配偶者給与減額と育休給付への影響・届け出方法【2025年最新】

配偶者給与減額と育休給付への影響・届け出方法【2025年最新】 育児休業制度

育休中に配偶者の給与が減額された。育児休業給付金はどうなるのか、何か届け出が必要なのか——そんな不安を抱えている方へ、この記事では配偶者給与減額と育休給付の関係を、法的根拠・手続き・計算方法まで体系的に解説します。


目次

  1. 配偶者の給与が減額されたら育休給付金はどうなる?【結論先出し】
  2. 例外ケース|配偶者給与減額が育休給付に影響する場面
  3. 配偶者給与減額を理由に育休を短縮・終了する場合の届け出手続き
  4. 育休給付金の計算方法と具体例
  5. ハローワークへの申請書類と提出先一覧
  6. 2025年改正ポイント|育休給付制度の最新変更事項
  7. よくある質問(FAQ)

① 配偶者の給与が減額されたら育休給付金はどうなる?【結論先出し】

結論:配偶者の給与が減額されても、育児休業給付金の受給額には原則として影響しません。

育児休業給付金は、育休を取得した本人の休業前賃金を基準に計算される雇用保険制度です。配偶者の収入はこの計算に一切含まれないため、配偶者の給与が下がっても、育休中の給付額はそのまま維持されます。

ただし、以下のケースでは間接的に影響が生じることがあります。

状況 給付への影響
配偶者の給与が減額された 原則:影響なし
配偶者給与減額を理由に育休を短縮する 給付期間が変わる
育休中に本人の賃金が支払われた 給付停止・減額の可能性あり
育休延長事由に影響する 延長の可否に関係する場合あり

まずは「なぜ影響しないのか」という仕組みを理解することが、正確な判断の第一歩です。


育児休業給付金の仕組みと計算の基準

育児休業給付金は雇用保険から支給される給付金で、根拠法は以下のとおりです。

法的根拠
– 育児・介護休業法 第61条
– 雇用保険法 第61条の4〜第61条の7
– 雇用保険法施行規則 第101条の8〜第101条の19

給付額の計算式は次のとおりです。

【育休開始から6ヶ月間】
  支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

【7ヶ月目以降】
  支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

「休業開始時賃金日額」とは、育児休業を開始した日の前6ヶ月間に支払われた賃金の合計額を180で割った金額です。この計算に用いられるのは、完全に本人の賃金のみであり、配偶者の給与は一切関係しません。

計算例
育休前6ヶ月の賃金合計:240万円
賃金日額:240万円 ÷ 180日 = 13,333円
1ヶ月(30日)の給付額(67%期間):13,333円 × 30日 × 67% ≒ 約268,000円

このように、計算に使われるのはすべて本人の賃金のみです。配偶者の給与は計算式のどこにも登場しません。


「配偶者給与」と「本人給与」を混同しやすい理由

共働き世帯では、家計が一体化しているため「配偶者の収入が減れば給付金も変わるのでは?」と誤解しがちです。この混同が起きやすい主な理由は以下のとおりです。

① 健康保険の被扶養者制度との混同
配偶者の収入が減少した場合、健康保険の扶養認定基準(年収130万円未満など)の変動を意識するケースがあります。育休給付金は雇用保険から支給される別制度であり、扶養の概念は関係しません。

② 社会保険料の免除制度との混同
育休中は健康保険・厚生年金の保険料が免除されますが(育児・介護休業法第17条)、この免除の判定も本人の保険料を基準にしており、配偶者の収入は無関係です。

③ 家計全体での収支感覚
配偶者の給与が減ると家計が厳しくなるため、「給付金も連動して減ってしまうのでは」と感じるのは自然な心理です。しかし制度上は切り離されて管理されています。


② 例外ケース|配偶者給与減額が育休給付に影響する場面

原則として影響はないものの、次の3パターンでは間接的に育休給付に影響が生じることがあります。それぞれ正確に把握しておきましょう。


育休を短縮・終了する場合の影響

配偶者の給与が大幅に減額したため家計が苦しくなり、「育休を早めに切り上げて職場復帰しよう」と判断する場合、育休給付の受給期間が短くなります

  • 育休を短縮した分だけ給付金の受給総額は減少します
  • 育休終了日の変更は、事業主を通じてハローワークに「育児休業給付金支給終了届」を提出することで行います
  • 職場復帰後は給付金の支給は終了し、通常の賃金支払いに切り替わります

注意点
育休短縮は給付金受給総額の減少を意味します。家計の逼迫を理由に育休を切り上げる前に、育休給付の受給見込み総額と復帰後の手取り収入を比較検討することをお勧めします。


本人の賃金が休業中に支払われた場合

配偶者の収入減額とは別の話ですが、育休中に本人の賃金が支払われた場合は、給付金の支給が減額・停止される場合があります。

本人の賃金支払い状況 給付金への影響
賃金なし(0円) 給付率100%(67%または50%)
賃金あり(休業前賃金の13%未満) 給付額に変動なし
賃金あり(13%以上80%未満) 給付額が減額される
賃金あり(80%以上) 給付金は支給停止

配偶者の収入が減ったからといって、育休中に本人がアルバイト等をして収入を補おうとすると、育休給付の停止・減額リスクがあります。また、就業日数が月10日を超えると(10日以下要件違反)、その支給単位期間の給付が不支給となります。副業・就業を行う場合は必ず事業主とハローワークに確認することが必要です。


育休延長が認められるケースとの関係

育休は原則として子が1歳になるまで取得できますが、保育所への入所申し込みが不承諾となった場合などは、最長2歳まで延長が認められます(育児・介護休業法第5条第3項・第4項)。

配偶者の給与減額は、それ自体では育休延長の要件には該当しません。延長が認められる主な事由は以下のとおりです。

延長の種別 要件 最長期間
1歳→1歳6ヶ月延長 保育所等の入所不承諾 1歳6ヶ月まで
1歳6ヶ月→2歳延長 1歳6ヶ月時点でも入所不承諾が続く場合 2歳まで

「経済的な理由で育休を延ばしたい」という場合、それだけでは給付金の延長事由にはなりません。ただし、配偶者給与の減額によって家計が厳しくなる中で保育所入所の見通しが立たない場合は、別途延長要件を確認することが重要です。


③ 配偶者給与減額を理由に育休を短縮・終了する場合の届け出手続き

育休を早期に終了する場合に必要な届け出手続きを解説します。


手続きの全体フロー

STEP 1:事業主に育休早期終了の申し出
         ↓
STEP 2:事業主がハローワークに「育児休業給付金支給終了届」を提出
         ↓
STEP 3:ハローワークが給付金の支給終了を決定
         ↓
STEP 4:職場復帰・通常の賃金支払いへ移行

必要書類一覧

書類名 入手先 提出者 提出先
育児休業給付金支給終了届(様式第33号の4) ハローワーク・厚生労働省HP 事業主(本人経由も可) ハローワーク
育児休業を終了したことを証明する書類 会社発行 事業主 ハローワーク
賃金台帳・出勤簿等 会社保管 事業主 ハローワーク

提出期限
育休終了日が属する支給単位期間の末日の翌日から起算して2ヶ月以内に提出することが求められます。


育休短縮を決める前に確認すべきチェックリスト

育休を早期終了する前に、以下の点を必ず確認してください。

  • [ ] 育休給付の残り受給見込み総額はいくらか
  • [ ] 復帰後の手取り収入(保育料控除後)はいくらになるか
  • [ ] 育休中の社会保険料免除がなくなることによる負担増はどの程度か
  • [ ] 保育所の入所見込みはあるか(育休を終了しても保育所が決まっていない場合は復帰困難)
  • [ ] 事業主と復帰時期・業務内容について合意できているか

④ 育休給付金の計算方法と具体例

配偶者の給与減額が影響しないことを確認した上で、自分の受給額を正確に把握しましょう。


計算ステップと具体例

【前提条件】
– 育休開始前6ヶ月の賃金合計:270万円
– 賃金日額:270万円 ÷ 180日 = 15,000円
– 育休期間:子が1歳になるまで(約12ヶ月)

【計算結果】

期間 給付率 1ヶ月の支給額(目安)
育休開始〜6ヶ月目 67% 15,000円 × 30日 × 67% ≒ 301,500円
7ヶ月目〜12ヶ月目 50% 15,000円 × 30日 × 50% ≒ 225,000円
合計(約12ヶ月) 301,500円 × 6 + 225,000円 × 6 ≒ 約315万円

上限・下限額(2025年度)
– 支給上限額(67%期間):305,721円(賃金日額上限15,214円の67%)
– 支給上限額(50%期間):228,150円(同50%)
– 支給下限額:50,400円(賃金日額2,800円の50%)

※上限・下限額は毎年8月1日に改定されます。最新の金額はハローワークまたは厚生労働省HPで確認してください。


2025年改正による「出生後休業支援給付」の新設

2025年4月より、出生後休業支援給付が新設されました(雇用保険法改正)。これにより、一定要件を満たす場合、育休開始後28日間は給付率が最大80%(本人給付67%+新設給付13%相当)に引き上げられます。

対象となる要件:
– 子の出生後8週間以内に、本人(父親)が28日間育休を取得
– 配偶者(母親)も同時期に産休・育休を取得している

配偶者の給与変動がこの要件の取得判断に影響することはありませんが、配偶者が産休・育休を取得しているかどうかが給付率80%の適用条件に関わることは押さえておきましょう。


⑤ ハローワークへの申請書類と提出先一覧


育休開始時の申請書類

書類 説明 入手先
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(様式第10号の3) 休業前の賃金を証明する書類 ハローワーク・厚生労働省HP
育児休業給付金支給申請書(様式第33号の5) 給付金の支給を申請する書類 ハローワーク・厚生労働省HP
母子健康手帳(写し) 子の出生を証明する書類 市区町村で交付
育児休業の確認書類 事業主が発行する育休取得証明 勤務先
出勤簿・タイムカード 勤務実績の確認 勤務先
賃金台帳 賃金支払い実績の確認 勤務先

2ヶ月ごとの継続申請書類

育休給付金は2ヶ月ごとに申請が必要です。

書類 説明
育児休業給付金支給申請書(様式第33号の5) 継続支給のための申請書
就業状況を確認できる書類 就業日数・賃金支払い状況の申告書
賃金台帳・出勤簿 休業中の就業実績を確認

申請のタイミング
支給単位期間(2ヶ月ごと)の末日の翌日から4ヶ月以内が申請期限です。期限を過ぎると不支給となるため、事業主を通じた申請スケジュールを事前に確認しましょう。


申請先・問い合わせ先

区分 窓口 内容
申請書類の提出 事業所を管轄するハローワーク 事業主経由が原則
給付金の受取口座確認 ハローワーク 個人口座への振込
制度全般の相談 ハローワーク(一般向け相談窓口) 電話・来所対応
制度資料のダウンロード 厚生労働省HP 様式・リーフレット

ハローワークの検索:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/

事業所を管轄するハローワークは上記のリンクから地域別に検索でき、電話相談も受け付けています。配偶者給与減額に伴う育休給付・手続き等について不明な点があれば、管轄のハローワーク窓口に直接問い合わせることで、最新かつ正確な情報を得られます。


⑥ 2025年改正ポイント|育休給付制度の最新変更事項

2025年(令和7年)は育休給付制度に複数の重要改正が施行されています。配偶者給与減額の問題を考える上でも、最新の制度を把握しておくことが不可欠です。


主要改正のまとめ

改正項目 内容 施行時期
出生後休業支援給付の新設 両親ともに育休取得で最大28日間の給付率を80%に引き上げ 2025年4月1日
育児時短就業給付の新設 育休終了後の時短勤務中も給付金を支給(給付率:時短中の賃金の10%) 2025年4月1日
雇用保険料率の改定 育休給付費用の安定的確保のための料率見直し 2025年4月1日

育児時短就業給付と配偶者給与の関係

育休終了後に時短勤務を選択した場合、新設の「育児時短就業給付」を受給できます。この給付も本人の時短中の賃金を基準に計算され、配偶者の収入は関係しません。

「配偶者の給与減額→家計が厳しい→育休を早めに終了して時短勤務で復帰」という選択をする場合、育児時短就業給付の活用が家計負担の軽減につながる可能性があります。

育児時短就業給付の概要:
– 対象:3歳未満の子を育てる労働者が時短勤務を行う場合
– 給付率:時短勤務中に支払われた賃金の10%
– 支給期間:時短勤務を行う期間(子が3歳になるまで)

配偶者給与減額時に育休を短縮して時短勤務での復帰を選択する場合は、この新給付制度が家計を支える重要な生活基盤となる可能性があります。


⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 配偶者の給与が減額されたとき、ハローワークに届け出は必要ですか?

A: 配偶者の給与減額それ自体については、ハローワークへの届け出は不要です。育休給付金の計算基準は本人の休業前賃金のみであり、配偶者の収入変動を報告する義務はありません。ただし、給与減額を理由に育休を短縮・終了する場合は、「育児休業給付金支給終了届」の提出が必要です。


Q2. 配偶者が失業した場合はどうなりますか?

A: 配偶者が失業しても、育児休業給付金の受給額には影響しません。ただし、家計の急変によって育休の継続が困難になる場合は、育休短縮の手続きや、育児時短就業給付の活用など、他の制度との組み合わせを検討することをお勧めします。


Q3. 育休中に自分のパート・副業収入が増えたら給付金はどうなりますか?

A: 育休中に本人の賃金(パート・副業収入を含む)が発生した場合、その金額に応じて給付金が減額・停止されることがあります。具体的には、本人の就業日数が支給単位期間(2ヶ月)に10日を超えた場合、または本人の賃金が休業前賃金の80%以上となった場合に支給が停止されます。副業・就業を行う前に、必ず事業主とハローワークに確認してください。


Q4. 育休給付金の振込口座は配偶者名義でも大丈夫ですか?

A: 育休給付金の振込先は、原則として育休取得者(本人)名義の口座である必要があります。配偶者名義の口座への振込は認められていません。ハローワークへの申請時に、本人名義の口座情報を正確に申告してください。


Q5. 2ヶ月ごとの申請を忘れてしまいました。どうすればよいですか?

A: 申請期限(支給単位期間末日の翌日から4ヶ月以内)内であれば、遅れて申請することができます。ただし、期限を過ぎると原則として不支給となるため、早急に事業主またはハローワークに相談することが重要です。


Q6. 育休を途中で短縮した場合、受け取り済みの給付金を返還しなければなりませんか?

A: すでに適正に受け取った給付金を返還する必要はありません。育休終了後の期間に対する給付が支給されなくなるだけです。ただし、不正受給(実際には就業していたにもかかわらず申告しなかった場合など)があった場合は返還義務が生じますので、申告内容には十分注意してください。


Q7. 育休給付金は課税対象になりますか?

A: 育児休業給付金は非課税です(所得税法施行令第30条)。所得税・住民税の課税対象とはならないため、確定申告での申告も原則不要です。ただし、育休中の配偶者の扶養認定に影響する場合があるため、健康保険の扶養要件については加入している健康保険組合に確認することをお勧めします。


配偶者給与減額時に確認すべき実務チェックリスト

育休中に配偶者の給与が減額された場合、給付金への直接影響はないとはいえ、家計全体への影響は無視できません。以下のチェックリストで状況を整理してください。

  • [ ] 育休給付の受給額を再確認する:ハローワークから届いた「給付金支給決定通知書」で現在の受給額を把握する
  • [ ] 家計収支を見直す:配偶者の給与減額後の収支バランスを試算する
  • [ ] 育休を継続するか短縮するかを判断する:給付金受給総額と早期復帰後の手取りを比較する
  • [ ] 保育所の入所申し込み状況を確認する:育休短縮・早期復帰を検討する場合、保育先が確保できているか確認する
  • [ ] 育児時短就業給付の活用を検討する:育休終了後に時短勤務を選択する場合、新給付制度を活用できるか確認する
  • [ ] 社会保険料免除の終了時期を把握する:育休終了月の翌月からは社会保険料の負担が再開することを考慮する
  • [ ] ハローワークに相談する:不明点はハローワークの窓口または電話相談(総合的な労働相談コーナー)に確認する


結論

確認事項 結論
配偶者給与減額の育休給付への影響 原則なし(本人の休業前賃金のみが基準)
ハローワークへの届け出の要否 不要(ただし育休短縮の場合は終了届が必要)
育休中の本人収入の影響 あり(就業日数・賃金額により減額・停止の可能性)
2025年の主要改正 出生後休業支援給付(最大80%)・育児時短就業給付(10%)が新設

育休中に配偶者の給与が減額された場合、育児休業給付金の受給額には直接影響がないことが最大のポイントです。家計全体への影響は無視できませんが、制度上の対応(届け出)は育休を短縮・終了する場合に限られます。

不明な点は、管轄のハローワークまたは会社の人事担当者に早めに相談することで、不利益を防ぐことができます。2025年の制度改正も活用しながら、家庭の状況に合った最適な育休計画を立てましょう。


参考・引用資料
– 厚生労働省「育児休業給付の内容及び支給申請手続について」
– 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第61条の4〜第61条の7
– 育児・介護休業法(平成3年法律第76号)第5条・第61条
– 雇用保険法施行規則 第101条の8〜第101条の19
– 厚生労働省「令和7年度雇用保険制度改正のご案内」

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