複数回育休の給付金上限と通算期間【2024年改正対応ガイド】

複数回育休の給付金上限と通算期間【2024年改正対応ガイド】 育児休業制度

育児休業を複数回に分けて取得する場合、給付金にはどのようなルールが適用されるのか――これは多くの働く親が抱える疑問です。2022年の育児・介護休業法改正により、分割取得できる回数が「2回」から「4回」へ拡大されました。本記事では、複数回取得時の給付金上限のしくみ、通算期間の計算方法、夫婦で分割する際の調整ルールを、具体的な数値と図表を使って丁寧に解説します。

育休複数回取得の制度概要|2022年改正で何が変わった?

項目 改正前(2022年3月まで) 改正後(2022年4月以降)
分割取得の最大回数 2回 4回
給付金上限(同一子・母親のみ) 1年間(12ヶ月) 1年間(12ヶ月)
夫婦分割時の上限 1年2ヶ月(親1年間+配偶者2ヶ月) 1年4ヶ月(親1年間+配偶者4ヶ月)
給付金支給率 67%(初6ヶ月)→50%(その後) 67%(初6ヶ月)→50%(その後)
複数の子との上限管理 子ごとに独立計算 子ごとに独立計算

改正前後での給付金ルール比較表

2022年10月1日に施行された改正育児・介護休業法では、育休の分割取得に関するルールが大幅に見直されました。

比較項目 改正前(〜2022年9月) 改正後(2022年10月〜)
分割取得回数(1人の子につき) 原則1回(例外で2回) 最大4回
給付金通算上限 1年間(365日) 1年間(365日)※変更なし
パパ・ママ育休プラス 配偶者が取得している場合に1年2ヶ月まで延長可 継続・拡充
出生時育児休業(産後パパ育休) なし 新設(子の出生後8週間以内に最大28日)
男性育休の分割 実質困難 産後パパ育休内で2回分割可

法的根拠: 育児・介護休業法第5条・第5条の2(分割取得)、雇用保険法第61条の7(育児休業給付金の支給)

2022年改正の3つのポイント

① 回数上限の拡大(2回→4回)

同一の子に対して、育児休業を最大4回に分けて取得できるようになりました。仕事の繁忙期を避けながら段階的に休業するなど、柔軟な働き方が可能になっています。

② 産後パパ育休(出生時育児休業)の新設

子の出生後8週間以内に、父親が最大28日間の育休を取得できる制度が新設されました。この期間内でさらに2回の分割取得が認められており、通常の育休4回とは別カウントになります。

③ 配偶者兼用時の調整ルールの明確化

夫婦それぞれが同一の子に対して育休を取得する場合、給付金の上限算定においてどのように調整されるかが明文化されました(詳細は後述)。

複数回取得時の給付金上限|1人の子に対する計算ルール

育児休業給付金は、同一の子に対して通算365日分(1年間) が上限です。複数回に分けて取得しても、この上限は変わりません。

給付金上限の基本ルール(母親のみ取得)

給付金の計算式は以下のとおりです。

【給付金計算式】
育児休業給付金 = 賃金日額 × 給付日数 × 給付率

賃金日額 = 育休開始前6ヶ月の総賃金 ÷ 180日
給付率  = 最初の180日は67%、181日目以降は50%

具体例:賃金日額10,000円の場合(母親が単独で通算365日取得)

期間 日数 給付率 1日あたり給付額 合計給付額
1〜180日目 180日 67% 6,700円 1,206,000円
181〜365日目 185日 50% 5,000円 925,000円
合計 365日 2,131,000円

注意: 賃金日額には上限・下限があります。2024年度の上限は15,430円、下限は2,869円です(毎年8月に改定)。

配偶者と分割取得する場合の上限調整

夫婦でそれぞれ同一の子の育休を取得する場合、各自が独立して1年間(365日)の給付金上限を持ちます。ただし、「パパ・ママ育休プラス」制度を利用すると、一定条件下で上限が1年2ヶ月(約425日)に延長されます。

パパ・ママ育休プラスの条件

【1年2ヶ月上限が適用される条件】
① 配偶者が子の1歳誕生日前日までに育休を取得している
② 本人の育休開始日が子の1歳誕生日以前である
③ 上記①②を両方満たした場合 → 上限が1年2ヶ月(425日)に延長
ケース 夫の取得日数 妻の取得日数 各自の上限 備考
妻のみ取得 0日 365日 妻:365日 通常パターン
夫婦交互取得(プラスなし) 90日 365日 各自最大365日 同時取得不可
パパ・ママ育休プラス適用 60日 425日 妻:425日に延長 要件充足が必要

複数の子がいる場合|上限は別計算

第1子・第2子・第3子など、子どもごとに独立した365日の上限 が設定されています。同時期に複数の子の育休を取得することはできませんが、1人の子の育休が終了すれば次の子の育休申請が可能です。

【子どもが複数いる場合のイメージ】

第1子 ───────[育休365日]────────────────────→
第2子 ────────────────────[育休365日]──────→
第3子 ───────────────────────────────[育休365日]→

※各子の育休期間は重複不可・期間は別計算

4回分割取得時の給付金計算シミュレーション

4回分割取得の実例(賃金日額:12,000円の場合)

2022年改正後、育休を4回に分けて取得するモデルケースで計算します。

取得パターン:復職を挟みながら合計365日取得

取得回 期間 日数 通算日数 給付率 給付額
1回目 子0歳〜3ヶ月 90日 1〜90日目 67% 12,000×90×67%=724,800円
2回目 子6ヶ月〜9ヶ月 90日 91〜180日目 67% 12,000×90×67%=724,800円
3回目 子9ヶ月〜11ヶ月 60日 181〜240日目 50% 12,000×60×50%=360,000円
4回目 子11ヶ月〜1歳 125日 241〜365日目 50% 12,000×125×50%=750,000円
合計 365日 2,559,600円

ポイント: 給付率の切り替えは「通算日数」で管理されます。2回目の途中で180日を超えた場合、その日から自動的に50%へ切り替わります。

申請のタイミングと注意点

複数回取得する場合、回ごとに申請手続きが必要 です。育休開始から2ヶ月ごとに支給申請書を提出するのが基本ですが、分割取得の場合は以下の点に注意してください。

【複数回取得時の申請フロー】

育休開始 → ①支給申請書を2ヶ月ごとに提出(ハローワーク経由)
         ↓
復職     → 一旦支給終了・給付残日数を確認
         ↓
次の育休開始 → ②新たに「育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書」を提出
             ↓
         残日数が尽きるまで繰り返し

必要書類と申請手続き

初回申請(1回目の育休開始時)

書類名 入手先 備考
育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書 ハローワーク / 事業主経由 事業主が代理申請するケースが多い
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 事業主が作成 賃金日額の算定に使用
母子健康手帳(写し) 自己保有 子の出生日確認のため
育児休業申出書(社内書類) 会社所定様式 事前に会社へ提出済みであることが前提

2回目以降の申請(分割取得)

書類名 補足
育児休業給付金支給申請書 前回との連続性を確認するため、前回の支給番号を記載
育児休業申出書(追加取得分) 会社への申出が先決
就業実績証明書(必要に応じて) 復職期間の賃金変動がある場合

申請期限: 育休開始翌日から4ヶ月以内に初回申請が必要です。遅延すると給付金を受け取れない期間が生じる場合があるため、早めの手続きを心がけてください。

給付金受給中の「就業」に関する制限

複数回取得の落とし穴として、育休期間中に就労してしまうことで給付金が減額・不支給になるケースがあります。

【就業制限ルール】
① 就労日数が1支給単位期間(約1ヶ月)に10日以下 → 給付金支給
② 就労日数が11日以上、かつ就労時間が80時間以下 → 支給可能(時間基準を追加適用)
③ 就労による賃金が休業前賃金の80%以上 → その期間は不支給

分割取得のメリットを最大限に活かすためにも、復職と育休の切り替えタイミングを事前に会社と明確に合意しておくことが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 育休を4回に分割すると、給付金の総額は1回でまとめて取得した場合と比べて変わりますか?

A. 通算日数・賃金日額が同じであれば、分割回数に関係なく給付総額は変わりません。給付率の切り替え(67%→50%)は「通算日数」で判定されるため、分割しても有利・不利は生じません。

Q2. 1回目の育休後に転職した場合、2回目の育休で給付金を受け取れますか?

A. 転職先での雇用保険加入期間が条件(休業開始前2年間に12ヶ月以上)を満たさない場合、給付金を受け取れないことがあります。前職の被保険者期間を通算できるケースもあるため、ハローワークに事前相談することをお勧めします。

Q3. 夫が産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した後、通常の育休も取得できますか?

A. 取得できます。産後パパ育休(最大28日、2回分割可)と通常の育休(最大4回)は別制度であるため、合わせて最大6回の分割取得が理論上可能です。ただし、通算日数の上限(各1年)は独立して適用されます。

Q4. 育休中に配偶者が亡くなった場合、上限日数の特例はありますか?

A. はい。配偶者の死亡・離婚・疾病等の事由が生じた場合、育休の再取得や延長が認められる場合があります(育児・介護休業法第5条第3項)。給付金の上限日数についてもハローワークへ個別確認が必要です。

Q5. 給付金の支給額に上限はありますか?

A. あります。2024年度の上限は賃金日額15,430円(月額換算で約31万円相当)であり、この金額を超える賃金があっても、計算上は上限額が適用されます。下限は賃金日額2,869円です。毎年8月に改定されるため、最新情報はハローワークまたは厚生労働省の公式サイトで確認してください。

まとめ

複数回育休の給付金ルールは、2022年改正によって大きく使いやすくなりました。以下の重要ポイントをご確認ください。

確認ポイント 内容
分割取得回数 1人の子につき最大4回(2022年10月〜)
給付金通算上限 365日分(パパ・ママ育休プラスで最大425日)
給付率の切り替え 通算180日まで67%、181日目以降50%
子どもごとの上限 各子に独立した365日の上限
産後パパ育休 出生後8週間以内・最大28日・別カウント
申請期限 育休開始翌日から4ヶ月以内に初回申請

通算1年分という上限を正確に把握したうえで、ご自身のライフスタイルに合った育休取得計画を立ててみてください。不明点がある場合は、お住まいの管轄ハローワーク(公共職業安定所)または会社の人事担当者にご相談することをお勧めします。

参考情報:
– 厚生労働省「育児・介護休業法について」
– ハローワークインターネットサービス「育児休業給付」
– 厚生労働省「育児休業給付金 Q&A」(最新版)

よくある質問(FAQ)

Q. 育休を複数回に分けて取得する場合、給付金の上限は変わりますか?
A. いいえ、変わりません。同一の子に対して何回に分けて取得しても、通算365日が上限です。複数回取得では、この上限内で給付金が支給されます。

Q. 2022年の改正で育休の分割取得回数はいくつまで増えましたか?
A. 最大4回に拡大されました。改正前は原則1回(例外で2回)でしたが、改正後は1人の子につき最大4回分割取得が可能になっています。

Q. 夫婦で育休を分割取得する場合、給付金の上限はどうなりますか?
A. 各自が独立して365日の上限を持ちます。ただし「パパ・ママ育休プラス」制度を利用すると、条件次第で1年2ヶ月(約425日)に延長されます。

Q. 産後パパ育休(出生時育児休業)は通常の育休4回とは別ですか?
A. はい、別カウントです。産後パパ育休は子の出生後8週間以内に最大28日取得でき、通常の育休4回の枠には含まれません。

Q. 複数の子どもがいる場合、育休給付金の上限はどうなりますか?
A. 子どもごとに独立した365日の上限が設定されます。第1子と第2子で別々に計算され、それぞれ最大365日分の給付金を受け取れます。

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