認可外保育施設で給付金減額?基準・届出手続き完全解説

認可外保育施設で給付金減額?基準・届出手続き完全解説 育児休業制度

育休中に「保育施設を利用したい」と考える親御さんは少なくありません。しかし、認可外保育施設を利用した場合、育児休業給付金が減額される可能性があることはあまり知られていません。

「知らなかったせいで届出が遅れ、給付金を過払いされた」「返還を求められた」という事例も実際に発生しています。この記事では、給付金が減額される具体的な基準・届出手続き・必要書類を、2026年の最新情報をもとに詳しく解説します。


そもそも「認可外保育施設」とは?認可保育園との違いを整理

制度の説明に入る前に、「認可外保育施設」と「認可保育園」の違いをきちんと整理しておきましょう。ここを理解していないと、自分が利用している施設が給付金の減額対象かどうか判断できません。

認可保育園・認定こども園との違い

「認可保育園」とは、児童福祉法の基準を満たし、都道府県知事(または政令市・中核市の長)から認可を受けた保育施設のことです。設備・保育士の配置基準・安全基準が法律で細かく定められており、自治体からの公的補助を受けて運営されています。

「認定こども園」も同様に、内閣府が定める基準を満たし、都道府県知事の認定を受けた施設です。保育機能と幼稚園機能を合わせ持ち、認可保育園と同様に国・自治体の支援のもとで運営されます。

一方、「認可外保育施設」は、都道府県への届出は必要ですが、上記の認可・認定を受けていない施設の総称です。届出済みであっても認可外は認可外であり、給付金の扱いが大きく異なります。

認可外保育施設の主な種類

以下の表で代表的な施設を比較してみましょう。

施設の種類 認可区分 給付金減額の対象 備考
認可保育園 認可 対象外 都道府県知事認可
認定こども園 認定 対象外 内閣府認定
認可外保育施設(一般) 認可外 対象になりうる 都道府県への届出のみ
ベビーシッター(個人・法人) 認可外 対象になりうる 自宅訪問型も含む
院内保育所・病院内託児所 認可外(多くの場合) 対象になりうる 一部認可例外あり
企業主導型保育所 内閣府助成(認可外) 対象になりうる 認可外扱いが原則
自治体独自の認証保育所 自治体独自認証(認可外) 対象になりうる 東京都認証保育所など
事業所内保育施設 認可外(多くの場合) 対象になりうる 認可取得済みは除く

ポイント: 認可外保育施設かどうかは「名称」ではなく「都道府県知事による認可の有無」で判断されます。「認証保育所」「企業主導型」のように公的助成があっても、認可を受けていなければ認可外として扱われます。


育休中に認可外保育施設を利用すると給付金が減額される理由

「なぜ認可外に預けると給付金が減るの?」と疑問に思う方は多いはずです。その背景には、育児休業給付金の制度設計の「趣旨」と、法律による明確な根拠があります。

法的根拠:雇用保険法施行規則 第100条の5とは

育児休業給付金の支給要件は雇用保険法第61条の7に定められており、その具体的な計算・減額ルール雇用保険法施行規則第100条の5に規定されています。

同規則では、育休期間中に就業した日数(就業日数)と、認可外保育施設を利用した日数を合算した日数が、一定の基準を超えた場合に給付金を減額すると定めています。つまり、認可外施設の利用は「就業と同等の日数カウント」として法律上位置づけられているのです。

法令 条文番号 主な内容
雇用保険法 第61条の7 育児休業給付金の受給要件・支給額
雇用保険法施行規則 第100条の5 給付金の減額基準・計算方法
育児・介護休業法 第2条 育児休業の定義

「就業準備」とみなされる理由とロジック

育児休業給付金は、本来「育児に専念するために仕事を休む期間の所得を補償する」制度です。

ここで「認可保育園」と「認可外保育施設」の本質的な違いが重要になります。

  • 認可保育園への入所は、「保育の必要性の認定」を自治体が行い、保護者が働いていることが前提条件となります。つまり、認可保育園を利用することは「職場復帰後の保育確保」という意味合いが強く、育休中の利用についても「復帰に向けた準備」として社会的に認められています。
  • 一方、認可外保育施設は保護者の就労状況を問わずに利用できます。育休中であっても、自由に子どもを預けてフリーな時間を作ることができる——つまり、就業できる状態にあるとみなされるのです。

この論理から、「認可外保育施設を月10日以上利用=就業できる状態が月10日以上ある=育児専念期間の給付を減額する」というルールが設けられています。


給付金が減額される具体的な基準と条件【月10日ルールを詳解】

ここが最も重要なセクションです。「自分の場合は減額されるのか?」を正確に判断するために、基準と条件を詳しく見ていきましょう。

月10日以上の利用で減額対象になるケース

育児休業給付金の減額が発生する基準は、支給単位期間(原則として2か月に1回申請する約30日ごとの期間)の中で、就業日数と認可外保育施設の利用日数の合計が10日を超えた場合です。

「月10日ルール」の具体的な基準:
支給単位期間(約1か月)内において、
就業日数 + 認可外保育施設の利用日数 > 10日
となった場合、給付金が減額されます。

【具体例①】認可外のみ利用した場合

ケース 認可外利用日数 就業日数 合計 判定
ケースA 8日 0日 8日 減額なし
ケースB 10日 0日 10日 減額なし(10日以下)
ケースC 11日 0日 11日 減額あり
ケースD 15日 0日 15日 減額あり

【具体例②】就業もしながら認可外を利用した場合(合算)

ケース 認可外利用日数 就業日数 合計 判定
ケースE 5日 6日 11日 減額あり
ケースF 8日 3日 11日 減額あり
ケースG 4日 6日 10日 減額なし

⚠️ 注意: 就業日数と認可外利用日数が重複する日(同じ日に就業もしており、かつ認可外施設も利用した日)がある場合、その日は「1日」としてカウントされます。

認可保育園・認定こども園は減額対象外である理由

先述の「就業準備とみなされる」ロジックの裏返しとして、認可保育園や認定こども園は減額対象外です。

認可保育園・認定こども園への入所は、自治体が「保育の必要性あり」と認定した上で行われます。育休中に認可保育園に子どもを入所させることは、主に上の子の在園継続や、育休明け復帰のための保育確保という目的で認められており、「就業できる状態になった」とは法律上みなされません。

そのため、認可保育園・認定こども園は何日利用しても、それ自体が給付金の減額理由にはなりません

ベビーシッター・病院内託児所など要注意の施設一覧

「名前に保育が入っているから大丈夫」「自治体が関わっているから認可のはず」という思い込みは禁物です。以下の施設は認可外として扱われ、月10日以上利用すれば減額対象になります。

施設名 認可外認定の理由 注意点
ベビーシッター(個人・法人共) 認可申請の対象外 訪問型でも施設型でも同様
院内保育所(病院運営) 多くが認可外届出のみ 認可取得済みの場合は除く
企業主導型保育所 内閣府助成≠認可 共同利用契約でも同じ扱い
東京都認証保育所 都独自認証≠国の認可 他道府県の独自認証も同様
自治体の補助を受けた認可外 補助≠認可 施設の認可証を確認すること
事業所内保育施設(認可外) 認可申請未了の場合 認可取得済みは除く

施設が認可か認可外かを確認する方法:
1. 施設に直接「認可保育所の認可を受けていますか?」と問い合わせる
2. 自治体(市区町村の保育担当課)の認可保育所リストで確認する
3. 施設の「認可証」の有無を確認する(施設に掲示義務あり)

育休中に就業した日数との合算はどうなる?

前述の通り、就業日数と認可外保育施設の利用日数は合算されます。これは多くの方が見落としがちな重要ポイントです。

育休中の「就業」については別途ルールがあり、月10日以下(ただし10日を超えた場合は80時間以下)の就業は認められていますが、その就業日数が認可外利用日数と合算される点には注意が必要です。

【よくある誤解パターン】

「育休中に週1回だけパートをしている(月4日)から大丈夫」
「認可外保育施設も週2日だけ(月8日)だから大丈夫」
→ 合計12日 → 減額対象!

育休中に就業と認可外保育の両方を行っている場合は、必ず合計日数を確認してください。


減額された場合の給付金額の計算方法

実際にどれくらい減額されるのか、計算方法を確認しておきましょう。

通常の育児休業給付金の計算式

通常(減額なし)の育児休業給付金の支給額は以下のとおりです。

育休開始から180日目まで(約6か月):

休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

育休181日目以降:

休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

「休業開始時賃金日額」は、育休開始前6か月の賃金総額を180で割った金額です(ハローワークが計算します)。

減額時の給付金計算方法

就業日数と認可外保育利用日数の合計が10日を超えた場合、以下のように減額されます。

給付金減額の計算式:

(通常の給付金額)−(休業開始時賃金日額 × 就業等日数分

具体的には、「超過した就業等日数(合計日数のうち10日を超えた分)」に応じて、賃金が支払われたものとみなして給付金から差し引かれます。

【具体的な計算例】

  • 休業開始時賃金日額:1万円
  • 支給単位期間:30日
  • 就業日数 + 認可外利用日数:15日(10日超過、超過分5日)
  • 育休開始180日以内(給付率67%)の場合
通常給付金額 = 10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円

超過分の賃金相当額 = 10,000円 × 5日 = 50,000円

減額後の給付金 = 201,000円 − 50,000円 = 151,000円

注意: この計算は簡略化したものです。実際の計算はハローワークが行います。正確な金額は担当窓口に確認してください。


届出手続きの流れと必要書類

給付金の減額は「自動的に処理される」わけではありません。届出が必要であり、届出を怠ると過払いが発生し、後日返還を求められる可能性があります。

変更届出が必要なタイミング

以下のタイミングで、速やかにハローワークへの届出が必要です。

  1. 育休中に認可外保育施設を利用し始めたとき
  2. 認可外保育施設の利用日数が変化したとき(増減)
  3. 育休中に就業を開始・変更・終了したとき

申請手続きの全体フロー

【STEP 1】育児休業開始
         ↓
【STEP 2】育児休業給付金 初回申請
         (育休開始後2か月経過後、ハローワークへ)
         ↓
【STEP 3】給付金受給開始(2か月に1回申請・受給)
         ↓
【STEP 4】認可外保育施設の利用開始
         ↓
【STEP 5】「育児休業給付金支給申請書」で利用実績を申告
         ※通常の支給申請と同タイミングで申告
         ↓
【STEP 6】ハローワークが日数を確認・給付金額を確定
         ↓
【STEP 7】減額後の給付金が支給

必要書類の一覧

書類名 入手先 備考
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク・厚生労働省HPからDL可 毎回の申請時に使用
認可外保育施設の利用を証明する書類 施設が発行 利用日数が確認できるもの(利用証明書・領収書・登園記録など)
就業した日がある場合:就業記録 勤務先 タイムカード・給与明細など
育児休業取扱通知書(写し) 勤務先 初回申請時のみ(既提出の場合不要)
母子健康手帳(写し) 手元に保管 子どもの生年月日確認のため(初回申請時のみ)

提出先: 原則として会社(事業主)経由でハローワークに提出します。ただし、会社の協力が得られない場合などは、直接ハローワークに相談してください。

届出を怠った場合のリスク

認可外保育施設の利用日数を申告しなかった場合、後日ハローワークの調査で発覚することがあります。その際は給付金の返還(返還命令)が発生します。悪意のある不正受給と判断されると、返還額の2倍の納付命令が下される場合もあります(雇用保険法第10条の4)。

「面倒だから申告しない」は絶対に避け、必ず正確に届け出ましょう。


育休の延長(1歳6か月・2歳)と認可外保育施設の関係

育休は原則1歳までですが、「保育所等に入所できない場合」は1歳6か月、さらに2歳まで延長できます(育児・介護休業法第5条第3項・第4項)。

延長申請と認可外保育施設の関係で注意すること

育休を1歳6か月・2歳まで延長するためには「認可保育所等に入所できなかった」という事実が必要です。

ここで注意が必要なのが、「認可外保育施設を利用している場合、育休の延長要件を満たさないとみなされる可能性がある」という点です。

  • 認可保育所の入所申込みを行い、落選・待機の状態にあること→延長可能
  • 認可外保育施設を利用していても、認可保育所に申し込んでいれば延長可能
  • 認可外保育施設のみを利用しており、認可保育所に申し込んでいない場合→延長不可の可能性あり

育休の延長を予定している方は、必ず認可保育所への入所申込みを行った上で、不承諾通知書(落選通知)を取得してください。この不承諾通知書が育休延長の証明書類となります。


人事担当者が知っておくべき対応ポイント

企業の人事担当者にとっても、この制度は重要です。育児休業制度の正確な運用は、従業員満足度の向上と法的リスクの回避に直結します。

事業主の役割

育児休業給付金の申請は、事業主(会社)がハローワークに対して代理申請するのが原則です。そのため、以下の対応が求められます。

  1. 育休取得者への事前説明義務:認可外保育施設の利用が給付金に影響する旨を、育休開始前に案内する
  2. 利用状況の確認:支給申請時に、対象者から認可外保育施設の利用日数を確認する
  3. 正確な申告:虚偽の申請を防ぐため、証明書類の確認を徹底する
  4. 変更が生じた際の速やかな対応:利用状況が変わった場合、次回の支給申請時に速やかに反映する

社内規程への反映例

育児・介護休業規程に「育休中の認可外保育施設利用の届出義務」を明記しておくと、従業員への周知・トラブル防止に役立ちます。

(例)第○条 育児休業中の申告義務
育児休業中の従業員は、認可外保育施設を利用する場合、
その施設名・利用開始日・利用日数を速やかに人事担当者に申告しなければならない。
申告を怠り、給付金の返還命令が発生した場合、
従業員本人の責任で返還に応じるものとする。

まとめ:認可外保育施設利用時の給付金対策チェックリスト

この記事で解説した内容を整理します。

【育休中の認可外保育施設利用チェックリスト】

  • [ ] 利用予定の施設が「認可」か「認可外」かを施設に確認した
  • [ ] 月の利用日数が10日以下に収まるよう計画した(または減額を把握した)
  • [ ] 育休中に就業する場合、就業日数と認可外利用日数の合計が10日以下か確認した
  • [ ] 認可外施設利用の利用証明書(利用日数がわかるもの)を施設から入手した
  • [ ] 支給申請時に正確な利用日数をハローワークに申告した
  • [ ] 育休延長を予定している場合、認可保育所に入所申込みをした
  • [ ] 育休延長のための不承諾通知書(落選通知)を取得した

認可外保育施設の利用と給付金減額のルールは複雑ですが、正確に理解し、早期に行動することで、予期しない返還請求を防ぐことができます。不安な場合は、施設の確認やハローワークへの相談を躊躇せず、正確な情報に基づいて判断してください。


よくある質問(FAQ)

Q1. ベビーシッターは何日利用しても減額対象ですか?

ベビーシッターは認可外保育施設に該当するため、月10日を超えて利用した場合は減額対象です(就業日数との合算も必要です)。月10日以下であれば減額されません。

Q2. 認可外保育施設の利用料は保育料補助制度で軽減できますか?

2019年10月から始まった幼児教育・保育の無償化制度において、3歳〜5歳の子どもを認可外保育施設に預ける場合、月3.7万円を上限に利用料の補助が受けられます(保育の必要性の認定を受けた場合)。ただし、この補助は給付金の減額ルールとは別の制度です。給付金の減額有無に関係なく、無償化の補助は申請できます。

Q3. 企業主導型保育所は何日利用しても大丈夫ですか?

企業主導型保育所は国の助成を受けていますが、認可外保育施設として扱われます。そのため、月の合算利用日数が10日を超えると給付金の減額対象となります。ご注意ください。

Q4. 毎月届出が必要ですか?それとも最初に一度だけでよいですか?

認可外保育施設の利用実績は、毎回の給付金支給申請(2か月ごと)のたびに申告する必要があります。毎月の利用日数が変わる場合は、その都度正確な日数を申告してください。

Q5. 利用日数を自己申告するのではなく、施設の記録で確認されますか?

原則として利用者(育休取得者)が利用日数を申告し、施設発行の証明書類を添付します。施設から直接ハローワークに通知されるわけではありませんが、虚偽申告が発覚した場合には給付金の返還命令が下されますので、必ず正確に申告してください。

Q6. 育休中に配偶者が認可外保育施設に連れて行った日もカウントされますか?

給付金の減額は「子どもが認可外保育施設を利用した日数」に基づいて判定されます。連れて行った人物(本人か配偶者か)は関係なく、子どもが施設を利用した日数でカウントされます。


参考法令・関連リンク

  • 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第61条の7
  • 雇用保険法施行規則 第100条の5
  • 育児・介護休業法(平成3年法律第76号)第5条
  • 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
  • ハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/)

免責事項: 本記事は2026年時点の情報をもとに作成しています。法令・制度は改正される場合があります。具体的な手続きは、最寄りのハローワークまたは社会保険労務士にご相談ください。

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