祖父母保育で育休給付金は減額?判定基準と申請手続き【2025年版】

祖父母保育で育休給付金は減額?判定基準と申請手続き【2025年版】 育児休業制度

育休中に「祖父母に子どもを見てもらっている」という家庭は少なくありません。しかしSNSやママ友の情報で「祖父母に預けると給付金が減らされる」という話を聞いて、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、祖父母が保育サポートをしているだけでは、育児休業給付金は減額されません。 減額が生じるのは、特定の条件が重なった場合だけです。本記事では、誤解の多いこの制度について、法的根拠をもとに正確な判定基準・申請手続き・給付金の計算方法までを徹底解説します。


祖父母の保育サポートで育休給付金は本当に減額されるのか?

「祖父母保育=給付金減額」という誤解は、インターネット上で広く流布しています。しかし制度の実態を正確に理解すれば、この認識は誤りであることが分かります。

育児休業給付金の減額(支給停止)が発生するのは、「保育の事実化」と「就業の開始」が同時に成立した場合に限られます。祖父母が子どもを可愛がる・一時的に面倒を見るといった行為は、ここでいう「保育の事実化」には該当しません。

重要なのは、育児休業の本来の趣旨が「子を養育するために職場を離れる」ことにあるという点です。祖父母が週20時間以上にわたって継続的・安定的な保育を担い、かつ育休取得者自身が就業を再開したとなれば、「育休の必要性がなくなった」と判断される可能性が生じます。この組み合わせが減額の本質です。

減額されるケースとされないケースの違い

以下の表で、具体的な状況ごとの判定を整理します。

状況 給付金への影響
祖父母が時々子守りをする(週20時間未満) 影響なし
祖父母が週20時間以上の継続保育を担う(就業なし) 原則影響なし
祖父母が週20時間以上保育+育休取得者が就業 減額・支給停止の対象
認可保育施設に入所+就業開始 減額・支給停止の対象
育休中に在宅勤務を行う(週10時間未満) 原則影響なし
在宅勤務が週10時間以上・または所定労働日数の半分超 支給停止の対象

祖父母保育単独では減額されない根拠は、雇用保険施行規則第72条にあります。同条は、育児休業給付金の支給が行われない期間として「育児休業期間中に就業(就労)を行った場合」等を定めており、あくまでも就業の有無が判断の核心となっています。祖父母が保育を担っているという事実は、育休取得者自身の「就業の有無」とは別の話です。

制度の法的根拠(雇用保険法・育児介護休業法)

この制度を理解するうえで、以下の3つの法的根拠を押さえておきましょう。

① 雇用保険法第61条
育児休業給付の支給要件の根拠規定です。育児休業を取得していること・雇用保険の被保険者であること・一定の被保険者期間があることなどが定められています。

② 雇用保険施行規則第72条
給付金の支給対象外となる期間・減額される条件を具体的に定めた規定です。育児休業期間中に就業した場合の取り扱いはここで規定されており、1支給単位期間(通常1か月)の就業日数・時間数によって支給の可否が決まります。

③ 令和4年改正育児・介護休業法(2022年4月施行)
産後パパ育休(出生時育児休業)の新設、育児休業の分割取得(2回まで)の可能化、有期雇用労働者の取得要件緩和などが盛り込まれました。分割取得が可能になったことで、育休期間中の保育・就業の状況が以前よりも複雑になっています。制度変更に対応した正確な申請が求められます。


給付金が減額される「週20時間ルール」とは

祖父母保育が給付金に影響を与えうる数値基準として、「週20時間」という目安がしばしば言及されます。この数字の意味と根拠を正確に理解しましょう。

週20時間という基準は、「育児休業給付金の支給対象外」を判定するうえで参照される就業時間数の上限と関係しています。育休中であっても一時的な就業(いわゆる育休中就労)は認められていますが、その就業が一定の時間・日数を超えると給付金が支給されなくなります。

祖父母保育の文脈でこの数字が使われるのは、「祖父母が週20時間以上の保育を担うことで、育休取得者が就業可能な状態になったとみなされる」という考え方から来ています。ただし、あくまでも減額の直接的なトリガーは就業の事実であり、保育時間だけが単独で給付金を止めるわけではない点を改めて強調しておきます。

週20時間の計算方法と日数換算の目安

週20時間とは1週間あたりの合計保育時間です。以下のパターンで考えると分かりやすくなります。

保育パターン 1日の保育時間 週の保育日数 週合計時間 20時間超か
パターンA 4時間 5日(平日毎日) 20時間 境界線
パターンB 3時間 5日 15時間 超えない
パターンC 6時間 4日 24時間 超える
パターンD 2時間 3日 6時間 超えない

週20時間は「1日4時間×週5日」がちょうど境界線となります。孫の昼寝中だけ見てもらう程度、あるいは週2〜3日の部分的なサポートであれば、この基準を超えることはまずありません。

給付金が支給停止になる就業時間の上限

育休中の就業については、雇用保険施行規則第72条において以下の基準が定められています。

支給停止となる条件(いずれかを満たす場合):

  • 1支給単位期間(約1か月)の就業日数が10日超(10日以下なら就業時間数で判定)
  • 就業日数が10日以下でも就業時間数が80時間超

つまり月10日以内・80時間以内の就業であれば給付金は支給されますが(ただし就業日数・時間数に応じた減額計算あり)、これを超えると支給停止となります。

減額計算の基本式:

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率(67%または50%)

ただし就業による賃金収入がある場合は次の計算で調整されます。賃金+給付金の合計が休業前賃金の80%を超える場合、超過分だけ給付金が減額される仕組みです。


在宅勤務の給付金判定はどうなるか

令和4年以降の育休制度改正・テレワーク普及により、「在宅勤務」と「育休中の自宅保育」の線引きが実務上の重要テーマになっています。

在宅勤務が「就業」と判定されるケース

在宅勤務は実施した場合は就業としてカウントされます。 テレワークだから育休中の就業にならないという特例はありません。ハローワークへの申告においても、在宅勤務の日数・時間は通常の就業と同様に計上する必要があります。

判定のポイントは以下の通りです。

状況 「就業」としての扱い
会社の業務命令により在宅で作業 就業としてカウント
自主的に資料を作成・メールを確認 業務命令があれば就業に該当しうる
育児の合間に軽くチャットで連絡 業務の実態次第で要確認
育休中の自己学習・資格勉強 就業にはあたらない

在宅勤務と祖父母保育が重なるケースの注意点

「祖父母に子どもを見てもらいながら自分は在宅で仕事をする」という状況は、現実には珍しくありません。このケースでは以下のように整理されます。

  • 祖父母の保育時間が週20時間以上 かつ 育休取得者が就業(在宅勤務含む)
    → 就業の事実があるため、就業日数・時間数によっては給付金の減額・停止対象

  • 祖父母の保育時間が週20時間未満・就業は月10日以内80時間以内
    原則として給付金は支給される(就業収入との調整計算は発生する場合あり)

在宅勤務の時間数・日数の把握と正確な申告が不正受給防止の観点からも重要です。勤務実績は会社側のタイムカードやPCログでも確認されることがあるため、虚偽申告は厳禁です。


申請手続きの流れと必要書類

育児休業給付金の申請・受給手続きは、事業主(会社)を通じてハローワークに対して行うのが原則です。2024年以降は電子申請の活用も広がっています。

申請の全体フロー

【ステップ1】育児休業の開始
    ↓(育休開始後、速やかに)
【ステップ2】受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書の提出
    (事業主がハローワークに提出)
    ↓
【ステップ3】ハローワークによる受給資格の確認・通知
    ↓
【ステップ4】以降、2か月ごとに支給申請(事業主経由)
    ↓
【ステップ5】就業・保育の開始時は「速報届出(就業日数の申告)」
    ↓
【ステップ6】支給額の確定・口座振込

必要書類一覧

育児休業給付受給資格確認時

書類名 入手先 記入者
育児休業給付受給資格確認票(初回申請書兼用) ハローワーク・厚労省HP 事業主が記入・署名
育児休業申出書(社内) 会社規程による 被保険者本人
賃金台帳・タイムカード等 会社が保管 提出用コピー
母子健康手帳(出生確認用) 本人所持 コピー提出

定期支給申請時(2か月ごと)

書類名 備考
育児休業給付金支給申請書 事業主が作成・押印
賃金台帳(当該期間分) 就業収入があった場合は必須
出勤簿・タイムカード 就業日数の確認用

就業・保育変化が生じた場合

状況 届出書類
育休中に就業した場合 就業日数・時間数を支給申請書に記載
育休を途中で終了する場合 育児休業終了届(事業主提出)
育休を延長する場合 育児休業期間変更申出書(社内手続き)

申請期限と注意事項

  • 受給資格確認票の提出期限: 育児休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日まで(遅延すると給付金を受け取れない期間が生じます)
  • 支給申請の期限: 各支給対象期間の末日翌日から起算して2か月以内
  • 速報届出の重要性: 就業を開始した月や保育状況が変わった月は、遅滞なく申告が必要です。事後的な訂正が不正受給と判断されるリスクがあります。

給付金の計算例:祖父母保育+育休中就労のシミュレーション

具体的な数字で給付金額がどう変わるかを確認しましょう。

前提条件:
– 育休前の月収:30万円(賃金日額:10,000円、30日換算)
– 育休開始から6か月以内(給付率67%)
– 1支給単位期間:30日

ケース①:祖父母保育のみ・就業なし

支給額 = 10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円
→ 就業なしのため満額支給

ケース②:月8日・48時間の在宅勤務あり(就業収入:4万円)

基本支給額 = 201,000円
就業収入 = 40,000円
合計 = 241,000円

休業前賃金の80%の上限 = 300,000円 × 80% = 240,000円
合計が上限を超えるため、超過分1,000円を給付金から控除
→ 実際の支給額 = 200,000円

ケース③:月11日の就業(10日超)

就業日数が10日を超えるため
→ 当該支給単位期間は支給停止(0円)

このように、就業日数・収入額によって給付金の受取額は段階的に変わります。在宅勤務の日数管理は、受給者にとっても会社にとっても重要な実務です。


人事担当者が注意すべきポイント

育休取得者の給付金申請は、法律上事業主が代行することが原則です。従業員が適切な給付金を受け取れるよう、人事担当者は以下の点に注意してください。

確認すべき主なポイント

① 就業日数・時間数の正確な集計
育休中の従業員が在宅勤務を行っている場合、タイムカードや業務日報でその記録を残し、支給申請書に漏れなく記載します。過少申告・未申告は不正受給とみなされる可能性があります。

② 分割取得時の切れ目の管理
令和4年改正により育休は2回に分割取得できます。第1回と第2回の間に就業期間が生じた場合、その期間の給付金は支給されません。育休の開始・終了日と就業開始日の記録を正確に管理しましょう。

③ 祖父母保育の状況ヒアリング
「祖父母に子どもを預けながら就業しているか」について、育休取得者と率直にコミュニケーションをとることが重要です。事実確認を怠ると、事業主側も不正受給の幇助と問われる可能性があります。

④ 電子申請の活用
2023年度以降、一定規模以上の事業所では育児休業給付金申請の電子申請が努力義務となっています。e-Gov電子申請システムを活用すると処理が迅速化され、記載ミスも防ぎやすくなります。


まとめ:祖父母保育と給付金の関係を正確に理解しよう

本記事の要点を整理します。

  • 祖父母保育だけでは育休給付金は減額されない
  • 減額・停止の条件は「就業の事実」であり、保育の有無は直接の要因ではない
  • 在宅勤務も就業としてカウントされ、日数・時間数によって給付額が変わる
  • 週20時間超の祖父母保育+就業が重なる場合は支給停止リスクが高まる
  • 申請は事業主経由でハローワークへ。期限を守って正確に申告することが最重要

育休給付金の制度は、子育て家庭を経済的に支える重要な仕組みです。誤った情報に振り回されず、法的根拠に基づいた正確な理解のもとで申請を行いましょう。不明点があればハローワーク(各都道府県労働局)の窓口や、社会保険労務士への相談をお勧めします。

育児休業給付金について詳しく知りたい方は、厚生労働省の公式ページやお近くのハローワークにお問い合わせください。専門家の無料相談窓口も多数あります。


よくある質問

Q1. 祖父母が毎日子どもを見ていても、私が就業しなければ給付金は減りませんか?

はい、原則として減りません。給付金の減額・停止の直接的な要因は「就業の事実」です。育休取得者本人が就業していない限り、祖父母が毎日保育を担っていても給付金の支給に影響はありません。ただし、育休の実態(職場への復帰の意思等)について会社・ハローワークと誠実にコミュニケーションをとることが大切です。

Q2. 在宅勤務を月に数時間だけ行う場合はどうなりますか?

就業日数が月10日以内、かつ就業時間が月80時間以内であれば給付金は支給されます。ただし就業収入がある場合、「賃金+給付金の合計が休業前賃金の80%を超える分」だけ給付金が減額される計算が適用されます。数時間程度であれば大きな影響は出ないケースが多いですが、必ず支給申請書に就業実績を正確に記載しましょう。

Q3. 育休中に就業した事実を申告しなかった場合、どうなりますか?

不正受給として、給付金の返還命令(2倍返還)および場合によっては刑事罰の対象となります。在宅勤務の記録は会社のPCログや業務システムに残ることが多く、後から発覚するケースもあります。必ず正確に申告してください。

Q4. 産後パパ育休(出生時育児休業)でも同じルールが適用されますか?

基本的には同様の判定ルールが適用されます。ただし産後パパ育休には、育休期間中の就業に関して事前の労使協定と本人の合意があれば就業できる「育休中就業」の仕組みが設けられています。この場合も就業日数・時間数の上限を超えると給付金が支給停止となります。

Q5. 給付金の申請を誤った場合、訂正はできますか?

支給申請後に誤りが判明した場合は、速やかにハローワークに申し出て修正手続きを行うことができます。ただし、意図的な過少申告・虚偽申告は不正受給とみなされるため、気づいた時点で早急に申し出ることが重要です。


参考法令・情報源
– 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第61条
– 雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)第72条
– 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)
– 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」(2025年版)
– ハローワークインターネットサービス(公式)

免責事項: 本記事は2025年時点の法令・制度に基づく一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、所轄のハローワークまたは社会保険労務士にご相談ください。

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