育休給付金受給中の配偶者控除は喪失する?申告方法と還付計算【2026年版】

育休給付金受給中の配偶者控除は喪失する?申告方法と還付計算【2026年版】 育休給付金

育児休業給付金を受け取っている配偶者がいる場合、「配偶者控除は使えるの?」「年末調整で何か手続きが必要?」と戸惑う方は少なくありません。

結論からお伝えすると、育児休業給付金そのものは非課税であり、合計所得金額に算入されません。そのため、育休中の配偶者の所得が給付金だけであれば、引き続き配偶者控除が適用できるケースがほとんどです。

しかし、育休前の給与収入との合算や、パートの掛け持ちなど複数の収入がある場合は控除が喪失・縮小する可能性もあります。本記事では、法的根拠から申告手続き・還付金の計算方法まで、育休給付金と配偶者控除の関係を完全に解説します。


育休給付金受給中の配偶者控除とは【制度の基本理解】

配偶者控除の適用要件(所得税法第76条・第77条)

配偶者控除とは、納税者本人(会社員であれば給与をもらっている方)が一定の要件を満たす配偶者を養っている場合に、所得から一定額を差し引ける所得控除の制度です。

適用要件は以下のとおりです。

控除の種類 配偶者の合計所得金額 控除額(納税者の所得に応じて変動)
配偶者控除(所得税法第76条) 48万円以下 最大38万円(一般)/最大48万円(老人配偶者)
配偶者特別控除(所得税法第77条) 48万円超〜133万円以下 最大38万円〜1万円(段階的に減少)

ポイント:「合計所得金額」とは、各種所得の合計から損失などを差し引いた後の金額です。給与収入の場合は、収入から給与所得控除を引いた給与所得が合計所得金額の計算ベースになります。


育児休業給付金は所得に含まれるか【重要】

これが本記事の最重要ポイントです。

育児休業給付金は所得税法上の「非課税所得」に該当し、合計所得金額に含まれません。

根拠は以下のとおりです。

  • 雇用保険法第61条〜第61条の4:育児休業給付金の支給要件・支給額を規定
  • 所得税法基本通達9-1・9-2:雇用保険法に基づく給付金は非課税所得として取り扱う

つまり、育休中の配偶者が育児休業給付金のみを受け取っている場合、その給付金は合計所得金額の計算に一切含まれないのです。

【育休給付金と合計所得金額の関係】

 育児休業給付金(月額例:18万円)
         ↓
  非課税所得 → 合計所得金額に不算入
         ↓
  合計所得金額:0円(他に収入がなければ)
         ↓
  配偶者控除:適用可能!

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

混同されやすい2つの控除を整理します。

  • 配偶者控除:配偶者の合計所得金額が48万円以下のとき適用。控除額は一定。
  • 配偶者特別控除:配偶者の合計所得金額が48万円超〜133万円以下のとき適用。所得が増えるほど控除額は段階的に減少。
  • 両方を同時に受けることはできません(いずれか一方のみ適用)。

育休給付金受給で配偶者控除が喪失するケース

育児休業給付金自体は非課税ですが、配偶者にその他の収入がある場合は、合計所得金額が48万円を超えて配偶者控除が喪失(または縮小)することがあります

配偶者の合計所得金額が48万円を超えた場合

配偶者の「合計所得金額」が48万円を超えると、配偶者控除は喪失します。ただし133万円以下であれば、配偶者特別控除が適用される可能性があります。

給与所得のみの場合、「合計所得金額 48万円」に対応するのは年間給与収入103万円です(給与所得控除55万円を差し引くと所得48万円)。


育休給付金と配偶者の他の所得の合算ルール

育休中であっても、以下のような収入があれば合計所得金額に算入されます。

収入の種類 合計所得金額への算入 具体例
育休取得前の給与(同年中) 算入される 1月〜3月の給与収入
パート・副業収入 算入される 育休中のスポット業務など
育児休業給付金 算入されない 雇用保険からの給付金
出産手当金 算入されない 健康保険からの給付金
出産育児一時金 算入されない 健康保険からの給付

重要:育休前に働いていた期間の給与は、同じ年の1月1日から育休開始前までの収入としてしっかり合計所得金額に算入されます。


配偶者特別控除への移行パターン

配偶者の合計所得金額が48万円を超えても、133万円以下であれば配偶者特別控除が適用されます。

【具体例】

配偶者が4月から育休を取得し、1月〜3月の給与収入が90万円だった場合
– 給与所得:90万円 − 55万円(給与所得控除)= 35万円
– 育児休業給付金:非課税のため加算なし
合計所得金額:35万円 → 48万円以下 → 配偶者控除 適用可能!

配偶者が7月から育休を取得し、1月〜6月の給与収入が180万円だった場合
– 給与所得:180万円 − 80万円(給与所得控除)= 100万円
合計所得金額:100万円 → 48万円超 → 配偶者控除は喪失。配偶者特別控除を確認!


年末調整で必要な申告手続きの全フロー

会社から配布される「給与所得者の配偶者控除等申告書」の記入方法

年末調整の時期(通常10月〜11月)になると、会社から「給与所得者の配偶者控除等申告書」が配布されます。この申告書を通じて、配偶者控除または配偶者特別控除の申請を行います。

記入の手順は以下のとおりです。

【給与所得者の配偶者控除等申告書 記入フロー】

STEP 1:配偶者の氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー)を記入

STEP 2:配偶者の本年中の合計所得金額の見積額を計算
    └─ 給与収入 − 給与所得控除 = 給与所得
    └─ 育児休業給付金は含めない

STEP 3:計算した合計所得金額に応じて区分を選択
    └─ 48万円以下 → 「配偶者控除」欄に記入
    └─ 48万円超133万円以下 → 「配偶者特別控除」欄に記入

STEP 4:納税者本人の合計所得金額の見積額を記入
    └─ 900万円以下・950万円以下・1,000万円以下で控除額が変わる

STEP 5:控除額を確認し、申告書を会社に提出

配偶者の合計所得金額を確認するための必要書類

申告書を正確に記入するために、以下の書類・情報を準備しましょう。

必要書類・情報 入手先 確認する内容
源泉徴収票(配偶者分) 配偶者の勤務先 給与収入・給与所得の金額
育休開始日の確認書類 ハローワーク・勤務先 育休開始月・給付開始日
育児休業給付金支給通知書 ハローワーク 給付金の受給額(所得算入しないことを確認)
マイナンバーカードまたは通知カード 本人保管 配偶者の個人番号記載のため

申告書に記載すべき金額の計算例

以下の具体例で、実際の計算の流れを確認しましょう。

【ケース】配偶者が3月末まで勤務し、4月から育休を取得

配偶者の年間収入内訳:
  1月〜3月 給与収入:75万円
  4月〜12月 育児休業給付金:約90万円(非課税)

合計所得金額の計算:
  給与所得 = 75万円 − 55万円(給与所得控除)= 20万円
  育児休業給付金 = 算入しない(0円)
  ─────────────────────
  合計所得金額 = 20万円 ← 48万円以下

→ 「配偶者控除」適用可能!(最大控除額38万円)

配偶者控除38万円が適用された場合の還付金の目安:

所得税率が10%の納税者の場合:38万円 × 10% = 約3.8万円の還付


配偶者控除の喪失で生じる申告ミスと修正手続き

年末調整後に申告内容が変わった場合

年末調整で「配偶者控除あり」として申告したが、後から配偶者の収入が48万円を超えていたことが判明した場合、修正が必要です。

  • 会社の年末調整期間内(通常12月)なら:会社の担当部署に速やかに申告書の修正を申し出る
  • 年末調整後(翌年1月以降)に判明した場合:本人が確定申告で修正申告を行う必要があります

確定申告が必要なケース

以下に該当する場合は、年末調整後でも確定申告(翌年2月16日〜3月15日)で対応します。

  • 年末調整で配偶者控除を申告し忘れた → 還付申告が可能(5年以内)
  • 年末調整後に配偶者控除の適用誤りが発覚 → 修正申告または更正の請求が必要
  • 年末に配偶者の収入が確定しておらず、申告書に正確な金額を記入できなかった

還付申告の期限は5年間です。過去にさかのぼって申告できる場合は積極的に活用しましょう。


還付金を確実に受け取るためのチェックリスト

年末調整・確定申告を正確に行い、還付金を取り戻すための確認事項をまとめました。

【配偶者控除 申告チェックリスト】

□ 育児休業給付金の受給額を「合計所得金額」に含めていない
□ 育休前の給与収入(同年中)を正確に把握している
□ 配偶者の源泉徴収票を入手した
□ 「給与所得者の配偶者控除等申告書」を期限内に提出した
□ 納税者本人の合計所得金額(900万円・950万円・1,000万円の区分)を確認した
□ 配偶者特別控除への移行が必要な場合、正確な控除額を記入した
□ 年末調整で対応できない場合、確定申告の準備をした(期限:翌年3月15日)

よくある質問(FAQ)

Q1. 育児休業給付金は確定申告で申告する必要がありますか?

A. 育児休業給付金は非課税所得のため、確定申告書への記載は不要です。ただし、配偶者控除等の申告書を正確に記入するために、受給額を把握しておくことは重要です。


Q2. 配偶者が育休中でも「扶養に入れる」という手続きと配偶者控除は別のものですか?

A. はい、別の制度です。「扶養に入れる」には社会保険の扶養(健康保険・年金)税法上の扶養(配偶者控除等)の2種類があり、それぞれ判定基準が異なります。本記事で解説している配偶者控除は税法上の手続きです。社会保険の扶養は収入見込み額での判定になるため、別途ご確認ください。


Q3. 育休から復帰した年は配偶者控除の計算はどうなりますか?

A. 育休から復帰した年は、育休前の給与+育休後の給与が合計所得金額の計算ベースになります。育児休業給付金は引き続き非課税ですが、復帰後の給与収入が加わるため、年間の合計所得金額が増加する可能性があります。その年の年末時点での収入をもとに、年末調整または確定申告で正確に申告しましょう。


Q4. パパ育休(産後パパ育休)を取得した場合も同じ取り扱いですか?

A. はい、同様の取り扱いです。2022年10月に創設された産後パパ育休(出生時育児休業)に関連する育児休業給付金も非課税所得であり、配偶者の合計所得金額には含まれません。配偶者控除の適用判定の流れは本記事と同様です。


Q5. 年末調整の申告書を出し忘れた場合はどうすればよいですか?

A. 年末調整期間(通常12月)を過ぎてしまった場合は、翌年の確定申告(2月16日〜3月15日)で配偶者控除を申告することができます。また、過去5年以内の申告漏れについては、還付申告(更正の請求)で取り戻すことが可能です。申告忘れがあった場合は、税務署または税理士にご相談ください。


Q6. 配偶者の合計所得金額の計算を誤って申告してしまった場合のペナルティはありますか?

A. 計算ミスによる過少申告の場合、原則として修正申告が必要です。故意でない計算誤りに対して即座にペナルティが課されることは通常ありませんが、税務調査等で発覚した場合は過少申告加算税(原則10%)が課されることがあります。申告書を提出する際は、源泉徴収票をもとに正確な金額を記入するよう心がけましょう。


まとめ:育休給付金と配偶者控除のポイント整理

本記事の重要ポイントを最後に整理します。

ポイント 内容
育児休業給付金は非課税 合計所得金額に含まれず、配偶者控除の判定に影響しない
控除喪失の原因は他の収入 育休前の給与・副業収入が48万円超になると配偶者控除が喪失
配偶者特別控除への移行も確認 合計所得48万円超〜133万円以下であれば特別控除で一部回収可能
年末調整で申告書を正確に提出 「給与所得者の配偶者控除等申告書」に正確な金額を記載する
申告漏れは5年以内に還付申告 確定申告で取り戻せる可能性がある

育児休業給付金と税制の関係は複雑に見えますが、「給付金は非課税→合計所得に含まない→控除適用の可能性を正確に判断」という基本の流れを押さえることで、適切な申告ができます。

手続きに不安がある場合は、会社の担当部署・税務署の無料相談窓口・税理士へ早めに相談することをおすすめします。還付金をしっかり受け取り、育休期間の家計を安定させましょう。


免責事項:本記事は2026年版の情報をもとに作成していますが、税制改正により内容が変更される場合があります。最新情報は国税庁ホームページまたは税務署にてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 育休給付金を受け取っていると配偶者控除が使えなくなるのですか?
A. いいえ。育休給付金は非課税所得で合計所得金額に含まれません。給付金だけが収入なら配偶者控除は適用できます。ただし他の収入がある場合は注意が必要です。

Q. 育休中の配偶者の合計所得金額はどのように計算しますか?
A. 育休給付金は除外し、育休前の給与やパート収入など課税対象の収入のみを合算します。給与所得は収入から55万円の控除を差し引いて計算します。

Q. 配偶者控除と配偶者特別控除の違いは何ですか?
A. 配偶者控除は合計所得48万円以下で固定額の控除。特別控除は48万超~133万円以下で段階的に減少します。どちらか一方のみ適用できます。

Q. 育休中にパートで働いた場合、配偶者控除は受けられますか?
A. パート収入の合計所得が48万円以下なら配偶者控除、48万超~133万円以下なら配偶者特別控除の対象になります。給付金を除いて計算してください。

Q. 育休給付金受給中の年末調整で特別な手続きは必要ですか?
A. 給付金だけなら通常の年末調整で問題ありません。他の収入がある場合は、その収入が配偶者控除の要件に該当するか確認し、申告書に記載してください。

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