育休給付金の平均賃金|除外される給与・ボーナスを徹底解説

育休給付金の平均賃金|除外される給与・ボーナスを徹底解説 育休給付金

育休給付金(育児休業給付金)の支給額は、休業前の給与をもとに計算されます。しかし「先月もらったボーナスは反映されるの?」「臨時手当は計算に入るの?」と疑問を持つ方は少なくありません。

実は、育休給付金の計算に使う「賃金月額」では、一定の給与が除外されるというルールがあります。この除外ルールを知らないまま給付額を見積もると、実際の受取額との差に驚くことになります。

本記事では、雇用保険法施行規則に基づき、除外される給与の全種類を法令根拠付きで網羅的に解説します。企業の人事担当者の方にとっても、申請書類の作成や従業員への説明に役立てていただける実務的な内容です。


育休給付金の支給額はどう計算される?平均賃金の基本を押さえよう

育休給付金の金額を正確に把握するには、「賃金月額」という概念を理解することが出発点になります。賃金月額こそが給付額の土台であり、何を「含めて」何を「除外する」かによって、最終的な手取り額が大きく変わります。

賃金月額・休業開始時賃金日額とは何か

賃金月額(休業開始時賃金日額)は、育休給付金の計算に使われる基準賃金です。具体的には以下の手順で算出します。

算定フロー

  1. 対象期間を特定する
    育児休業を開始した日の直前の「完全な賃金支払い月」を6ヶ月分さかのぼります。

  2. 賃金総額を合算する
    その6ヶ月間に実際に支払われた賃金(除外項目を除く)を合計します。

  3. 賃金月額を算出する
    賃金総額 ÷ 180日 = 休業開始時賃金日額

  4. 上限・下限を確認する
    休業開始時賃金日額には上限(2025年現在:15,430円)と下限(2,869円)が設けられています。

具体例

月給30万円(固定)で6ヶ月勤務した場合:

賃金総額:300,000円 × 6ヶ月 = 1,800,000円
休業開始時賃金日額:1,800,000円 ÷ 180日 = 10,000円
賃金月額:10,000円 × 30日 = 300,000円

この計算において、ボーナスや一時金などが加算されるかどうかが、除外ルールの核心です。

法的根拠:雇用保険法施行規則第65条・第64条、雇用保険法第61条の4


給付率67%・50%はどの賃金をベースに計算される?

育休給付金の給付率は、育休開始からの期間によって異なります。

育休開始からの期間 給付率 計算式
開始〜180日目まで 67% 賃金月額 × 67%
181日目以降 50% 賃金月額 × 50%

2025年現在、上記の賃金月額には上限があり、給付額の上限は次のようになります。

期間 1支給単位期間(約1ヶ月)の上限
開始〜180日 310,143円
181日〜 231,450円

※上限額は毎年8月1日に見直されます。最新額は厚生労働省公式サイトまたはハローワークでご確認ください。

ポイント:除外項目があると給付額が下がる

仮に6ヶ月間の間にボーナス60万円を受け取っていたとしても、それが計算から除外されれば、賃金月額は固定給のみをベースに算出されます。除外ルールを正確に把握しておくことは、自分の受取額を正しく見積もるために不可欠です。


平均賃金の計算から除外される給与の全種類一覧【法令根拠付き】

ここが本記事の核心です。雇用保険法施行規則第65条を根拠として、除外対象となる給与を分類別に網羅的に解説します。

除外される給与の全体像(一覧表)

分類 具体例 法令根拠
3ヶ月超の間隔で支払われる賃金 夏季賞与・冬季賞与・決算賞与 雇用保険法施行規則第65条
臨時的・一時的な賃金 特別手当・繁忙期手当・プロジェクト完了手当 継続性がないため
祝金・見舞金類 出産祝金・慶弔見舞金・災害見舞金 賃金の性質を持たないため
退職に関する賃金 退職金・退職慰労金 在職中の給与に該当しないため

ボーナス・賞与は除外される?3ヶ月超の一時金が対象外の理由

結論から言えば、一般的なボーナス(賞与)は育休給付金の賃金月額計算から除外されます。

法的根拠

雇用保険法施行規則第65条は、賃金月額の算定に際して「3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」を除外すると規定しています。夏季・冬季・決算賞与はいずれも年1〜2回の支給が一般的であり、この「3ヶ月超」という条件を満たすため、計算対象外となります。

除外されるボーナス・一時金の具体例

  • 夏季賞与(盆前に一括支給)
  • 冬季賞与(年末に一括支給)
  • 決算賞与(四半期・半期・年次決算時)
  • 業績連動型一時金(年1〜2回支給)
  • 期末手当・勤勉手当(公務員系)

「3ヶ月以内の間隔」で支給されるものは含まれる

逆に言えば、毎月支給される諸手当や、3ヶ月以内の間隔で支払われる賃金は除外されません。

支給形態 賃金月額への算入
毎月支給の能率給・インセンティブ 算入される
四半期ごと(3ヶ月以内)の手当 算入される
半期ごと(6ヶ月)のボーナス 除外される
年1回の賞与 除外される

具体例で確認

月給25万円の会社員が、6月に夏季賞与60万円を受け取り、9月15日から育休を開始した場合:

【算定対象期間】:3月〜8月(直前6ヶ月)
【算入される賃金】:25万円 × 6ヶ月 = 150万円
【除外されるもの】:夏季賞与60万円(3ヶ月超の間隔で支払われるため)
【賃金月額計算】:150万円 ÷ 180日 × 30日 = 25万円
【給付額(67%期間)】:25万円 × 67% = 167,500円/月

ボーナスを含めて試算した場合(210万円 ÷ 180日 × 30日 = 35万円)と比較すると、月々の給付額は大きく異なります。この差を事前に把握しておくことが、育休期間中の家計管理に直結します。


臨時手当・繁忙期手当は除外される?

臨時手当や繁忙期手当も、基本的に除外されます。ただし、支給の「継続性」と「定期性」によって判断が変わる場合があるため、注意が必要です。

除外される臨時的賃金の具体例

名称 内容 除外理由
臨時ボーナス 業績好調時の特別一時金 継続性・定期性がない
繁忙期手当 繁忙シーズンのみ支給 臨時的な支払いに該当
プロジェクト完了手当 特定業務完了時の一時金 一時的な賃金に該当
赴任手当(初回のみ) 転勤時に一度だけ支給 継続性がない

毎月支払われる手当は含まれる

「繁忙期手当」という名称であっても、毎月継続して支払われているものであれば算入されます。名称よりも「支払いの実態」が判断基準となります。

判断チェックリスト(人事担当者向け)

  • [ ] 支給が毎月行われているか? → YES:算入対象
  • [ ] 支給が特定の時期や条件に限定されているか? → YES:除外対象
  • [ ] 3ヶ月を超える間隔での支給か? → YES:除外対象
  • [ ] 就業規則・賃金規程に定めがあるか? → 定期的支給なら算入対象

祝金・見舞金・退職金はなぜ除外されるのか

これらは法律上「賃金」に該当しないと解釈されるため、除外されます。

除外される理由と具体例

祝金・見舞金類

名称 内容
出産祝金 出産時に会社から支給される一時的な祝金
結婚祝金 結婚時に支給される慶弔金
慶弔見舞金 家族の死亡・傷病時の見舞金
災害見舞金 自然災害等に際して支給される支援金
永年勤続表彰金 勤続年数節目の表彰に伴う金銭

これらは「労働の対価」ではなく「福利厚生の一環」として支給されるため、賃金月額には含まれません。

退職金・退職慰労金

退職金は、在職中ではなく退職を契機として支払われる性格のものです。育休は在籍したまま取得する制度であるため、退職金が育休期間中に支払われるケースは通常ありませんが、仮に早期退職支援金などが支払われた場合も算入されません。


社会保険料・雇用保険料の扱いはどうなる?

ここは誤解が多い部分です。「賃金月額は税引き前の支給額?それとも手取り額?」という疑問に答えます。

結論:賃金月額は「税・保険料控除前」の支給総額(額面)で計算されます。

賃金月額の計算に含まれる・含まれないもの

項目 算定への影響
健康保険料(本人負担分) 含まれる(控除前の総額で算定)
厚生年金保険料(本人負担分) 含まれる(同上)
雇用保険料(本人負担分) 含まれる(同上)
所得税・住民税 含まれる(控除前の総額で算定)
社会保険料の会社負担分 含まれない(給与明細に載らないため)

つまり、社会保険料は「控除(差し引かれる)」されるものの、賃金月額の計算ベースは税引き前・保険料控除前の支給総額です。

実務上の注意点(企業人事向け)

ハローワークへの申請時に提出する「賃金証明書」には、総支給額(控除前)を記載します。手取り額を誤って記載すると、給付額が過少に算定されてしまうことがあります。正確な記載のために、賃金台帳の確認を必ず行ってください。


除外されない給与・手当の種類【算入される賃金の確認】

除外されるものを理解したうえで、逆に「算入される賃金」も確認しておきましょう。

賃金月額に算入される主な給与・手当

種類 具体例 注意点
基本給 月給・日給・時給 全額算入
毎月支給の各種手当 住宅手当・家族手当・役職手当 毎月定期支給のもの
通勤手当 毎月支給の定期代実費相当 算入される(上限なし)
時間外労働手当 残業代・休日出勤手当・深夜割増 算入される
能率給・インセンティブ 毎月支給の成果連動型賃金 定期支給であれば算入
地域手当 地方勤務に対する手当 毎月支給であれば算入

注意が必要なグレーゾーンの手当

精勤手当・皆勤手当

毎月支給されるものは算入対象です。ただし、年1回まとめて支給される「年間皆勤賞」などは3ヶ月超の間隔に該当するため除外されます。

交通費・実費弁済

実費として支払われる交通費は原則として賃金に含まれますが、定期代として毎月支給されているものは算入対象です。領収書精算の実費払いであっても、継続的に支払われている場合は判断が分かれる場合があるため、ハローワークに確認することを推奨します。


実際の計算例:除外ありと除外なしの給付額比較

理解を深めるために、除外ルールがどれほど給付額に影響するかを具体的に比較します。

ケース設定

  • 月給:28万円
  • 夏季賞与(6月支給):50万円
  • 残業代(月平均):2万円
  • 育休開始日:10月1日(直前6ヶ月:4月〜9月)

計算①:除外ルールを正しく適用した場合

算入される賃金:
  月給 28万円 × 6ヶ月 = 168万円
  残業代 2万円 × 6ヶ月 = 12万円
  合計:180万円

除外されるもの:
  夏季賞与 50万円(3ヶ月超の間隔→除外)

賃金月額:
  180万円 ÷ 180日 × 30日 = 30万円

給付額(67%期間・月額):
  30万円 × 67% = 201,000円/月

計算②:ボーナスを誤って含めた場合(誤算例)

誤った賃金総額:180万円 + 50万円 = 230万円
誤った賃金月額:230万円 ÷ 180日 × 30日 = 約38.3万円

給付額:約256,610円/月(実際には上限額の制限により調整)

除外ルールを知らないと、月々2万〜5万円程度の期待値の誤差が生じる可能性があります。育休期間が1年を超える場合、その差は年間20万〜60万円に及ぶこともあります。


企業の人事担当者が実務で注意すべきポイント

ハローワーク申請における賃金証明書の記載方法

育休給付金の申請では、事業主がハローワークに「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を提出します。記載時の注意点は次のとおりです。

記載フロー

  1. 算定対象期間の確認
    育休開始日の直前の賃金支払い日から6ヶ月分をさかのぼって特定する。

  2. 各月の賃金を正確に記載

  3. 総支給額(控除前)を月ごとに記載
  4. ボーナスは「備考欄」に記載し、算定欄には含めない

  5. 賃金の種類を区分して記載

  6. 基本給・各種手当・残業代は通常欄に記載
  7. 賞与・一時金は算定除外項目として別記

  8. 提出書類の確認

  9. 賃金台帳(直前6ヶ月分)
  10. 出勤簿またはタイムカード
  11. 育児休業申出書(労働者から提出済みのもの)

よくある記載ミスとその影響

ミスの内容 影響
ボーナスを算定欄に含めてしまう 賃金月額が過大になり、後から修正が必要になる
手取り額で記載する 賃金月額が過少になり、給付額が下がる
算定対象期間を誤る 給付額の算定基礎が狂う
一時的な臨時手当を定期手当として記載 除外すべき項目が算入される

申請期限の確認

育休給付金の申請は原則として2ヶ月ごとに行います。初回申請は育休開始から約2ヶ月後が目安です。事業主経由でハローワークに申請する場合は、担当者と事前に申請スケジュールを共有しておくことを推奨します。


2025年の制度変更点と最新情報

2025年においても育休制度は改正・見直しが続いています。給付額の計算方法そのものは大きく変わっていませんが、給付率や上限額には変更が入る場合があります。

2025年の主な注目点

  • 給付率の上限額は毎年8月1日改定(最新値は厚生労働省公式サイトを参照)
  • 「育休取得を促進するための給付率引き上げ」に関する議論が継続中
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)も同様の除外ルールが適用

最新の給付率や上限額は、厚生労働省公式ウェブサイトやハローワークで確認することが重要です。制度改正により計算ルール自体に変更が生じる可能性もあるため、育休申請前には必ず公式情報を確認してください。

💰 育休・産休中のお金の不安を無料で相談

資産形成・保険・給付金など、FPが無料でアドバイス

FPカフェ 無料FP相談

🚪 育休中・復職後のお悩みをプロに相談

育休ハラスメント・退職強要など、退職代行サービスが安心サポート

退職代行サービス

👩‍💻 育休後も在宅・時短で無理なく働く

空いてる時間でしっかり稼げる在宅・時短のお仕事マッチング

ママワークス 在宅・時短のお仕事

👶 妊娠・出産・子育て中のママの保険を無料で見直し

育休中・産休中こそ保険の見直しどき。FPが無料でサポート

ベビープラネット 保険無料相談


よくある質問(FAQ)

Q1. ボーナスをもらった直後に育休を取ると給付額が下がる?

直接的には関係しません。ボーナスが除外されるのは「賃金月額の計算から除外される」という意味であり、受け取ったボーナスが返還されるわけではありません。ただし、育休開始前6ヶ月にボーナスが含まれていても賃金月額の算定には反映されないため、「ボーナスがなくても給付額は変わらない」という点を正確に理解してください。

Q2. 育休前に残業を増やせば給付額は上がる?

はい、時間外労働手当(残業代)は賃金月額に算入されます。育休開始直前6ヶ月の残業代が多いほど、賃金月額は高くなります。ただし、上限額の制限があるため、一定額を超えると給付額は変わりません。2025年現在の上限額を確認したうえで試算することをおすすめします。

Q3. 複数の会社に勤めている場合、どちらの賃金で計算される?

雇用保険は原則として1社でしか加入できないため、育休給付金が支給されるのは雇用保険に加入している勤務先における賃金のみを基準に計算します。副業・兼業先の賃金は原則として算入されません。

Q4. 育休中に賃金が支払われた場合はどうなる?

育休中に事業主から支払われた賃金が一定額(賃金月額の80%)を超えると、給付金が減額または不支給となります。育休中のスポット就業や在宅作業に対して賃金が支払われる場合は、ハローワークへの届出が必要です。

Q5. 人事担当者として申請書類を作成する際に相談窓口はある?

ハローワーク(公共職業安定所)が主な窓口です。賃金証明書の記載方法や除外項目の取り扱いについては、事業所所在地を管轄するハローワークに直接問い合わせることを推奨します。社会保険労務士(社労士)に依頼することも有効な選択肢です。

Q6. 産休期間中の賃金は賃金月額に算入される?

産前産後休業(産休)中は、一般的に無給となる場合が多いです。産休期間が6ヶ月の算定対象に含まれる場合、その月の賃金がゼロ(または著しく低い)と算定されることがあります。このような場合、算定から除外される「完全な賃金月」の扱いについてはハローワークに確認することを推奨します。


まとめ:除外ルールを知ることが正確な給付計画の第一歩

育休給付金の賃金月額計算から除外される給与の全種類をまとめると、以下のとおりです。

除外されるもの
– 3ヶ月を超える間隔で支払われる賃金(ボーナス・賞与・期末手当など)
– 臨時的・一時的な賃金(特別手当・繁忙期手当・プロジェクト完了手当など)
– 祝金・見舞金(出産祝金・慶弔見舞金・永年勤続表彰金など)
– 退職金・退職慰労金

算入されるもの
– 基本給・定期的に支給される各種手当(住宅・家族・役職・通勤)
– 時間外労働手当(残業代・深夜割増・休日出勤手当)
– 毎月支給の能率給・インセンティブ

除外ルールを正確に理解することは、育休前の家計計画を立てる労働者にとっても、申請書類を正確に作成する企業の人事担当者にとっても、不可欠な知識です。

疑問点がある場合は、管轄のハローワークまたは社会保険労務士に早めに相談することをおすすめします。申請書類のミスは給付額に直接影響するため、余裕を持った準備が重要です。


参考法令・参考資料

  • 雇用保険法(第61条〜第61条の4)
  • 雇用保険法施行規則(第64条・第65条)
  • 育児・介護休業法
  • 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」(最新版)
  • ハローワークインターネットサービス(公式)

タイトルとURLをコピーしました