育休中に療育施設を使う場合の給付金・費用完全ガイド【2025年最新版】

育休中に療育施設を使う場合の給付金・費用完全ガイド【2025年最新版】 育児休業制度

育休中に「子どもに発達の遅れがあるかもしれない」「療育施設を利用したい」と考えたとき、多くの親御さんが最初に抱く不安は「育休給付金が減ってしまうのでは?」という疑問です。

結論から言えば、育休給付金は療育施設の利用によって影響を受けません。育休給付と療育(児童発達支援)はまったく別の制度として運用されており、子どもが療育を受けていても、給付金の受給額・受給期間はそのまま維持されます。

この記事では、育休中に子どもが療育(児童発達支援)を受ける場合の給付金の扱い、2025年4月に施行された法改正の内容、療育施設にかかる費用と無償化制度、受給者証の申請手続きまでをまとめて解説します。制度を正しく理解して、子どもに必要な支援を安心して受けられるよう役立ててください。


育休中に子どもが療育(発達支援)を受ける場合、給付金はどうなる?

制度 管轄 療育利用による影響 主な特徴
育休給付金 厚生労働省(雇用保険) 影響なし 育休期間に給付。療育利用で減額なし
児童発達支援(療育) 市区町村(障害福祉) 該当なし 独立した制度。受給者証で利用
無償化制度 市区町村(障害福祉) 対象外の場合あり 利用料は別途。2025年法改正により拡充予定

育休給付金と療育利用は「別制度」として運用される

育児休業給付金の法的根拠は雇用保険法第30条の3であり、主管省庁は厚生労働省の雇用保険部門です。給付の目的は「育児休業を取得した労働者の所得を補償すること」であり、子どもの健康状態や通所先の施設とは一切関係がありません。

一方、療育施設(児童発達支援事業)の根拠法は児童福祉法第42条の2であり、管轄は同省の子ども家庭局です。利用にあたって必要な受給者証の発行や費用負担の決定は市区町村が行います。

このように、育休給付金と療育利用は法律上まったく別の制度であり、双方の申請・受給ルートは交差しません。療育施設に通わせているという事実が雇用保険の記録に登録されることもなく、ハローワークへの報告義務もありません。

項目 育児休業給付金 児童発達支援事業(療育)
根拠法 雇用保険法第30条の3 児童福祉法第42条の2
主管省庁 厚生労働省(雇用保険部門) 厚生労働省(子ども家庭局)
申請窓口 ハローワーク(事業主経由) 市区町村の障害福祉・子ども家庭担当窓口
対象者 育児休業中の労働者(親) 未就学の障害・発達支援対象児(子)
相互影響 なし なし

「子どもが療育に通っているから、育休を延長しなければならないのでは」「給付金の計算が変わるのでは」といった心配は必要ありません。

発達支援を受けているかどうかは給付受給の条件に含まれない

育児休業給付金を受給するために満たすべき要件は以下のとおりです。子どもの発達状況や療育の有無は、いずれの要件にも含まれていません。

育児休業給付金の受給要件チェックリスト

  • ✅ 雇用保険の被保険者であること
  • ✅ 休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること
  • ✅ 子が1歳(特例認定を受けた場合は最大2歳)になるまでの育児休業期間中であること
  • ✅ 育休中に受け取る賃金が休業前賃金の80%未満であること(月額換算で一定額以下)
  • ✅ 就業日数が支給単位期間(通常1か月)中に10日以下、または就業時間が80時間以下であること

これらの要件を満たしていれば、子どもが療育施設に通っていても、発達障害の診断を受けていても、給付金は通常通り受け取れます。


【2025年最新】育児休業給付金の給付率と受給額の変更点

改正前後の給付率比較(2025年4月1日施行)

2025年4月1日より、育児休業給付金の給付率が変更されています。従来の制度では、休業開始から6か月間は賃金日額の67%相当(手取りベースで概ね80%)、7か月目以降は50%でしたが、改正後はより緩やかな段階に変更されました。

育休期間 改正前の給付率 改正後の給付率(2025年4月〜) 手取り換算(概算)
休業開始〜6か月目 67% 70%相当 約70%
7か月目〜12か月目 50% 60%相当 約60%
13か月目以降 支給なし(原則) 支給なし(原則)

給付率は「休業開始前賃金日額×支給日数」を基準に計算されます。手取り換算の数値は社会保険料・所得税が免除されることを考慮した概算です。

シミュレーション例(月収30万円の場合)

時期 改正前の給付額 改正後の給付額 差額
6か月目まで 約201,000円 約195,000円 −6,000円
7〜12か月目 約150,000円 約180,000円 +30,000円

育休開始から6か月間は改正前よりやや低下しますが、7か月目以降は改正前の50%から60%に引き上げられており、長期取得者にとってはトータルで有利な改正といえます。育休を12か月間取得するかどうかの判断に影響する場合がありますので、事前に自分の給付額をシミュレーションしておくことを推奨します。

育休を2歳・3歳まで延長する場合の給付金の扱い

育児休業給付金は原則として子どもが1歳に達するまでの期間が対象です。ただし、保育所等に入所できない「保育所不承諾通知」がある場合には、最大2歳まで延長が認められています。

なお、子どもが発達支援を必要とする場合でも、給付延長の特例要件は「保育所等に入所できないこと」であり、療育施設への通所の有無は延長判断には影響しません。療育施設は「保育所等」には含まれないため、療育に通いながら育休給付の延長申請を行うことは制度上問題ありません

延長要件 内容
1歳→1歳6か月への延長 保育所等の入所不承諾通知 or 配偶者の死亡・傷病等
1歳6か月→2歳への延長 同上(再申請が必要)
2歳以降の延長 育休給付金の支給なし(一部の企業が独自支援)

3歳までの育児休業が法律上認められるようになった(改正育児・介護休業法)ものの、給付金の支給は2歳までが上限です。3歳まで育休を取る場合の収入計画は別途立てる必要があります。


療育施設(児童発達支援)の利用にかかる費用と無償化制度

自己負担額の計算方法と月額上限

児童発達支援事業の利用料は、原則として利用料の1割を自己負担し、残り9割は自治体が負担します。ただし、世帯の市町村民税額に応じた月額上限が設定されており、1割負担がその上限を超える場合は上限額での支払いとなります。

世帯区分 月額上限額
生活保護受給世帯 0円(無料)
市町村民税非課税世帯 0円(無料)
市町村民税課税世帯(一般) 4,600円
市町村民税所得割額28万円以上 37,200円

育休中の家庭は育休給付金が主な収入源となり、課税所得が低くなるケースも多いです。その年の税額によっては非課税世帯と認定され、自己負担が0円になる可能性もあります。税区分の確認は申請窓口(市区町村)で行えます。

なお、食事代・教材費・送迎費など、サービス利用料以外の実費は別途請求される場合があるため、施設への事前確認をお勧めします。

3歳以上の無償化(障害児通所支援)

2019年10月から施行された「幼児教育・保育の無償化」では、3歳以上の未就学児が児童発達支援を利用する場合、利用料が完全無償化されています。これは月額上限制度に代わり、所得に関係なく適用されます。

対象となるサービスは以下のとおりです。

  • 児童発達支援
  • 医療型児童発達支援
  • 居宅訪問型児童発達支援
  • 保育所等訪問支援

ただし、食費・おやつ代などの実費は無償化の対象外です。また、この無償化は育休の取得状況とは無関係に適用されます。


受給者証の申請方法と療育施設利用までの手順

受給者証とは何か

児童発達支援事業を利用するためには、「障害児通所受給者証」の取得が必須です。受給者証は市区町村が発行する証明書で、「このお子さんは児童発達支援を受けることができます」という行政の判定結果を示すものです。

医師の診断書は必ずしも必要ではなく、発達の遅れや気になる行動が保護者や保育士・保健師などから報告された段階で申請できます。

受給者証の申請から取得までの流れ

STEP 1|市区町村の窓口に相談・申請する

居住地の市区町村(子ども家庭支援課・障害福祉課など)に相談します。

必要書類(自治体によって異なる場合あり)

  • 障害児通所支援受給者証申請書
  • 印鑑(認印可)
  • 子どもの健康保険証
  • 保護者の身分証明書
  • マイナンバー確認書類
  • 医師の意見書・診断書(必須ではないが取得できれば審査がスムーズ)
  • 医療機関・発達支援センター等の相談記録(あれば)

STEP 2|支給決定調査(面談・アセスメント)

市区町村の担当者が保護者と面談を行い、子どもの状態・生活状況・支援の必要性などを確認します。保護者から「どんな困りごとがあるか」「どのような支援を望んでいるか」を詳しく伝えてください。

STEP 3|支給決定・受給者証の発行

面談から概ね1〜2か月程度で受給者証が交付されます。受給者証には「支給量(月に利用できる日数)」「利用できるサービスの種類」「有効期間」が記載されています。

STEP 4|セルフプラン or サービス等利用計画の作成

受給者証取得後、どの施設をどのくらい利用するかを記載した「サービス等利用計画」を作成します。指定相談支援事業所に依頼するか、保護者自身が作成する「セルフプラン」も可能です。

STEP 5|施設と契約・利用開始

希望する児童発達支援事業所と直接連絡を取り、空き状況の確認・見学・契約を経て利用開始となります。

申請のポイント: 受給者証の取得には時間がかかる場合があります。「まだ診断は受けていないけれど、相談だけでも」という段階から窓口に足を運ぶことをお勧めします。育休中であれば時間を確保しやすいため、早めの行動が有効です。


育休中に療育と保育園を併用する場合の注意点

保育園と療育施設の「同時利用」は可能か

結論として、保育所と児童発達支援事業の併用は可能です。保育所に在籍しながら週数回だけ療育施設に通う「保育所等訪問支援」という形態も存在します。

ただし、育休中の保育所利用については注意が必要です。育休中は「保育を必要とする事由(就労)」が消えるため、育休取得中は原則として保育所を継続利用できません(育休取得前から在籍していた兄弟姉妹の場合など一定の例外あり)。

一方、児童発達支援事業は「保育所等」とは別制度であるため、育休中でも制限なく利用できます。「保育所に預けられないから育休を延長している」という場合でも、療育施設への通所は継続可能です。

療育通所中の育休給付金の就業日数カウント

育休給付金の受給中、就業(仕事への復帰)日数が月10日を超えると給付が停止されます。この「就業日数」に療育の付き添いや送迎は含まれません。親が子どもを療育施設に連れていくことは育休中の育児行為であり、就業とは見なされません。

ただし、育休中に副業・アルバイトを行っている場合はその就業日数がカウントされます。療育の付き添いと副業を同日に行う場合でも、副業分のみが就業日数として記録されます。


障害児福祉手当との組み合わせ活用

障害児福祉手当の概要

子どもに一定程度以上の障害がある場合、障害児福祉手当(月額15,690円※2024年度額)を受給できる可能性があります。育休給付金との「同時受給が可能」であり、収入補完の手段として把握しておく価値があります。

項目 内容
法的根拠 児童福祉法第14条の2
支給月額 15,690円(2024年度)※毎年改定
対象年齢 20歳未満
対象障害 重度の身体障害・知的障害・精神障害
所得制限 あり(本人・扶養義務者の所得による)
申請窓口 市区町村(福祉担当窓口)

児童発達支援を利用しているすべての子どもが対象となるわけではなく、障害の程度が「重度」と認定される必要があります。ただし、申請して認定されれば育休給付金と並行して受給できるため、子どもの状態に応じて申請を検討してください。


手続き全体のタイムライン

育休中に療育を開始するまでの主な手続きと、育休給付金の申請時期を整理します。

【育休開始前後】
 └─ 会社へ育休申請(開始予定日の1か月前まで)
 └─ 雇用保険被保険者証の確認

【育休開始後・8週間以内】
 └─ 会社経由でハローワークへ育休給付金の初回申請

【子どもの発達への気づき(任意のタイミング)】
 └─ 市区町村の相談窓口・発達支援センターへ相談
 └─ 小児科・発達外来での診察(必要に応じて)

【受給者証の申請】
 └─ 市区町村へ申請書類の提出
 └─ 支給決定調査(面談)
 └─ 受給者証の交付(申請から1〜2か月程度)

【療育施設の利用開始】
 └─ 施設見学・契約
 └─ サービス等利用計画の作成
 └─ 通所開始

【育休給付金の継続支給申請】
 └─ 2か月ごとにハローワークへ継続申請(会社経由)
 └─ 就業日数の報告(療育付き添いは含まない)

【育休終了・職場復帰または延長申請】
 └─ 保育所等の入所不承諾通知がある場合→延長申請
 └─ 療育施設は復職後も継続利用可能

よくある質問

Q1. 育休中に療育施設の「面談」や「見学」に行っても、育休給付金には影響しませんか?

はい、影響しません。療育施設の見学・相談・面談は育児に関連する行動であり、就業には該当しません。育休給付金の就業日数にカウントされるのは、会社への出勤や外部での有償労働(副業等)に限られます。

Q2. 療育施設の送迎のために車を購入したり、費用がかさんだりします。育休給付金以外に使える支援はありますか?

自治体によっては、障害児の通所支援として「移動支援」や「交通費補助」を実施している場合があります。また、医療費については「自立支援医療(育成医療)」の対象になるケースも。居住地の市区町村の障害福祉担当窓口に相談することをお勧めします。

Q3. 療育施設に通い始めたあと、子どもの状態が改善して受給者証が不要になった場合、育休給付金はどうなりますか?

育休給付金はまったく影響を受けません。受給者証の有効期間終了・更新なし・返還いずれの場合でも、給付金の受給要件(育休の継続・就業日数等)を満たしていれば、給付金はそのまま受け取り続けられます。

Q4. 保育所への入所が決まった場合、療育施設との「同時利用」はできますか?育休の延長は可能ですか?

保育所への入所が決まると「保育を必要とする事由の消滅」となるため、育休を終了して職場復帰することが原則です。ただし保育所入所後も、受給者証があれば放課後等デイサービス(就学後)や放課後の時間帯の療育通所は継続可能です。育休の延長(給付金受給の延長)は、保育所に入所した段階で要件を失います。

Q5. 2025年4月の給付率改正は、すでに育休中の人にも適用されますか?

改正後の給付率は2025年4月1日以降に育児休業を開始した方に適用されます。それ以前に育休を開始している方は原則として旧制度(67%・50%)が適用されます。ただし細かい適用条件については、会社の担当者またはハローワークに確認することをお勧めします。

Q6. 受給者証の申請が通らなかった場合、療育を受けることはできませんか?

受給者証の交付が否定された場合でも、「保育所等訪問支援」や「地域の子育て支援センター」「発達支援教室(自治体独自)」など、受給者証なしで利用できる支援サービスも存在します。一度の不承諾で諦めず、相談窓口で代替手段を確認してください。


まとめ

育休中に子どもが療育(児童発達支援)を受ける場合も、育児休業給付金への影響は一切ありません。両制度はまったく別の法律に基づく独立した仕組みとして運用されており、療育施設の利用・受給者証の取得・障害児福祉手当の受給いずれも、育休給付金の受給と並行して行えます。

2025年4月からの法改正では、給付率が「70%(6か月以内)→60%(7〜12か月目)」へと変更されています。育休を1年間フルで取得する場合、後半の給付率が引き上げられるため、長期取得者にとってはプラスになるケースが多いです。

療育の開始は「早ければ早いほど効果が高い」とされています。育休中という時間的な余裕を活かし、市区町村の窓口への相談・受給者証の申請・施設見学を積極的に進めることをお勧めします。給付金の手続きと療育の手続きはまったく別々に進められるため、どちらかを優先する必要はなく、並行して動いて大丈夫です。

わからないことがあれば、ハローワーク(給付金の相談)と市区町村の障害福祉・子ども家庭担当窓口(療育・受給者証の相談)の両方に気軽に問い合わせることが、手続きを進める最も確実な方法です。育休期間を有効活用し、お子さんにとって最適な支援体制を整えられるよう願っています。

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