育休と介護を同時に取得する方法【手続き・期間・給付金完全ガイド】

育休と介護を同時に取得する方法【手続き・期間・給付金完全ガイド】 育児休業制度

育休中に親の介護保険申請が重なり、「何から手をつければいいかわからない」と途方に暮れていませんか?

結論から言えば、育児休業と介護休業は法律上、同時に取得できます。どちらも「育児介護休業法」に定められた独立した権利であり、企業側には両立をサポートする配慮義務があります。

この記事では、育休と介護が重なったときの法的根拠・申請手順・給付金額・必要書類を2024年最新情報をふまえて徹底解説します。


育休中に親の介護保険申請が重なったらどうなる?まず知るべき基礎知識

育休と介護の問題が同時に発生する状況は、決して珍しくありません。「まさか自分がダブルケアになるとは思っていなかった」という声を多く聞きます。まずは基礎知識を整理し、不安を解消しましょう。

よくある状況―出産直後に親の要介護認定が判明するケース

たとえば、次のようなケースが典型的です。

具体例:
妻(32歳)が第1子を出産し育児休業に入った直後、義母(65歳)が脳梗塞で倒れて要介護2の認定を受けた。夫もフルタイム勤務中で、介護の調整を誰がどのように担うかが問題になった。

このように、出産・子育てと親の介護が同時に発生する「ダブルケア」状態は、厚生労働省の調査でも約25万人が直面しているとされます。

特に次のような状況でこの問題が起きやすくなります。

  • 晩婚・晩産化により、親が高齢化している時期と育児期が重なる
  • 産後の育休中に、親の健康状態が急変して要介護認定を受ける
  • 育休を取得している当事者が、同居や近居の親の唯一の支援者になっている

「育休中なのに介護まで抱えなければならないのか」という不安は当然ですが、法律は両立を認めており、給付金の制度も整備されています。正しい手続きを知ることで、状況を落ち着いて整理できます。

育児休業と介護休業は「別の法定権利」―同時取得は法律上OK

育児休業と介護休業は、どちらも「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児介護休業法)に定められた権利です。

制度名 根拠条文 取得の目的
育児休業 第5条 子が3歳に達するまでの養育
介護休業 第11条 対象家族の介護体制整備のため
事業主の配慮義務 第26条 両立支援に向けた職場環境整備

重要なのは、育児休業と介護休業は「別々の権利」として独立して管理されるという点です。育休中に介護休業を別途申請することは法的に許容されており、企業は正当な理由なく拒否できません。

また、第26条の配慮義務により、企業は育休・介護休業の取得者が職場復帰後も不利益を被らないよう、雇用の継続に向けた配慮を行う義務を負います。

ポイント: 同時取得を申し出たとき、「育休中だから介護休業は取れない」と言われた場合、それは法律違反です。会社の担当者が制度を誤解している可能性があるため、育児介護休業法の条文を示して再確認を求めましょう。


育休と介護休業を同時取得するための条件と対象者

まず「自分は対象になるか」を確認しましょう。以下のチェックリストで素早く判断できます。

育児休業の取得要件(雇用保険・勤続期間・子の年齢)

チェック項目 詳細
雇用保険加入者 正社員・契約社員・派遣社員・有期雇用すべて対象
同一事業主に1年以上の継続雇用 申請時点で1年以上の雇用実績があること
子が3歳未満 出生日から3歳に達する前日まで取得可能
職場復帰の意思があること 育休終了後に復帰する意思が前提
入園予定日の確認 2023年10月改正で、保育所の入園予定日が確定した時点で育休終了日を短縮可能に

2024年改正ポイント: 2025年4月施行の育児介護休業法改正により、子が3歳以降小学校就学前まで「柔軟な働き方」(テレワーク・時短勤務・育児目的休暇など)の選択肢を企業が提示することが義務化される予定です。

介護休業の取得要件(対象家族・要介護状態・日数)

チェック項目 詳細
雇用保険加入者 同上
同一事業主に1年以上の継続雇用 同上
対象家族の範囲 配偶者・父母・子・配偶者の父母(義父母含む)
要介護状態にあること 介護保険の要介護認定(1〜5)を受けていること、または常時介護を必要とする状態にあること
取得日数の上限 同一対象家族につき通算93日間(3回まで分割取得可能)

注意点: 介護休業は「介護体制を整備するための休業」であり、介護そのものを続けるための長期休暇ではありません。93日間のうちに、ケアマネジャーへの相談・サービス事業者の手配・施設入所申請などの体制整備を行うことが目的です。

同時取得が可能かを確認するチェックシート

以下にすべて✅がつけば、育休と介護休業の同時取得が法的に可能です。

□ 雇用保険に加入している
□ 現在の職場に1年以上継続して勤務している
□ 育休取得中、または取得予定の子がいる(3歳未満)
□ 介護が必要な家族(対象家族の範囲内)がいる
□ その家族が要介護認定(1〜5)を受けている、または受ける見込みがある
□ 介護休業の取得可能日数(93日)が残っている
□ 会社への申請期限(介護休業は開始予定日の2週間前まで)に間に合う

育休と介護保険申請の時間配分と手続きの流れ

育休と介護が重なる時期は、やるべきことが多く、時間が足りなくなりがちです。手続きの優先順位と時間配分を整理しましょう。

介護保険申請の流れ(育休中に並行して進める場合)

介護保険の申請から認定まで、標準的に30日程度かかります。育休中に余裕をもって手続きを進めることが重要です。

STEP 1:市区町村窓口へ申請(要介護認定申請書の提出)
         ↓ 約1〜2週間
STEP 2:認定調査員が自宅を訪問(本人の状態を確認)
         ↓ 約2〜3週間
STEP 3:主治医の意見書作成(市区町村が依頼)
         ↓
STEP 4:介護認定審査会で判定
         ↓
STEP 5:要介護認定通知書が届く(申請から原則30日以内)
         ↓
STEP 6:ケアマネジャーと契約・ケアプラン作成
         ↓
STEP 7:介護サービス利用開始

育休中の時間配分アドバイス: 育児の合間に市区町村窓口へ行くのが難しい場合、郵送申請や代理申請(家族による申請)が可能です。また、認定調査への同席や主治医への連絡なども、ケアマネジャー候補に事前相談することで負担を軽減できます。

介護休業の申請タイミングと手続き方法

介護休業を開始するには、開始予定日の2週間前までに会社へ書面で申請する必要があります。

申請時に提出する書類:

書類名 準備先
介護休業申出書(社内様式) 会社から取得
要介護認定通知書のコピー 市区町村から受領後
対象家族との続柄を証明する書類 戸籍謄本・住民票

すでに育休中の場合の注意: 育休中に介護休業を新たに申請する場合も、開始予定日の2週間前ルールは適用されます。ただし、親の容体が急変した緊急の場合は、会社と協議のうえ柔軟に対応してもらえることがあります。就業規則や担当者に早期相談することを強くお勧めします。


育休と介護の給付金―いくらもらえる?計算方法と上限額

育休と介護休業を同時期に取得した場合、それぞれに給付金が支給されます。ただし、同一期間に両方の給付金を同時に受給することは原則できません。どちらの給付が適用されるかを正確に把握しておきましょう。

育児休業給付金の計算方法(2024年時点)

育児休業給付金は、ハローワーク(公共職業安定所)を通じて雇用保険から支給されます。

休業期間 支給率 計算式
育休開始〜180日目まで 休業前賃金の67% 月額賃金 × 67%
育休181日目以降 休業前賃金の50% 月額賃金 × 50%

2024年度の支給上限額(月額):

期間 上限額
開始〜180日目(67%) 310,143円
181日目以降(50%) 231,450円

計算例: 育休前の月額賃金が30万円の場合
– 開始〜180日目:30万円 × 67% = 201,000円/月
– 181日目以降:30万円 × 50% = 150,000円/月

介護休業給付金の計算方法(2024年時点)

介護休業給付金も雇用保険から支給されます。

項目 内容
支給率 休業前賃金の67%
支給上限額(月額) 341,493円
支給期間 通算93日間(3回の分割取得まで)
申請先 ハローワーク(事業主経由での申請が原則)

計算例: 介護休業前の月額賃金が30万円の場合
30万円 × 67% = 201,000円/月

育休給付金と介護給付金の同時受給についての重要な注意点

育児休業給付金と介護休業給付金は、同一の休業期間に重複して受給することはできません。

ただし、育休と介護休業が「異なる期間」に分けて取得される場合は、それぞれの期間に対応した給付金を別々に受け取ることが可能です。

【受給パターンの例】

8月〜翌3月:育児休業取得中 → 育児休業給付金を受給
9月〜11月:育休を一時中断し介護休業へ切り替え → 介護休業給付金を受給
11月以降:育児休業に戻る → 育児休業給付金を再受給
(※育休の通算期間・介護休業の通算日数はそれぞれカウントされます)

重要: 育休を途中で中断して介護休業に切り替える場合、育休の「残存期間」は消滅しません。介護休業終了後に育休を再開できます。ただし手続きが複雑になるため、事前に会社の人事担当者・ハローワーク・社会保険労務士に相談することをお勧めします。

社会保険料の免除について

育休中は、健康保険料・厚生年金保険料が月単位で免除されます(2022年10月改正により、月内に14日以上の育休取得で免除対象となりました)。

介護休業中は社会保険料の自動免除制度はなく、通常どおり社会保険料が発生します。ただし無給または低賃金の場合、納付が困難な場合は会社や年金事務所に相談可能です。


必要書類の一覧と申請先まとめ

育休と介護の両立に関する申請は、複数の窓口が関係します。書類漏れを防ぐために一覧で確認しましょう。

育児休業給付金の申請に必要な書類

書類名 準備先 提出タイミング
育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書 ハローワーク(会社経由) 育休開始後2ヶ月以内
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 会社が作成 初回申請時
母子手帳(出生届出済証明欄) 自治体 初回申請時
育児休業申出書(社内様式) 会社から取得 育休開始前

申請の流れ: 育休給付金は基本的に会社(事業主)がハローワークへ申請します。自分で直接申請することも可能ですが、多くの場合、会社の人事部経由での申請になります。

介護休業給付金の申請に必要な書類

書類名 準備先 提出タイミング
介護休業給付金支給申請書 ハローワーク(会社経由) 介護休業終了後2ヶ月以内
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 会社が作成 初回申請時
介護休業申出書のコピー 会社から取得 申請時
要介護状態確認書類 市区町村(要介護認定通知書など) 申請時
対象家族との続柄を証明する書類 戸籍謄本・住民票 申請時

申請先まとめ

手続き 申請先
育児休業取得の届出 勤務先(人事・総務部門)
介護休業取得の届出 勤務先(人事・総務部門)
介護保険の要介護認定申請 市区町村の介護保険担当窓口
育児休業給付金の申請 ハローワーク(原則会社経由)
介護休業給付金の申請 ハローワーク(原則会社経由)
社会保険料免除の手続き 会社(年金事務所への手続きは会社が行う)
ケアマネジャーとの契約 地域包括支援センターへ相談後、居宅介護支援事業所へ

育休×介護の両立を乗り越えるための実践的な時間配分術

法的な手続きが整っても、実際の生活でどう時間を配分するかが最大の課題です。以下に、ダブルケアを経験した方々の声をもとにした実践的なヒントをまとめます。

ケアマネジャーを最大限に活用する

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護サービスのプランを作成するだけでなく、申請書類の代行支援・関係機関との連絡調整も行います。

  • 要介護認定後は速やかに地域包括支援センターへ連絡し、ケアマネジャーを紹介してもらう
  • 赤ちゃんの世話で直接面談が難しい場合は、電話やオンライン面談でのケアプラン相談を依頼する
  • 育休中の自分が介護の主担当になりすぎないよう、訪問介護・デイサービス・ショートステイの利用を早期に検討する

育休中の「育児時間」と「介護対応時間」を明確に分ける

育休中に介護の対応も抱えると、どちらも中途半端になりがちです。次のような時間の枠組みを設けることが有効です。

【1日のタイムブロッキング例】

6:00〜 9:00:授乳・オムツ・朝のルーティン
9:00〜11:00:介護関連の電話・書類作業(子が寝ている時間に活用)
11:00〜13:00:育児・外出(公園・健診など)
13:00〜15:00:子の昼寝 → ケアマネジャーへの連絡・申請書作成
15:00〜18:00:育児
18:00〜20:00:パートナーと介護の情報共有・翌日の段取り

職場・上司への早期相談のすすめ

育休中であっても、会社は介護休業取得の申し出を拒否できません。しかし職場環境を円滑に保つためには、できる限り早期に担当者へ状況を伝えることが大切です。

  • 「育休中に介護休業も必要になるかもしれない」と早めに人事へ相談
  • 介護休業の取得期間・開始日の見通しを共有する
  • 育休復帰のスケジュールへの影響も合わせて説明する

2024年最新の法改正ポイントと今後の動向

2023〜2025年の育児介護休業法改正の主なポイント

時期 改正内容
2023年4月 従業員1,000人超の企業に育休取得率の公表義務化
2023年10月 育休中の就業制度・保育所入園日に合わせた育休終了の弾力化
2025年4月(予定) 3歳以降小学校就学前の子を持つ労働者への「柔軟な働き方」の選択肢提示義務化
2025年4月(予定) 子が10歳未満の場合のテレワーク・時短勤務の努力義務化

介護と育休の両立に関する今後の展望: 厚生労働省は「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実」を政策の柱に掲げており、今後さらに企業への義務強化・給付金制度の拡充が見込まれます。制度改正の最新情報は厚生労働省公式サイトまたはハローワークで随時確認してください。


よくある質問(FAQ)

Q1:育休中に介護休業を取得すると、育休の期間はリセットされますか?

A: いいえ、リセットされません。介護休業に切り替えた分だけ育休の日数が停止するだけで、介護休業終了後に育休を再開できます。ただし育休と介護休業の両者について、それぞれの通算日数・期間の管理が必要になります。詳細は会社の人事担当者かハローワークに確認してください。

Q2:育休給付金と介護休業給付金を同時に受け取れますか?

A: 同一の休業期間に重複して受給することはできません。育休から介護休業に切り替えた期間は介護休業給付金が支給され、育休期間中は育児休業給付金が支給されます。どちらの給付金が適用されるかは「実際に取得している休業の種類」によって決まります。

Q3:要介護認定が出る前に介護休業を取得できますか?

A: 要介護認定が出ていなくても、「常時介護を必要とする状態」にある場合は介護休業を申請できます。厚生労働省の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」に基づき、状態の程度を確認してください。ただし会社によっては要介護認定通知書を求める場合があるため、事前に確認が必要です。

Q4:介護休業の93日はどのように使うのが賢いですか?

A: 介護休業は「介護体制を整えるための期間」です。93日間を活用して、①ケアマネジャーとのケアプラン作成、②訪問介護・デイサービスの手配、③施設入所申請、④家族間での介護役割分担の調整を行うことが推奨されます。93日を一度に使い切る必要はなく、3回に分けて取得することで、体制変更が必要なタイミングに合わせて活用できます。

Q5:介護休業給付金の申請期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

A: 介護休業給付金の申請期限は「介護休業終了日の翌日から起算して2ヶ月後の月末」です。期限を過ぎると時効(2年)が経過するまで申請は可能ですが、早期の申請が基本です。期限が迫っている場合は、会社の人事担当者またはハローワークへ至急相談してください。

Q6:育休中に介護保険の申請手続きを代わりにすることはできますか?

A: はい、可能です。要介護認定の申請は本人以外の家族が代理申請できます。市区町村の介護保険窓口または地域包括支援センターへ相談すれば、代理申請の手順を案内してもらえます。赤ちゃんを連れての手続きが難しい場合は、郵送申請・ケアマネジャー候補への依頼も選択肢に入れましょう。


まとめ:育休と介護の両立は「制度を知ること」から始まる

育休と介護が重なる状況は、精神的にも体力的にも過酷です。しかし育児介護休業法は、この状況を想定したうえで、両方の権利を保障しています

重要なポイントをあらためて整理します。

ポイント 内容
法的根拠 育休(第5条)と介護休業(第11条)は別の権利、同時取得は合法
介護休業の日数 同一家族につき通算93日、3回まで分割可能
給付金 育休・介護ともに「休業前賃金の67%」(ただし同一期間の重複受給は不可)
申請期限 介護休業は開始2週間前まで会社へ申出、給付金は休業終了後2ヶ月以内
時間配分 ケアマネジャーを活用し、介護サービスを早期に手配することで育児時間を確保

「ひとりで抱え込まない」ことが最大の時間配分術です。ケアマネジャー・会社の人事担当者・ハローワーク・地域包括支援センターという4つの相談窓口を積極的に活用し、育児と介護の両立に臨んでください。

育休制度を活用して、親の介護と新生児の養育が両立できる社会環境づくりが、今後ますます求められる時代です。この記事で解説した手続きや制度を理解することで、あなたが置かれた状況をより冷静に、より建設的に対処できることを願っています。


参考・関連情報
– 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
– 厚生労働省「介護休業給付金について」
– ハローワーク(公共職業安定所)公式サイト
– 地域包括支援センター(お住まいの市区町村窓口にてご案内)

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