育休給付金を受け取る際、「振込手数料はかかるの?」「どの銀行口座を指定すればいい?」という疑問を持つ方は少なくありません。手数料の負担が不明なまま申請を進めると、思わぬ出費が生じる可能性もあります。
この記事では、育休給付金(育児休業給付金)の振込手数料の負担先・口座選択の条件・金融機関別の対応状況・口座変更の手続き方法まで、2025年の最新情報をもとに徹底解説します。育休中に安心して給付金を受け取るために、申請前に押さえておくべきポイントをまとめました。
育休給付金の振込手数料は「誰が」負担するのか?結論を先に解説
結論から述べると、受給者(育休取得者)が振込手数料を負担することは、原則としてありません。
育休給付金は「雇用保険制度」に基づく給付金であり、振込にかかる費用は制度上の運営コストとして処理されます。受給者の口座に振り込まれる金額から手数料が差し引かれるような仕組みにはなっていないため、給付金が目減りすることはないのが基本です。
この原則は、厚生労働省通知(基発第0822001号「育児休業給付金の振込に関する取扱い」)でも明示されており、2024年の改正通知においても振込方法の効率化が強調されながら、受給者負担ゼロの原則は変わりません。
受給者の手数料負担は原則なし:制度の仕組み
育休給付金の振込には、次のような流れがあります。
ハローワーク(公共職業安定所)
↓
審査・支給決定
↓
事業主(会社)の口座へ振込
↓
会社経由で受給者(従業員)の口座へ振込
ポイント: ハローワークから直接受給者の口座へ振り込まれるわけではなく、いったん事業主(会社)を経由して振り込まれるのが通常の流れです(※一部のハローワークでは本人口座への直接振込も可)。
いずれの場合も、振込に伴う手数料は事業主または国(雇用保険財源)が負担する扱いになっており、受給者が手数料を支払う義務はありません。
例外的に手数料が発生するケース
原則は「手数料ゼロ」ですが、以下のような特殊な状況では例外的にコストが生じる場合があります。
| ケース | 内容 | 対処法 |
|---|---|---|
| 海外の金融機関口座 | 国内制度のため海外口座は原則指定不可。国際送金が発生した場合は別途手数料が生じる可能性あり | 帰国後に国内口座を開設して指定し直す |
| 事業主が自社で振込処理をする際の手数料 | 会社が他行宛に振り込む場合、会社側に他行振込手数料が発生することがある(受給者負担ではなく事業主負担) | 会社と相談し、可能であれば同行口座を指定する |
| 口座変更手続きに伴う実費 | 通帳の再発行や新口座開設時に金融機関所定の手数料が発生する場合がある | 手数料無料の口座・ネット銀行を活用する |
| 非対応の金融機関 | ハローワークや事業主が対応していない金融機関を指定した場合、振込不可となる | 対応金融機関の口座を新たに開設する |
育休給付金を受け取れる口座の条件と選べる金融機関の種類
育休給付金を受け取る口座を選ぶ際には、すべての金融機関・口座種別が使えるわけではありません。制度で定められた「3つの必須条件」を満たす必要があります。
利用できる口座の3つの必須条件(チェックリスト付き)
申請前に、以下のチェックリストで自分の口座が対象か確認しましょう。
| 条件 | 内容 | ✅ OK例 | ❌ NG例 |
|---|---|---|---|
| ① 日本国内の口座 | 日本の金融機関が提供する口座であること | 国内銀行・ゆうちょ・ネット銀行など | 海外銀行の口座・外国に本拠を置く金融機関 |
| ② 本人名義の口座 | 受給者(育休取得者本人)の名義であること | 自分名義の普通預金口座 | 配偶者・親・子ども名義の口座 |
| ③ 対応する口座種別 | 普通預金・当座預金・貯蓄預金口座であること | 普通預金口座(最も一般的) | 証券口座・外貨預金口座・定期預金専用口座 |
注意: 未成年者が受給する場合に限り、法定代理人(親権者など)名義の口座を使用できる例外があります。
口座指定の際によくある NG パターン
- 夫(妻)名義の口座を「家族共用だから」と指定してしまう
- 子どもの名義で開設したゆうちょ口座を指定しようとする
- 証券総合口座に付帯するMRF口座を指定しようとする
上記はいずれも受け付けられません。必ず本人名義の普通預金口座を用意してください。
銀行・ゆうちょ・ネット銀行は使える?金融機関別の対応状況
育休給付金は、以下のような幅広い金融機関の口座で受け取ることができます。
| 金融機関の種類 | 対応可否 | 主な例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| メガバンク | ✅ 対応 | 三菱UFJ・三井住友・みずほ | 安定性◎、全国ATM網あり |
| 地方銀行・第二地方銀行 | ✅ 対応 | 各都道府県の地方銀行 | 地域によっては会社と同行で利便性あり |
| ゆうちょ銀行(郵便局) | ✅ 対応 | ゆうちょ銀行 | 全国郵便局でATM利用可、通帳への記帳も容易 |
| 信用金庫・信用組合 | ✅ 対応 | 各地の信金・信組 | 地域密着型。事業主と同じ金融機関が多い場合あり |
| ネット銀行 | ✅ 対応(多くの場合) | 楽天銀行・PayPay銀行・住信SBIネット銀行など | 振込手数料無料サービスあり。ただし事業主が個別確認要 |
| 外国銀行(国内支店) | ⚠️ 要確認 | シティバンク等 | 日本国内の口座であれば原則OK。ただし要事前確認 |
| 海外の銀行 | ❌ 不可 | — | 国内制度のため国内口座のみ |
ゆうちょ銀行の注意点: ゆうちょ銀行の口座番号は「記号番号」形式になっています。申請書に記載する際は「店名・口座番号(7桁)」形式への変換が必要です。通帳やゆうちょ銀行のWebサイトで確認できます。
手数料をゼロにするための口座選択の実践的ポイント
「原則として手数料負担はない」とはいえ、口座を選ぶ際に一工夫することで受け取り後のATM手数料や残高管理のストレスを最小化できます。
会社の給与振込口座と同じ口座を使う
多くの場合、育休給付金は事業主(会社)の口座を経由して受給者に振り込まれます。そのため、給与振込に使っている口座と同じ口座を育休給付金の受取口座に指定すると、会社側の同行振込となり、事業主の手数料負担も軽減されます。
会社と給与口座について、事前にどの銀行を利用しているか確認しておくとスムーズです。
ネット銀行を活用して管理コストをゼロに近づける
育休中は収入が育休給付金のみになることも多く、口座維持手数料がかかる金融機関は避けることをおすすめします。
| ネット銀行の特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 口座維持手数料 | 多くのネット銀行で無料 |
| 他行への振込手数料 | 月数回まで無料のサービスあり |
| ATM手数料 | コンビニATM利用で月数回無料のサービスあり |
| 申請の利便性 | インターネットで残高・明細確認が容易 |
育休中の家計管理に使うサブ口座として、ネット銀行を新規開設して育休給付金専用口座にする方法も有効です。
ゆうちょ銀行を選ぶメリット・デメリット
メリット
– 全国約2万4千局の郵便局でATM利用が可能
– ATM手数料が平日・土曜日の一定時間帯は無料
– 通帳への記帳管理がしやすい
– 育休中の在宅期間でも近隣の郵便局でアクセス可能
デメリット
– 口座番号の記号番号形式から銀行コード形式への変換が必要
– インターネットバンキングは別途登録が必要
– 振込手数料は条件によって異なる
育休給付金の振込口座を変更したいときの手続き方法
育休期間中に金融機関を変えたい、口座を解約してしまった、などの理由で振込口座を変更したい場合も、所定の手続きを行えば対応可能です。
口座変更手続きの基本的な流れ
① 新しい口座の開設(未開設の場合)
↓
② 「振込口座指定(変更)申請書」の入手
↓ ハローワーク窓口 または 厚生労働省HPからダウンロード
③ 申請書への記入
↓ 新しい口座の金融機関名・支店名・口座番号・口座種別を記載
④ 通帳のコピーを添付
↓ 金融機関名・支店名・口座番号・本人名義が確認できる箇所
⑤ 事業主(会社)を通じてハローワークへ提出
↓
⑥ 次回支給分から新しい口座へ振込
口座変更の際に必要な書類
| 書類 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 振込口座指定(変更)申請書 | ハローワーク所定の様式 | 事業主の記名・押印(または署名)が必要な場合あり |
| 新しい口座の通帳コピー | 金融機関名・支店名・口座番号・名義人が確認できるページ | キャッシュカードのコピーは不可の場合あり |
| 本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカード等 | ハローワークの窓口対応の場合は提示 |
重要: 口座変更の手続きが支給決定後・振込処理開始後のタイミングと重なると、旧口座への振込が1回分発生する可能性があります。変更はできるだけ早めに行い、事業主・ハローワークに速やかに連絡することが大切です。
口座変更のよくある失敗と回避策
失敗① 旧口座を解約してから変更申請した
→ 振込先がなくなり、給付金の支払いが一時停止されることがあります。変更申請が完了してから旧口座を解約するようにしましょう。
失敗② 変更申請中に支給日が来てしまった
→ 変更が間に合わない場合は、旧口座は解約せずそのまま維持し、入金確認後に改めて変更手続きを進めましょう。
失敗③ 申請書の口座番号を間違えた
→ 振込エラーとなり、給付金の受取が遅延します。申請書の記入後は必ず通帳と照合してください。
育休給付金の支給額・支給スケジュールの基本
口座選択と合わせて押さえておきたい、給付金額と支給タイミングについても確認しておきましょう。
給付金の計算方法
育休給付金の支給額は、休業開始時の賃金日額をベースに計算されます。
| 期間 | 支給率 | 計算式 |
|---|---|---|
| 育休開始から180日間(6ヶ月) | 67% | 賃金日額 × 67% × 支給日数 |
| 育休開始から181日目以降 | 50% | 賃金日額 × 50% × 支給日数 |
賃金日額の算出方法: 育休開始前6ヶ月間の賃金(通勤手当等を含む)を180で割った金額が賃金日額となります。
計算例:月給30万円の場合
賃金日額 = 300,000円 × 6ヶ月 ÷ 180日 = 10,000円
開始から6ヶ月間の給付額(1ヶ月あたり) ≈ 10,000円 × 67% × 30日 = 201,000円
開始から6ヶ月超後の給付額(1ヶ月あたり) ≈ 10,000円 × 50% × 30日 = 150,000円
上限額(2025年度): 支給上限は賃金日額の上限が設けられており、概算で最大月額約310,143円(180日以内)・約231,450円(181日以降)となります(毎年8月に改定)。正確な金額はハローワークに確認してください。
支給のスケジュール(2ヶ月ごと)
育休給付金は2ヶ月ごとに申請・支給が行われます。
| 支給単位期間 | 申請期限 | 振込タイミング(目安) |
|---|---|---|
| 第1・2支給単位期間 | 育休開始日から約4ヶ月後 | 申請から2〜4週間後 |
| 第3・4支給単位期間 | 2ヶ月ごとに事業主経由で申請 | 申請から2〜4週間後 |
| 以降 | 2ヶ月ごとに継続申請 | 同上 |
初回入金は育休開始から約2〜3ヶ月後になる場合が多いため、育休開始直後は手元資金を確保しておくことが重要です。
申請に必要な書類の全リスト
育休給付金の申請(初回)には、以下の書類が必要です。口座選択に関連する書類も含めて整理します。
| 書類名 | 様式番号 | 入手先 | 振込口座との関係 |
|---|---|---|---|
| 育児休業給付受給資格確認票 | HB-1 | ハローワーク・厚労省HP | 受給資格の確認に使用 |
| 育児休業給付金支給申請書 | HB-4 | ハローワーク・厚労省HP | 振込口座を記載する主要書類 |
| 振込口座指定申請書 | 所定様式 | ハローワーク | 初回申請時に口座情報を届け出る |
| 雇用保険被保険者証 | — | 会社が保管 | 被保険者番号の確認 |
| 母子健康手帳(コピー) | — | 本人 | 出生日・続柄の確認 |
| 口座通帳のコピー | — | 本人 | 振込先口座の確認 |
| 本人確認書類 | — | 本人 | 運転免許証・マイナンバーカード等 |
申請の代行: 育休給付金の申請は原則として事業主(会社)がハローワークに行います。受給者本人が書類を用意し、会社に提出するのが一般的な流れです。会社によって手続きのサポート体制が異なるため、人事・総務担当者に早めに確認しましょう。
給付金を確実に受け取るための口座管理チェックリスト
育休中に給付金を確実・スムーズに受け取るために、以下のポイントを育休前に確認しておきましょう。
育休前の準備チェックリスト
- [ ] 受取口座が本人名義の日本国内口座であることを確認した
- [ ] 口座種別が普通預金・当座預金・貯蓄預金のいずれかであることを確認した
- [ ] 通帳のコピー(金融機関名・支店名・口座番号が確認できるページ)を用意した
- [ ] ゆうちょ銀行の場合、記号番号から振込用の口座番号(店名・7桁口座番号)への変換を確認した
- [ ] 会社の給与振込口座との関係(同行・他行)を確認した
- [ ] 育休期間中に口座を解約・変更する予定がある場合は事前に手続き計画を立てた
- [ ] 初回振込まで(育休開始から約2〜3ヶ月)の生活資金を確保した
育休中の定期確認事項
- [ ] 2ヶ月ごとの支給申請が事業主経由で適切に行われているか確認している
- [ ] 振込予定日前後に口座の入金を確認している
- [ ] 振込がない場合は、会社の人事担当者またはハローワークに速やかに問い合わせている
よくある質問(FAQ)
Q1. ゆうちょ銀行(郵便局)の口座でも育休給付金を受け取れますか?
はい、受け取れます。ただし、申請書に記載する際は「記号番号(ゆうちょ形式)」ではなく、「銀行コード形式の口座番号(店名+7桁口座番号)」を使用する必要があります。通帳の見返しページやゆうちょ銀行の公式サイト「振込用口座番号の確認」ページで変換できます。
Q2. 夫の口座に振り込んでもらうことはできますか?
原則としてできません。育休給付金の振込口座は受給者(育休取得者本人)名義の口座である必要があります。ただし、育休取得者が未成年の場合、法定代理人名義の口座が認められる例外があります。
Q3. 育休中に口座を解約した場合はどうなりますか?
振込先がなくなった場合、ハローワークから事業主・本人に連絡が入り、支払いが一時保留になります。新しい口座を開設し、速やかに振込口座変更手続きを行ってください。給付金は遡って受け取れますが、手続きに時間がかかると受取が大幅に遅延します。
Q4. ネット銀行(楽天銀行・PayPay銀行など)は使えますか?
多くのネット銀行は対応しています。ただし、事業主(会社)が振込処理をする際にネット銀行への振込に非対応の場合があるため、事前に会社の人事・総務担当者に確認することをおすすめします。本人からハローワークに直接申請する方式の場合は、金融機関コード(銀行コード)が登録されていれば問題ありません。
Q5. 育休給付金はいつ、いくら振り込まれますか?
支給は2ヶ月ごとに行われ、初回振込は育休開始から約2〜3ヶ月後が目安です。金額は「育休開始から180日間(約6ヶ月)は休業前賃金の67%、181日目以降は50%」が目安です。上限額は毎年8月に改定され、2025年度は67%適用期間で月額約310,143円が上限となります(賃金日額上限に基づく)。正確な額はハローワーク、または会社の人事担当者に確認してください。
Q6. 振込手数料が口座から引き落とされた場合、どうすればいいですか?
原則として受給者側に振込手数料が発生することはありません。もし給付金から手数料が引かれているような事実が確認された場合は、会社の人事・総務担当者に内容を確認し、必要に応じてハローワークに問い合わせることをおすすめします。制度の仕組み上、受給者負担は想定されていません。
Q7. 育休給付金の申請を自分でハローワークに行ってすることはできますか?
通常は事業主(会社)が申請を代行します。ただし、会社が倒産した場合や、事業主が手続きをしてくれない場合など特別な事情がある場合は、受給者本人がハローワークに直接申請できます。詳細はお近くのハローワークにお問い合わせください。
まとめ
この記事の重要ポイントを振り返りましょう。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 手数料負担 | 受給者は原則ゼロ。制度運営コスト・事業主負担が基本 |
| 口座の必須条件 | ①国内口座 ②本人名義 ③普通/当座/貯蓄預金 |
| 使える金融機関 | メガバンク・地銀・ゆうちょ・信金・ネット銀行など幅広く対応 |
| おすすめ口座選択 | 給与振込口座と同行 or 維持手数料無料のネット銀行 |
| 口座変更 | 変更申請書+通帳コピーをハローワークへ。解約前に手続き完了を |
| 支給スケジュール | 2ヶ月ごとの申請・初回振込は育休開始から2〜3ヶ月後 |
育休給付金を安心して受け取るためには、申請前に口座の条件を確認し、変更が必要な場合は早めに手続きを進めることが大切です。不明な点はお近くのハローワーク(公共職業安定所)に相談することをおすすめします。
育休期間の家計設計をしっかり進めるためにも、本記事で紹介した口座選択のポイント、手続きの流れを参考に、受け取り準備をスムーズに進めてください。
関連法令・参考情報
– 雇用保険法 第61条〜第67条(育児休業給付の規定)
– 雇用保険法施行規則 第110条〜第120条(支給方法・手続き)
– 育児・介護休業法 第2条・第5条(育児休業の定義)
– 厚生労働省通知「育児休業給付金の振込に関する取扱い」(基発第0822001号)
– ハローワークインターネットサービス(最新の申請書様式・案内)

