月額上限廃止で育休給付金はいくら増える?2025年新規申請者の増額早見表

月額上限廃止で育休給付金はいくら増える?2025年新規申請者の増額早見表 育休給付金

2025年4月1日、育休給付金の制度に大きな変化が起きました。長年にわたって設けられていた月額上限(43.8万円)が廃止され、高収入者を中心に給付額が大幅に増加します。

「自分は対象になるのか」「実際にいくら増えるのか」「申請手続きは変わったのか」——こうした疑問に対して、月給別シミュレーション表や申請手続きの変更点をまじえながら、わかりやすく解説します。制度の根拠となる雇用保険法の改正内容から、実際の支給額計算まで、育休給付金に関する最新情報をお伝えします。


2025年4月の月額上限廃止とは?改正の全体像をわかりやすく解説

改正前(2024年度まで)の上限額はいくらだったか

育児休業給付金は、雇用保険法第61条から第61条の4を根拠として支給される給付金です。育休取得者が育休期間中に受け取れる給付金の額は、「休業開始前の賃金月額 × 給付率」 で計算されます。

給付率は、育休開始から180日目までが67%、181日目以降が50% です。

しかし2024年度までは、計算の元となる賃金月額に上限が設けられており、451,800円(以下「上限賃金月額」) までしか計算に使えませんでした。

2024年度の支給上限額(月額)の計算例
上限賃金月額 451,800円 × 67% ≒ 302,706円(育休開始〜180日目)
上限賃金月額 451,800円 × 50% ≒ 225,900円(181日目以降)

つまり、月給が約65万円以上あったとしても、給付金の計算上は「月給45.18万円の人」として扱われ、それ以上の給付は受け取れませんでした。月給100万円の方も、月給70万円の方も、給付金の上限は同じだったのです。

この仕組みは、高収入者ほど育休取得による経済的なダメージが大きいという問題を生み出していました。特に共働き世帯で収入の高い方が育休を取得しにくい要因の一つとされ、育休促進の観点から制度見直しの議論が続いていました。

2025年4月1日施行の雇用保険法改正では、この月額上限制度が廃止されることになりました。改正により、理論上は実際の賃金月額に給付率を掛けた金額がそのまま支給される形になります。


廃止が適用されるのは「2025年4月以降の新規申請者」だけ?

月額上限廃止が適用されるのは、育児休業の開始日が2025年4月1日以降の方 です。

2025年3月31日以前に育休を開始した方は、従来の上限額が適用されます。同一の育休期間中に制度が変わっても、途中から上限廃止の恩恵を受けることはできません。

育休開始日 適用される制度
2025年3月31日以前 上限あり(旧制度)
2025年4月1日以降 上限廃止(新制度)

「自分は対象か?」を確認するポイント

  • 育休開始予定日が2025年4月1日以降 → 新制度が適用される
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)も同様に、取得開始日が2025年4月1日以降であれば対象

なお、1歳以降に延長育休を取得する場合も、延長育休の開始日が2025年4月1日以降であれば新制度の対象となります。既に1歳前の育休を旧制度で受給していた場合でも、延長部分から新制度が適用されるかどうかについては、厚生労働省の詳細通知を確認するか、ハローワークへ問い合わせることをおすすめします。


月給別シミュレーション|廃止前後で給付金はいくら増えるか早見表

上限廃止の恩恵がもっとも実感しやすいのが、この月給別の比較表です。月給ごとに「旧制度(上限あり)」と「新制度(上限廃止)」の給付月額を比較しました。

育休開始から180日目まで(給付率67%)の月額比較

月給(税込) 旧制度(上限43.8万円) 新制度(上限廃止) 増額幅
30万円 201,000円 201,000円 変化なし
40万円 268,000円 268,000円 変化なし
50万円 302,706円(上限) 335,000円 +32,294円
60万円 302,706円(上限) 402,000円 +99,294円
70万円 302,706円(上限) 469,000円 +166,294円
80万円 302,706円(上限) 536,000円 +233,294円
100万円 302,706円(上限) 670,000円 +367,294円

※「旧制度」の上限は、賃金月額上限451,800円 × 67% ≒ 302,706円
※「新制度」は月給 × 67%で計算(端数は1,000円単位で調整)
※実際の給付額は、ハローワークが確認した「休業開始前賃金日額」をもとに計算されます

育休181日目以降(給付率50%)の月額比較

月給(税込) 旧制度(上限43.8万円) 新制度(上限廃止) 増額幅
30万円 150,000円 150,000円 変化なし
40万円 200,000円 200,000円 変化なし
50万円 225,900円(上限) 250,000円 +24,100円
60万円 225,900円(上限) 300,000円 +74,100円
70万円 225,900円(上限) 350,000円 +124,100円
80万円 225,900円(上限) 400,000円 +174,100円
100万円 225,900円(上限) 500,000円 +274,100円

※「旧制度」の上限は、賃金月額上限451,800円 × 50% ≒ 225,900円


育休6ヶ月間の総受給額で比較するとどう変わるか

一時的な月額の差だけでなく、育休期間全体(ここでは6ヶ月=約180日)で見ると、総受給額の違いがより鮮明になります。

月給(税込) 旧制度・6ヶ月合計 新制度・6ヶ月合計 総増額幅
50万円 約181.6万円 約201万円 +約19.4万円
60万円 約181.6万円 約241.2万円 +約59.6万円
80万円 約181.6万円 約321.6万円 +約140万円
100万円 約181.6万円 約402万円 +約220.4万円

※6ヶ月間すべて67%の給付率が適用される期間として試算
※実際の支給は2ヶ月ごとにまとめて支払われます

月給100万円の方であれば、6ヶ月の育休で220万円以上の増額になります。これは育休取得の経済的ハードルを大きく下げる制度変更といえます。


上限廃止の恩恵を受けるのは月給いくら以上から?

改正前の賃金月額上限は451,800円でした。したがって、月給が約45.2万円を超える方 から新制度の恩恵を受け始めます。

月給45.2万円以下の方は旧制度でも上限に達しないため、計算上の変化はありません。ただし、制度全体の支給要件や手続き方法は共通ですので、以下の申請手続きの情報は全員に関係します。


給付金の計算方法|「賃金月額」はどう決まるか

シミュレーションでは「月給」を使いましたが、実際の給付金計算で使われる数字は「休業開始時賃金日額」 と呼ばれるものです。

休業開始時賃金日額の計算式

休業開始時賃金日額 = 育休開始前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180日

ここでの「賃金」は、原則として育休開始前6ヶ月分の給与(通勤手当含む。ただし3ヶ月を超えて支払われる賞与等は除く)の合計を180日で割った金額です。

計算例(月給60万円の方)
育休前6ヶ月の賃金合計:60万円 × 6ヶ月 = 360万円
休業開始時賃金日額:360万円 ÷ 180日 ≒ 20,000円/日
賃金月額(30日換算):20,000円 × 30日 = 600,000円
給付月額(67%):600,000円 × 67% = 402,000円

なお、この計算をもとに実際の支給申請・決定はハローワークが行います。申請者本人が計算を行う必要はありませんが、概算の確認に役立ててください。


申請手続きの流れと必要書類

月額上限の廃止は制度の計算方法が変わるものであり、申請手続きの基本的な流れは従来と変わりません。ただし、給付額が変わることで「支給決定通知書」の内容は変わります。

申請の基本フロー

STEP 1:育休取得の申し出(事業主へ)
   ↓
STEP 2:事業主がハローワークへ「育児休業給付受給資格確認票」等を提出
   ↓
STEP 3:初回の「育児休業給付金支給申請書」を提出
        (育休開始から約2ヶ月後が目安)
   ↓
STEP 4:2ヶ月ごとに「育児休業給付金支給申請書」を提出
   ↓
STEP 5:支給決定通知書の受取・口座への振込(申請から約1〜2週間後)

多くの会社では事業主(会社)がハローワークへの申請を代行します。申請手続きは会社の人事・総務部門と確認を取りながら進めましょう。


初回申請に必要な書類一覧

書類名 用意する人 備考
育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書 事業主(会社) ハローワーク所定書式
母子健康手帳の写し(出生届出済証明のページ) 本人 子の出生日・氏名の確認用
育児休業申出書の写し 会社保管のものを確認 育休申出を証明する書類
賃金台帳・出勤簿等 事業主(会社) 育休前6ヶ月の賃金確認用
雇用保険被保険者証 本人または会社 被保険者番号の確認用
振込先口座の通帳写し(初回のみ) 本人 本人名義の口座に限る

※書類の様式や提出窓口はハローワークによって異なる場合があります。事前に管轄のハローワークに確認することをおすすめします。


2ヶ月ごとの継続申請で注意すること

育休給付金は一括ではなく、2ヶ月分ずつまとめて申請・支給されます。ハローワークから指定された申請期間(「支給単位期間」ごとの締め日から約1ヶ月以内が目安)を過ぎると、支給が遅れる場合があります。

また、育休中に一定日数以上就労した場合(月の就業日数が10日超、または就業時間が80時間超)は、給付金が減額・不支給になることがあります。在宅勤務や短時間勤務のルールも確認しておきましょう。


パパ育休(産後パパ育休)にも月額上限廃止は適用される?

2022年10月に創設された産後パパ育休(出生時育児休業) も、育児休業給付金の対象です。パパ育休の給付金は、出生後8週間以内に最大4週間(28日間)取得できる制度で、給付率は原則67%です。

2025年4月1日以降にパパ育休を開始した方にも、月額上限廃止が適用されます。父親の育休取得率向上が政策目標として掲げられている中、高収入の父親が経済的な理由で育休を諦めるケースを減らす狙いがあります。

パパ育休の給付金(月給80万円・28日取得の場合)
旧制度:302,706円(1ヶ月相当・上限あり)
新制度:536,000円(1ヶ月相当・上限なし)
約233,294円の増額


産休手当(出産手当金)との違いに注意

育休給付金と混同されやすいのが、産休中に受け取る「出産手当金」 です。この2つは制度の根拠・支給元・計算方法が異なります。

項目 育休給付金 出産手当金
支給元 雇用保険(ハローワーク) 健康保険(協会けんぽ等)
対象期間 育休中(子が原則1歳になるまで) 産前42日・産後56日
給付率 67%(180日まで)・50%(181日以降) 標準報酬日額の2/3
月額上限 2025年4月より廃止 標準報酬月額の上限あり(2024年度上限:標準報酬月額139万円)
申請先 会社経由でハローワーク 会社経由で健康保険組合等

出産手当金の月額上限については、今回の改正対象ではありません。出産手当金を受け取っている産休中の期間と、育休給付金を受け取る育休期間は連続していますが、それぞれ異なる制度として申請が必要です。


高収入者が育休を取得しやすくなる?制度改正の背景と意義

なぜ月額上限が廃止されたのでしょうか。背景には、以下のような政策課題があります。

① 育休取得率の男女格差
2023年度の育休取得率は女性が約84%に対し、男性は約30%にとどまっています(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。男性の育休取得が進まない理由の一つとして、収入が高い父親ほど育休中の収入減少が大きいという経済的な理由が挙げられてきました。

② 共働き世帯の所得保障
子育て世代の共働き比率は年々高まっており、夫婦どちらも育休を取得することへの経済的なサポートが求められていました。

③ 少子化対策としての育休促進
政府は「こども未来戦略」において、育休給付の充実を少子化対策の柱として位置づけています。上限廃止はその具体策の一つです。


申請でよくある疑問・注意点

Q1. 育休給付金は非課税?税金はかかる?

育児休業給付金は所得税・住民税の課税対象外です。雇用保険の給付金に分類されるため、受け取った給付金に対して所得税は課税されません。ただし、育休期間中も社会保険料(健康保険・厚生年金)の免除を受けるための手続きが別途必要です(事業主が年金事務所へ申請します)。

Q2. 育休中にフリーランスの副業をしていても受け取れる?

副業の内容によります。育休中に「雇用関係のある就労(アルバイト等)」をしている場合、就業日数・時間によって給付金が減額または不支給になる場合があります。フリーランスとしての業務委託であっても、実態として「就労」とみなされる可能性があるため、事前にハローワークへ確認することを強くおすすめします。

Q3. 申請が遅れた場合はどうなる?

支給申請には期限(申請期間の末日から2年間) が設けられています。2ヶ月ごとの継続申請を会社が代行している場合でも、手続き漏れがないか定期的に確認しましょう。時効により受け取れなくなるケースもあるため、申請状況は本人も把握しておくことが大切です。

Q4. 双子の場合、育休給付金はどうなる?

双子(多胎児)の場合でも、育休給付金は一人分の計算に基づいて支給されます。ただし、双子を育てることで育休延長の判断基準が変わる場合や、申請方法に特例が設けられる場合があります。管轄のハローワークへ詳細を確認することをおすすめします。

Q5. 育休給付金の上限廃止後も「支給停止」になるケースはある?

あります。以下の場合は給付が停止または減額されます。

  • 育休中の月の就業日数が10日を超えた場合(または就業時間が80時間を超えた場合)
  • 事業主から支払われる賃金と給付金の合計が、休業前賃金の80%を超えた場合
  • 育休期間が終了した場合(子が1歳・延長の場合は1歳6ヶ月・2歳に達した日)

Q6. 育休給付金の申請はいつからいつまでにやればいい?

初回申請は育休開始から約2ヶ月後が目安です。具体的なスケジュール(支給単位期間)はハローワークから案内されます。給付金申請の時効は申請期間の末日から2年間です。会社が手続きを代行している場合でも、本人が進捗状況を把握しておくことが重要です。


まとめ|2025年4月からの育休給付金はこう変わる

最後に、本記事の要点を整理します。

ポイント 内容
何が変わった? 育休給付金の月額上限(43.8万円)が廃止
いつから? 2025年4月1日以降に育休を開始した方から適用
誰が得する? 月給約45万円超の方(上限に達していた方)
最大の増額幅は? 月給100万円で月額約+37万円(67%期間)
申請手続きの変更は? 基本的な流れは変わらず。書類・期限は従来通り
パパ育休にも適用? はい、2025年4月1日以降の開始分から適用

2025年4月からの制度変更は、特に共働きで収入の高い方にとって育休取得の経済的ハードルを大幅に引き下げるものです。「収入が下がるから育休は取れない」と諦めていた方も、ぜひ改めてシミュレーションを確認してみてください。

申請手続きの詳細や個別の給付額の確認は、管轄のハローワーク または 会社の人事・総務担当者 にご相談ください。制度改正後の最新の通達や様式については、厚生労働省の公式サイト でも確認できます。

育休給付金制度は今後も改善が続く可能性がありますので、定期的に公式情報をご確認ください。


参考法令・資料
– 雇用保険法第61条〜第61条の4(育児休業給付)
– 雇用保険法施行規則第102条〜第119条
– 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続き」
– 厚生労働省「令和6年度雇用保険事業年報」
– こども家庭庁「こども未来戦略」

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