育休給付金「月20日以内」有給の計算方法と判定基準【2026年版】

育休給付金「月20日以内」有給の計算方法と判定基準【2026年版】 育休給付金

育休給付金を受け取るには「支給対象月に20日以上の賃金を受けていないこと」という条件があります。この判定において、有給休暇を取得した日がカウントされるかどうかで、給付金を受け取れるかどうかが決まることがあります。

本記事では、雇用保険法第61条の4に基づく「月20日以内」の判定ルールを整理したうえで、有給休暇日の計数方法を取得タイミング別に3パターンで徹底解説します。育休中に有給を使う予定がある方、これから育休取得を計画している方はぜひ最後までご確認ください。


育休給付金「月20日以内」とはどのようなルールか

パターン 有給取得タイミング 賃金支払い 20日カウント 給付金への影響
A 育休中に有給を取得 有給分の賃金を支払い 含まれる カウント増で給付金が減額・停止の可能性
B 育休開始前に有給を消化 育休開始前月に支払い 含まれない 育休月の給付金に影響なし
C 育休中に有給を取得(賃金支払いなし) 無給扱い 含まれない 給付金に影響なし

育児休業給付金(通称:育休給付金・育休手当)は、育児休業中の生活保障として雇用保険から支給される給付です。支給額は休業開始前の賃金日額をもとに計算され、育休開始から180日目までは賃金日額×67%、181日目以降は賃金日額×50%が支給されます。

ただし、育休中であっても「一定以上の賃金を受けた月」については、給付金が支給されません。この基準が「月20日以内」ルールです。

「月20日以上の賃金支払日数」で給付金が止まる仕組み

法的根拠は雇用保険法第61条の4です。同条では、育休の「支給単位期間(原則1か月ごとの区切り)」において、労働日の20日以上について賃金を受けた場合は、その月の給付金を支給しないと定められています。

整理すると、以下のようになります。

当該月の賃金支払日数 育休給付金の支給
0〜19日 支給される
20日以上 支給されない(停止)

たとえば、育休中に会社から呼び出されてスポット就労し、20日分の賃金を受け取ってしまうと、その月の給付金は全額不支給となります。逆に19日以内であれば支給対象になります(ただし賃金額が一定以上の場合は減額措置あり)。

なお、賃金月額が休業前賃金の80%以上になる場合は、日数に関わらず支給停止となる別ルールも存在します。20日未満であっても賃金が多ければ支給されないケースがあるため、就労日数だけで安心しないよう注意が必要です。

「賃金を受けた日」の定義——何が対象日数に含まれるか

20日ルールで問われる「賃金を受けた日」とは、実際に賃金(給与)が支払われた日を指します。厚生労働省の通知では「月内における労働日の20日以上について賃金を受けた場合」と規定されており、賃金の支払いが発生したかどうかが判定の核心です。

具体的に「賃金を受けた日」に含まれる可能性があるのは、次のような日です。

  • 実際に出勤して働いた日(一部就労・スポット就労を含む)
  • 育休中に有給休暇を取得し、給与が支払われた日
  • 会社独自の育休手当(法定外給付)の支払いが行われた日(一部のケース)

一方、ノーワーク・ノーペイの日(賃金が支払われない単なる休業日)はカウント対象外です。育休期間中の通常の休業日は「賃金を受けた日」に該当しません。

この「賃金が発生したかどうか」という視点が、有給休暇日の判定でも基本的な軸になります。


有給休暇は「20日カウント」に含まれるのか——3パターン別解説

ここが本記事の核心です。有給休暇を取得した日が20日判定の対象に算入されるかどうかは、賃金の支払いがあるかどうか取得のタイミング(育休期間中か育休前か)の組み合わせによって変わります。以下の3パターンで整理します。

パターンA——育休中に有給を取得し賃金が支払われた場合

育休期間中に有給休暇を充当し、会社から給与が支払われた日は、「賃金を受けた日」としてカウントされます

育休中であっても、有給休暇を取得した結果として賃金が発生している場合は、雇用保険法の判定上「賃金を受けた日」に該当するためです。実際に就労しているかどうかは関係なく、賃金が支払われた事実が判断基準になります。

具体的な日数例:

育休開始月(支給単位期間)に、会社の指示で有給休暇を5日充当し、さらに育休中の一部就労を15日行った場合、賃金を受けた日の合計は20日となり、その月の給付金は支給されません

有給休暇が5日でも、就労日数と合算すると20日に達してしまうことがある点に注意が必要です。

育休中に有給を使いやすいケース:

  • 会社の規定で「育休前に有給を強制消化させる」
  • 自分の都合で育休期間中に有給を申請した
  • 育休中に呼び出され「有給扱いにする」と言われた

いずれの場合も、賃金が支払われれば判定対象日数に加算されます。育休中に有給を使う場合は、同月内の就労日数と合わせて19日以内に収まるかを必ず確認してください。

パターンB——育休開始前に有給を消化した場合

育休が始まる前に有給休暇を取得・消化した場合、その日は育休期間の外に位置します。したがって、「月20日以内」の判定対象にはなりません。

育休給付金の判定が行われるのは「支給単位期間(育休期間内の1か月ごとの区切り)」に限定されているため、育休が始まっていない期間中の有給取得日は、そもそも判定の土俵に乗りません。

育休開始日の設定が重要なポイントになります。

たとえば、出産予定日が4月15日の場合を考えます。

  • 産後休業(出産日翌日から8週間)は産休として保護されます。
  • その後、育休を6月10日から開始するとします。
  • 5月中に残っていた有給休暇を5月31日までにすべて消化した場合、その有給取得日は育休開始前ですので、判定対象外です。

このように、育休開始日を後ろにずらして有給を先に消化するのは、給付金を守るための有効な方法の一つです。

ただし、育休開始前に有給を消化する場合は、育休期間が短くなる分、給付金の支給総額が変わることもあります。また、産後パパ育休(出生時育児休業)を活用する場合は開始可能期間に制約があるため、スケジュールの調整には注意が必要です。

パターンC——有給取得日に賃金が支払われなかった場合

有給休暇を名目上取得していても、実際に賃金が支払われていない場合は「賃金を受けた日」にカウントされません。

これはやや特殊なケースですが、たとえば以下のような状況が考えられます。

  • 会社が有給消化を指示したが、給与明細上は賃金支払いが行われていない
  • 育休中の有給申請が会社の手続き漏れにより未処理となった

ただし、このようなケースは会社側の給与処理の問題であり、労働者の権利(有給休暇取得中の賃金請求権)が害される可能性があります。意図的に「賃金を受けない扱いにして給付金を受け取ろう」とすることは、不正受給に当たるリスクがあります。

重要なのは、有給休暇を取得した日に会社が賃金を支払うかどうかという事実の確認です。「有給を使った=必ずカウントされる」でも「賃金がゼロ扱いになっていれば問題ない」でもなく、実態に基づいた賃金支払いの有無が判断基準になります。


有給休暇取得と20日判定——申請時の注意点と実務対応

有給休暇の計数方法を理解したうえで、実際の申請・手続きで押さえておくべき注意点を整理します。

ハローワークへの申請で問われる「賃金支払基礎日数」

育休給付金の申請は、育休開始から2か月後を目安に、事業主を通じてハローワークへ行います(初回申請)。2回目以降は2か月ごとに申請します。

申請書類には「育児休業給付金支給申請書」「育児休業給付受給資格確認票」などが必要であり、賃金台帳・出勤簿のコピーも添付します。

ハローワークは申請書に記載された「支給単位期間内の賃金支払日数」を確認します。この日数のなかに有給取得日が含まれているかどうかを賃金台帳や給与明細で照合します。有給休暇日が給与明細に反映されている(賃金が支払われている)場合、その日数も算入されます。

申告に漏れがあったり、意図的に日数を少なく申請したりすると、不正受給として給付金の返還を求められるだけでなく、支給額の2倍を返還させる制裁措置(雇用保険法第10条の4)が適用される可能性があります。

会社が「有給消化を先にして」と言ってきた場合の確認事項

職場によっては、育休前の準備として「有給を使い切ってから育休に入ってください」と言われることがあります。この場合は以下を確認してください。

  1. 育休の開始日はいつか——有給消化中はまだ育休が始まっていないか
  2. 有給消化日は育休期間外か——育休開始日よりも前に有給取得日がすべて収まっているか
  3. 給与明細で賃金が正確に処理されているか——有給取得日の賃金が正しく反映されているか

もし会社が「育休期間中に有給をあてる」という運用をしている場合、その日数が20日判定に影響します。事前に人事・総務担当者に確認し、育休開始日を調整するか、有給を育休前に消化するかを検討してください。

育休中の一部就労と有給が重なる月の管理

育休中に短時間就労(一部就労)を行う場合、就労日数に有給取得日が加わると合計が20日に達しやすくなります。特に月の前半・後半でそれぞれ就労・有給取得をしている場合は、支給単位期間内の合計日数を必ず確認することが重要です。

一部就労中は会社に「当月内の賃金支払日数の合計を教えてもらう」よう依頼し、20日を超えないよう調整してください。


給付金の計算式と月20日判定の影響

育休給付金の基本計算式は次のとおりです。

【育休開始から180日目まで】
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

【181日目以降】
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

「休業開始時賃金日額」は、育休開始前6か月の賃金総額÷180日で算出されます。

月20日以上の賃金が発生した支給単位期間は、給付金がまるごと支給されません。仮に月額20万円相当の給付金が見込まれる場合、有給取得日数の確認を怠ったことで20日以上にカウントされると、その月だけで20万円の損失になります。

有給取得日の1日のカウントミスが、数十万円単位の影響を及ぼす可能性があることを、ぜひ念頭に置いてください。


申請書類・手続きの概要まとめ

育休給付金の申請手続きを整理します。

項目 内容
申請窓口 事業所を管轄するハローワーク(事業主経由)
初回申請タイミング 育休開始から約2か月後(支給単位期間終了後)
申請頻度 原則2か月ごと(1回の申請で2か月分をまとめて申請)
主な必要書類 育児休業給付金支給申請書・賃金台帳・出勤簿・母子健康手帳(写し)など
振込先 被保険者(労働者本人)の口座
支給開始時期 申請後、原則2週間程度でハローワークが審査・振込

申請は事業主(会社)が代行するのが一般的です。自分で直接申請することも可能ですが、賃金台帳などの書類は会社から取り寄せる必要があります。

申請漏れや申請遅延があると、給付金の支給が遅れるだけでなく、時効(2年)を過ぎると受け取れなくなることがあります。育休開始後のスケジュールは、会社の担当者と早めに共有しておきましょう。


まとめ——有給休暇と育休給付金の「20日ルール」を正しく理解しよう

育休給付金の「月20日以内」判定と有給休暇の関係を整理すると、次のとおりです。

パターン 20日判定への影響
育休中に有給を取得し賃金が支払われた カウントされる(支給停止リスクあり)
育休開始前に有給を消化した カウントされない(判定対象外)
有給を取得したが賃金支払いがなかった カウントされない(ただし実態確認が必要)

重要なのは「有給を使ったかどうか」ではなく「賃金が支払われたかどうか」です。この視点をもとに、育休開始日の設定や有給消化のタイミングを会社と相談することで、給付金の受給機会を守ることができます。

育休の取得計画を立てる際は、人事・総務担当者に有給消化の扱いを確認し、必要に応じて管轄のハローワークや社会保険労務士に相談することをおすすめします。育休給付金は、多くの労働者にとって重要な経済的支柱となるため、正確な知識に基づいた事前準備が欠かせません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 育休中に会社から「有給消化してください」と言われました。給付金に影響しますか?

はい、影響する可能性があります。育休期間中に有給休暇を充当して賃金が支払われた場合、その日数は「賃金を受けた日」としてカウントされます。同月内の就労日数と合わせて20日以上になると、その月の給付金は支給されません。育休開始日の前に有給を消化する形に変更できないか、会社に相談することをおすすめします。

Q2. 育休前に有給を使い切ってから育休に入ると、給付金の総額は変わりますか?

育休開始日が後ろにずれる分、育休期間が短くなるケースがあります。ただし、有給消化中は通常の給与が支払われるため、トータルの収入は必ずしも減るとは限りません。個々の給与水準・育休期間・有給日数によって異なるため、試算して比較することをおすすめします。

Q3. 育休中に短時間で就労(一部就労)しています。さらに有給も使いたいのですが問題ありますか?

一部就労日数と有給取得日数を合算して20日以上になると、その月の給付金が不支給になります。支給単位期間内の賃金支払日数の合計を事前に計算し、19日以内に収まるかどうかを必ず確認してください。

Q4. 有給休暇を育休期間中に取得した場合、育休期間はリセットされますか?

育休期間中に有給休暇を取得しても、育休の取得日数には影響せず、期間はリセットされません。育休は育児・介護休業法に基づいて継続します。ただし、賃金支払いが発生する日数として20日判定に影響する点は変わりません。

Q5. 申請書類に誤りがあった場合はどうすればいいですか?

ハローワークに速やかに訂正申請を行ってください。意図的な虚偽申請は不正受給とみなされ、支給額の2倍返還などの制裁措置が科されます。誤りに気づいた時点で会社の担当者を通じてハローワークに報告することが重要です。

Q6. 育休給付金の申請を自分でする場合、有給の日数はどう申告すればよいですか?

賃金台帳・給与明細に基づいて、当該支給単位期間内に賃金が支払われた日数をすべて正確に記載します。有給取得日のうち賃金が支払われた日は必ず含めてください。不明な場合は管轄のハローワークに相談することをおすすめします。

Q7. 月の途中から育休を開始する場合、その月の20日判定はどのようになりますか?

支給単位期間は育休開始日を起点として設定されます。育休開始日から月末までの期間で「賃金を受けた日」が20日以上か19日以下かで判定されます。育休開始前の出勤日や有給取得日は判定対象に含まれません。


免責事項: 本記事は2026年時点の制度情報をもとに執筆しています。法改正・通知の改定により内容が変わる場合があります。個別のケースについては、管轄のハローワークまたは社会保険労務士にご相談ください。

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