育休中の兄弟児は保育園継続できる?条件・手続き・給付金を解説

育休中の兄弟児は保育園継続できる?条件・手続き・給付金を解説 育児休業制度

「下の子が生まれて育休を取ったら、上の子が保育園を退園しなければいけないの?」

そんな不安を持つ保護者の方は非常に多くいます。結論から言うと、育休中でも上の子(兄弟児)の保育園継続利用は原則として可能です。ただし、自治体による「保育の必要性の認定」を受けることが条件となるため、手続きを正しく把握しておく必要があります。

本記事は、育児支援制度に精通したコンサルタントの監修のもと、2025年の最新情報をベースに作成されています。育休中の兄弟児保育園継続の条件・申請手順・必要書類給付金への影響まで、わかりやすく解説します。


育休中に上の子(兄弟児)は保育園を継続利用できる?

保育の必要性の認定とは何か?

認可保育園や認定こども園を利用するためには、自治体から「保育の必要性の認定」を受けることが前提です。この認定は、子ども・子育て支援法第19条に基づいており、保護者が「保育を必要とする事由」に該当しているかどうかを判定するものです。

「保育を必要とする事由」として法令上認められている主な理由は、以下のとおりです。

事由 具体例
就労 会社員・パート・自営業など
妊娠・出産 産前産後期間中
疾病・障害 保護者本人の入院・療養など
介護・看護 同居家族の介護
育児休業中 下の子の育休取得中(兄弟児の継続利用)
求職活動 就職活動中
就学 職業訓練・大学通学など

ポイントは、「育児休業中」が保育の必要性の事由として明確に位置づけられているという点です。育児・介護休業法に基づいて育休を取得している場合、その期間中は自治体に対して「育休中である」ことを申告することで、上の子の保育継続が認められるのです。

ただし、この認定はあくまで自治体が行うものであり、書類を提出しないと自動的に継続されるわけではありません。手続きを忘れると退園になるケースもあるため、注意が必要です。


下の子の育休中は上の子の「育休退園」になる?ならない?

「育休退園」とは、保護者が育休を取得したことで、それまで就労を理由に保育園を利用していた上の子が退園を求められることをいいます。

かつては多くの自治体で育休退園ルールが存在していましたが、2024〜2025年にかけての子育て支援施策の強化により、現在は多くの自治体で育休中も継続利用を認める方向に整備が進んでいます。

しかし、自治体によって対応が異なるのが現状です。以下の表で状況を整理します。

パターン 内容 代表的な対応
継続利用OK(届出のみ) 育休中であることを届け出れば継続利用可能 多数の政令市・中核市
継続利用OK(条件あり) 週2日以上の登園・復職予定の提出などが条件 一部の市区町村
保育時間が短縮される 育休中は「短時間保育(1日8時間未満)」に切り替わる 認定こども園など
退園が必要なケースあり 育休期間が一定期間を超える場合や待機児童が多い地域 一部の自治体(減少傾向)

まず確認すべきことは、居住する自治体のルールです。市区町村の保育担当窓口またはホームページで「育休中の保育継続利用」に関する案内を必ず事前に確認してください。


保育園継続利用の対象者と条件一覧

育休申出者が満たすべき要件

育休を取得している保護者が、兄弟児の保育継続を認められるには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • ✅ 同一企業に引き続き雇用されている(雇用関係が継続している)
  • ✅ 雇用保険に加入しており、育休開始前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上ある
  • ✅ 育休の対象となる下の子が1歳未満(延長の場合は最大2歳未満)
  • ✅ 育休取得の事実を会社に申し出て、会社から自治体への証明が取れる状態にある
  • ✅ 育休終了後、職場復帰する意思があること(復職予定日を示せること)

なお、育休の期間延長(1歳→1歳6ヶ月→2歳)の際にも、上の子の保育継続を維持するためには、延長の都度、自治体へ届出や更新手続きが必要になる場合があります。


上の子(兄弟児)側が満たすべき要件

上の子(兄弟児)自身に関しても、継続利用のために条件が設けられているケースがあります。

認可保育園・認定こども園(保育所型・保育認定)の場合

  • 保育の必要性の認定(2号または3号認定)を受けていること
  • 定期的かつ継続的に登園していること(週2日以上が多くの自治体の目安)
  • 「育休中」という事由で改めて認定の更新申請をすること

認定こども園(幼稚園型・1号認定)の場合

  • 1号認定は「保育を必要としない子ども」向けの区分のため、育休とは関係なく継続利用できる
  • ただし、利用時間や費用は認定区分によって異なる

幼稚園(私立・公立)の場合

  • 幼稚園は保育の必要性の認定とは無関係に利用できる施設が多い
  • 預かり保育の利用が育休中でも可能かどうかは、各園のルールによる
  • 幼稚園就園奨励費や保育料無償化の適用条件を個別に確認する必要がある

就学前・学童保育利用の上の子はどう扱われる?

小学校就学後の子どもは、認可保育園の対象外となるため「保育の必要性の認定」の対象外です。

したがって、上の子がすでに小学生である場合は、下の子育休の継続条件として上の子の学童利用は原則カウントされません。ただし、育休の取得自体は下の子の年齢要件を満たしていれば問題なく継続できます。

就学前の子(未就学の上の子)については引き続き保育継続の対象となりますが、保育園の年齢上限(多くは就学前=満6歳)を超えている場合は自動的に終了となります。


申請手続きの流れと必要書類

ステップごとの申請手順

育休中の兄弟児保育継続には、主に以下のステップで手続きを進めます。

STEP 1:下の子の出生時(出生後すぐ)

  • 出生届を市区町村に提出(出生後14日以内)
  • 健康保険の被扶養者追加手続き
  • 会社へ育休延長・継続の意向を報告

STEP 2:育休継続の申請(会社と自治体の両方で)

会社へ:
– 育児休業申出書(または延長申出書)を提出
– 育児休業取扱通知書を会社から受領

自治体へ(市区町村の保育担当窓口):
– 保育所等利用継続申請書(または在園継続届)を提出
– 育休取得証明書(会社発行)または就労(休業)証明書を添付

STEP 3:認定の更新・確認

  • 自治体から「保育の必要性の認定更新」の通知を受領
  • 認定期間が育休期間と一致しているか確認
  • 延長が必要な場合は再度申請

STEP 4:育休終了・職場復帰時

  • 復職後は「就労」事由での認定に切り替わる
  • 就労証明書を会社から取得し、自治体に提出(復職後1〜2ヶ月以内が目安)

申請に必要な主な書類一覧

書類名 入手先 備考
保育所等利用継続申請書(在園継続届) 自治体窓口・HPよりDL 自治体によって名称が異なる
育児休業取得証明書 または 就労(休業)証明書 会社(事業主)が発行 育休期間・復職予定日の記載が必要
母子健康手帳のコピー 手元にある母子手帳 下の子の出生日確認のため
育児休業申出書のコピー 会社に申し出た書類 不要な自治体もある
本人確認書類 運転免許証・マイナンバーカードなど

重要ポイント: 自治体によっては「育休開始から〇ヶ月以内に申請」という期限が設けられています。下の子出生後、できるだけ早めに(遅くとも1〜2ヶ月以内に) 自治体の保育担当課へ相談することを強くおすすめします。


育児休業給付金への影響と計算方法

上の子の保育園利用は給付金に影響する?

育児休業給付金(雇用保険法第61条の4に基づく)は、育休取得者が雇用保険から受け取る給付です。上の子が保育園を利用しているかどうかは、育児休業給付金の支給額には直接影響しません

ただし、以下の点は給付金の受給継続に関わります。

  • 育休中に就労(アルバイト等)した場合、就労日数・賃金によって給付金が減額または不支給になる
  • 育休を延長する場合(1歳以降)は「保育所等への入所申し込みをしたが入所できなかった事実」が必要(いわゆる「落選狙い」申請の問題とは別に、正規の手続きが必要)
  • 育休終了日が変更になる場合、ハローワークへの届出が必要

育児休業給付金の計算方法

育休給付金の支給額は、育休開始時期によって以下のように変わります。

育休開始から180日目(6ヶ月)まで

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

育休開始181日目以降

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

休業開始時賃金日額の計算

育休開始前6ヶ月間の賃金(税引前の総支給額)を180で割った金額が「賃金日額」となります。

具体的な計算例

育休前6ヶ月の月給が平均25万円の場合:
– 賃金日額 = 250,000円 × 6ヶ月 ÷ 180日 = 8,333円
– 育休開始〜180日:8,333円 × 30日 × 67% ≈ 167,493円/月
– 181日目以降:8,333円 × 30日 × 50% ≈ 124,995円/月

なお、賃金日額には上限額・下限額が設定されており、毎年8月1日に改定されます。2025年1月時点での上限賃金日額は15,430円です(最新値はハローワークまたは厚生労働省のホームページでご確認ください)。


給付金の申請スケジュール

育休給付金はハローワーク(公共職業安定所)を通じて申請します。通常は会社(事業主)がハローワークに対して2ヶ月ごとに申請手続きを行います。

タイミング 手続き内容
育休開始後10日以内 会社がハローワークへ「育児休業給付受給資格確認票」を提出
育休開始後2ヶ月ごと 会社が「育児休業給付金支給申請書」を提出
育休延長時 延長理由の確認書類をあわせて提出
育休終了後 最終支給分の申請・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書の確認

自治体ごとの違いと注意点

自治体によって何が違う?

育休中の兄弟児保育継続に関しては、国の制度は「可能」と定めていますが、具体的な運用は自治体に委ねられている部分が多く、市区町村によって以下の点が異なります。

① 保育時間の扱い

育休中は、就労中(フルタイム勤務)よりも「保育必要量」が少ないと判断され、保育標準時間(最大11時間)から保育短時間(最大8時間)に切り替えられるケースがあります。延長保育の利用可否も自治体・園によって異なります。

② 退園基準の有無

一部の自治体では、育休が一定期間(例:1年)を超える場合に退園を求める規定が残っているケースがあります。最新のルールを必ず確認してください。

③ 申請のタイミングと猶予期間

「出産後〇日以内に申請」という期限を設けている自治体もあります。期限を過ぎると認定が切れて退園になるリスクがあるため、下の子の出生後すぐに自治体窓口へ相談することが重要です。

④ きょうだい加点(保育点数)

認可保育園の入園選考において、きょうだいが同じ保育園に在園している場合に「きょうだい加点」が付与される自治体があります。育休中の兄弟児が引き続き在園していることで、下の子の入園選考でも有利になる場合があります。


手続きで陥りやすいよくある落とし穴

落とし穴① 「申請しなくてもそのまま継続される」と思い込む

育休中でも保育の必要性の認定更新は必要です。申請を忘れると退園扱いになることがあります。

落とし穴② 復職日を変更したのに自治体へ報告しない

育休の延長や復職日の変更が生じた場合、会社だけでなく自治体にも報告が必要なケースがあります。報告漏れで認定が切れることも。

落とし穴③ 保育短時間への切り替えに気づかず延長保育を使い続ける

育休中は保育短時間認定(8時間以内)に変更になる場合があり、これを超えた利用分は実費(延長保育料)が別途発生します。

落とし穴④ 育休延長のたびに再申請が必要なことを知らない

1歳→1歳6ヶ月、1歳6ヶ月→2歳と育休を延長するたびに、自治体側でも認定期間の更新手続きが求められる場合があります。


産後パパ育休(出生時育児休業)との関係

2022年10月から施行された産後パパ育休(出生時育児休業)制度を活用する場合も、上の子の保育継続の手続きは同様です。

産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日間)取得できる制度で、通常の育休とは別に取得できます。父親がこの制度を利用している場合も、「育休取得中」の事由として自治体に証明書を提出することで、上の子の保育継続が認められます。

夫婦で育休を分担して取得するケースも増えているため、どちらの親が育休を取得しているかを正確に申告する必要があります。自治体によっては「育休取得者が誰か」「育休期間がいつからいつまでか」を細かく確認する場合もあります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 育休中でも保育園の保育料は変わらない?

保育料(利用者負担額)は、前年度の世帯所得(市区町村民税額)をもとに算定されるため、育休中であっても基本的には変わりません。ただし、育休中に「保育短時間認定」に切り替わった場合、保育短時間の保育料が適用されることがあり、フルタイム就労時より若干低くなるケースもあります。

Q2. 育休中に上の子が保育園を退園した場合、再入園はできる?

再入園の可否は自治体の空き状況や選考方法によります。待機児童が多い地域では再入園が困難なケースもあるため、退園するよりも継続利用の手続きを取る方が一般的には有利です。一度退園すると、改めて入園選考(抽選・点数制)からやり直しになる場合が多いです。

Q3. 育休中に上の子の保育園変更(転園)はできる?

転園申請自体は育休中でも可能ですが、転園先での審査では「保育の必要事由:育休中」として審査されます。地域によっては、就労中より優先度(保育点数)が低く評価され、転園が難しくなることがあります。

Q4. 双子・多胎児の育休中でも、上の子の保育継続条件は同じ?

基本的な条件は同じです。ただし、双子や多胎の場合は育休の特例(延長期間の取り扱い等)が適用されるケースもあるため、自治体窓口やハローワークに個別に相談することをおすすめします。

Q5. 育休給付金の受給中に、上の子の保育園料を払い続けることはできる?

給付金の受給中に保育料を支払うことに制限はありません。育休給付金の受給と保育料の支払いは別の問題であり、給付金から保育料を支払うことは問題ありません。なお、3歳以上の子どもは「幼児教育・保育の無償化」の対象になるため、保育料が無償(給食費等は別途)となります。

Q6. 育休中でも保育園からの連絡帳や保護者会への参加は求められる?

育休中であっても、在園中の子どもの保護者として保護者会・個人面談・行事への参加は求められます。育休中であることを理由に免除されることはほぼありません。ただし、育休中の方が参加しやすい日程調整に配慮してくれる園も増えています。


まとめ

育休中の兄弟児(上の子)の保育園継続利用について、重要なポイントを整理します。

ポイント 内容
継続利用は原則可能 育休中でも「保育の必要性の事由」として認められる
自治体への申請が必須 自動継続ではなく、届出・申請が必要
必要書類は育休証明書など 会社発行の証明書・申請書を自治体に提出
給付金への直接影響なし 上の子の保育利用は給付金額に影響しない
保育時間が短縮される場合あり 保育短時間(8時間)への切り替えに注意
自治体ルールの確認が最重要 退園ルール・申請期限は自治体によって異なる

育休中の子育て支援制度は、確実に整備が進んでいますが、手続きを怠ると予期せぬ退園・給付金の不支給につながることもあります。下の子が生まれたらできる限り早めに、自治体の保育担当窓口と会社の人事担当者の両方に相談することが、スムーズな育休生活の鍵です。


参考法令・公式資料
– 育児・介護休業法(令和4年改正)
– 子ども・子育て支援法 第19条
– 雇用保険法 第61条の4
– 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
– こども家庭庁「保育所等利用申込みについて」

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