海外出産でも育休給付金を受け取る条件と申請手続き【最新版】

海外出産でも育休給付金を受け取る条件と申請手続き【最新版】 育児休業制度

海外で出産を予定している方や、すでに海外で出産した方の中には、「日本の育児休業給付金はもらえるのだろうか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、出産した場所が海外であっても、一定の要件を満たせば育児休業給付金を受け取れる可能性があります

本記事は、社会保険労務士監修のもと、海外出産時の育児休業給付金の受給要件から申請手続き、必要書類まで、管轄ハローワークへの申請方法を含めてわかりやすく解説します。男性の配偶者が海外で出産するケースも網羅していますので、ぜひ最後まで読んでご活用ください。


海外出産でも育休給付金はもらえる?まず知っておくべき大原則

育児休業給付金に関して「海外出産は対象外では?」と誤解している方が少なくありません。しかし制度の仕組みを正確に理解すれば、海外出産であっても給付を受けられるケースがあることがわかります。

給付金の対象は「出産場所」ではなく「育休の取得場所」

育児休業給付金は、雇用保険法第61条の4に基づく制度です。この給付金の目的は「育児休業中に賃金が支払われない(または減額された)労働者の生活を支援すること」であり、子どもがどの国で生まれたかは直接の判断基準ではありません。

判断基準となるのは以下の点です。

  • 日本国内の雇用保険に加入した事業所に雇用されているか
  • 育児・介護休業法に基づく育児休業を日本で取得しているか
  • 育休中に日本国内で子どもを養育しているか

つまり、出産場所が海外であっても、帰国後に日本の職場で育児休業を取得し、日本国内で育児を行う場合は給付対象になり得ます。逆に、出産後もそのまま海外で生活し育児を続ける場合は、日本の育休制度の適用外となるため給付対象外となります。

給付対象になるケース・ならないケースの判定フロー

自分のケースが給付対象になるかどうか、以下のフローで確認してみましょう。

【海外出産・給付対象判定フロー】

STEP 1:日本国内の事業所で雇用保険に加入しているか?
         YES → STEP 2へ / NO → 給付対象外

STEP 2:育休開始前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があるか?
         YES → STEP 3へ / NO → 給付対象外(例外あり)

STEP 3:出産後、日本に帰国して育児休業を取得する予定か?
         YES → STEP 4へ / NO → 給付対象外

STEP 4:帰国後、日本国内で子どもを養育するか?
         YES → 給付対象の可能性あり
                → 管轄ハローワークに確認・申請へ

このフローで「給付対象の可能性あり」に到達した方は、次のセクションで詳しく説明する5つの必須要件を確認してください。


海外出産で給付金を受け取るための5つの必須要件

海外出産の場合でも育児休業給付金を受け取るためには、通常の育休給付金と同じ5つの要件をすべて満たす必要があります。各要件と海外出産時の注意点を以下に整理します。

要件 内容 海外出産時のポイント
①雇用保険加入 勤務先で雇用保険に加入していること 日本国内の事業所への加入が必須
②被保険者期間 育休開始前2年間に12ヶ月以上 海外赴任中の期間が影響する場合あり
③育児休業取得 育児・介護休業法に基づく育休取得 帰国後に日本国内で取得することが前提
④就業日数 育休前2年間で各月11日以上の就業 海外赴任中の就業日数も原則算入可
⑤日本国内での養育 育休中に日本国内で子を養育すること 最も重要な海外出産特有の要件

要件①②:雇用保険加入と12ヶ月以上の被保険者期間

育児休業給付金を受け取るには、まず雇用保険の被保険者であることが前提です。週所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがある場合は雇用保険に加入義務が生じます。

被保険者期間については、育休開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(または就業時間が80時間以上)ある月が12ヶ月以上必要です。

海外赴任中の被保険者期間の取り扱い

海外赴任中でも、日本国内の事業所との雇用関係が継続しており、雇用保険の被保険者資格を維持していれば、その期間も被保険者期間として算入されます。ただし、海外の現地法人に転籍した場合や、日本の雇用保険の資格を喪失している場合は算入されませんので注意が必要です。

なお、産前産後休業中や前回の育休中など、「みなし被保険者期間」として加算できる例外規定もあるため、被保険者期間が不足している場合は管轄ハローワークに必ず相談してください。

要件③④:育児休業の取得と就業日数

育児休業は、育児・介護休業法に基づき、原則として子どもが1歳(保育所に入れないなどの事情がある場合は最長2歳)になるまで取得できます。育休開始日は、帰国した後に職場に申し出て設定します。

就業日数の要件については、育休期間中(支給単位期間ごと)に就業していると認定できる日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)であることが求められます。これは「育休中はきちんと休んでいる」ことを確認するための要件です。

要件⑤:日本国内での養育(海外出産で特に重要)

海外出産の場合に最も重要な要件が、この「帰国後に日本国内で子どもを養育すること」です。

出産後そのまま海外に滞在し続けている間は、たとえ育児休業の申請をしていたとしても、給付金の支給要件を満たすとは認められません。給付金の支給は、帰国して日本国内で育児休業を実際に開始した日からが対象となります。

また、子どもが日本に住民登録(在留届や帰国後の住民票)されていることも、日本での養育実績を証明する上で重要になります。


管轄ハローワークへの申請手順:海外出産版ステップガイド

海外出産の場合の申請は、通常の育休申請と比べていくつか追加の手続きや書類が必要になります。以下のステップに沿って準備を進めましょう。

出産前にやるべき事前確認と準備

出産前から準備を始めることで、帰国後の手続きをスムーズに進めることができます。

STEP 1:勤務先に海外出産の意向を早めに伝える(出産予定日の6ヶ月前が目安)

育児休業の申請は、原則として育休開始予定日の1ヶ月前までに事業主に申し出る必要があります(育児・介護休業法第5条)。海外出産の場合は帰国スケジュールが変動する可能性があるため、できるだけ早い段階で会社の人事担当者に相談し、以下の点を確認しておきましょう。

  • 育児休業申請書の様式と提出方法
  • 海外での連絡手段
  • 帰国後の育休開始日の設定方法

STEP 2:管轄ハローワークへの事前相談

海外出産は通常の育休申請と異なる部分があるため、事前に管轄ハローワーク(勤務先の住所を管轄するハローワーク)に相談することを強くお勧めします

相談の際は以下の情報を整理して持参・連絡しましょう。

  • 出産予定国・出産予定日
  • 帰国予定日
  • 帰国後の育休開始予定日
  • 現在の雇用保険被保険者番号

帰国後の育休開始から給付申請まで

STEP 3:帰国後すみやかに育児休業を開始する

帰国後は、事前に勤務先と調整した育休開始日から育児休業を開始します。育休開始日は帰国日以降の日付で設定しますが、なるべく早期に開始することで給付対象期間を確保できます。

STEP 4:「育児休業給付金支給申請書」の提出

育児休業給付金の申請は、育休開始日から起算して最初の支給単位期間(2か月)終了後、管轄ハローワークへ申請書を提出します。2回目以降も原則として2か月ごとに申請します。

提出先:勤務先の事業所を管轄するハローワーク(事業主経由での申請が一般的)

申請期限:各支給単位期間の末日翌日から起算して2か月以内


海外出産時の必要書類一覧

海外出産の場合は、通常の育休給付申請書類に加えて、出産・帰国・養育を証明するための追加書類が必要になります。

通常の育休給付申請に必要な基本書類

書類名 取得先 備考
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク・勤務先 事業主が記入する欄あり
育児休業給付受給資格確認票 ハローワーク 初回申請時のみ
雇用保険被保険者証 勤務先保管 被保険者番号の確認
母子健康手帳(写し) 自己保管 出生日の確認
賃金台帳・出勤簿 勤務先 被保険者期間・就業日数の確認

海外出産で追加が必要になる書類

書類名 取得先 備考
出生証明書(外国語の場合は翻訳付き) 出産した医療機関・現地当局 公的機関発行のものが原則必要
在留証明書または帰国証明書類 パスポートの入出国スタンプ等 帰国日を証明するために使用
住民票(子の記載があるもの) 市区町村役場 帰国後に子を住民登録してから取得
戸籍謄本(または出生届受理証明書) 市区町村役場 日本への出生届提出後に取得可能
在職証明書・育休申請書の写し 勤務先 育休取得の事実を証明

重要: 外国語で作成された書類は、日本語訳を添付する必要があります。翻訳は専門の翻訳会社または申請者本人による翻訳も認められる場合がありますが、管轄ハローワークによって取り扱いが異なるため、事前に確認してください。

出生証明書・帰国証明の取得における注意点

出生証明書の取得

海外で出産した場合、現地の医療機関や政府機関が発行する出生証明書(Birth Certificate)を取得しておきましょう。日本の在外公館(大使館・領事館)を通じて手続きを進める方法もあります。

帰国後の出生届の提出

日本国籍の子として出生届を提出する必要があります。帰国後14日以内に、居住地の市区町村役場に出生届を提出してください(海外での出生の場合、帰国日から3か月以内の提出も認められる場合があります)。出生届が受理されると、住民票に子の記載が追加され、給付申請の際の養育証明として活用できます。


給付金額の計算方法と支給期間

海外出産の場合も、給付金の計算方法は通常の育休給付金と同じです。

給付率と支給額の計算式

育児休業給付金の給付率は以下のとおりです。

育休開始からの期間 給付率 手取り換算(目安)
育休開始〜180日目まで 休業開始時賃金日額 × 67% 実質約80%相当
181日目以降 休業開始時賃金日額 × 50% 実質約60%相当

※社会保険料(健康保険・厚生年金)が育休中は免除されるため、手取りベースでは給付率より実質的な手取り額の割合が高くなります。

計算例:

  • 休業開始前6か月の平均月収:30万円
  • 休業開始時賃金日額:300,000円 ÷ 30日 = 10,000円
  • 支給単位期間(30日)の給付額(開始〜180日目):10,000円 × 67% × 30日 = 201,000円

海外出産で帰国が遅れた場合の給付対象期間

育児休業給付金の支給対象期間は、原則として子が1歳になるまで(保育所等に入れない事情がある場合は最長2歳まで)です。

重要なのは、「育休開始日」からカウントが始まる点です。海外出産後の帰国が遅れた場合、その分だけ日本での育休開始が後ろにずれ、給付対象期間が短くなる可能性があります。

たとえば、子が生後3か月に帰国して育休を開始した場合、給付の対象となる育休期間は帰国日から子が1歳になるまで(約9か月分)となります。帰国前の期間は給付対象外です。


男性(パパ)の配偶者が海外で出産した場合の育休

近年、配偶者が海外赴任中に出産するケースや、配偶者が外国籍で海外の実家で出産するケースも増えています。男性が育休を取得する場合の要件も確認しておきましょう。

男性の育休取得と給付要件の考え方

男性が配偶者の出産に合わせて育休を取得する場合も、基本的な給付要件は同じです。重要なのは以下の点です。

  • 男性自身が日本の雇用保険に加入していること
  • 育児・介護休業法に基づく育児休業を取得すること
  • 帰国後に日本国内で子を養育すること

「出生時育児休業(産後パパ育休)」制度を利用する場合は、子の出生後8週間以内に28日間まで取得できます。ただし、出産が海外で行われる場合でも、この28日のカウントは子の出生日から始まります。帰国が遅れると取得可能期間が短くなるため、スケジュール管理が重要です。

男性が取得できる育休の種類(2025年現在)

制度名 取得可能期間 分割取得 備考
出生時育児休業(産後パパ育休) 子の出生後8週間以内に最大28日 2回まで可 2022年10月創設
通常の育児休業 子が1歳(最長2歳)になるまで 2回まで可 パパ・ママ育休プラスの活用も可

男性の場合も、帰国後すみやかに管轄ハローワークに申請手続きを行うことが大切です。


海外赴任中の育休と給付金:注意すべき特殊ケース

海外赴任中に出産・育休を取得するケース

一部の方から「海外赴任中のまま現地で育児休業を取得できるか」という質問が寄せられますが、この場合は日本の育児休業給付金の対象外となる可能性が高いです。

日本の育児休業制度(育児・介護休業法)は、日本国内で就労する労働者を前提とした法律です。海外の事業所で働きながら海外で育休を取得する場合は、日本の制度ではなく現地の制度が適用されることが一般的です。ただし、日本国内の事業所に在籍したまま海外に派遣されている(出向・赴任)状態であれば、状況によって日本の育休制度が適用される可能性があります。この点は必ず管轄ハローワークおよび勤務先に確認してください。

外国籍の配偶者を持つ日本人のケース

日本人が外国籍の配偶者との間に子をもうけ、子が海外(配偶者の母国)で生まれるケースでも、日本人側が日本の雇用保険に加入していれば育休給付金の要件を満たせる可能性があります。

この場合、子が日本国籍を取得する手続き(出生届、国籍留保届など)を在外公館または帰国後に行うことが重要です。子の国籍・住民登録の状況が給付申請の書類審査に影響する場合がありますので、早めに管轄ハローワークへ相談しましょう。


管轄ハローワークへの相談時に確認しておくべきポイント

海外出産の育休給付金申請は、通常の申請よりも個別事情の確認が重要です。管轄ハローワーク(勤務先の所在地を管轄するハローワーク)に相談する際は、以下のポイントを事前に整理しておきましょう。

相談前に準備しておく情報リスト

  • [ ] 雇用保険被保険者番号(雇用保険被保険者証に記載)
  • [ ] 出産予定国と出産予定日
  • [ ] 帰国予定日(フライト情報があれば具体的に)
  • [ ] 育休開始予定日
  • [ ] 過去2年間の在職・就業の状況(海外赴任期間がある場合はその詳細)
  • [ ] 提出可能な書類の種類(出生証明書の形式など)

電話相談も可能ですが、書類の確認を伴う相談は窓口への来所が確実です。また、管轄ハローワークによって書類の取り扱い方針に若干の差異がある場合もあるため、必ず「勤務先の住所を管轄するハローワーク」に相談することが重要です。

管轄ハローワークの検索は、厚生労働省ハローワークインターネットサービスから勤務先所在地で行えます。電話番号や窓口時間を事前に確認してから相談することをお勧めします。


よくある質問(FAQ)

Q1. 出産後どのくらいで帰国すれば給付金を受け取れますか?

帰国のタイミングに法定の期限はありませんが、育児休業給付金は帰国後に日本で育休を開始した日からの支給となります。子が1歳(または最長2歳)になるまでが支給対象期間のため、帰国が遅れるほど受給できる期間が短くなります。できるだけ早期の帰国・育休開始をお勧めします。

Q2. 海外で出産した子の出生証明書が外国語のみの場合、翻訳は誰に頼めばよいですか?

公認翻訳者や翻訳会社に依頼するのが確実ですが、申請者本人または事業主が翻訳した書類でも対応可能な場合があります。管轄ハローワークによって対応が異なるため、事前に確認することをお勧めします。

Q3. 帰国後に住民票を取得する前でも育休を開始できますか?

育休自体は育児休業申請書を会社に提出することで開始できます。ただし、給付金の申請には住民票(子の記載があるもの)が必要になるため、帰国後はできるだけ早く市区町村役場で出生届の提出と住民票の取得手続きを行いましょう。

Q4. 産後パパ育休(出生時育児休業)を海外出産で使う場合、28日の期限はいつから?

子の出生日から起算して8週間以内(56日以内)に取得する必要があります。帰国が遅れると取得可能な日数が短くなるため、出産後できるだけ早く帰国し、育休を開始することが重要です。

Q5. 給付金の申請は本人が直接ハローワークに行く必要がありますか?

育児休業給付金の申請は、原則として事業主(会社)を経由してハローワークに申請します。本人がハローワークへ直接行く必要は通常ありません。会社の人事・総務担当者に申請書類を提出し、会社がまとめてハローワークに申請する流れが一般的です。

Q6. 夫婦ともに日本の雇用保険に加入している場合、両方が給付金を受け取れますか?

はい、夫婦それぞれが雇用保険の要件を満たしていれば、両方が育児休業給付金を受け取ることができます。パパ・ママ育休プラス制度を活用すれば、子が1歳2か月になるまで育休を延長することも可能です。


まとめ:海外出産でも育休給付金は受け取れる

この記事で解説した内容を整理すると、海外出産でも育児休業給付金を受け取るためのポイントは以下のとおりです。

ポイント 内容
判断基準 出産場所ではなく、日本での育休取得・養育が基準
必須要件 雇用保険加入・被保険者期間12ヶ月以上・帰国後に日本で育休取得・日本国内での養育
追加書類 出生証明書(翻訳付き)・帰国証明・住民票(子の記載)・戸籍謄本等
申請先 事業主経由で勤務先を管轄するハローワークへ申請
早めの行動 出産前から管轄ハローワークと勤務先への事前相談が重要

海外出産は特殊なケースのため、手続きの詳細は管轄ハローワークや社会保険労務士に個別相談することを強くお勧めします。早めに準備を始め、帰国後の育児休業をスムーズにスタートさせましょう。

本記事に関する個別の事情やご質問がある場合は、以下のリソースを参考に専門家に相談することをお勧めします。

  • 厚生労働省ハローワークインターネットサービス: 最新制度情報と管轄ハローワーク検索
  • 社会保険労務士会: 個別相談に対応している専門家の紹介
  • 日本国駐在国大使館・領事館: 出生届・国籍手続きの相談

免責事項: 本記事は2025年時点の法令・制度に基づいて作成しています。制度の内容は改正されることがあるため、最新情報は厚生労働省または管轄ハローワークにてご確認ください。

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