育休中に実親の扶養に入る手続き完全ガイド【2025年最新】

育休中に実親の扶養に入る手続き完全ガイド【2025年最新】 育児休業制度

育休中は収入が大幅に減少するため、「実親の扶養に入れるのでは?」と考える方は少なくありません。しかし、実親の扶養に入る手続きは、育休取得や育児休業給付金の申請とはまったく別の手続きです。しかも「扶養」には種類があり、申請先・必要書類・条件が異なるため、手続きを誤ると思わぬ不利益を招くこともあります。

この記事では、育休中に実親の扶養に入るための条件・申請書類・届け出先・給付金との関係を、2025年の最新情報をもとに徹底解説します。


育休中に実親の扶養に入るとは?まず「2種類の扶養」を理解しよう

「扶養に入る」という言葉は日常的によく使われますが、実は法律上まったく異なる2種類の扶養制度が存在します。育休中の手続きを正しく進めるためには、まずこの違いを押さえることが不可欠です。

税法上の扶養(所得税・住民税)とは

税法上の扶養とは、実親側の所得税・住民税の負担を軽減するための制度です。所得税法第84条に規定される「扶養控除」がその代表で、育休中のあなたを実親の扶養親族として申告することで、実親の課税所得が減少し、税負担が軽くなります。

扶養控除の控除額(2025年現在)

区分 控除額(所得税) 控除額(住民税)
一般の扶養親族(16〜18歳、23〜69歳) 38万円 33万円
特定扶養親族(19〜22歳) 63万円 45万円
老人扶養親族(70歳以上・同居) 58万円 45万円
老人扶養親族(70歳以上・別居) 48万円 38万円

育休中の方が実親の扶養控除の対象になるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 6親等以内の血族または3親等以内の姻族(実子であれば当然該当)
  • その年の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)
  • 生計を一にしている(同居または仕送り等で生活費を共にしている状態)
  • 青色申告者の事業専従者でない

税法上の扶養の申告は、実親の勤務先を通じた年末調整、または実親自身が確定申告を行うことで完結します。あなた自身が何か特別な書類を提出する必要はなく、実親側の手続きで処理されます。ただし、翌年の住民税額にも影響するため、確実に申告されているか実親に確認しましょう。

社会保険上の扶養(健康保険・厚生年金)とは

社会保険上の扶養とは、実親が加入する健康保険の「被扶養者」として認定される制度です。健康保険法第3条第7項に規定されており、被扶養者に認定されると、実親の健康保険証を使って医療機関を受診できるようになります。

ただし、育休中は自分が勤務先の健康保険に引き続き加入し続けている点に注意が必要です。育休中であっても健康保険の被保険者資格は喪失しないため、自分の保険証は有効なまま継続します。2022年10月以降の改正では、月末時点で育休を取得している場合、その月の保険料が免除される仕組みに変わっています。

つまり、育休中に実親の社会保険上の扶養に入ることは、原則として二重加入になるため認められません。社会保険上の扶養申請が実質的に意味を持つのは、次のような状況に限られます。

  • 育休期間中に自分が退職し、社会保険の資格を喪失した場合
  • 配偶者がおらず、実親の扶養に頼らざるを得ない状況
  • 国民健康保険に切り替えるよりも実親の被扶養者になる方が経済的に有利な場合

この記事では、主に「育休終了後・退職後に実親の扶養に入る状況」および「税法上の扶養」を中心に、手続きを詳しく解説していきます。


育休中に実親の扶養に入れる条件【収入・続柄・居住要件】

実親の扶養に入るためには、申請先の保険者(協会けんぽまたは健康保険組合)が定める認定基準を満たす必要があります。以下では協会けんぽの基準を中心に解説しますが、健康保険組合は独自基準を設けていることが多いため、必ず実親の勤務先または加入組合に事前確認することを強くお勧めします。

社会保険上の扶養認定条件(協会けんぽ基準・2025年)

要件 内容
続柄 3親等以内の親族(実子は当然該当)
年間収入見込み額 130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)
同居の場合 収入が被保険者(実親)の年間収入の半額未満
別居の場合 収入が被保険者からの仕送り額未満
他の保険 自身の社会保険・国民健康保険に加入していないこと

収入130万円の壁と育休給付金の関係

社会保険上の扶養を検討するうえで、最も注意が必要なのが「育児休業給付金は収入としてカウントされるか」という問題です。

所得税の計算上、育児休業給付金は非課税所得です(所得税法第9条第1項第15号)。そのため、税法上の扶養(扶養控除)の判定においては収入に含まれません。育休給付金をいくら受け取っていても、他の収入がなければ合計所得金額48万円以下の要件を満たすことができます。

一方、社会保険上の扶養(健康保険の被扶養者認定)においては、育児休業給付金も収入として算入されます。協会けんぽの通達では、雇用保険から支給される給付金(育休給付金・傷病手当金等)は年間収入の計算に含めることとされています。

給付金額の目安と扶養判定への影響

育児休業給付金は、育休開始から180日目までは休業前賃金の67%、181日目以降は50%が支給されます。

たとえば、月額賃金が20万円の方の場合:
– 育休開始〜180日:約13万4,000円/月 × 6ヶ月 ≒ 80万4,000円
– 181日〜:約10万円/月

12ヶ月育休を取得した場合の年間給付金総額は約140〜160万円程度になることが多く、この場合は130万円の壁を超えるため、社会保険上の扶養には原則入れません

ただし、育休期間が短い場合や賃金が低い場合には130万円未満に収まることもあります。実際の給付金額は「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率」で計算されますので、ハローワークに相談して事前に確認しましょう。

重要なポイント:
税法上の扶養(扶養控除) → 育休給付金は収入に含まれない ✅ 扶養に入りやすい
社会保険上の扶養(健康保険) → 育休給付金も収入に含まれる ⚠️ 130万円超えの可能性大

同居・別居で変わる申請要件と証明書類

実親と同居しているか別居しているかによって、必要な証明書類が異なります。

同居の場合

実親と住民票が同一世帯にある場合、生計を一にしている事実の証明は比較的容易です。基本的には住民票の写しを提出すれば足り、別途の仕送り証明などは不要です。ただし戸籍謄本で親子関係を確認されることもあるため、事前に実親の勤務先に必要書類を確認しておきましょう。

別居の場合

実親と別居しており、かつ実親から仕送りを受けて生活している場合には、「主として被保険者(実親)によって生計が維持されている」ことを証明する書類が必要になります。協会けんぽでは、仕送りの事実と金額を証明するために振込明細・通帳のコピー等の提出が求められます。また、あなたの収入が実親からの仕送り額を下回ることが条件です。

別居の場合、単なる通帳コピーだけでなく、仕送りが継続的に行われていることを示す複数月分の記録が必要になることもあります。3ヶ月以上の記録を用意しておくと安心です。


申請に必要な書類と届け出先

扶養の種類によって、申請先と必要書類が大きく異なります。手続きを漏れなく行うために、以下を参照してください。

社会保険上の扶養申請に必要な書類

社会保険上の扶養申請は、実親の勤務先の人事・総務担当者を通じて、協会けんぽまたは健康保険組合に提出します。

提出書類一覧

書類 入手先 備考
健康保険被扶養者(異動)届 日本年金機構(様式No.2)または健保組合 実親の勤務先で入手可
戸籍謄本または戸籍抄本 本籍地の市区町村窓口 実親との親子関係の確認
住民票の写し(世帯全員) 住所地の市区町村窓口 同居確認に使用
収入を証明する書類 勤務先・ハローワーク等 源泉徴収票・給与明細・雇用保険受給資格者証等
仕送りの証明(別居の場合) 自身の通帳等 振込履歴がわかるもの
非課税証明書 市区町村の税務窓口 収入状況確認のため求められることがある

育休中に退職して社会保険の資格を喪失した場合は、喪失日から5日以内に実親の健保組合・協会けんぽへ被扶養者認定の申請を行う必要があります(健康保険法第48条)。この期限を過ぎると、資格喪失から申請日までの間に無保険の期間が生じる場合があるため、迅速な手続きが重要です。

税法上の扶養申請に必要な書類と年末調整の手続き

税法上の扶養申請は、実親の勤務先の年末調整または実親の確定申告で行います。あなた自身が動く必要はほとんどありませんが、実親に正確な情報を提供することが大切です。

実親の年末調整における手続き

実親は勤務先から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に、あなたの情報(氏名・生年月日・マイナンバー・続柄・年間所得見積額)を記載して提出します。

あなたが提供すべき情報:
マイナンバー(個人番号)
– その年の給与収入・育休給付金以外の収入の概算
– 住所(同居・別居の確認)
– 生年月日

育休給付金は非課税のため、収入として申告する必要はありません。ただし、育休前の給与収入(1月〜育休開始月までの分)がある場合、その金額が103万円(合計所得48万円)以下に収まるかを確認しておきましょう。


育児休業給付金の申請手続きと扶養申請の違い

「実親の扶養に入る手続き」と「育児休業給付金を受け取る手続き」は、申請先も書類も完全に別々です。混同しないよう、それぞれの手続きを整理します。

手続きの全体像

手続き 申請先 申請者 タイミング
育児休業給付金 ハローワーク(勤務先経由) 勤務先の事業主 育休開始から2ヶ月後ごとに申請
健康保険扶養申請 協会けんぽ・健保組合(実親の勤務先経由) 実親(被保険者) 扶養状態が発生してから速やかに
税法上の扶養申告 実親の勤務先(年末調整)または税務署 実親 年末調整時期(10〜12月)
国民年金第3号被保険者 年金事務所(配偶者の勤務先経由) 配偶者がいる場合のみ 扶養認定と同時

育児休業給付金の申請手順

育児休業給付金は、雇用保険法第61条の4に基づく制度で、主に勤務先の事業主がハローワークに申請します。受給者本人が直接申請することは通常ありません。

支給スケジュール(2025年現在)

  • 育休開始日から2ヶ月ごとに申請(第1回は育休開始から約4ヶ月後に初回入金)
  • 支給額:育休開始から180日間は賃金の67%、181日目以降は50%
  • 支給上限額(2025年度):
  • 67%の期間:1日あたり上限15,690円(月額換算約47万円相当)
  • 50%の期間:1日あたり上限11,710円(月額換算約35万円相当)

育休給付金の申請に際して、実親の扶養状況は一切関係しません。給付金の申請は勤務先任せにせず、振込口座・申請漏れがないか定期的に確認することをお勧めします。


手続きのタイミングと注意点

育休開始前に確認すべきこと

  1. 育休期間中の健康保険料・年金保険料の取り扱い確認
    2022年10月改正以降、育休中の社会保険料免除要件が変更されました。月末時点で育休を取得している場合、その月の保険料が免除されます(短期育休は14日以上取得が条件)。自分の保険料がいくら免除されるか、勤務先に確認しておきましょう。

  2. 育休給付金の受給見込み額の試算
    130万円の壁を意識して、1年間の給付金見込み額を事前に計算しておきましょう。ハローワークや勤務先の担当者に相談することで、概算額を把握できます。

  3. 実親が加入する健保組合の独自ルールの確認
    健保組合は協会けんぽと異なる独自基準(たとえば収入要件を厳しく設定しているケースや、給付金の扱いが異なるケース)を設けていることがあります。事前に実親経由で健保組合に問い合わせることが非常に重要です。

育休中・育休終了後に注意すること

  • 扶養状態に変化が生じた場合は速やかに届け出る
    育休が終了して職場復帰し、収入が回復した場合には、実親の健康保険上の被扶養者から外れる手続き(扶養削除の届け出)が必要です。年収が130万円を超えると見込まれる時点で手続きを行います。

  • 年末調整での修正申告を忘れずに
    育休中に実親の扶養に入っていたが、年度途中で復職した場合、実親の年末調整での扶養控除申告を修正する必要があります。

  • 住民税に注意
    所得税の扶養控除とは別に、住民税(翌年度課税)にも影響します。育休明けの6月ごろに届く住民税の通知書を確認し、不審な点があれば市区町村の税務窓口に相談しましょう。


実際の手続きの流れ【ステップごとに解説】

育休中に実親の税法上の扶養に入る場合と、社会保険上の扶養に入る場合に分けて、実際の手続きの流れを解説します。

税法上の扶養に入る場合の手順

STEP 1:収入要件の確認
育休前の給与収入(1月〜育休開始月)と、育休中のその他収入(アルバイト等)の合計が103万円以下(合計所得48万円以下)であることを確認します。育休給付金はカウントしません。

STEP 2:実親にマイナンバーと収入状況を連絡する
実親が勤務先に提出する「扶養控除等申告書」に記載する情報(氏名・マイナンバー・年間所得見積額等)を伝えます。

STEP 3:実親が年末調整で申告する
実親の勤務先が年末調整を行い、扶養控除が適用されます。結果として実親の所得税・住民税が軽減されます。

社会保険上の扶養に入る場合の手順(退職・資格喪失後)

STEP 1:退職・社会保険資格喪失の確認
育休中に退職し、社会保険の資格が喪失した日付を勤務先に確認します(健康保険資格喪失証明書を取得)。

STEP 2:給付金受給額が130万円未満であることを確認
ハローワークの「雇用保険受給資格者証」または給付金の振込履歴をもとに、年間受給額を試算します。

STEP 3:必要書類を揃えて実親に渡す
戸籍謄本・住民票・収入証明書類等を揃え、実親に渡します。

STEP 4:実親の勤務先経由で健保組合・協会けんぽに「健康保険被扶養者(異動)届」を提出
提出期限(資格喪失から5日以内)に注意して速やかに手続きします。

STEP 5:被扶養者認定通知の受け取り
審査が完了すると、実親の健保から保険証または被扶養者認定通知が届きます。


よくある質問と落とし穴

育休中の実親扶養手続きに関して、多くの方が疑問を持つ点や陥りやすいミスをまとめました。

Q1. 育休中でも育休給付金をもらっていれば実親の扶養に入れないのでしょうか?

税法上の扶養(扶養控除)については、育休給付金は非課税のため収入にカウントされません。育休前の給与収入が103万円以下であれば、実親の扶養控除の対象になれます。一方、社会保険上の扶養については、育休給付金も収入に含まれるため、年間受給額が130万円を超える場合は原則として被扶養者になれません。

Q2. 育休中は自分の社会保険に加入したまま、実親の健保にも扶養で入ることはできますか?

できません。健康保険は二重加入が認められていないため、育休中も自分が勤務先の健康保険に加入し続けている間は、実親の健保の被扶養者にはなれません。

Q3. 実親がフリーランスや自営業で国民健康保険に加入している場合はどうなりますか?

国民健康保険には「被扶養者」という概念がありません。実親が国民健康保険に加入している場合、あなたが実親の「扶養」として国民健康保険に加入することはできません。この場合、あなた自身が国民健康保険に加入する必要があります(それぞれが世帯員として保険料を負担するか、同一世帯であれば世帯合算される形になります)。

Q4. 育休取得後に退職した場合、失業給付と実親の扶養を両立できますか?

失業給付(基本手当)の日額が3,611円を超える場合、受給期間中は社会保険上の扶養に入ることが認められないのが原則です(協会けんぽの場合)。失業給付の受給が終了した後に改めて被扶養者申請を行うことを検討してください。

Q5. 年度の途中で育休から復帰した場合、税法上の扶養はどうなりますか?

復帰後の給与収入が加算された結果、その年の合計所得が48万円を超えた場合、実親の扶養控除の対象から外れます。この場合、実親は年末調整または確定申告で修正が必要です。気づかずに扶養控除を受け続けると、後日追徴課税が生じる場合があります。

Q6. 産休中(産前産後休業中)にも実親の税法上の扶養に入れますか?

産休中の出産手当金も、育休給付金と同様に非課税所得です。産休前の給与収入と合算した合計所得が48万円以下であれば、税法上の扶養に入ることが可能です。産休の時期(年度内の何月から取得したか)によって収入額が変わるため、年ごとの収入を確認することが重要です。

Q7. 実親の健保組合に直接連絡してもいいですか?

直接連絡するよりも、実親の勤務先の人事・総務部門を通じて問い合わせることをお勧めします。組合側も、被保険者(実親)を通じた問い合わせの方がスムーズに対応できることが多いです。ただし、実親の勤務先での案内が不十分な場合は、実親経由で組合に直接問い合わせても構いません。


まとめ

育休中に実親の扶養に入る際の重要ポイントを振り返りましょう。

税法上の扶養(扶養控除)
– 育休給付金は非課税なので収入に含まれない
– 育休前の給与収入が103万円以下(合計所得48万円以下)なら申請可能
– 手続きは実親の年末調整・確定申告で完結

社会保険上の扶養(健康保険)
– 育休給付金も収入に含まれる(130万円の壁に注意)
– 育休中は自分の社会保険が継続するため、原則として二重加入不可
– 退職・資格喪失後に申請する場合は5日以内の手続きが必須
– 健保組合ごとに独自ルールがあるため事前確認が必須

手続きの心得
– 育休給付金の申請(ハローワーク)と扶養申請(健保・税務)は完全に別の手続き
– 実親の健保組合に事前相談することで、書類の不備や申請漏れを防げる
– 状況が変わった際(復職・収入増加)は速やかに扶養の異動届を提出する

育休中の家計管理は複雑ですが、制度を正しく理解して活用することで、実親の税負担軽減や医療費負担の軽減につなげることができます。不明な点は、協会けんぽの相談窓口(0120-006-410)や、最寄りのハローワーク、市区町村の国民年金担当窓口にお気軽にご相談ください。


参考法令・出典
– 育児・介護休業法(平成3年法律第76号)
– 雇用保険法第61条の4(育児休業給付金)
– 健康保険法第3条・第48条(被扶養者の定義・届出義務)
– 所得税法第84条・第9条第1項第15号(扶養控除・非課税所得)
– 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」(2025年版)
– 全国健康保険協会(協会けんぽ)「被扶養者とは?」(2025年)

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