育休中に一時的に仕事をした月は、育休給付金の金額はどうなるのでしょうか?「少し就業したら給付金が全額もらえなくなるの?」という不安を持つ方も多いはずです。
この記事では、月途中で就業した場合の支給停止条件・減額計算・日割り計算の具体的な方法を、法的根拠を踏まえながら実例つきでわかりやすく解説します。就業日数・就業時間の数え方から申請書類の準備まで、2025年時点の最新ルールに基づいた情報をお伝えします。社会保険労務士監修のもと、育休給付金の月途中就業に関する疑問をすべて解消していきます。
育休給付金の月途中就業とは?まず知っておくべき基本ルール
| パターン | 就業日数 | 就業時間 | 給付金の支給結果 |
|---|---|---|---|
| 給付金全額支給 | 10日未満 | 80時間未満 | 給付金100%支給 |
| 給付金減額 | 10日以上 | 80時間未満 | 日割り計算で減額 |
| 給付金減額 | 10日未満 | 80時間以上 | 日割り計算で減額 |
| 支給停止 | 10日以上 | 80時間以上 | 給付金0円(支給停止) |
育児休業給付金(以下「育休給付金」)は、育児休業を取得している期間に支給される雇用保険の給付金です。支給率は育休開始から180日目まで休業開始時賃金月額の67%、181日目以降は50%となります。
育休中でも、一定の条件を満たした範囲内であれば就業(復帰・アルバイトなど)が認められています。ただし、就業した日数や時間数によって、その月の給付金が「通常支給」「減額支給」「支給停止(不支給)」の3つのいずれかに分岐します。
月途中で職場に復帰した月、または産前・産後休業の終了に合わせて育休が月の途中から始まった月も、同じ仕組みで計算されます。ルールを正確に把握しておくことが、思わぬ不支給を避けるうえで非常に重要です。
支給単位期間(1ヶ月)の定義と計算の起点
育休給付金の計算のベースとなる期間を「支給単位期間」といいます。これは育児休業開始日を起点とした1ヶ月単位の期間です。
例:育休開始日が4月15日の場合
– 第1支給単位期間:4月15日〜5月14日
– 第2支給単位期間:5月15日〜6月14日
– 第3支給単位期間:6月15日〜7月14日
– …以降、同様に1ヶ月ずつ区切られます。
カレンダーの月(1日〜末日)ではないため注意が必要です。たとえば「5月中旬に復帰しようとしている」という場合でも、第1支給単位期間と第2支給単位期間のどちらに何日間かかるかを確認する必要があります。
この支給単位期間ごとに、就業日数・就業時間・支給額が計算されます。ハローワークへの申請書類も、この単位期間2回分(2ヶ月分)をまとめて提出するのが原則です。
月途中で就業した場合の3つの結果パターン
支給単位期間内に就業があった場合の結果は、以下の3パターンに分かれます。
| パターン | 条件 | 給付金の扱い |
|---|---|---|
| ①通常支給 | 就業日数10日以下かつ就業時間80時間未満、かつ賃金と給付金の合算が休業前賃金の80%以下 | 原則通り支給 |
| ②減額支給 | 就業日数10日以下かつ就業時間80時間未満、ただし賃金+給付金が休業前賃金の80%を超える場合 | 80%を超えた分だけ減額して支給 |
| ③支給停止(不支給) | 就業日数が11日以上、または就業時間が80時間以上のいずれか一方でも満たす場合 | その支給単位期間は不支給 |
早見表を見ると、就業日数10日・就業時間80時間がボーダーラインであることがわかります。これらのラインを超えないよう管理することが、育休給付金を受け取り続けるための鍵です。
支給停止(不支給)になる条件と判定ルール
支給停止は、育休給付金がその支給単位期間まるごとゼロになることを意味します。条件の一方だけでも超えれば適用されるため、事前の確認が欠かせません。
「就業日数10日以上」の正確な数え方
就業日数は、支給単位期間内に実際に就業した日の数を指します。具体的な数え方については、以下のポイントを押さえてください。
①1日単位でカウントする(半日は0.5日ではなく「1日」)
午前のみ出勤・午後のみ出勤など、1日の中で一部だけ就業した場合でも、その日は「1日」として計上されます。0.5日扱いにはなりません。たとえば「週2回の半日勤務」を2週間続けた場合は、合計4日の就業としてカウントされます。
②テレワーク・在宅勤務も就業日数に含まれる
出社の有無は関係ありません。テレワークや在宅での業務も、業務を行った日は就業日数にカウントされます。「家から少し仕事しただけだから大丈夫」という認識は危険です。
③副業・アルバイトも対象
元の職場だけでなく、育休中に行う副業やアルバイトも就業日数・就業時間に含まれます。複数の就業先がある場合は合算して判断されます。
④パターン別の就業日数カウント例
| 就業パターン | 就業日数のカウント |
|---|---|
| 週3日フル勤務(4週間) | 12日 → 支給停止 |
| 週2日半日勤務(4週間) | 8日 → セーフ |
| 週1日フル勤務(4週間) | 4日 → セーフ |
| 週2日フル勤務(3週間)+1日 | 7日 → セーフ |
| 週3日フル勤務(3週間)+1日 | 10日 → ボーダー(10日以上で不支給) |
就業日数がちょうど10日の場合も不支給となる点に注意してください。「10日を超えたら」ではなく「10日以上で」支給停止となります(雇用保険法施行規則第101条の19)。
「就業時間80時間以上」が適用される場合
就業日数が10日以下であっても、就業時間の合計が80時間以上になると支給停止になります。この基準は、少ない日数で長時間働くケースを想定したセーフガードです。
フローチャートで確認する
就業あり?
↓ YES
就業日数が10日以上?
↓ YES → ③支給停止(不支給)
↓ NO
就業時間の合計が80時間以上?
↓ YES → ③支給停止(不支給)
↓ NO
賃金+給付金が休業前賃金月額の80%超?
↓ YES → ②減額支給
↓ NO → ①通常支給
就業時間の計算に含まれるもの
- 実際の労働時間(残業を含む)
- 休憩時間は含まない
- 移動時間は原則含まない(ただし業務として命じられた移動は含む)
- テレワークの実労働時間も含む
具体例:日数は少なくても時間超過のケース
支給単位期間中に週3日・1日8時間勤務を3週間+1日実施したとします。
就業日数:10日(10日以上で不支給)
このケースは日数基準でも既に不支給です。別のケース:週2日・1日9時間を5週間(10日)実施した場合
就業日数:10日(10日以上で不支給)
就業時間:90時間
→ 日数・時間どちらの基準でも不支給さらに別のケース:週2日・1日10時間を4週間(8日)実施した場合
就業日数:8日(日数基準はセーフ)
就業時間:80時間(時間基準で不支給)
→ 就業日数はセーフでも時間基準で支給停止
このように、日数だけを管理して時間を見落とすケースが実務では多く発生します。日数と時間の両方を常にトラッキングする習慣が必要です。
支給停止が確定した月の申請手続き上の注意点
支給停止(不支給)が確定した支給単位期間であっても、ハローワークへの申請書類の提出は必要です。「どうせゼロだから申請しなくていい」と放置してしまうと、次の支給単位期間分も未申請扱いになり、給付金の受給が遅延・停止するリスクがあります。
提出が必要な書類は通常と同様です:
- 育児休業給付金支給申請書(様式第33号の4)
- 出勤簿または賃金台帳のコピー(就業実績の証明)
- 就業がある場合は給与明細のコピーも提出
申請書の「就業日数」欄と「就業時間数」欄に正確な数値を記入し、不支給事由があることを示します。ハローワーク側でその支給単位期間は「不支給」と処理されますが、次の支給単位期間の申請が継続されるようになります。
減額支給の計算式と日割り計算の具体的な方法
就業日数10日以下かつ就業時間80時間未満の場合でも、就業によって賃金が発生すると給付金が減額される場合があります。この章では減額計算の仕組みと実際の計算方法を詳しく解説します。
減額計算の基本的な仕組み
育休給付金は、就業による賃金と給付金の合算額が、休業開始時賃金月額の80%を超えないよう調整されます。
休業開始時賃金月額とは、育休取得直前の賃金から算出したベースとなる月収です。ハローワークが雇用保険の「賃金日額」をもとに計算します。
計算の基本式
支給額 = 本来の給付額 −(賃金額+本来の給付額 − 休業開始時賃金月額×80%)
ただし、「賃金額+本来の給付額」が「休業開始時賃金月額×80%」以下の場合は減額なし。
月途中就業時の日割り計算の具体的な方法
月の途中で育休が終了した場合(職場復帰した場合)など、支給単位期間が1ヶ月に満たない月は、日割り計算が適用されます。
日割り計算の対象となるケース:
– 育休を月の途中で終了し、復帰した場合
– 子どもが1歳になる誕生日の前日が月の途中の場合
– 育休が月の途中から開始された場合
日割り計算の基本式(支給単位期間が1ヶ月未満の場合)
日割り後の給付基礎額 = 休業開始時賃金月額 × 支給単位期間の日数 ÷ 30
この計算で求めた「日割り後の給付基礎額」に支給率(67%または50%)をかけた金額が、その月の本来の支給額の上限となります。
具体的な計算例
【設定】
– 休業開始時賃金月額:300,000円
– 支給率:67%(育休開始から180日以内)
– 育休終了日:支給単位期間の18日目(18日間の育休)
– その月の就業日数:0日(就業なし)計算手順:
①日割り後の給付基礎額
= 300,000円 × 18日 ÷ 30 = 180,000円②支給額
= 180,000円 × 67% = 120,600円
30日で割る点がポイントで、月の実際の日数(28日・29日・31日)に関わらず常に30で除算します(雇用保険法施行規則の規定)。
就業による賃金が発生した場合の減額計算(日割り月の例)
月途中で就業し、かつ支給単位期間が1ヶ月未満のケースを想定した計算例です。
【設定】
– 休業開始時賃金月額:360,000円
– 支給率:67%
– 支給単位期間の日数:20日(月途中で育休終了)
– その期間中に5日間就業し、賃金60,000円を受領計算手順:
①日割り後の給付基礎額
= 360,000円 × 20日 ÷ 30 = 240,000円②本来の給付額(減額前)
= 240,000円 × 67% = 160,800円③減額判定
賃金+本来の給付額 = 60,000円 + 160,800円 = 220,800円
休業開始時賃金月額の80% = 360,000円 × 80% = 288,000円
→ 220,800円 < 288,000円 なので減額なし支給額:160,800円
次に、賃金額が多い場合の例です。
【設定】
– 休業開始時賃金月額:360,000円
– 支給率:67%
– 支給単位期間の日数:20日
– その期間中に8日間就業し、賃金150,000円を受領(就業日数8日→支給停止条件未満)計算手順:
①日割り後の給付基礎額
= 360,000円 × 20日 ÷ 30 = 240,000円②本来の給付額(減額前)
= 240,000円 × 67% = 160,800円③減額判定
賃金+本来の給付額 = 150,000円 + 160,800円 = 310,800円
休業開始時賃金月額の80% = 360,000円 × 80% = 288,000円
→ 310,800円 > 288,000円 なので減額あり④支給額の計算
支給額 = 160,800円 −(310,800円 − 288,000円)
= 160,800円 − 22,800円
= 138,000円
このように、就業日数が支給停止ラインを下回っていても、高い賃金によって給付金が減額されることがあります。
支給上限額・下限額の存在
育休給付金には毎年8月1日に改定される支給上限額と下限額があります。2024年8月改定後の数値を参考として記載します。
| 支給率 | 支給上限額(1ヶ月あたり) | 支給下限額(1ヶ月あたり) |
|---|---|---|
| 67% | 310,143円 | 65,271円 |
| 50% | 231,450円 | 48,720円 |
※上限・下限は毎年変動するため、ハローワーク公式サイトまたは最寄りのハローワークで必ず最新値を確認してください。
日割り計算が適用される月は、この上限額も日割りで計算されます(上限額×支給単位期間の日数÷30)。
申請に必要な書類と手続きの流れ
月途中就業が発生した支給単位期間について、スムーズに申請するための手順と書類を整理します。
準備すべき書類一覧
| 書類名 | 入手先 | 備考 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金支給申請書(様式第33号の4) | ハローワーク・事業主 | 事業主記載欄あり |
| 出勤簿のコピー | 事業主 | 就業日数の証明 |
| 賃金台帳(給与明細)のコピー | 事業主 | 支払われた賃金の証明 |
| 育児休業取得状況確認書 | 事業主 | 休業期間の証明 |
| 母子健康手帳のコピー(初回のみ) | 本人保管 | 子の生年月日の確認 |
月途中就業がある月は、特に出勤簿と賃金台帳の提出が重要です。就業日数・就業時間・賃金額がハローワークの審査対象となるため、記録が不正確だと支給決定に時間がかかったり、追加書類の提出を求められたりするケースがあります。
申請のタイミングと提出先
育休給付金の支給申請は、原則として2ヶ月分の支給単位期間をまとめて提出します。初回の申請は育休開始日の翌日から起算して4ヶ月以内、2回目以降は支給単位期間終了後の翌月末までが目安です。
事業主経由でハローワークに提出するケースが一般的ですが、本人が直接ハローワークへ持参・郵送することも可能です(事業主の協力が得られない場合など)。
提出先は住所地を管轄するハローワークではなく、事業主(雇用主)の事業所を管轄するハローワークである点に注意してください。
就業実績の記録管理のすすめ
月途中就業が発生する見込みがある場合は、あらかじめ以下の記録を日々つけておくことをおすすめします。
- 就業日ごとの日付・実労働時間(テレワークも含む)
- その月の累計就業日数・累計就業時間
- 受け取った賃金額(見込みを含む)
支給単位期間の途中で「あと何日・何時間就業できるか」を把握することで、意図せず支給停止ラインを超えてしまうリスクを防げます。スプレッドシートや手帳に記録するだけで十分です。
180日規定と支給率の切り替わり月の注意点
育休開始から180日目を境に、支給率が67%から50%に変わります。この切り替わりが月の途中に発生する場合、1つの支給単位期間の中に2つの支給率が混在することになります。
この場合、ハローワークでは支給単位期間内の日数按分によって給付額を計算します。具体的には、それぞれの支給率が適用される日数を割り出し、それぞれに対応する給付基礎額を算出したうえで合算します。
例:支給単位期間30日のうち、最初の10日が67%・残り20日が50%の場合
①67%適用部分:休業前賃金月額 × 10÷30 × 67%
②50%適用部分:休業前賃金月額 × 20÷30 × 50%
③合算:①+②が支給額(減額・上限適用前)
切り替わり月に月途中就業も重なると計算がさらに複雑になります。このような場合は、ハローワークの窓口に相談しながら申請書を作成することを強くおすすめします。
👉 復職か転職か迷ったら、女性向け転職エージェントに無料相談
👉 育休・産休中に生命保険を見直す(みんなの生命保険アドバイザーで無料相談)![]()
よくある疑問(FAQ)
育休給付金の月途中就業に関して、現場でよく寄せられる疑問をまとめました。
Q1. 育休中にフリーランスの仕事をした場合、就業日数はどうカウントされますか?
フリーランス・業務委託・自営業の作業日も就業日数に含まれます。雇用契約の有無は関係なく、「労働の事実があった日」を基準にカウントします。業務指示のメール対応や打ち合わせのみの日も「就業日」とみなされる可能性があるため注意が必要です。
Q2. 就業日数が9日でも就業時間が90時間の場合、給付金はどうなりますか?
就業日数は10日未満でも、就業時間が80時間以上のため支給停止(不支給)となります。2つの基準はどちらか一方でも超えれば不支給になります。
Q3. 支給停止になった月は、翌月以降の給付金に影響しますか?
その支給単位期間のみ不支給となります。翌月の支給単位期間で就業日数・時間数が基準以内に収まれば、通常通り支給されます。ただし、申請書の提出を怠ると次月以降の処理が遅れる場合があります。
Q4. 日割り計算の際に「30」で割る理由は何ですか?
雇用保険法施行規則に基づき、月の日数にかかわらず一律30日を基準として計算することが定められています。これは計算の統一性を保つための規定です。実際の月が28日や31日であっても30で割ります。
Q5. 育休給付金の上限額は毎年変わると聞きましたが、いつ確認すればいいですか?
上限額・下限額は毎年8月1日に改定されます。ご自身の育休取得期間に8月をまたぐ場合は、8月以降の支給単位期間から新しい上限額が適用されます。厚生労働省またはハローワーク公式サイトで最新値を確認してください。
Q6. 育休中に就業して受け取った賃金は確定申告が必要ですか?
育休給付金自体は非課税ですが、就業によって受け取った賃金は課税所得です。年間の給与収入が103万円を超えた場合(年末調整で処理されない収入がある場合)は確定申告が必要になる場合があります。税務上の取り扱いは税理士や税務署にご相談ください。
育休給付金の月途中就業に関する手続きや計算について不明な点がある場合は、最寄りのハローワークや社会保険労務士に相談することをおすすめします。正確な情報に基づいて申請することが、給付金の円滑な受給につながります。
まとめ:月途中就業で押さえるべき重要ポイント
育休給付金の月途中就業における日割り計算と支給停止条件について、以下の要点を改めて整理します。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 支給単位期間の起点 | 育休開始日から1ヶ月単位(カレンダー月ではない) |
| 支給停止の条件 | 就業日数10日以上または就業時間80時間以上(どちらかで不支給) |
| 就業日数のカウント | 半日勤務も「1日」、テレワーク・副業も含む |
| 日割り計算の式 | 休業前賃金月額 × 実際の日数 ÷ 30 × 支給率 |
| 減額の基準 | 賃金+給付金が休業前賃金月額の80%超で減額 |
| 不支給月の申請 | 不支給でも申請書の提出は必要 |
| 上限額の確認 | 毎年8月改定。最新値をハローワークで確認 |
月途中就業のルールは細かく、自分で計算しようとすると複雑に感じることも多いでしょう。不明点があればハローワーク窓口や社会保険労務士への相談を積極的に活用してください。申請漏れや計算ミスを防ぐことが、給付金を適切に受け取るための最善策です。
法的根拠
本記事の内容は以下の法令・通達に基づいています。
- 雇用保険法 第61条の4(育児休業給付金)
- 雇用保険法施行規則 第101条の11〜第101条の30
- 厚生労働省告示 平成21年第532号
- 育児・介護休業法 第9条
※本記事は2025年時点の情報をもとに作成しています。制度改正により内容が変更される可能性があります。最新情報は厚生労働省・ハローワーク公式サイトをご参照ください。


