育児休業を1日単位で取得した場合、育児休業給付金は日割り計算で支給されます。2022年の法改正により柔軟な育休スタイルが広がった今、「何日分もらえる?」「計算式は?」と疑問を持つ方も多いはずです。本記事では、対象要件・計算方法・申請手続きを徹底解説します。
目次
1日単位の育休給付金とは│制度概要と最新法改正
制度改正の背景と変更点
従来の育児休業給付金は、原則として月単位でまとめて申請・支給するのが基本でした。しかし、働き方の多様化や男性育休の取得促進を背景に、2022年の法改正(育児・介護休業法改正)によって1日単位での育休取得・給付申請に正式対応しました。
主な改正ポイントは以下のとおりです。
| 改正時期 | 主な変更内容 |
|---|---|
| 2022年4月1日 | 有期雇用労働者の取得要件緩和・分割取得の整備 |
| 2022年10月1日 | 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設。育休の分割2回取得が可能に |
| 2023年10月1日 | 給付率引上げ(育休開始後180日以内:実質手取り10割相当へ) |
📌 法的根拠:育児・介護休業法 第2条・第9条、雇用保険法 第61条~第64条、雇用保険法施行規則 第101条~第108条
1日単位取得 vs 月単位取得の比較表
| 比較項目 | 1日単位取得 | 月単位取得 |
|---|---|---|
| 取得の柔軟性 | ◎ 週1日~など柔軟に設定可 | △ まとまった期間が必要 |
| 給付金計算 | 日割り計算 | 月額ベースで計算 |
| 復帰スケジュール | 段階的復帰が可能 | 復帰日が明確になりやすい |
| 手続き | 取得日ごとに記録・申請 | まとめて申請可 |
| 向いている人 | 週数日だけ育休を取りたい方 | 長期でまとめて取得したい方 |
1日単位取得の対象者と受給資格要件
基本的な受給資格(雇用保険加入者向け)
育児休業給付金を1日単位で受け取るには、以下のすべての要件を満たす必要があります。
【育児休業給付金の受給資格チェックリスト】
✅ 1. 育児休業を取得している
└─ 子どもの1歳の誕生日前までの育児休業
(保育所等が利用できない場合:最大2歳まで延長可)
✅ 2. 雇用保険の被保険者である
└─ 正社員・契約社員・パート(週20時間以上)・派遣労働者
✅ 3. 育児休業開始前2年間に
└─ 「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」が12ヶ月以上
✅ 4. 育児休業中の就業が一定水準以下
└─ 月の就業日数が10日以下
または就業時間が月80時間以下
⚠️ 2023年10月以降の給付率変更
育休開始後180日以内は、給付率67%+社会保険料免除の組み合わせにより、実質的な手取り額が休業前の約80%相当になります(雇用保険法 第61条の7)。
パート・契約社員が1日単位取得する際の注意点
パートや契約社員の方は以下の点を雇用契約書で必ず確認してください。
- 週20時間以上の勤務が雇用保険加入の前提
- 育休終了後に雇用契約の継続が見込まれること
- 育休開始日時点で育休後も雇用継続の見込みがあること(有期雇用の場合、子が1歳6ヶ月までに労働契約が終了しないことが必要)
対象外となるケース
以下に当てはまる場合は、育児休業給付金の対象外です。
| 対象外のケース | 理由 |
|---|---|
| 自営業・フリーランス | 雇用保険に未加入 |
| 公務員 | 別途「国家公務員育児休業法」等が適用 |
| 雇用期間1年未満 | 勤務実績要件(12ヶ月)を満たせない |
| 週20時間未満のパート | 雇用保険の被保険者要件を満たさない |
| 育休中の就業日数超過 | 月10日超・月80時間超の場合は給付対象外 |
1日単位取得の給付金計算方法と日割り計算式
給付金日額の求め方【計算式・例題付き】
ステップ1:「賃金日額」を算出する
賃金日額 = 育休開始前6ヶ月の賃金総額 ÷ 180
👉 「賃金総額」には通勤手当・残業代などを含みますが、ボーナス(賞与)は除外します。
【例題】
– 育休開始前6ヶ月の賃金総額:180万円
– 賃金日額 = 1,800,000円 ÷ 180 = 10,000円
ステップ2:「給付率」を確認する
| 育休期間 | 給付率 | 実質手取り換算(目安) |
|---|---|---|
| 育休開始~180日目まで | 67% | +社会保険料免除で約80% |
| 181日目以降 | 50% | 約50% |
📌 2025年4月以降、夫婦で育休を取得するなど一定要件を満たす場合、給付率が最大80%に引き上げられる予定の改正議論が進んでいます(2024年時点)。最新情報は厚生労働省公式サイトでご確認ください。
ステップ3:「1日あたりの給付金額」を計算する
1日あたりの給付金額 = 賃金日額 × 給付率(67% または 50%)
【例題・続き】
– 賃金日額:10,000円
– 給付率:67%(育休開始から180日以内)
– 1日あたりの給付金額 = 10,000円 × 0.67 = 6,700円/日
ステップ4:「支給対象日数」を確認し、支給額を計算する
1日単位の育休において、給付金の支給額は以下の計算式で求められます。
支給額 = 賃金日額 × 給付率 × 支給対象日数
【具体的な計算例】
| ケース | 取得日数 | 賃金日額 | 給付率 | 支給額 |
|---|---|---|---|---|
| Aさん(180日以内・5日取得) | 5日 | 10,000円 | 67% | 33,500円 |
| Bさん(181日以降・10日取得) | 10日 | 8,000円 | 50% | 40,000円 |
| Cさん(180日以内・20日取得) | 20日 | 12,000円 | 67% | 160,800円 |
⚠️ 上限額の注意:賃金日額には上限が設定されています(2024年度:15,190円)。上限額を超える賃金日額は上限額として計算されます。
月の就業日数と給付金の関係
育休中に就業した日数によって、給付金が減額または不支給になる場合があります。
| 月の就業日数 | 給付金への影響 |
|---|---|
| 10日以下(または就業時間80時間以下) | 通常どおり支給 |
| 11日~80時間超 | 就業日数に応じて減額 |
| 就業日数が支給日数の半分超 | 支給対象外 |
申請手続きの流れと必要書類
STEP別・申請フロー
STEP 1:育休開始前(事前準備)
├─ 会社の人事・労務担当者へ「育休取得の意思」を申し出
├─ 育休開始予定日・終了予定日を書面で届け出
└─ 雇用保険の被保険者番号を確認
STEP 2:育休開始時(初回申請)
├─ 会社がハローワークへ「育児休業給付受給資格確認票・申出書」を提出
└─ 提出期限:育休開始日から2ヶ月以内
STEP 3:給付金の定期申請(2ヶ月ごと)
├─ 「育児休業給付金支給申請書」を2ヶ月ごとにハローワークへ提出
├─ 就業した日数・時間を正確に記録・報告
└─ 申請期限:支給対象期間終了後から2ヶ月以内
STEP 4:給付金の受取
└─ 申請から約1~2週間で指定口座へ振り込み
必要書類一覧
| 書類名 | 取得先 | 備考 |
|---|---|---|
| 育児休業給付受給資格確認票・申出書 | ハローワーク / 会社 | 初回のみ |
| 育児休業給付金支給申請書 | ハローワーク / 会社 | 2ヶ月ごと |
| 母子健康手帳(写し) | 自己保有 | 子の生年月日確認用 |
| 賃金台帳・出勤簿(写し) | 会社 | 賃金日額の算定に使用 |
| 雇用保険被保険者証 | 自己保有 / 会社 | 被保険者番号の確認 |
| 振込先口座のわかるもの | 自己保有 | 通帳・キャッシュカード等 |
💡 申請は原則、会社(事業主)経由で行います。労働者本人がハローワークへ直接申請することも可能ですが、まず会社の人事・労務担当者に確認しましょう。
申請期限のまとめ
| 申請種別 | 提出期限 |
|---|---|
| 受給資格確認(初回) | 育休開始日から2ヶ月以内 |
| 給付金支給申請(2回目以降) | 支給対象期間終了後から2ヶ月以内 |
| 延長申請(保育所等入所不可) | 1歳の誕生日前日までに申請 |
⚠️ 期限超過に注意:申請期限を過ぎると給付金を受け取れなくなる場合があります。会社任せにせず、申請状況を自分でも把握しておきましょう。
よくあるミスと注意点
❌ ミス1:就業日数のカウントミス
育休中に就業した場合は、日数と時間の両方を正確に記録してください。10日超または80時間超になると給付金が減額・不支給となります。テレワークや短時間勤務も就業日数に含まれます。
❌ ミス2:賞与を賃金総額に含めてしまう
賃金日額の計算に使う「賃金総額」にはボーナス(賞与)を含めません。基本給・各種手当・通勤手当が対象です。
❌ ミス3:申請書類を会社に任せきりにする
申請は会社経由が基本ですが、提出期限の管理は本人も把握しておく必要があります。人事担当者との連絡を密にし、書類の提出状況を確認しましょう。
❌ ミス4:延長手続きを忘れる
子が1歳になった後も育休を延長する場合(保育所等が入所不可の場合)、延長申請を忘れると給付が途切れます。1歳の誕生日前日までに必ず申請を行ってください。
❌ ミス5:分割取得の回数制限を見落とす
1日単位の分割取得ができる回数には上限(原則2回)があります。細切れに何度も育休を取る場合は、事前に会社・ハローワークへ確認することを強くおすすめします。
FAQ:よくある質問
Q1. 育休を1日だけ取得した場合でも給付金は出ますか?
A. はい、支給されます。1日取得であれば「賃金日額 × 給付率 × 1日」が支給額となります。ただし、1日単位の取得は分割取得の回数制限(原則2回)に含まれる点に注意が必要です。
Q2. 育休中に少しだけ仕事をしても給付金は受け取れますか?
A. 月の就業日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)であれば、給付金は受け取れます。ただし、就業による賃金収入と給付金の合計が育休前賃金の80%を超える場合は、超えた分が減額されます。
Q3. 夫婦で同時に育休を取った場合、給付金はどうなりますか?
A. 夫婦それぞれが受給要件を満たしていれば、それぞれ個別に育児休業給付金を受け取ることができます。同時取得でも金額は変わりません。2025年度からの「育児休業給付金の給付率引上げ(最大80%)」は、夫婦双方が一定期間育休を取得する場合に適用される予定です。
Q4. 給付金の振り込みはいつ頃ですか?
A. ハローワークへの申請後、通常1~2週間程度で指定口座へ振り込まれます。申請書類に不備がある場合は遅れることがあるため、記入内容を事前によく確認しましょう。
Q5. 給付金の計算に使う「賃金日額」の上限・下限はありますか?
A. あります。2024年度の賃金日額の上限は15,190円、下限は2,869円です(毎年8月1日に改定)。上限・下限は雇用保険法施行規則に基づき設定されており、実際の賃金日額がこの範囲を超える・下回る場合は、上限額・下限額が適用されます。
まとめ
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 受給資格 | 雇用保険加入・2年間で12ヶ月以上の勤務実績 |
| 給付率 | 180日以内67%・181日以降50%(社会保険料免除込みで実質手取り増) |
| 日割り計算 | 賃金日額(6ヶ月賃金÷180)×給付率×取得日数 |
| 申請期限 | 育休開始から2ヶ月以内(初回)・2ヶ月ごとに定期申請 |
| 就業制限 | 月10日以下または月80時間以下 |
| 注意点 | 申請期限の管理・就業日数の正確な記録 |
育休の1日単位・分割取得は、仕事復帰のペースを調整しながら経済的支援を受けられる非常に便利な制度です。計算方法や申請手続きをしっかり理解して、給付金を漏れなく受け取りましょう。不明点がある場合は、お近くのハローワークまたは社会保険労務士にご相談ください。
参考リンク
⚠️ 免責事項:本記事は2024年時点の情報をもとに執筆しています。給付率・上限額・申請手続きは毎年改定される場合があります。最新情報は必ず厚生労働省・ハローワークの公式情報をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 育児休業給付金を1日単位で取得した場合、給付金はどのように計算されますか?
A. 育児休業給付金は日割り計算で支給されます。賃金日額に給付率を掛けて1日分の給付金を算出し、取得日数分を合計します。
Q. 1日単位の育休取得は誰でも利用できますか?
A. 雇用保険加入者で、開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヶ月以上ある方が対象です。パートも週20時間以上なら利用できます。
Q. パート・契約社員が1日単位で育休を取得する際に注意すべき点は何ですか?
A. 週20時間以上の勤務が必須で、育休終了後の雇用継続が見込まれることが条件です。有期雇用の場合、子が1歳6ヶ月までに契約終了しないことが必要です。
Q. 2022年の法改正により、育休取得はどのように変わりましたか?
A. 1日単位での取得が正式対応され、産後パパ育休が創設されました。また2023年10月からは給付率が引き上げ、180日以内は実質手取り約80%相当になりました。
Q. 育休中に仕事をしても給付金はもらえますか?
A. 月の就業日数が10日以下かつ月80時間以下であれば給付対象です。これを超えると給付対象外となります。
