賃金日額の計算日数の数え方|育休給付金【完全解説】

賃金日額の計算日数の数え方|育休給付金【完全解説】 育休給付金

育休給付金の申請で「賃金日額はどうやって計算するの?」「日数って何日になるの?」と悩む方は少なくありません。計算ミスは給付金額の過不足につながるため、日数の数え方を正確に理解することが非常に重要です。

本記事では、厚生労働省の雇用保険法施行規則に基づいた、賃金日額の計算における日数の起算方法・閏年の扱い・11日ルールの適用まで、具体的な日付例を使いながら丁寧に解説します。


育休給付金の賃金日額とは?計算の基本をおさらい

賃金日額が給付金額を左右する理由

育児休業給付金の支給額は、次の計算式で決まります。

育児休業給付金の支給額 = 賃金日額 × 支給日数 × 給付率

給付率は以下の2段階です。

休業期間 給付率
育休開始から180日まで 67%
181日目以降 50%

たとえば、賃金日額が10,000円で支給日数が30日の場合、育休開始から180日以内であれば支給額は10,000円×30日×67%=201,000円になります。賃金日額がわずかに変わるだけで、最終的な給付金額は大きく変動します。

2024年現在、賃金日額の上限は16,210円(毎年8月に改定)です。この上限を超える賃金日額は一律に上限額として扱われます。

法的根拠は雇用保険法第61条の4および雇用保険法施行規則第101条の14です。賃金日額の算定方法は厚生労働省令によって厳密に規定されており、恣意的な計算は認められていません。

計算に使う「対象賃金」の範囲と注意点

賃金日額の計算式は次のとおりです。

賃金日額 = 対象賃金の合計(6ヵ月分) ÷ 対象日数(カレンダー日数)

計算の分子(対象賃金)に含まれるもの・含まれないものを整理しておきましょう。

区分 具体例 扱い
含まれる 基本給、職務手当、住宅手当、通勤手当 ✅ 算入
含まれる 家族手当、時間外手当 ✅ 算入
含まれない 賞与(ボーナス) ❌ 除外
含まれない 臨時的・一時的に支払われた賃金 ❌ 除外
含まれない 3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金 ❌ 除外

通勤手当は定期代として支給されている場合も含まれる点に注意が必要です。一方、賞与は明確に除外されるため、「今月は賞与があったから給付金も増える」という理解は誤りです。


日数の起算点と終了点の正確な定め方【最重要】

起算日・終了日の定義と具体的な判定方法

育休給付金の賃金日額計算に使う対象期間は、育児休業開始日の前日から遡って6ヵ月間です。

「開始日の前日」が対象期間の終了日(最終日)になります。「開始日」は含みません。

この「前日」の扱いを間違えるケースが非常に多いため、図で確認しておきましょう。

【育児休業開始日が2024年6月15日の場合】

        ◀─────── 対象期間(6ヵ月)───────▶
  2023年          2024年
  12/15        12/31  1/31  2/29  3/31  4/30  5/31  6/14  6/15
    │───────────────────────────────────────────│     │
    ▲                                           ▲     ▲
  起算日(対象期間の開始日)             終了日  育休開始日
  = 開始日の6ヵ月前の同日              =前日

ポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 対象期間の終了日 = 育休開始日の前日
  • 対象期間の開始日 = 終了日から遡って6ヵ月前の同日
  • 対象期間に育休開始日は含まない

なお、実務上は「育休開始前の完全な給与明細が6ヵ月分そろっているか」をハローワークが確認します。賃金台帳や給与明細のコピーは必ず保管しておきましょう。

月をまたぐ場合の6ヵ月間の正しい区切り方

月の途中から育休が始まる場合、6ヵ月前の起算日をどう定めるかが悩みのポイントです。基本ルールは次のとおりです。

終了日(育休開始日の前日)が属する月の同日から遡って6ヵ月前の月の同日を開始日とする。

具体例で確認します。

【例】育休開始日が2024年9月20日の場合

  • 終了日:2024年9月19日
  • 開始日:2024年3月19日(9月19日から6ヵ月前の同日)
  • 対象期間:2024年3月19日〜2024年9月19日

月末日が月によって異なる場合(2月など)には、次のように処理します。

【月末日に関する特別ルール】

終了日が2月28日(閏年なら29日)になる場合、2月の「月末日」が開始日に対応する「前月同日」として扱われます。実務上、ハローワークが賃金台帳をもとに確認するため、申請者は「育休開始日の前日から6ヵ月分」という原則さえ押さえておけば問題ありません。


カレンダー日数で計算する方法と実例3パターン

賃金日額の計算に使う日数は、カレンダー上の実際の日数(暦日数)です。労働日や稼働日ではなく、土曜・日曜・祝日もすべて含めてカウントします。

パターン1:閏年を含む場合(2024年の例)

条件:育休開始日 2024年6月15日

  • 対象期間:2023年12月15日〜2024年6月14日
日数の数え方 日数
2023年12月 15日〜31日(15日を含む) 17日
2024年1月 1日〜31日(全日) 31日
2024年2月 1日〜29日(閏年・全日) 29日
2024年3月 1日〜31日(全日) 31日
2024年4月 1日〜30日(全日) 30日
2024年5月 1日〜31日(全日) 31日
2024年6月 1日〜14日(14日を含む) 14日
合計 183日

2024年は閏年(366日年)のため、2月が29日間になります。閏年を含む6ヵ月の対象期間は183日になることがあります。

パターン2:閏年を含まない場合(2023年の例)

条件:育休開始日 2023年9月1日

  • 対象期間:2023年3月1日〜2023年8月31日
日数の数え方 日数
2023年3月 1日〜31日(全日) 31日
2023年4月 1日〜30日(全日) 30日
2023年5月 1日〜31日(全日) 31日
2023年6月 1日〜30日(全日) 30日
2023年7月 1日〜31日(全日) 31日
2023年8月 1日〜31日(全日) 31日
合計 184日

月初から育休が始まると、対象期間の開始日も月初になるため、完全な6ヵ月分が対象になります。月の途中よりも日数が多くなる傾向があります。

パターン3:2月またぎで月途中から開始する場合

条件:育休開始日 2024年3月10日

  • 対象期間:2023年9月10日〜2024年3月9日
日数の数え方 日数
2023年9月 10日〜30日(10日を含む) 21日
2023年10月 1日〜31日(全日) 31日
2023年11月 1日〜30日(全日) 30日
2023年12月 1日〜31日(全日) 31日
2024年1月 1日〜31日(全日) 31日
2024年2月 1日〜29日(閏年・全日) 29日
2024年3月 1日〜9日(9日を含む) 9日
合計 182日

このように、2月を含む場合でも起算日と終了日によって合計日数は変わります。「6ヵ月=180日」と固定で計算するのは誤りです。必ずカレンダーで実日数を確認してください。


閏年・月末日にまつわる特別な計算ルール

閏年が計算に与える影響と対処法

閏年(うるうどし)は4年に1度訪れ、2月が29日間になります。育休給付金の計算においても、閏年の2月を含む場合は対象日数が1日増えるため、賃金日額がわずかに小さくなります。

【閏年を含む場合のイメージ】
対象賃金合計:1,500,000円

通常(2月なし・181日の場合):1,500,000 ÷ 181 ≒ 8,287円
閏年含む(183日の場合)    :1,500,000 ÷ 183 ≒ 8,196円

差額:約91円/日 → 月換算で約2,730円の支給額差

この差は申請者が意図的に操作できるものではありませんが、「閏年を含む期間が対象になる年は日額がやや低くなる」という事実を知っておくことは重要です。

月末が存在しない日付の処理方法

「2月31日」のように、終了月に存在しない日付が発生するケースがあります。たとえば、育休開始日が3月31日で終了日が3月30日、開始日の6ヵ月前が「9月30日」(9月は30日までしかない)となる場合です。

この場合、雇用保険法の運用上はその月の末日を起算日として扱います。実務では、ハローワークの担当者が賃金台帳を確認したうえで正確に判定するため、申請者が個別に計算する必要はありませんが、「月末の翌月同日は翌月末日」というルールを頭に入れておくと混乱を防げます。


11日ルールとは?被保険者期間の算定との違いに注意

11日ルールの定義と用途

育休給付金の文脈で「11日ルール」と呼ばれるのは、被保険者期間の算定に関するルールです。賃金日額の日数計算とは用途が異なるため、混同しないよう注意が必要です。

被保険者期間の算定における11日ルールとは:

育休開始前の2年間(特例あり)に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1ヵ月として数え、合計12ヵ月以上あることが給付の受給要件になる。

つまり、11日ルールは「育休給付金をもらえるかどうか(受給資格の判定)」に使うものであり、賃金日額の計算に使う日数とは別物です。

用途 使う日数の種類 ルール
受給資格の確認 賃金支払基礎日数 1ヵ月に11日以上が必要
賃金日額の計算 カレンダー日数(暦日数) 6ヵ月分の実日数を使う

賃金支払基礎日数と暦日数の違い

賃金支払基礎日数とは、賃金の支払い対象となった日数のことで、出勤日・有給休暇取得日・休日出勤日などを含みます。欠勤日や無給の欠務日は含まれません。

一方、賃金日額の計算に使う暦日数(カレンダー日数)は、土日・祝日・欠勤日も関係なくすべての日をカウントします。

【具体例:2024年4月の場合】
カレンダー日数(暦日数)  :30日(土日祝を含む全日)
賃金支払基礎日数の例      :21日(出勤日+有給休暇等)
                            ※会社や勤務実態によって異なる

11日ルールの11日とは「賃金支払基礎日数が11日以上」という意味であり、暦日数と混同しないようにしてください。


月途中に育休が始まる場合の実務的な計算手順

対象月ごとに日数を積み上げる正しい手順

月途中に育休が始まる場合、最初の月と最後の月は「端数日」が発生します。以下の手順で計算します。

STEP 1:育休開始日と終了日を確定する

終了日 = 育休開始日の前日

STEP 2:対象期間の開始日を確定する

開始日 = 終了日から6ヵ月前の同日

STEP 3:月ごとにカレンダー日数を積み上げる

  • 最初の月:開始日から月末まで(開始日を含む)
  • 中間の月:月初から月末まで(全日)
  • 最後の月:月初から終了日まで(終了日を含む)

STEP 4:すべての月の日数を合計する

対象日数 = 各月の日数の合計

STEP 5:対象賃金合計を対象日数で割る

賃金日額 = 対象賃金合計 ÷ 対象日数

欠勤控除がある月の賃金の取り扱い

欠勤控除がある月の賃金については、カレンダー日数はそのままで計算します。日数を欠勤日数分だけ減らす処理は行いません。

ただし、賃金が支払われなかった月(給与額がゼロの月)がある場合や、育休・産休・傷病等で給与が著しく減少した月がある場合は、その月を対象期間から除外する特例が適用されることがあります。

状況 取り扱い
欠勤控除あり(給与一部支給) 支給された給与額を用いる。日数はカレンダー通り
産前産後休業中で給与ゼロ 対象期間から除外し、さらに遡って6ヵ月を探す特例あり
育休中で給与ゼロ 同上

この特例を適用する場合、最大で育休開始前の4年間まで遡って対象月を探します。不明な場合はハローワークまたは社会保険労務士に確認することをおすすめします。


賃金日額の計算例:実際の金額で確認する

計算例①:月給28万円・育休開始日2024年6月15日

対象期間と賃金の仮定

支給賃金 暦日数
2023年12月(15日〜31日) 175,000円(欠勤控除後) 17日
2024年1月 280,000円 31日
2024年2月 280,000円 29日
2024年3月 280,000円 31日
2024年4月 280,000円 30日
2024年5月 280,000円 31日
2024年6月(1日〜14日) 130,000円(日割) 14日
合計 1,705,000円 183日
賃金日額 = 1,705,000円 ÷ 183日 ≒ 9,317円(小数点以下切り捨て)

支給額の目安(育休開始から180日以内・1ヵ月30日の場合)

9,317円 × 30日 × 67% ≒ 187,471円/月

計算例②:月給35万円・育休開始日2024年3月10日

対象期間:2023年9月10日〜2024年3月9日(182日)

月給35万円が全月フルで支給された場合(9月は21日分の日割り):

9月(21日分):350,000円 × 21/30 ≒ 245,000円
10月〜2月   :350,000円 × 5ヵ月 = 1,750,000円
3月(9日分) :350,000円 × 9/31 ≒ 101,613円
対象賃金合計 ≒ 2,096,613円

賃金日額 = 2,096,613円 ÷ 182日 ≒ 11,520円

ただし、2024年現在の賃金日額上限は16,210円のため、この例は上限内に収まっています。

支給額目安(180日以内・30日換算):11,520円 × 30日 × 67% ≒ 231,552円/月

申請に必要な書類と手続きの流れ

育休給付金申請に必要な主な書類

書類名 入手先・備考
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク窓口またはハローワークインターネットサービス
育児休業給付受給資格確認票 初回申請時のみ(雇用主経由で提出)
賃金台帳(6ヵ月分) 雇用主が作成・保管
出勤簿またはタイムカード 6ヵ月分
母子手帳の写し(出生届受理証明書等) 子の出生を証明するもの
育児休業申出書の写し 社内で作成・会社が保管

申請のスケジュールと期限

育休給付金の申請は、支給単位期間(原則2ヵ月ごと)ごとに行うのが基本です。

【申請スケジュールの目安】
初回申請:育休開始から2ヵ月後の翌月末日まで
(例:2024年4月1日育休開始 → 初回申請期限は2024年7月31日)

2回目以降:支給単位期間終了後の翌月末日まで

申請が遅れると給付が遅れる場合があります。会社の担当者(人事・総務)を通じてハローワークへ提出するケースが多いため、育休開始前に手続きのスケジュールを確認しておくことが大切です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 賃金日額の計算で「6ヵ月」は必ず180日になりますか?

なりません。カレンダー上の実日数(暦日数)を使うため、月の組み合わせによって181〜184日程度の幅があります。閏年の2月を含む場合は1日多くなります。「6ヵ月=180日」と固定して計算するのは誤りです。

Q2. 賞与(ボーナス)は賃金日額の計算に含まれますか?

含まれません。賞与は「3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当するため、雇用保険法上の賃金日額計算から除外されます。基本給・各種手当(通勤手当含む)のみが対象です。

Q3. 産前産後休業の期間は対象6ヵ月から除外されますか?

原則として、産前産後休業中に給与が支払われていない(または著しく少ない)月は対象期間から除外できます。その場合、さらに遡って6ヵ月分を確保する特例が適用されます。最大で育休開始前4年間まで遡ることができます。

Q4. 月途中から育休を開始した月の賃金はどう扱いますか?

育休開始日の前日までに支払われた(または支払われる予定の)賃金が対象となります。暦日数は月初から育休前日までを数えます。日割り計算された賃金が対象賃金の分子に入ります。

Q5. 11日ルールとは何ですか?賃金日額の計算に使いますか?

11日ルールは、受給資格の確認(育休開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヵ月以上あるか)を判定するためのルールです。賃金日額の計算には使いません。賃金日額の計算には、暦日数(カレンダー日数)を使います。

Q6. 自分で賃金日額を計算する方法はありますか?

直近6ヵ月分の給与明細を用意し、賞与を除いた支給総額を合計します。次に対象期間のカレンダー日数を月ごとに積み上げて合計します。最後に「賃金合計÷対象日数」で計算できます。厚生労働省のシミュレーターやハローワークの相談窓口も活用できます。

Q7. 給与が月によって大きく変わる場合はどう計算しますか?

月によって変動があっても、計算方法は同じです。6ヵ月分の賃金をすべて合算した金額を、6ヵ月間の暦日数の合計で割ります。変動月があっても特別な処理は不要で、実際に支払われた金額をそのまま使います。


まとめ

育休給付金の賃金日額計算において、日数の数え方は次の点が核心です。

ポイント 内容
対象期間 育休開始日の前日から遡った6ヵ月間
終了日 育休開始日の前日(育休開始日は含まない)
使う日数 カレンダー日数(暦日数)。土日祝・欠勤日も含む
閏年の扱い 2月が29日になる年は対象日数が1日増える
11日ルールとの違い 11日ルールは受給資格の判定に使うもの。日額計算には使わない

計算に不安がある場合は、給与明細と育休開始日を持参してハローワークに相談するか、会社の人事担当者・社会保険労務士に確認することをおすすめします。正確な賃金日額を把握することが、育休中の生活設計の第一歩になります。


参考法令・資料
– 雇用保険法 第61条の4(育児休業給付金)
– 雇用保険法施行規則 第101条の14(賃金日額の算定)
– 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
– ハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/)

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