育休給付金の賃金月額に賞与を含める条件と除外判定【2025年最新】

育休給付金の賃金月額に賞与を含める条件と除外判定【2025年最新】 育休給付金

育休給付金の受給額は、計算の基礎となる「賃金月額」に賞与を含めるか、除外するかによって大きく変わります。賞与を含めた場合と除外した場合とでは、毎月の給付金に数万円単位の差が生じることもあるため、正確な判定が不可欠です。

本記事では、雇用保険法第61条の2を法的根拠として、賞与を賃金月額に含める・除外する5つの判定条件を詳しく解説。正社員・契約社員・パートなど雇用形態別の計算例も掲載しているので、申請前の確認資料としてご活用ください。


育休給付金の「賃金月額」とは?賞与が影響する理由

判定項目 賞与を含める場合 賞与を除外する場合
定期性 年2回以上、定期的に支払われる 支払時期が不規則または臨時的
予測可能性 支給額があらかじめ決定または決定可能 支給額が業績などにより変動
雇用契約書への記載 支給条件が明記されている 記載がない、または曖昧
勤続年数の確認 過去に複数回の支払実績あり 1回限りまたは支払実績なし
給付金額への影響 月額が増加(毎月数万円増額の場合あり) 月額が低くなる

賃金月額の基本的な定義(雇用保険法第61条の2)

育児休業給付金の支給額は、以下の計算式で求められます。

【育休開始から180日間】
月額給付金 = 賃金月額 × 67%

【180日経過後】
月額給付金 = 賃金月額 × 50%

この計算式の「賃金月額」は、雇用保険法第61条の2第2項および厚生労働省の育児休業給付に関する指針に基づいて算出されます。

具体的には、育児休業を開始した日の直前の「支給対象月」(賃金支払基礎日数が11日以上ある月)を遡って12ヶ月分の賃金を確認し、その合計を12で割った金額が賃金月額の基礎となります。

賃金月額には上限・下限が設定されています(2025年現在)。

区分 金額
上限額 484,200円
下限額 76,290円

賃金月額が上限を超える場合は上限額、下限を下回る場合は下限額が適用されます。

法的根拠まとめ
– 雇用保険法 第61条の2:給付額計算の基準規定
– 雇用保険法施行規則 第106条〜第111条:手続き・必要書類の基準
– 育児休業給付に関する指針(厚労省告示):賃金月額の定義と賞与取扱い


賞与が含まれるかどうかで給付金額はどれくらい変わるか(試算例)

賞与を含めるかどうかで、実際の給付金額がどれほど変わるかを具体的な数字で見てみましょう。

【前提条件】
– 月給:30万円
– 賞与:年2回(夏・冬)、各30万円(年間60万円)
– 育休期間:180日超

▼ 賞与を含める場合

賃金月額 =(30万円 × 12ヶ月 + 60万円)÷ 12ヶ月
         =(360万円 + 60万円)÷ 12
         = 420万円 ÷ 12
         = 35万円

月額給付金(180日超)= 35万円 × 50% = 17.5万円/月

▼ 賞与を除外する場合

賃金月額 = 30万円(月給のみ)

月額給付金(180日超)= 30万円 × 50% = 15万円/月

→ 差額:毎月2.5万円、年間30万円の差が生じます。

育休期間が1年以上に及ぶ場合、この差は非常に大きな影響を与えます。賞与を正しく含めるための5つの条件を押さえることが、給付金を正確に受給するうえで重要です。


賞与を賃金月額に「含める」ための5つの条件

賞与を賃金月額に含めることができるのは、以下の5つの条件をすべて満たす場合に限られます。ひとつでも欠けると、賞与は除外されて計算されます。

条件①〜③:定期性・予測可能性・支払実績とは

条件① 定期的に支払われていること(定期性)

賞与が「毎年夏冬」「毎年1回」など、一定の周期で支払われている必要があります。支給時期が定まっておらず、業績次第で支払われたり支払われなかったりする場合は「不定期賞与」と判断され、除外対象となります。

判定 具体例
✅ 含める(定期) 毎年6月・12月に支給 / 毎年3月に1回支給
❌ 除外(不定期) 業績がよい年のみ支給 / 支給月が毎年変わる

条件② 金額が予測可能であること(予測可能性)

金額が毎回大幅に変動し、将来の支給額が予測できない場合は除外されます。「基本給の3ヶ月分」「月給×○倍」など算定根拠が明確で、おおよその支給額が予測できる賞与が対象です。

補足: 多少の変動(業績連動の小幅調整など)は許容されますが、「ゼロになる可能性がある」「毎年全く異なる金額」という場合は予測可能性なしと判断されるリスクがあります。ハローワークに事前相談することを推奨します。

条件③ 支給対象月までに実際に支払われた実績があること(支払実績)

賃金月額の算定に使用される「直前12ヶ月」の期間内に、賞与が実際に支払われた記録が必要です。たとえば育休開始前の12ヶ月間に賞与の支払いが一度もなければ、たとえ契約書に記載があっても「実績なし」として除外される場合があります。


条件④〜⑤:雇用契約書の記載と勤続年数の確認

条件④ 雇用契約書・就業規則に賞与の記載があること

賞与の存在が書面で証明できることが求められます。具体的には以下のいずれかに記載が必要です。

  • 雇用契約書(労働契約書)
  • 就業規則または給与規程
  • 賃金規程

口頭での約束や慣例だけでは、書面上の根拠がないと判断される場合があります。申請前に自分の雇用契約書を確認し、賞与欄の記載内容を把握しておきましょう。

条件⑤ 勤続1年以上の実績があること

賞与を含めて計算するには、原則として育休開始前に少なくとも1年以上の勤続実績があり、その間に賞与を受け取った実績が必要です。

勤続1年未満の場合(例:入社6ヶ月で育休取得)は賞与の支払実績が不十分とみなされ、除外されるのが一般的です。

注意: 育休前の12ヶ月に賞与支給月が含まれているかどうかが判定の実務上のポイントになります。たとえば「入社が1月で、7月に初めて賞与支給予定だが、6月に育休開始した」という場合、賞与受取実績がゼロのため除外されます。


賞与が賃金月額から「除外」される代表的なケース

以下のいずれかに該当する場合、賞与は賃金月額の計算から除外されます。

除外ケース 詳細
不定期賞与 支給時期・支給有無が毎年決まっていない
予測不可能な変動 支給額が毎年大幅に異なる
支払実績なし 直前12ヶ月内に賞与受取がない
契約書への記載なし 雇用契約書・就業規則に賞与の記載がない
勤続1年未満 入社後1年以内で賞与を受け取っていない
非正規雇用・賞与対象外 契約社員・パートで賞与対象外と明記されている

除外される場合の計算式

賞与を除外する場合、賃金月額は「賃金基礎日数が11日以上ある月」を直前6ヶ月分遡って計算します。

賃金月額 = 直前6ヶ月の給与総額(賞与除く)÷ 6ヶ月

雇用形態別の賞与取扱い判定

正社員の場合

正社員は最も賞与を含めやすい雇用形態です。夏冬2回の定期賞与があり、勤続1年以上かつ就業規則に記載があれば、原則として含めて計算できます。

【判定フロー】
1. 雇用契約書・就業規則に賞与記載あり → ✅
2. 育休開始前12ヶ月内に賞与支払実績あり → ✅
3. 支給が定期的・予測可能 → ✅
4. 勤続1年以上 → ✅

賞与を含めて賃金月額を計算できる

【計算例】
月給35万円、年2回賞与(各40万円)の場合:

賃金月額 =(35万円 × 12 + 80万円)÷ 12
         = 500万円 ÷ 12
         = 約41.7万円

上限額484,200円に達しないため、約41.7万円が適用
月額給付金(180日超)= 41.7万円 × 50% = 約20.85万円

契約社員・派遣社員の場合

契約社員・派遣社員は雇用形態によって大きく異なります。「賞与なし」と契約書に明記されていれば当然除外。一方で「契約社員にも賞与支給あり」と記載され、実際に支給実績がある場合は含めることができます。

判定ポイント:
– 雇用契約書に「賞与:あり(基本給×○ヶ月)」の記載がある → 含める可能性あり
– 雇用契約書に「賞与:なし」または記載なし → 除外

【計算例:契約社員で賞与ありの場合】
月給25万円、年1回賞与(20万円)、勤続2年の場合:

賃金月額 =(25万円 × 12 + 20万円)÷ 12
         = 320万円 ÷ 12
         = 約26.7万円

月額給付金(180日超)= 26.7万円 × 50% = 約13.35万円

パート・アルバイトの場合

パート・アルバイトは多くの場合、賞与が「不定期」または「契約書に記載なし」のため除外されるケースがほとんどです。ただし、以下の条件を満たすパート従業員は含められる場合があります。

  • 雇用契約書に賞与の記載がある
  • 過去に定期的に受け取っている
  • 1年以上勤続している

実務上の注意: パートの方で賞与支給実績がある場合は、給与明細・振込記録などを証拠書類として保管しておくとハローワークでの確認がスムーズです。

【計算例:パートで賞与ありの場合】
時給1,200円、月120時間(時給月給約14.4万円)、年2回賞与(各10万円)、勤続3年の場合:

賃金月額 =(14.4万円 × 12 + 20万円)÷ 12
         = 192.8万円 ÷ 12
         = 約16.1万円

月額給付金(180日超)= 16.1万円 × 50% = 約8.05万円

育休開始前1年未満の新入社員の場合

入社から1年未満(特に6ヶ月未満)で育休を取得する場合、賞与の支払実績がないため原則として除外されます。

賃金月額 = 勤務開始〜育休開始前6ヶ月の給与総額 ÷ 実際の勤務月数

ただし勤続月数が6ヶ月未満の場合でも、雇用保険の加入条件(育休開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヶ月以上)を満たしていれば育休給付金自体は受給できます。

【計算例:勤続6ヶ月の新入社員】
月給30万円で、入社から6ヶ月後に育休開始する場合:

賃金月額 = 30万円 × 6ヶ月 ÷ 6
         = 30万円

月額給付金(180日超)= 30万円 × 50% = 15万円

この場合、賞与は存在しても実績がないため除外となります。


賃金月額の正確な計算手順

ここでは実際の計算手順を5ステップで解説します。

ステップ1:育休開始日を確認する

育休は子の出生日(または産後休業終了後)から開始します。育休開始日の前日が賃金月額算定の起点です。

ステップ2:「支給対象月」を12ヶ月分特定する

育休開始日の前月から遡って、「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」を最大12ヶ月分抽出します。

欠勤・傷病など11日未満の月はカウントされません。11日以上の月を12ヶ月分確保できない場合は確保できた月数で計算します。

ステップ3:賞与を含めるか判定する

上記「5つの条件」をすべてチェックします。

チェック項目 確認内容 結果
定期性 支給時期が決まっているか ✅/❌
予測可能性 支給額がおおよそ予測できるか ✅/❌
支払実績 直前12ヶ月内に支払われたか ✅/❌
書面記載 契約書に記載があるか ✅/❌
勤続年数 1年以上勤続しているか ✅/❌

5項目すべてに✅がつく場合のみ、次のステップに進みます。

ステップ4:賃金月額を計算する

  • 賞与を含める場合: 12ヶ月分の給与+賞与の合計 ÷ 12
  • 賞与を除外する場合: 直前6ヶ月分の給与合計 ÷ 6

ステップ5:上限・下限を確認する

算出した賃金月額が上限(484,200円)を超えていれば上限額を、下限(76,290円)を下回っていれば下限額を適用します。

月額給付金の最終計算

【育休開始から180日間】
月額給付金 = 賃金月額(上限484,200円)× 67%
最大:484,200円 × 67% = 約324,414円

【181日目以降】
月額給付金 = 賃金月額(上限484,200円)× 50%
最大:484,200円 × 50% = 242,100円

申請手続きと必要書類

申請先と申請タイミング

育休給付金の申請は、勤務先の会社(事業主)がハローワーク(公共職業安定所)に対して行うのが原則です。労働者本人が直接申請することも可能ですが、通常は会社の人事・総務部門が手続きを担います。

申請タイミング(支給申請)

タイミング 内容
初回申請 育休開始から約2ヶ月後(ハローワークが指定した期間内)
2回目以降 2ヶ月ごとに申請(支給単位期間ごと)
申請期限 各支給申請期間の末日翌日から2ヶ月以内

必要書類一覧

初回申請時(育児休業給付受給資格確認と初回申請を同時に行う場合)

書類 備考
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 事業主が作成。賞与を含める場合は賞与支払実績を記載
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク所定の様式
賃金台帳・出勤簿(タイムカード) 直前6ヶ月または12ヶ月分
母子健康手帳(子の生年月日確認) 写し
雇用契約書または就業規則 賞与の記載確認が必要な場合
賞与支払明細書 賞与を含める場合に提出を求められることがある

2回目以降の申請時

書類 備考
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク所定の様式
母子健康手帳 子の健康状態確認用(写し)

重要: 賞与を賃金月額に含める場合は、ハローワークの担当者が雇用契約書・賞与支払明細書の内容を確認します。事前に書類を整理・準備しておくと申請がスムーズです。


2025年以降の改正ポイント(令和7年)

2025年(令和7年)以降、育児休業給付金に関連する制度改正が予定・実施されています。主要ポイントを確認しておきましょう。

改正内容 時期 概要
給付率の引き上げ(一定期間) 令和7年度以降 育休開始28日間について、一定条件下で給付率が実質80%相当に引き上げ(手取りベース)
出生後休業支援給付 令和7年度施行予定 両親ともに育休取得の場合に給付率が一時的に引き上げ(児童手当法改正との連動)
賃金月額の上限見直し 毎年8月改定 毎勤統計の結果に基づき上限・下限が更新される

注意: 改正内容・施行日は変更になる場合があります。最新情報は厚生労働省公式サイトまたはハローワークでご確認ください。


申請時によくある疑問と注意点

賞与取扱いに関する申請で特に注意が必要なポイントを整理します。

賞与が育休中に支給された場合はどうなる?

育休期間中に実際に賞与が支払われても、育休給付金の額には直接影響しません。ただし、育休中の賃金支払いがある月は、受け取った金額に応じて給付金が減額または不支給になる場合があります(賃金支払いが休業前賃金の80%以上になる場合は不支給)。

産休中の賞与は賃金月額に含まれる?

産前産後休業(産休)中は「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」に該当しないため、産休月は12ヶ月のカウントから除外されます。産休前の月に遡って12ヶ月分を集計します。

ハローワークで判定が異なることはある?

賞与を含めるかどうかの判定は、ハローワークの担当者が書類を確認して最終決定します。微妙なケース(賞与の変動が大きい、雇用契約書の記載が曖昧など)は担当者によって解釈が異なることがあるため、不明な点は事前に管轄のハローワークに相談することを強く推奨します。


よくある質問(FAQ)

Q1. 賞与が「業績連動」の場合、賃金月額に含められますか?

業績連動型の賞与であっても、①毎年定期的に支給され、②金額がゼロになることがなく、③支払実績があり、④契約書に記載があれば含められる可能性があります。ただし「業績によっては支給なし」という条件がある場合は予測可能性なしと判断されることが多いため、ハローワークへの事前確認が必要です。

Q2. 育休開始前の12ヶ月に賞与支給月が1回しかない場合はどうなりますか?

賞与が年1回の支給であれば、12ヶ月の算定期間内に1回の支払実績があれば含めることができます。ただし、直前12ヶ月に賞与支給月がまったく含まれない場合(例:直近の賞与が13ヶ月前)は、支払実績なしとして除外されます。

Q3. パートタイム従業員ですが、賞与を含めて申請することはできますか?

可能です。雇用形態に関係なく、①定期的、②予測可能、③支払実績あり、④契約書記載あり、⑤勤続1年以上の5条件を満たせば含めることができます。雇用契約書と過去の賞与支払明細書を準備してハローワークに確認しましょう。

Q4. 会社が賃金月額証明書に賞与を記載しなかった場合はどうすればよいですか?

事業主が作成する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」に賞与が記載されていなければ、給付金計算に反映されません。まず会社の人事担当者に確認し、記載もれがあれば修正を依頼してください。修正が難しい場合は、ハローワークに直接相談することもできます。

Q5. 育休給付金の賃金月額は毎月変わりますか?

いいえ、賃金月額は育休開始時に一度確定され、育休期間中は原則として変わりません。育休開始前の賃金実績に基づいて算出されるため、育休中の給与変動(昇給・降給)は反映されません。

Q6. 令和7年の改正で賞与の取扱いルールも変わりますか?

2025年時点では、賞与を賃金月額に含める・除外する判定基準自体の変更は予定されていません。ただし、賃金月額の上限額は毎年8月に見直されます。改正情報は厚生労働省公式サイトで随時確認することをおすすめします。


まとめ:賞与の取扱い判定チェックリスト

育休給付金の賃金月額に賞与を含めるかどうかは、以下の5項目で判定します。

チェック項目 確認内容 該当
✅ 定期性 毎年(毎半年)定期的に支給されているか
✅ 予測可能性 支給額がおおよそ予測できるか
✅ 支払実績 育休前12ヶ月内に実際に支払われているか
✅ 書面記載 雇用契約書・就業規則に記載があるか
✅ 勤続年数 1年以上の勤続・受取実績があるか

5項目すべてにチェックがつく場合 → 賞与を含めて賃金月額を計算できます。

1項目でも未チェックの場合 → 賞与は除外し、月給のみで計算します。

判定に迷うケースや書類の準備に不安がある場合は、申請前に管轄のハローワークへ相談することを強くおすすめします。正確な給付金額を把握することが、育休中の安心した生活設計につながります。


本記事は2025年時点の法令・通知に基づいて作成しています。制度内容は改正される場合があるため、申請時は最新情報をハローワークまたは厚生労働省公式サイトでご確認ください。

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