育休給付金と賞与・臨時収入の給付調整の計算方法【2025年最新版】

育休給付金と賞与・臨時収入の給付調整の計算方法【2025年最新版】 育休給付金

育休給付金を受給しながら賞与や臨時収入を受け取った場合、給付金の金額が調整されることをご存じでしょうか。「せっかく賞与が出たのに給付金が減ってしまった」「ボーナスをもらったら育休給付金がゼロになると聞いた」など、不安に思う方は少なくありません。

この記事では、育休給付金と賞与・臨時収入の給付調整の仕組みを法的根拠から丁寧に解説し、具体的な計算式と数値シミュレーションを使って、自分でも計算できるようにわかりやすくお伝えします。社会保険労務士監修のもと、2025年最新の制度内容をもとに、申請手続きから注意点まで網羅的に説明します。


育休給付金と賞与・臨時収入の給付調整とは?制度の基本を理解しよう

給付調整が設けられている理由

育児休業給付金は、育休中に仕事ができないことで生じる収入の減少を補う「所得保障」を目的とした制度です。しかし、育休中であっても会社から賞与や各種手当が支給されるケースがあります。この場合、給付金と賞与の両方を満額受け取ると、実質的な収入が育休前の水準を大きく上回る可能性があります。

そこで雇用保険制度では、育休中の所得保障過剰給付の防止という2つの観点から、賃金(賞与・手当を含む)を受け取った月については給付金額を調整するルールを設けています。

具体的には、育休前の賃金水準の80%を超えない範囲で所得が保障されるよう設計されており、賞与を受け取ったことで合計収入が育休前の80%を超える場合は給付金が減額・または不支給となります。

法的根拠:雇用保険法第61条の4(育児休業給付金の支給)、雇用保険法施行規則第95条〜第98条


調整対象になる収入・ならない収入の一覧

給付調整の対象となるのは、会社(事業主)から支払われる「賃金」です。ただし、すべての収入が対象になるわけではありません。以下の表で対象・対象外をしっかり確認しておきましょう。

収入の種類 調整対象 備考
賞与(夏・冬ボーナス) ✅ 対象 支給月の賃金として計算に算入
皆勤手当・精勤手当 ✅ 対象 育休中に継続支給される場合
役職手当・職務手当 ✅ 対象 育休中も支給されている場合
時間外手当(残業代) ✅ 対象 育休中に例外的に発生した場合
日割り基本給(復帰前後の端数) ✅ 対象 育休開始・終了月に発生しやすい
家族手当・住宅手当 ✅ 対象 給与の一部として扱われる場合
児童手当 ❌ 対象外 国・自治体からの社会保障給付
出産育児一時金 ❌ 対象外 健康保険からの給付
傷病手当金 ❌ 対象外 健康保険からの給付
退職金 ❌ 対象外 賃金とは別扱い
副業・フリーランス収入 原則対象外 ただし就業日数・時間に注意が必要

ポイント:調整対象となるのはあくまで「事業主(会社)から支払われる賃金」です。国や自治体からの給付金・手当は調整対象にはなりません。


給付調整の計算方法をステップごとに解説

給付調整の3つのケース(減額・全額不支給・変化なし)

育休給付金の給付調整には、受け取った賃金の額によって大きく3つのパターンがあります。この3つのケースを正確に理解することが、自分の給付額を把握するうえでの第一歩です。

判断の基準となる数値は以下の2つです。

  • 賃金日額:育休開始前6か月間の賃金総額 ÷ 180日で算出される1日あたりの賃金
  • 支給日数:原則として各支給対象月の日数(28〜31日)

これをもとに「賃金日額 × 支給日数」で「月ごとの賃金相当額上限」が算出されます。


ケース①:賃金が「賃金日額×支給日数×80%」未満の場合 → 給付金は満額支給

支給対象月に受け取った賃金が、育休前の賃金月額の80%未満に収まっている場合は、給付調整は発生せず、通常通りの給付金(育休開始から180日以内:67%、181日以降:50%)が支給されます。


ケース②:賃金が「賃金日額×支給日数×80%」以上、かつ「賃金日額×支給日数」未満の場合 → 給付金は減額

この場合、給付金は以下の計算式で減額されます。

調整後の給付金 = (賃金日額 × 支給日数) − 受け取った賃金額

つまり、「育休前の月収 − 実際に受け取った賃金」が給付される形になり、合計収入が育休前と同水準に抑えられます。


ケース③:賃金が「賃金日額×支給日数」以上の場合 → 全額不支給

受け取った賃金が育休前の月収相当額(賃金日額×支給日数)以上になった場合、その月の育休給付金は全額不支給(支給停止)となります。

賞与が高額な場合はこのケースに該当することがあるため、受取前に必ずシミュレーションを行うことをおすすめします。


賞与受取月の給付金シミュレーション計算例

ここでは、具体的な数値を使って3つのケースそれぞれの計算手順を解説します。

前提条件

  • 育休前の月給:30万円(固定給のみ、交通費・残業代なし)
  • 育休前6か月間の賃金総額:180万円
  • 賃金日額:180万円 ÷ 180日 = 1万円/日
  • 支給対象月の日数:30日
  • 賃金日額 × 支給日数:1万円 × 30日 = 30万円(月収相当額)
  • 育休開始から181日以降(給付率50%)の月と仮定
  • 通常の育休給付金(賞与なし):1万円 × 30日 × 50% = 15万円

シミュレーション①:賞与10万円を受け取った場合(ケース①:満額支給)

月収相当額の80%:30万円 × 80% = 24万円
受け取った賃金:10万円

10万円 < 24万円 → 給付調整なし

育休給付金:15万円(満額)
合計収入:10万円 + 15万円 = 25万円

賞与が10万円であれば80%基準(24万円)を下回るため、給付調整は発生せず育休給付金は満額の15万円が受け取れます。


シミュレーション②:賞与20万円を受け取った場合(ケース①:満額支給)

月収相当額の80%:30万円 × 80% = 24万円
受け取った賃金:20万円

20万円 < 24万円 → 給付調整なし

育休給付金:15万円(満額)
合計収入:20万円 + 15万円 = 35万円

賞与が20万円の場合も、月収相当額(30万円)の80%(24万円)を下回るため、この例では給付調整は発生しません。


シミュレーション③:賞与25万円を受け取った場合(ケース②:減額支給)

月収相当額の80%:30万円 × 80% = 24万円
受け取った賃金:25万円

25万円 ≧ 24万円 → 給付調整が発生
25万円 < 30万円 → 全額不支給ではなく減額

調整後の育休給付金 = 30万円 − 25万円 = 5万円

合計収入:25万円 + 5万円 = 30万円(ちょうど月収相当額)

賞与25万円の場合、育休給付金は5万円まで減額されます。合計収入は育休前の月収(30万円)と同水準に抑えられる形です。


シミュレーション④:賞与50万円を受け取った場合(ケース③:全額不支給)

受け取った賃金:50万円
月収相当額:30万円

50万円 ≧ 30万円 → 全額不支給

育休給付金:0円
合計収入:50万円のみ

賞与が50万円であれば、その月の育休給付金は全額不支給となります。ただし、育休給付金が不支給になること自体は、将来の給付資格に影響しません。翌月以降は通常通り給付が再開されます。


計算結果のまとめ表

賞与額 受取賃金 80%基準(24万) 月収相当額(30万) 育休給付金 合計収入
10万円 10万円 未満 未満 15万円(満額) 25万円
20万円 20万円 未満 未満 15万円(満額) 35万円
25万円 25万円 以上 未満 5万円(減額) 30万円
50万円 50万円 以上 以上 0円(不支給) 50万円

手続き・申請の流れと必要書類

ハローワークへの申請手順

育休給付金の給付調整は、申請者が自ら「賃金を受け取った」と報告することで処理されます。賞与を受け取ったのに報告しなかった場合、不正受給とみなされる可能性があるため、必ず正確に申告することが必要です。

申請の流れ

ステップ1:育休給付金の定期申請(2か月ごと)

育休給付金は原則として2か月ごとにハローワークへ支給申請を行います。申請は事業主(会社)経由で行うのが一般的です。

ステップ2:賞与・手当の受取を会社の担当者に報告

賞与や臨時手当を受け取った場合、または受け取る予定がある場合は、会社の人事・給与担当者に速やかに報告します。

ステップ3:支給申請書に賃金額を正確に記載

育児休業給付金支給申請書(ハローワーク指定様式)の「支給対象期間中の賃金」欄に、受け取った賞与・手当の金額を正確に記入します。記載漏れがないよう注意してください。

ステップ4:添付書類の準備・提出

申請書と必要書類をあわせてハローワークへ提出します(通常は会社担当者が代行)。

ステップ5:調整後の給付金が振り込まれる

ハローワークが申請内容を審査し、給付調整を反映した金額が振り込まれます。通常、申請から2〜3週間程度で振り込まれます。


必要書類一覧

書類名 説明 備考
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク指定様式(HAS010) 事業主が記入・提出が基本
賃金台帳(写し) 支給対象月の賃金・賞与支払いを確認するための書類 賞与支給月は必須
出勤簿・タイムカード(写し) 育休中の就業実績の確認に使用 2週間以上就業の場合は必須
母子健康手帳(写し) 育休取得の対象児を確認するため 初回申請時のみ
育児休業取得確認書 事業主が育休取得を証明する書類 初回申請時のみ
賞与支払届(写し) 社会保険の賞与支払届と整合させるため 会社が作成

申請期限:各支給対象期間が終了した翌日から2か月以内にハローワークへ申請します。期限を過ぎると給付を受けられなくなる場合があるため注意が必要です。


育休中に就業した場合の追加注意事項

育休中に会社の求めに応じて一時的に就業し、賃金を受け取った場合も給付調整の対象となります。ただし、就業の日数・時間によっては育休給付金の受給資格自体に影響する場合があります。

  • 就業日数が支給対象月の日数の半分以下かつ就業時間が月80時間以下であれば、給付金の受給資格は維持されます
  • 上記を超えると「育児休業中」とみなされなくなり、給付金が不支給となる場合があります

社会保険(健康保険・厚生年金)の賞与との関係

育休中に賞与を受け取った場合、社会保険料は免除の対象となります。育休期間中は、毎月の社会保険料だけでなく、賞与にかかる社会保険料(健康保険・厚生年金)も免除されます(雇用保険料は課税対象の賃金に対して課されます)。

ただし、社会保険料が免除されるかどうかと、育休給付金の給付調整はまったく別の話です。社会保険料が免除されていても、育休給付金の給付調整はハローワーク(雇用保険)のルールに基づいて行われます。

社会保険と雇用保険の賞与取り扱い比較

項目 社会保険(健保・年金) 雇用保険(育休給付金)
賞与の保険料 育休中は免除 育休中でも雇用保険料は徴収
賞与支払届 年金事務所への届出が必要 支給申請書に記載して報告
賞与の給付への影響 標準賞与額として将来の年金に影響 当該月の給付金調整に影響

復職後の賞与と育休給付金の関係

育休給付金が支給されている期間(育休中)に受け取った賞与は給付調整の対象ですが、復職後に受け取る賞与は給付調整の対象にはなりません。育休給付金の支給はすでに終了しているためです。

ただし、「育休期間中の分を含む賞与」として計算・支給される場合は、育休中の支給月の分については調整対象になります。会社の賞与規程や支給のタイミングについて、人事担当者に事前に確認しておくとよいでしょう。

また、育休中の賞与については、会社が就業規則や賞与規程で「育休取得者には賞与を支給しない」または「育休期間分を控除する」と定めている場合があります。これは育休給付金の調整とは別の話ですが、育休取得を理由に賞与を著しく不利益に扱うことは、育児・介護休業法に抵触する可能性があります。


不正受給を防ぐための注意点

賞与や臨時収入を受け取ったにもかかわらず、支給申請書にその旨を記載しなかった場合、不正受給とみなされます。不正受給が発覚した場合は以下の措置が取られます。

  • 返還命令:不正に受給した金額の全額返還
  • 加算金の徴収:不正受給額の2倍相当の追徴(最大3倍)
  • 支給停止:育休給付金の支給が一定期間停止される

「会社が申請してくれているから自分は関係ない」という考えは危険です。申請内容の最終責任は受給者本人にあります。賞与・臨時収入を受け取った際は、必ず会社の人事担当者に連絡し、正確な申告が行われているかを確認しましょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. 育休中にボーナスをもらうと、必ず給付金が減りますか?

必ずしも減額されるわけではありません。受け取った賞与の金額が「賃金日額×支給日数×80%」に満たない場合は、給付調整は発生せず育休給付金は満額支給されます。ご自身の賃金日額を確認のうえ、シミュレーション計算で確認するとよいでしょう。

Q2. 賞与が支給されることで、育休給付金の受給資格自体がなくなることはありますか?

賞与の受取によって育休給付金の受給資格がなくなることは基本的にありません。賞与を受け取った月の給付金が全額不支給(支給停止)になることはありますが、翌月以降の受給資格には影響しません。

Q3. 育休中に受け取った賞与は課税されますか?

はい、会社から支給される賞与は所得税の課税対象です。育休給付金自体は非課税ですが、賞与は通常の給与と同様に所得税・雇用保険料の対象となります(育休中は社会保険料が免除されるため、社会保険料の控除はありません)。

Q4. 賞与が支給される月に給付金が0円になった場合、何か手続きが必要ですか?

給付金が0円になる月も、支給申請書の提出は必要です。「不支給」として処理されることで、ハローワーク側が継続的な受給状況を管理できます。申請を怠ると受給資格に影響する可能性があるため、必ず申請を継続してください。

Q5. 会社が育休中でも毎月役職手当を支払ってくれていますが、給付調整の対象になりますか?

はい、役職手当が事業主から継続的に支払われている場合は賃金として扱われ、給付調整の対象となります。役職手当の月額を毎月の賃金として申告し、給付金額が調整されます。

Q6. 賞与の支給を育休明けにずらしてもらえば給付調整を回避できますか?

育休終了後に賞与が支払われる場合、その時点では育休給付金の受給期間が終了しているため、給付調整は発生しません。ただし、会社がそのような取り扱いをするかどうかは就業規則・賞与規程による問題であり、育休給付金の観点から会社に支払い時期の変更を求めることには慎重を期す必要があります。

Q7. 双子の育休中に賞与を受け取った場合、計算方法は変わりますか?

双子(多胎児)の場合も、育休給付金の給付調整の計算方法自体は変わりません。ただし、育休期間や給付期間が延長される場合がありますので、ハローワークまたは会社の担当者に確認してください。


まとめ

育休給付金と賞与・臨時収入の給付調整について、重要なポイントをおさらいします。

確認項目 内容
法的根拠 雇用保険法第61条の4、施行規則第95〜98条
調整の判断基準 賃金日額 × 支給日数の80%・100%
減額される条件 受取賃金が80%以上100%未満
全額不支給の条件 受取賃金が100%(月収相当額)以上
申告の義務 賞与・臨時収入は必ず支給申請書に記載
不正受給のリスク 最大3倍の加算徴収・支給停止

育休給付金の給付調整は複雑に感じられますが、「育休前の月収×80%を超えると調整が入り、100%を超えると不支給」というルールを軸に考えれば整理しやすくなります。

賞与の受取が見込まれる月は必ず事前にシミュレーションを行い、会社の人事担当者と連携して正確な申告を行いましょう。不明な点は最寄りのハローワーク(公共職業安定所)に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。


免責事項:本記事は2025年時点の情報をもとに作成しています。法改正や個別事情によって取り扱いが異なる場合があります。具体的な手続きについては、ハローワークや社会保険労務士にご相談ください。

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