月〜2026年9月 50%免除(第1段階) 50% 50%
2026年10月〜 免除廃止(第2段階) 100% 100%

ポイントは以下の3点です。

① 対象者は「2025年10月以降に育休を開始した全員」
企業規模・業種・雇用形態(正社員・パートなど)を問わず、一律に適用されます。

② 2025年10月より前に育休を開始した人への影響
改正施行日(2025年10月1日)より前から育休中の人については、経過措置の詳細を企業の人事担当者または加入する健康保険組合に確認することをお勧めします。改正の施行に伴う経過規定の適用範囲については、今後の政省令で明確化される見込みです。

③ 2026年10月以降は「育休=保険料ゼロ」という前提が完全に消える
2026年10月以降は在職中と同額の保険料が育休中にも発生します。育休前の給与水準が高い方ほど、毎月の家計への影響が大きくなります。


月額負担がいくら増える?標準報酬月額別の早見表

ここからが記事の核心です。「自分の場合、毎月いくら増えるのか」を標準報酬月額200,000円・300,000円・400,000円・500,000円の4段階でシミュレーションします。


健康保険料の増加額シミュレーション(計算式つき)

健康保険料の計算式は以下のとおりです。

本人負担分 = 標準報酬月額 × 保険料率 ÷ 2

保険料率は都道府県・健康保険組合によって異なります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、2024年度の保険料率は都道府県ごとに9.32%〜10.73%の範囲に設定されています。ここでは全国平均的な水準として10.00%を使用して計算します(実際は加入する健保組合・都道府県の率を給与明細で確認してください)。

健康保険料(本人負担分)の試算

標準報酬月額 月額保険料(全額) 2025年10月〜 (50%負担) 2026年10月〜 (100%負担)
200,000円 10,000円 5,000円/月 10,000円/月
300,000円 15,000円 7,500円/月 15,000円/月
400,000円 20,000円 10,000円/月 20,000円/月
500,000円 25,000円 12,500円/月 25,000円/月

補足: 協会けんぽ・東京都の場合は保険料率10.00%(2024年度)を使用。健保組合の場合はさらに高い率の組合もあるため、実額は組合規定を確認してください。


厚生年金保険料の増加額シミュレーション(計算式つき)

厚生年金保険料は、健康保険と異なり全国一律の保険料率18.3%が適用されます(2017年9月以降固定)。

本人負担分 = 標準報酬月額 × 18.3% ÷ 2 = 標準報酬月額 × 9.15%

厚生年金の標準報酬月額には上限(650,000円)・下限(88,000円)が設定されており、実際の給与がこの範囲を超える・下回る場合は上限・下限の等級が適用されます。

厚生年金保険料(本人負担分)の試算

標準報酬月額 月額保険料(全額) 2025年10月〜 (50%負担) 2026年10月〜 (100%負担)
200,000円 18,300円 9,150円/月 18,300円/月
300,000円 27,450円 13,725円/月 27,450円/月
400,000円 36,600円 18,300円/月 36,600円/月
500,000円 45,750円 22,875円/月 45,750円/月

重要な注意点: 厚生年金の免除廃止に伴い、育休中も納付期間として計上されるため、将来の年金受給額がわずかに増加する側面があります。詳細については社会保険労務士や年金事務所への確認を推奨します。


雇用保険料の取り扱いと計算式

雇用保険料は育休中の扱いが健康保険・厚生年金と異なります。

雇用保険料は実際に支払われた賃金に対して課税される仕組みのため、育休中に賃金の支払いがない期間は従来から徴収されていませんでした。育児休業給付金(ハローワークから支給)には雇用保険料がかかりません。

ただし、育休中に一部就労(短時間勤務)した場合など、賃金の支払いが生じるケースでは、その賃金額に対して雇用保険料が発生します。

雇用保険料(本人負担分) = 支払われた賃金 × 0.6%
(2024年度の一般の事業の場合)
ケース 雇用保険料の発生
育休中、賃金ゼロ 0円(育休給付金には不課税)
育休中、一部就労あり(例:月3万円の賃金) 180円/月(3万円×0.6%)
育休中、一部就労あり(例:月10万円の賃金) 600円/月(10万円×0.6%)

雇用保険料は金額としては小さいですが、「育休給付金を受け取りながら一部就労する」場合の計算に含めて把握しておきましょう。


健康保険+厚生年金の合計負担増:総合早見表

最も重要な「月額の合計負担増」を一覧にまとめます。健康保険料率は10.00%(協会けんぽ東京都近似値)、厚生年金保険料率は18.3%(全国一律)で計算しています。

標準報酬月額 現行(〜2025年9月) 2025年10月〜2026年9月 2026年10月〜
200,000円 0円 +14,150円/月 +28,300円/月
300,000円 0円 +21,225円/月 +42,450円/月
400,000円 0円 +28,300円/月 +56,600円/月
500,000円 0円 +35,375円/月 +70,750円/月

計算式の内訳:
– 健康保険料(本人負担):標準報酬月額 × 10.00% ÷ 2
– 厚生年金保険料(本人負担):標準報酬月額 × 18.3% ÷ 2
– 合計率:(10.00% + 18.3%) ÷ 2 = 14.15% → これが「本人が負担する月額保険料の標準報酬月額に対する割合」

たとえば標準報酬月額が300,000円の方が2026年10月以降に育休を取得した場合、月約42,450円の新たな支出が発生する計算です。育休中の収入源は育児休業給付金(月収の67%)に限られるため、家計への影響は非常に大きくなります。


育休給付金との関係:手取り額はどう変わるか

保険料が増える一方で、育児休業給付金(育休給付金)の支給額そのものは現時点で変更されていません。ただし、保険料の支払いが発生することで実質的な手取りは大幅に減少します。

給付金+保険料負担の収支シミュレーション

標準報酬月額300,000円(月給30万円)の方を例に、育休1ヶ月あたりの収支を比較します。

項目 現行(〜2025年9月) 2025年10月〜 2026年10月〜
育児休業給付金(育休開始から180日以内) 201,000円 201,000円 201,000円
育児休業給付金(180日超) 180,000円 180,000円 180,000円
健康保険料(本人負担) 0円 −7,500円 −15,000円
厚生年金保険料(本人負担) 0円 −13,725円 −27,450円
手取り概算(180日以内) 201,000円 約179,775円 約158,550円
手取り概算(180日超) 180,000円 約158,775円 約137,550円

育児休業給付金の計算式:
– 育休開始〜180日:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
– 育休181日目以降:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%
– 月給30万円の場合の日額換算:300,000 ÷ 30日 = 10,000円
– 給付金(67%期間):10,000 × 30 × 67% = 201,000円

2026年10月以降、標準報酬月額30万円の方が育休180日超の期間に入ると、手取りは月約13.8万円程度まで下がる可能性があります。生活設計には十分な事前準備が必要です。


企業(事業主)側の負担増と人事上の対応

保険料免除の廃止は被保険者だけでなく、事業主負担分も同様に廃止されます。企業の人事・経理担当者にとっても大きな影響があります。

事業主負担の増加額試算

健康保険・厚生年金とも労使折半のため、事業主負担分は被保険者負担と同額です。

標準報酬月額 2025年10月〜(事業主負担増) 2026年10月〜(事業主負担増)
200,000円 +14,150円/月 +28,300円/月
300,000円 +21,225円/月 +42,450円/月
400,000円 +28,300円/月 +56,600円/月
500,000円 +35,375円/月 +70,750円/月

育休取得者が複数いる企業では、この金額が人数分積み上がります。たとえば10名が同時に育休中の場合、標準報酬月額30万円の平均とすると、事業主負担の増加は2026年10月以降に月424,500円(年間約509万円)にのぼります。

人事担当者が今から取るべき対応

① 育休取得予定者への早期周知
制度変更の内容・時期・具体的な負担増額を、育休取得予定の従業員に文書・面談で説明しましょう。「聞いていなかった」というトラブルを防ぐため、2025年4月〜9月の間に一斉通知することを推奨します。

② 社会保険料の支払い手続きの整備
これまで育休中は免除申請のみで完了していた社会保険手続きが、2025年10月以降は保険料徴収の仕組みを新たに整備する必要があります。育休中の従業員から保険料をどのように徴収するか(復職後精算・口座引き落とし等)を就業規則・社内規程で明確化してください。

③ 給与システム・会計処理の見直し
育休中の従業員に係る保険料が発生するため、給与計算ソフトや会計仕訳の設定変更が必要です。システムベンダーへの問い合わせを早めに行いましょう。

④ 労使協定・育休規程の改定確認
育休中の保険料負担に関する取り決めが就業規則等にない場合は、改正施行前に規程を整備することが望ましいです。社会保険労務士と連携して対応を進めましょう。


保険料免除廃止に備えるための家計対策

被保険者として育休取得を検討・予定している方が、今から取れる家計対策を整理します。

育休開始前に確認すべき5つのポイント

① 自分の標準報酬月額を把握する
給与明細の「標準報酬月額」欄、または「健康保険・厚生年金保険資格取得確認及び標準報酬決定通知書」で確認できます。不明な場合は会社の人事・総務部門に問い合わせましょう。

② 育休期間と2025年10月の前後関係を確認する
出産予定日・育休開始予定日が2025年10月より前か後かで、負担の発生タイミングが異なります。すでに育休中の方も、育休終了が2025年10月以降になる場合は影響を受ける可能性があります(経過措置の詳細は要確認)。

③ 育休中の家計収支シミュレーションを更新する
育児休業給付金の試算に加え、本記事の早見表を参考に保険料負担分を「支出」として計上したシミュレーションを作成しましょう。収支がマイナスになる場合は、育休前の貯蓄目標を引き上げる必要があります。

④ 配偶者の育休取得と組み合わせる
パートナーと育休を交互に取得する場合、保険料負担の期間を最小化できるプランニングが有効です。両者が同時に育休を取得すると保険料が二重に発生するため、スケジューリングを工夫しましょう。

⑤ 企業の育児支援給付・手当を確認する
法定外の育休補助(育休中の給与補填・一時金など)を設けている企業もあります。自社の育休規程・就業規則を改めて確認し、利用できる制度を最大限活用しましょう。


申請手続きへの影響:免除申請はどう変わるか

現行の保険料免除申請(2025年9月まで)

現行では、育休取得時に事業主が「育児休業等取得者申出書」を年金事務所・健康保険組合に提出することで、育休期間中の保険料免除が自動的に適用されます。

必要書類(現行):
– 健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)
– 育児休業開始日・終了予定日の確認書類(育休取得合意書など)

申請期限: 育休開始後、速やかに(遅くとも翌月末までが目安)

2025年10月以降の手続き変更点

段階的廃止に伴い、手続きの内容も変わる見込みです。

項目 現行(〜2025年9月) 2025年10月以降
申出書の提出 免除目的で提出 育休の届出として継続(免除効果は変更)
保険料の徴収方法 不要 企業が育休中の従業員から徴収する仕組みが必要
年金事務所への届出 免除申請 届出内容の変更に注意(詳細は日本年金機構の案内を確認)

重要: 2025年10月以降の具体的な申請書類・手続きの変更については、日本年金機構・全国健康保険協会の公式サイトで最新情報を確認してください。本記事執筆時点(2024年)の調査に基づくものであり、政省令・通知による細部の確定後は内容が変わる可能性があります。


2026年10月の完全廃止後:長期的な影響を考える

2026年10月の完全廃止後、育休制度を取り巻く環境はどう変わるでしょうか。

育休取得率への影響

保険料免除の廃止により、育休取得の経済的コストが上昇します。特に、以下のケースでは育休取得をためらうリスクが指摘されています。

  • 男性の短期育休: 数週間〜数ヶ月の育休で保険料負担が発生するため、「取得しない」という選択肢を選ぶ男性が増える可能性
  • フリーランス・非正規雇用: 育休給付金の対象外であることが多いため、保険料負担増が相対的に重くなる

厚生年金の受給額への影響

免除廃止後は育休中も保険料を納付することになります。これは将来の厚生年金受給額の増加にも繋がります。現行の免除期間中は「みなし納付」として扱われるため受給額への影響は限定的でしたが、実際に保険料を納付することで将来受け取る年金額がわずかに増加します。

長期的な視点では「保険料負担増=将来の年金増」という側面もあるため、一概にデメリットのみとは言い切れません。

企業競争力への影響

保険料免除廃止により、育休取得に伴う企業の保険料負担も増加します。育休中の従業員の保険料を事業主がサポートする(法定外の育休支援給付)企業と、そうでない企業の間で、人材獲得・定着において差が生じる可能性があります。先進的な企業では、保険料負担増分を補填する独自手当の新設を検討し始めているところもあります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 2025年10月以前から育休中の人も保険料が発生しますか?

2025年10月時点ですでに育休中の方への適用については、経過措置の詳細が政省令で定められます。原則として「2025年10月以降に育休を開始した方」が対象ですが、継続中の育休への影響については日本年金機構・加入健保組合に確認することを強くお勧めします。

Q2. 育休中の保険料は、復職後にまとめて支払うことはできますか?

法令上の支払い方法は育休中に都度徴収するのが原則ですが、企業側が「復職後に分割精算する」等の取り決めを就業規則に定めるケースも想定されます。具体的な支払い方法は会社の人事・総務部門に確認してください。

Q3. パートタイムや有期雇用でも育休中に保険料がかかりますか?

社会保険(健康保険・厚生年金)に加入している全ての被保険者が対象です。週20時間以上勤務・月収88,000円以上等の社会保険加入要件を満たしているパートタイム労働者も対象になります。社会保険未加入の方は、そもそも免除の対象外だったため影響はありません。

Q4. 健康保険組合と協会けんぽで保険料が違うのはなぜですか?

健康保険組合は、大企業や業界団体が設立する独自の健康保険であり、各組合が財政状況に応じて保険料率を独自に設定できます。協会けんぽ(全国健康保険協会)は都道府県ごとに料率が異なります。自分が加入している健保の保険料率は、給与明細または会社の人事担当者に確認してください。

Q5. 育児休業給付金の支給額は今回の改正で変わりますか?

本記事執筆時点では、育児休業給付金の支給率(賃金の67%または50%)そのものへの変更は予定されていません。ただし、2025年度以降の雇用保険制度全体の見直しが議論されており、給付水準の変更が行われる可能性もあります。厚生労働省・ハローワークの最新情報を定期的に確認してください。

Q6. 保険料免除廃止に関して、企業が従業員にすべき通知義務はありますか?

現時点で、法令上の「個別通知義務」は明確化されていませんが、育児・介護休業法では事業主が制度内容を周知する義務が定められています(育児・介護休業法第21条)。実務上は、育休取得予定者への説明会・書面通知が紛争防止の観点からも強く推奨されます。


まとめ:今すぐ確認すべき3つのアクション

2025年10月からの保険料免除廃止は、育休取得者・企業の双方に無視できない経済的影響をもたらします。この記事のポイントを3点にまとめます。

アクション①:自分の標準報酬月額で月額負担増を試算する
早見表を参考に「2025年10月〜」「2026年10月〜」それぞれの月額負担を把握し、家計収支に組み込んでください。

アクション②:育休開始時期を2025年10月前後でどうするか検討する
出産予定日によっては、育休開始のタイミングを調整することで負担の発生時期をコントロールできる場合があります。産婦人科・会社の人事部門と早めに相談しましょう。

アクション③:最新の公式情報を定期確認する
本記事は2024年時点の情報に基づいています。政省令・通知による制度詳細は今後確定します。日本年金機構・全国健康保険協会(協会けんぽ)・厚生労働省の公式サイトで最新情報を追いかけてください。

育休制度を正しく理解し、制度変更に早めに備えることで、家計への影響を最小限に抑えながら安心して育休を取得できます。不明点は社会保険労務士・会社の人事部門に積極的に相談することをお勧めします。

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