配偶者就業でも育休給付金はもらえる?条件と申請方法【2025年版】

配偶者就業でも育休給付金はもらえる?条件と申請方法【2025年版】 育児休業制度

育児休業を取得しようとしたとき、「配偶者が働いていると給付金が出ないのでは?」という不安を抱く方が少なくありません。結論からお伝えすると、配偶者の就業状況は育児休業給付金の支給要件に一切関係しません

この記事では、配偶者が就業している共働き家庭でも育休給付金を正しく受け取るための受給要件・支給額・申請手続きを、2025年の最新法改正情報を踏まえて徹底解説します。配偶者の仕事状況に関わらず、安心して育休を取得するための実践的な知識を身につけましょう。


「配偶者就業で育休給付金が出ない」は誤解!正しい支給要件を解説

育児休業給付金の法的根拠(雇用保険法第30条の2)

育児休業給付金は、雇用保険法第30条の2を根拠とする制度です。同条は「被保険者(一般被保険者または高年齢被保険者)が育児休業を取得した場合に育児休業給付金を支給する」と定めています。

条文のどこを読んでも、「配偶者の就業状況」という要件は存在しません。法律上の支給要件は、あくまでも育休を取得した本人の雇用保険加入状況・就業実績・休業期間によって判断されます。

ポイント:給付金を受け取れるかどうかは「本人が雇用保険に加入しているか」「本人が育休中に過度に就業していないか」の2点が核心です。配偶者が正社員でフルタイム勤務していても、専業主婦(夫)でも、給付金の金額も受給資格も変わりません。

「配偶者が育児に専念できない」状況に特化した給付金は存在するのか?

「配偶者が育児に専念できない家庭への特別な給付金」という独立した制度は、現行の日本の法制度には存在しません

よく混同されやすい制度との違いを整理しておきます。

制度名 法的根拠 内容 配偶者就業との関係
育児休業給付金 雇用保険法第30条の2 育休取得者本人に支給 無関係
出生後休業支援給付金 雇用保険法(2025年改正) 両親ともに育休取得時の上乗せ給付 配偶者の育休取得が条件
配偶者特別控除 所得税法第81条 税制上の控除(給付金ではない) 配偶者の所得に依存
児童手当 児童手当法 子どもを養育する者に支給 配偶者就業の有無は不問

「配偶者が育児に専念できないから給付金が出ない」という話は、制度の存在しない誤解です。一方で、2025年に新設された「出生後休業支援給付金」は、配偶者(パートナー)と「2人ともが育休を取る」ことで上乗せ給付が受けられる制度であり、積極的に活用を検討すべき制度です(詳細は後述)。


育児休業給付金を受け取るための4つの基本要件

配偶者の就業状況は問われませんが、本人の要件は明確に定められています。4つの基本要件を確認しましょう。

要件1:雇用保険の加入期間(12か月ルールの詳細)

育休を取得する本人が、育児休業開始日より前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です。「被保険者期間」とは、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(もしくは就業時間が80時間以上の月)を「1か月」とカウントします。

2022年10月の法改正により、要件が以下のとおり変更されています。

項目 改正前(〜2022年9月30日) 改正後(2022年10月1日〜)
同一事業主への在籍 1年以上の雇用継続が必要 同一事業主1年以上の要件を廃止
被保険者期間 2年間で12か月以上 2年間で12か月以上(継続)
転職者・派遣労働者 要件を満たしにくいケースあり 転職後でも期間通算がしやすく緩和

派遣労働者の場合は派遣元(派遣会社)との雇用関係で判定されます。日雇労働被保険者は対象外です。また、産前産後休業の直前に12か月の要件を満たせない場合でも、産前産後休業の期間を除いて計算できる特例があります。

要件2:育休中の就業日数制限(月10日ルール)

育休中に就業した場合、就業日数によって給付金の扱いが変わります。

【就業日数と給付金の関係】
月0日就業          → 給付金100%支給(満額)
月1〜10日就業      → 就業日数に応じて一部支給(賃金との調整あり)
月11日以上就業     → 原則として当該月の給付金は不支給
※就業日数が10日以下でも就業時間が80時間超の月は不支給

「月10日以下」の就業であれば受給資格を失いませんが、就業で得た賃金と給付金の合計が休業開始前賃金の80%を超えると、その超過分が給付金から差し引かれます。育休中にテレワークや単発の業務を行う場合は、この日数・時間のカウントに注意してください。

要件3:育休の取得期間と対象となる子どもの要件

給付金が支給されるのは、1歳未満の子(原則)を養育するための育児休業です。ただし、以下の延長要件に該当する場合は最長2歳まで延長できます。

  • 1歳到達時点:保育所等に入所できない場合、または配偶者が死亡・疾病等のやむを得ない事情で育児が困難な場合 → 1歳6か月まで延長
  • 1歳6か月時点:上記と同様の事由が継続している場合 → 2歳まで延長

注意:育休延長を申請する際は、市区町村から「入所保留通知書(保育所に入所できなかった旨の通知)」を取得しておくことが必要です。この書類がないとハローワークでの延長申請が認められません。

要件4:雇用継続の見込み要件

育児休業期間中、または育休終了後も雇用関係が継続していることが必要です。育休中に雇用契約が終了する場合(雇い止め等)は、原則として給付金の受給資格を失ります。ただし、期間雇用者(有期契約労働者)の場合でも、2022年改正以降は有期契約労働者の取得要件が大幅に緩和されており、「育休開始から1年以上の雇用継続が見込まれること」という条件で対応できるようになりました。


2025年最新情報:出生後休業支援給付金とは?

2025年4月から、育休給付の制度に大きな改正が加わりました。「出生後休業支援給付金」の新設です。配偶者が就業している共働き家庭にとって特に重要な制度です。

制度の概要と給付率

項目 内容
法的根拠 雇用保険法(2025年改正)
対象者 子の出生後28日以内に両親がともに14日以上育休を取得した場合
給付率(上乗せ) 休業開始後28日間:給付率が実質手取りほぼ10割相当に引き上げ
申請先 ハローワーク(育児休業給付金と同時申請)

従来の育児休業給付金は、休業開始から180日間は休業前賃金の67%、180日経過後は50%が支給されます。出生後休業支援給付金は、この67%に加えて約13%が上乗せされ、社会保険料の免除と合わせると実質的な手取りをほぼ維持できる水準になります。

給付金を最大化する「パパ育休」との組み合わせ

配偶者が就業している共働き家庭でも、両親がともに育休を取得することで出生後休業支援給付金の対象になります。片方だけが育休を取る場合よりも、2人ともが14日以上育休を取得することで家庭全体の給付金受取額を最大化できます。

【共働き家庭の給付金最大化モデル(例)】
本人(育休180日間):
  ├─ 育児休業給付金(67%)
  └─ 出生後休業支援給付金(+約13%)= 実質手取りほぼ維持

配偶者(産後パパ育休14日以上):
  ├─ 育児休業給付金(67%)
  └─ 出生後休業支援給付金(+約13%)= 実質手取りほぼ維持

このモデルにより、両親が短期間でも育休を取得することで家計への打撃を最小化しながら、出産直後の育児に必要な時間を確保できます。


育休給付金の計算方法と実際の支給額

支給額の計算式

育児休業給付金の支給額は、以下の計算式で求めます。

【支給額計算式】
休業開始時賃金日額 = 育休開始前6か月間の賃金総額 ÷ 180

支給額(180日まで)= 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
支給額(180日以降)= 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

計算に用いられる「賃金」には、基本給・各種手当・賞与が含まれますが、育児休業給付金そのものは含まれません。また、最低保障額と上限額が設定されています。

2025年の賃金日額の上限・下限(目安)

区分 金額(月額換算の目安)
賃金日額の上限(30歳未満) 月額約30万円が上限
賃金日額の上限(30〜44歳) 月額約33万円が上限
賃金日額の上限(45〜59歳) 月額約36万円が上限
賃金日額の下限 2,869円(2025年度)

※上限額・下限額は毎年8月1日に改定されます。正確な金額はハローワークまたは厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

具体的な試算例

【例】月収30万円の方が育休を取得した場合

  • 休業開始時賃金日額:300,000円 ÷ 180日 ≒ 1,667円
  • 支給額(180日まで):1,667円 × 30日 × 67% ≒ 33,500円/月
  • 支給額(181日以降):1,667円 × 30日 × 50% ≒ 25,000円/月

さらに育休中は健康保険・厚生年金の保険料が免除されるため、実質的な手取りへの影響は給付率より小さくなります。月収30万円の方であれば、保険料免除により実質的な手取りは月給の60%程度まで維持される可能性があります。


申請手続きの流れと必要書類

申請の全体フロー

STEP1:会社に育児休業の取得を申し出る(原則1か月前までに書面で)
    ↓
STEP2:会社がハローワークに「育児休業給付受給資格確認票・申出書」を提出
    ↓
STEP3:ハローワークから「育児休業給付金受給資格確認通知書」が交付される
    ↓
STEP4:育休開始から約2か月ごとに「育児休業給付金支給申請書」を提出
    ↓
STEP5:給付金が指定口座に振り込まれる(申請から約2〜3週間後)

育休開始から最初の給付金が振り込まれるまでには、通常3か月程度の期間がかかります。この間の生活資金をしっかり準備しておくことが重要です。

必要書類一覧

初回申請時(受給資格確認時)

書類名 取得先 備考
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 ハローワーク(会社経由) 会社が手続き
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 会社が作成 6か月分の賃金が記載される
母子健康手帳(子どもの出生ページ) 市区町村 写しで可
育児休業取得確認書類(育休申出書等) 会社が保管 会社が用意

延長申請時(1歳以降に延長する場合)

書類名 取得先
育児休業給付金支給申請書(延長用) ハローワーク経由
入所保留通知書(保育所不承諾通知) 市区町村
育休延長申出書 会社に提出

申請期限と注意点

  • 初回申請:育休開始から2か月経過後の月末までに申請(会社経由)
  • 2回目以降:ハローワークが指定した申請期間(約2か月ごと)の支給対象期間の末日から2か月以内
  • 延長申請:1歳の誕生日の前日までに延長申請を行うこと(期限を過ぎると支給されない場合があります)
  • 申請が遅れると時効(2年)を過ぎた期間の給付金は受け取れなくなります

実務上のポイント:育休給付金の申請は、多くの場合会社(事業主)経由でハローワークに行います。自分で直接ハローワークへ持参するケースは少ないですが、会社が手続きを行っているかどうかを確認し、申請漏れがないよう定期的にチェックしましょう。会社の総務・人事部門に「いつ申請予定か」「いつごろ給付金が振り込まれるのか」を確認することで、申請遅れを防ぐことができます。


共働き家庭が育休中に注意すべきポイント

配偶者の収入は給付金に影響しないが、税制には影響する

育児休業給付金の受給判定において配偶者の収入は関係ありませんが、税制(配偶者控除・配偶者特別控除)においては配偶者の年間所得が影響します。育休中は自身の収入が減少するため、配偶者控除の対象になる可能性もあります。年末調整や確定申告の際に確認してください。配偶者特別控除は、配偶者の所得が1,000万円以下で、かつ対象者の合計所得金額が一定額以下の場合に適用されます。

育休給付金は非課税・社会保険料は免除

育児休業給付金は所得税・住民税の課税対象外(非課税)です。したがって給付金を受け取っても、その分に対する所得税・住民税は発生しません。また、育休期間中の健康保険料・厚生年金保険料は事業主・被保険者ともに免除されます(申請が必要)。この免除期間も将来の年金受給には「保険料を納付した期間」として算入されるため、将来的な年金額への影響は最小限に抑えられています。

育休中のアルバイト・副業は慎重に

前述のとおり、育休中の就業日数が月11日以上(または月の就業時間が80時間超)になると給付金が支給されません。また、「就業した」とみなされる行為の範囲は広く、副業・内職・フリーランス業務も含まれます。オンラインショップの運営や翻訳業務など、収入が少ないと思われる副業であっても日数・時間がカウントされます。育休中に収入を得たい場合は、必ず会社とハローワークに相談の上で行うことを強くお勧めします。相談なく就業した場合、給付金の返納を求められる可能性があります。


よくある質問(FAQ)

育休給付金に関して、特に配偶者の就業に関連した疑問に回答します。

Q1. 夫(妻)がフルタイムで働いていますが、私は育休給付金をもらえますか?

はい、受け取れます。配偶者の就業形態・収入・勤務時間は育児休業給付金の支給要件に一切含まれていません。ご自身が雇用保険の被保険者期間12か月以上の要件を満たしており、育休中の就業日数が月10日以下であれば給付金を受け取ることができます。

Q2. 配偶者も育休を取得している場合、私の給付金は減額されますか?

減額されません。夫婦がともに育休を取得している場合でも、それぞれが独立して給付金を受け取れます。むしろ、2025年に新設された「出生後休業支援給付金」の要件(両親ともに14日以上育休取得)を満たすことで、給付金が上乗せされる可能性があります。

Q3. 育休中に配偶者が失業した場合、私の給付金はどうなりますか?

配偶者が失業・退職しても、あなたの育休給付金に影響はありません。給付金はあくまでもあなた自身の雇用保険加入状況と育休取得状況によって判定されます。配偶者の職業状況の変化は、育休給付金の支給に影響を与えません。

Q4. 保育所の申し込みをしなかった場合、育休は延長できますか?

原則として、育休の延長申請には「保育所等に申し込んだが入所できなかった」ことを証明する入所保留通知書(不承諾通知)が必要です。申し込みをしていない場合は延長が認められないケースがほとんどです。ただし、事情によっては認められる場合もあるため、管轄のハローワークに相談してください。

Q5. 育休給付金の申請は自分でしなければなりませんか?

通常は会社(事業主)がハローワークに対して申請手続きを代行します。ただし、会社が手続きを怠っている場合は本人が直接申請することも可能です。申請状況が不明な場合は、会社の人事・総務担当者に確認しましょう。

Q6. パートタイム労働者でも育休給付金はもらえますか?

週5日未満・1日数時間のパートタイム労働者でも、雇用保険に加入しており、育休開始前の2年間で被保険者期間が12か月以上あれば給付金の対象です。週20時間未満の場合は雇用保険に加入できないため、まず雇用保険の加入状況を会社に確認してください。

Q7. 出生後休業支援給付金を受け取るには、配偶者も勤めている必要がありますか?

いいえ。配偶者が専業主婦(夫)の場合でも、子の出生後28日以内に配偶者が14日以上育休を取得すれば、両親ともに出生後休業支援給付金の対象になります。ただし、配偶者が雇用保険に加入していることが条件です。


まとめ

育児休業給付金について、重要なポイントをまとめます。

項目 内容
配偶者就業と給付金の関係 無関係(支給要件に含まれない)
主な受給要件 雇用保険加入12か月以上・育休中の就業月10日以下
支給率 育休開始から180日:67%、181日以降:50%
2025年の新制度 出生後休業支援給付金(両親14日以上育休取得で上乗せ)
申請先 ハローワーク(会社経由が原則)
育休中の社会保険料 健康保険・厚生年金が免除
給付金の課税 非課税

「配偶者が働いているから給付金をもらいにくい」という誤解を持ったまま育休取得を諦める必要はまったくありません。ご自身の受給要件を正確に把握し、2025年の改正制度も積極的に活用することで、家族の生活を守りながら安心して育休を取得してください。

配偶者が就業している共働き家庭こそ、育休給付金と出生後休業支援給付金をダブルで活用することで、経済的な安定と育児時間の両立が実現できます。本記事の内容を参考に、可能な限り早期に会社の人事・総務部門やハローワークに相談することをお勧めします。

具体的な手続きや個別のケースについては、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)または社会保険労務士への相談を強くお勧めします。


参考法令・出典
– 雇用保険法(第30条の2、第61条の7)
– 育児・介護休業法
– 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続き
– 厚生労働省「2025年育児介護休業法等改正のポイント」
– 厚生労働省ハローワーク公式サイト

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