有給休暇は就業日数に含まれない!育休給付金「月20日超」判定の完全ガイド

有給休暇は就業日数に含まれない!育休給付金「月20日超」判定の完全ガイド 育休給付金

育休給付金を受給中に「有給休暇を使ったら給付金が止まってしまうのでは?」と不安を感じている方は多いはずです。結論からお伝えすると、有給休暇の取得日は「就業日数」に含まれません。したがって、育休中に有給休暇を使っても、原則として給付金の支給対象外判定には影響しないのです。

しかし、この制度を正しく理解していないと、申請書類の記載ミスや、実出勤日数の管理誤りによって、本来もらえるはずの給付金を受け取り損ねるリスクがあります。

本記事では、厚生労働省の通達およびハローワークの実務運用に基づいて、育休給付金における「月20日超の就業」判定のメカニズムと、有給休暇の正しい扱いを法的根拠から実例まで徹底的に解説します。育休取得中の方も、これから育休を検討している方も、ぜひ最後までお読みください。


育休給付金の「月20日超就業」とは?基本ルール

育休給付金とは

育休給付金(正式名称:育児休業給付金)は、雇用保険の被保険者が育児休業を取得した際に支給される所得補償制度です。育休中は給与が出ないか大幅に減額されるケースがほとんどであるため、雇用保険から生活費を補う形で支給されます。

支給額は、育休開始から最初の180日間は休業開始前賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。子が満2歳に達するまでの間、原則として支給対象となります。

「月20日超就業」による支給対象外の仕組み

育休給付金は「育児休業中」であることが大前提です。そのため、育休中に就業(労務提供)を行った日数が1支給単位期間内に20日を超えた場合は、その期間の給付金は支給されません。

法的根拠:雇用保険法第61条の4(育児休業給付金の支給要件)

育児休業給付金は、被保険者が育児休業を取得し、当該休業期間中に就業した日数が各支給単位期間において一定の基準を下回っていることを支給要件の一つとしています。ハローワーク通達に基づく実務運用では、「支給単位期間内に就業日数が20日を超える場合は支給対象外」とされています。

「20日」の起算方法

支給単位期間は、育休開始日を起点として1ヶ月ごとに区切られます。カレンダー上の月(1月1日〜1月31日)とは異なり、例えば育休開始日が1月10日であれば、1月10日〜2月9日が1支給単位期間となります。

この1支給単位期間内に実際に就業(労務提供)した日数が20日を超えると、その期間の給付金は全額不支給となります。ただし、有給休暇を取得した日はこの「就業日数」に含まれない点が最大のポイントです。


有給休暇は「就業日数に含まれない」が正解

ハローワーク通達が示す原則

育休給付金の運用において、有給休暇の取得日は就業日数にカウントしないとされています。これはハローワーク(公共職業安定所)の実務指針に基づく取り扱いであり、その根拠は次の通りです。

「就業日数」とは、実際に労務を提供した日(実務従事日)を指します。有給休暇の取得日は、使用者から賃金の支払いを受けつつも、労働義務が免除されている日であり、実際の労務提供は行われていません。よって、有給休暇取得日は就業日数に含めないというのがハローワークの統一的な取扱いです。

つまり、「給料(有給分)が発生している」という事実は就業日数の判定とは無関係です。あくまで実際に働いた(労務を提供した)かどうかで判断されます。

「就業日数に含まれる日」と「含まれない日」の整理

実務上、判定に迷いやすい日の区分を以下の表にまとめます。

日の種類 就業日数への算入 備考
実際に出勤した日(通常勤務) 含まれる 雇用保険法施行規則第72条に基づく
在宅勤務・テレワーク 含まれる 実務に従事しているため対象(2022年改正で明確化)
時間単位の就業(短時間勤務) 含まれる(1日カウント) 時間数が少なくても就業した日は1日算入
有給休暇(年次有給休暇) 含まれない 労務提供義務が免除されているため
法定休日(土日・祝日) 含まれない 就業義務がない日
育休中の無給休業日 含まれない 育休の本質は労働義務の免除
傷病による欠勤(無給) 含まれない 実際の労務提供なし

実出勤日数のカウント方法

出勤した日を数える際は、以下のステップで行います。

  1. 育休の支給単位期間を確認する(例:育休開始日が4月5日であれば、4月5日〜5月4日が1支給単位期間)
  2. その期間中に実際に勤務した日を出勤簿・タイムカードで確認する
  3. 有給休暇・法定休日・育休中の休業日を除外する
  4. 残った実出勤日数を合計する
  5. 合計が20日以下かどうかを確認する

月20日判定の具体例・実例集

実際のケースを複数パターン紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら確認してください。

パターン①:有給休暇を多用したケース(支給対象内)

日の種類 日数
実際の出勤日数 15日
有給休暇取得日 8日
育休中の休業日(無給) 残日数

就業日数のカウント:15日(有給の8日は含まず)
判定:15日 ≤ 20日 → 支給対象内 ✅

→ 有給休暇を8日取得しても、実出勤15日であれば問題なく給付金が支給されます。

パターン②:ギリギリ対象内のケース

日の種類 日数
実際の出勤日数 20日
有給休暇取得日 2日
育休中の休業日(無給) 残日数

就業日数のカウント:20日(有給の2日は含まず)
判定:20日 ≤ 20日 → 支給対象内 ✅(20日以下はセーフ)

→ ちょうど20日はギリギリ対象内です。「20日を超える」が条件のため、ちょうど20日は問題ありません。

パターン③:支給対象外になるケース

日の種類 日数
実際の出勤日数 21日
有給休暇取得日 0日
育休中の休業日(無給) 残日数

就業日数のカウント:21日
判定:21日 > 20日 → 支給対象外 ❌

→ 実出勤が21日を超えた時点でその支給単位期間の給付金は全額不支給となります。

パターン④:在宅勤務(テレワーク)を含むケース

日の種類 日数
オフィス出勤日数 10日
在宅勤務(テレワーク)日数 12日
有給休暇取得日 5日

就業日数のカウント:10日 + 12日 = 22日(有給の5日は含まず)
判定:22日 > 20日 → 支給対象外 ❌

→ 在宅勤務も「実際の就業」としてカウントされます。「在宅だから就業日数に入らない」は誤解なので注意が必要です。

パターン⑤:支給単位期間をまたぐケース

育休の支給単位期間はカレンダーの月ではなく、育休開始日からの1ヶ月単位です。例えば育休開始日が4月15日の場合、支給単位期間は4月15日〜5月14日となります。

5月1日〜5月14日の実出勤が多くても、4月15日〜4月30日の出勤が少なければ、その期間全体で20日以下かどうかを見ます。月をまたいでいることに惑わされず、「育休開始日から数えた1ヶ月ごとの実出勤日数」を確認しましょう。


育休中に有給休暇を使用するメリット・デメリット

育休中に有給休暇を使うべきかどうか、財務的な観点から整理します。

メリット:給付金への影響を避けながら収入を確保できる

育休中に職場から呼ばれる機会(研修参加、引き継ぎ対応など)が生じたとき、通常は「就業した日」としてカウントされます。しかし、その日を有給休暇として処理した場合は就業日数に含まれないため、実出勤日数の圧迫を防ぎつつ、会社から有給分の賃金を受け取れます。

また、育休給付金は賃金の67%〜50%相当の補填ですが、有給休暇を使用した日は100%の賃金が支払われるため、当日の収入という観点では有給の方が有利です。

デメリット:有給休暇の残日数が減少する

育休中に有給休暇を使い切ってしまうと、職場復帰後に子どもの体調不良や保育園行事などで有給休暇を使いたい場面で困ることがあります。年次有給休暇の付与タイミングや残日数を会社のシステムや人事担当者に事前確認しておくことが重要です。

就業日数がギリギリな場合の対策

実出勤日数が月20日に近づいてきた場合は、以下の対策が有効です。

  1. 残りの出勤予定を有給休暇に切り替える(就業日数に算入されなくなる)
  2. 就業日数を翌支給単位期間に分散させる(支給単位期間の日程を確認し、次の期間の勤務に調整する)
  3. 短時間勤務の就業に切り替える(1日としてのカウントは同じだが、就業時間の管理も並行して行う)

なお、育休中の就業が多すぎると育休の実態がなくなるとして、育児・介護休業法上の問題に発展するケースもあります。就業日数の管理だけでなく、育休制度の趣旨に沿った働き方を心がけましょう。


申請時に必要な書類と記載方法

育休給付金の申請に必要な書類

初回申請時(育休開始後に提出)

書類名 内容 提出者
育児休業給付金支給申請書 育休期間・就業日数・賃金等を記載 事業主(労働者の情報を記入)
母子健康手帳(写し) 子の出生を証明 労働者が事業主へ提出
賃金台帳(写し) 休業前の賃金額の確認 事業主
出勤簿またはタイムカード(写し) 就業日数の確認根拠 事業主

2回目以降の申請時(2ヶ月ごと)

書類名 内容 提出者
育児休業給付金支給申請書(2回目以降) 就業日数・有給休暇日数等を記載 事業主
出勤簿・タイムカード(写し) 実出勤日と有給休暇取得日を区分して記録 事業主
賃金台帳(写し) 育休中に賃金が支払われた場合に必要 事業主

申請書への有給休暇の記載方法

育児休業給付金支給申請書には「就業日数」を記載する欄があります。ここには実際に就業した日数(有給休暇を除く)を記載します。

記載例:

支給単位期間:2024年4月5日〜2024年5月4日(30日間)

実際の就業日数(出勤日):    15日 ← ここに記載
(うち有給休暇使用日):      8日  ← 参考情報として記録
(うち育休中の休業日):      7日

有給休暇の取得日数は申請書の主要欄ではなく、添付する出勤簿に「有給」と明記する形で記録しておくと、ハローワークの審査がスムーズに進みます。

申請の流れ(フロー)

育休開始
    ↓
育休開始日から10日以内に事業主が初回申請書を準備
    ↓
ハローワークへ初回申請(育休開始後できるだけ早く)
    ↓
2ヶ月ごとに支給申請(事業主経由でハローワークへ)
    ↓
毎回の申請に出勤簿・賃金台帳を添付
    ↓
ハローワークが就業日数を審査(月20日判定を実施)
    ↓
支給決定通知書が事業主へ送付
    ↓
指定口座に給付金が振込まれる

ハローワークで確認すべきポイント

  • 有給休暇の記録が出勤簿に「有給」として明記されているか
  • 在宅勤務の日が「就業日」として出勤簿に記録されているか
  • 支給単位期間の起算日(育休開始日)が正確に把握されているか
  • 賃金台帳に有給分の賃金が計上されている場合、申請書の「支給された賃金額」欄への記載が適切か

よくある誤解と注意点

育休中の有給休暇の扱いについて、実務上よく起きる誤解を整理します。

誤解①「有給休暇も給料が出るから就業日数に含まれる」

正解:含まれません。 有給休暇は労働義務が免除されている日です。賃金の支払いがあっても「実際に働いた日」ではないため、就業日数にはカウントされません。

誤解②「在宅勤務は出勤じゃないから就業日数に含まれない」

正解:含まれます。 在宅勤務・テレワークも「実際に労務を提供した日」として就業日数にカウントされます。2022年の法改正により、この点は明確化されています。

誤解③「時間単位の勤務は就業日数が0.5日でカウントされる」

正解:1日としてカウントされます。 時間単位で勤務した日も、就業日数の判定では「1日」として算入されます。

誤解④「月20日を超えたら以降の給付金はすべて打ち切りになる」

正解:超えた支給単位期間のみ不支給です。 月20日超えはその対象期間の給付金が不支給となりますが、次の支給単位期間で20日以下に収まれば、翌期間の給付金は通常通り支給されます。


2022年改正・最新制度のポイント

2022年10月の育児・介護休業法改正に伴い、育休給付金にも重要な変更が加えられました。

産後パパ育休(出生時育児休業)の新設

子の出生後8週間以内に最大4週間取得できる「産後パパ育休」が新設され、この期間中も育休給付金(出生時育児休業給付金)が支給されます。産後パパ育休中の就業日数判定も同様に「月20日超で対象外」というルールが適用されます。

就業可能日数の拡大

2022年改正後は月10日超で就業した時間が80時間以下という基準が加わりました。これにより、短時間勤務を多用するケースでも柔軟に対応可能となっています。ただし、「月20日超の就業で支給対象外」という上限は維持されています。

育休の分割取得

2022年改正で育休を2回に分割して取得できるようになったため、支給単位期間の管理が複雑になりました。分割取得の場合は、それぞれの育休期間ごとに支給単位期間が設定されるため、ハローワークまたは社会保険労務士に個別確認することをお勧めします。


よくある質問(FAQ)

Q1. 育休中に有給休暇を取得した日に会社から賃金が支払われた場合、給付金はどうなりますか?

有給休暇の取得日は就業日数に含まれないため、就業日数の判定には影響しません。ただし、支給単位期間中に賃金が支払われた場合、その金額によっては給付金が減額される場合があります。賃金が休業前賃金の80%以上の場合は給付金が不支給となる可能性があるため、有給分の賃金は必ず申請書に記載してください。

Q2. 育休中に有給休暇を強制的に使わせる会社の指示には従わなければなりませんか?

育休中に使用者が有給休暇の取得を強制することは、育児・介護休業法の趣旨に反する可能性があります。有給休暇は労働者が請求した日に与えられるもの(労働基準法第39条)であり、会社が一方的に指定することは原則できません。不当な圧力を受けた場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。

Q3. ハローワークへの申請は労働者本人が行う必要がありますか?

原則として、育休給付金の申請は事業主(会社)がハローワークに対して行います。労働者本人が直接ハローワークに申請することは通常ありません。ただし、事業主の協力が得られない場合などは労働者本人が申請する「本人申請」の制度もあります。詳細はハローワークにご相談ください。

Q4. 月20日を超えてしまった場合、自己申告する必要はありますか?

はい、正直に申告する義務があります。就業日数が20日を超えた場合でも、申請書に実態を正確に記載してください。虚偽の申告は不正受給に該当し、給付金の返還請求や刑事罰の対象となる場合があります。

Q5. 育休中にフリーランスとして副業した場合はどうなりますか?

雇用保険の育休給付金は「被保険者として雇用されている事業主との関係における育休中の就業」を対象に判定します。フリーランスや業務委託での副業が就業日数に含まれるかは状況によって判断が異なります。ハローワークに個別に確認することを強くお勧めします。


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まとめ

育休給付金における「月20日超就業」判定の有給休暇の扱いを整理すると、以下のポイントに集約されます。

確認事項 結論
有給休暇取得日は就業日数に含まれるか 含まれない(労務提供がないため)
在宅勤務は就業日数に含まれるか 含まれる(実務従事とみなされるため)
月20日を超えた場合の影響範囲 その支給単位期間のみ不支給(以降の期間は通常通り)
有給分の賃金は申請書に記載が必要か 必要(減額計算の対象となる場合がある)
申請主体は誰か 事業主(会社)がハローワークへ申請

育休給付金は大切な所得保障制度です。有給休暇と実出勤日数の正しい管理・申告を行い、受給できる権利を確実に守りましょう。不明点があれば、お住まいの地域を管轄するハローワークまたは社会保険労務士にご相談いただくことをお勧めします。

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