育休分割取得の申請書類・回数・給付金計算【2026年版】

育休分割取得の申請書類・回数・給付金計算【2026年版】 育児休業制度

本記事の監修ポイント:2022年10月施行の育児・介護休業法改正に対応。産後パパ育休との組み合わせ、ハローワーク申請の実務手順、給付金の具体的な計算例まで網羅しています。


もくじ

  1. 育休の分割取得とは?2022年改正で何が変わったか
  2. 育休分割取得の対象者と取得条件チェックリスト
  3. 申請書類の完全一覧と入手先
  4. 分割取得のスケジュールと申請タイムライン
  5. 育児休業給付金の計算方法(分割取得版)
  6. 産後パパ育休との組み合わせ実例
  7. 申請時のよくあるミスと対策
  8. FAQ:よくある質問

育休の分割取得とは?2022年改正で何が変わったか

育児休業の「分割取得」とは、子ども1人の養育に際して、育休期間を一度にまとめて取得するのではなく、複数回に分けて取得できる制度です。2022年10月1日に施行された改正育児・介護休業法により、取得できる回数と柔軟性が大幅に拡充されました。

改正前後の制度比較

比較項目 改正前(〜2022年9月30日) 改正後(2022年10月1日〜)
取得可能回数 原則1回(例外2回) 最大4回(子1人あたり)
産後パパ育休 なし 新設(2回まで分割可)
申出のタイミング 1ヶ月前まで 原則1ヶ月前(産後パパ育休は2週間前)
夫婦同時取得 制限あり 同時取得可
有期雇用の条件 子が1歳6ヶ月までの継続雇用見込みが必要 子が2歳までの継続雇用見込みに緩和

改正前(2022年3月以前)の取得ルール

改正前の育児・介護休業法では、育休は原則として1人の子につき1回のみの取得に限られていました。例外として、配偶者の死亡・傷病・離婚などのやむを得ない事情がある場合にのみ2回目の申出が認められていましたが、それ以上の分割は原則不可でした。

この制限が男性の育休取得を妨げる要因のひとつとされており、「取りたくても取りにくい」状況が続いていました。政府は男性育休取得率を2025年度末までに50%・2030年度末までに85%へ引き上げる目標を掲げており、2022年の大幅改正はその中核施策として位置づけられています。


改正後(2022年10月以降)の取得ルール

2022年10月1日施行の改正育児・介護休業法(第5条・施行規則第2条〜第6条)により、以下が可能になりました。

法的根拠:育児・介護休業法第5条第1項・第3項、同施行規則第2条・第4条・第5条

「最大4回」の内訳

子1人あたりの育休取得回数(合計最大4回)
─────────────────────────────────────────
  【産後パパ育休(出生時育児休業)】
   └─ 子の出生後8週間以内に最大2回

  【通常の育児休業】
   └─ 子が1歳になるまでに最大2回
─────────────────────────────────────────
  合計:最大4回(両制度の合算)

「子1人あたり」のカウントは、同じ子どもに対して父・母それぞれが独立してカウントします。夫婦それぞれが4回ずつ取得できるため、家庭全体では最大8回の取得が可能です。


産後パパ育休(出生時育児休業)との組み合わせ方

産後パパ育休は通常の育休とは別枠の制度です。主に男性の取得を促進することを目的として新設されましたが、女性も取得可能です。

制度 対象期間 分割回数 申請期限
産後パパ育休 出生後8週間以内 最大2回 取得希望日の2週間前まで
通常育休 子が1歳になるまで(延長で2歳まで) 最大2回 取得希望日の1ヶ月前まで

たとえば父親が「産後パパ育休2回+通常育休2回」を組み合わせると、子の出生から1歳になるまでの間に計4回、子育ての節目に合わせて柔軟に休業できます。


育休分割取得の対象者と取得条件チェックリスト

雇用形態別の対象要件早見表

雇用形態 継続雇用要件 雇用継続見込み 労使協定による除外
正社員 不要 不要 一部除外可能(入社1年未満など)
契約社員・パート 同一企業で1年以上 子が2歳までの更新見込みが必要 同上
派遣社員 派遣元企業で1年以上 同上 同上
日雇い労働者 対象外

⚠️ よくある誤解:「派遣社員は育休が取れない」という誤解がありますが、派遣元(登録している派遣会社)との間で1年以上継続雇用されていれば対象です。派遣先企業の規定ではなく、派遣元との雇用契約を確認しましょう。


取得条件チェックリスト

以下の項目をすべて確認してください。

【基本要件】
– [ ] 育休開始日において同一企業(または派遣元)に1年以上継続して雇用されている(正社員は不要)
– [ ] 育休開始予定日から起算して1年以内に雇用期間が終了しないことが見込まれる(有期雇用の場合)
– [ ] 育休取得対象となる子どもが2歳未満である

【手続き要件】
– [ ] 通常育休は取得希望日の1ヶ月前までに申出する
– [ ] 産後パパ育休は取得希望日の2週間前までに申出する
– [ ] 2回目以降の育休は、前回の育休終了後に一定期間就業している(休業と休業の間に就業期間が必要)

【給付金受給要件(雇用保険)】
– [ ] 育休開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上ある
– [ ] 育休中の就業日数が月10日以下(または就業時間が月80時間以下)


申請書類の完全一覧と入手先

育休分割取得の申請では、事業主への申出ハローワークへの給付金申請の2段階の手続きが必要です。

事業主への申出書類

通常の育児休業(2回分割)の場合

書類名 作成者 提出先 入手先 提出タイミング
育児休業申出書(第1回目) 労働者 事業主 厚生労働省HPまたは会社書式 取得希望日の1ヶ月前まで
育児休業申出書(第2回目) 労働者 事業主 同上 取得希望日の1ヶ月前まで
育児休業取扱通知書 事業主 労働者 事業主が作成 申出後速やかに
母子手帳の写し(出生証明ページ) 労働者 事業主 申出時

産後パパ育休(出生時育児休業)の場合

書類名 作成者 提出先 入手先 提出タイミング
出生時育児休業申出書(第1回目) 労働者 事業主 厚生労働省HPまたは会社書式 取得希望日の2週間前まで
出生時育児休業申出書(第2回目) 労働者 事業主 同上 同上
出生時育児休業取扱通知書 事業主 労働者 事業主が作成 申出後速やかに
出生を証明する書類(母子手帳等) 労働者 事業主 申出時または出生後速やかに

ハローワークへの給付金申請書類

給付金申請は、事業主が労働者に代わってハローワークへ提出するのが通常の流れです。

書類名 作成者 提出先 備考
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 事業主(労働者の情報を基に) 管轄ハローワーク 育休開始日から1ヶ月以内が推奨(遅くとも4ヶ月以内)
休業開始時賃金月額証明書 事業主 ハローワーク 初回申請時に同時提出
賃金台帳・出勤簿の写し 事業主 ハローワーク 直近6ヶ月分が必要
母子手帳(出産日・子の氏名が確認できるページ)の写し 労働者 事業主経由 初回申請時
育児休業給付金支給申請書(2ヶ月ごと) 事業主 ハローワーク 支給単位期間(原則2ヶ月)ごとに申請

💡 2回目以降の分割育休で再申請する場合:新たに「育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書」を提出します。受給資格確認は初回のみでよい場合もありますが、間に就業期間が入るためハローワークに事前確認を推奨します。


分割取得のスケジュールと申請タイムライン

分割取得では「いつ申出するか」「いつ給付金を申請するか」のタイミング管理が重要です。以下に標準的なスケジュール例を示します。

スケジュール例:父親が産後パパ育休2回+通常育休2回を取得する場合

【出産予定日の8週間前〜出産】
  ↓
  産後パパ育休(第1回目)の申出 ───── 取得希望日の2週間前まで

【出生後0〜8週間】
  ├─ 産後パパ育休①:例)出生〜3週間(21日間)
  ↓
  中断(就業)
  ↓
  産後パパ育休(第2回目)の申出 ───── 取得希望日の2週間前まで
  ↓
  ├─ 産後パパ育休②:例)出生後5〜7週(14日間)
  ↓
  就業(職場復帰)
  ↓
  通常育休(第1回目)の申出 ────────── 取得希望日の1ヶ月前まで
  ↓
【子が3ヶ月〜6ヶ月頃】
  ├─ 通常育休①:例)子が3ヶ月〜5ヶ月(2ヶ月間)
  ↓
  就業(職場復帰)
  ↓
  通常育休(第2回目)の申出 ────────── 取得希望日の1ヶ月前まで
  ↓
【子が6ヶ月〜1歳頃】
  ├─ 通常育休②:例)子が7ヶ月〜10ヶ月(3ヶ月間)
  ↓
  職場復帰

申請期限カレンダー(重要日程の早見表)

手続き 期限 遅延した場合のリスク
通常育休の申出 取得希望日の1ヶ月前 事業主から開始日の繰り下げを求められる場合あり
産後パパ育休の申出 取得希望日の2週間前 同上
受給資格確認(初回ハローワーク申請) 育休開始日から4ヶ月以内 この期限を超えると給付金受給が困難になる
2ヶ月ごとの給付金支給申請 支給単位期間終了後2ヶ月以内 期限超過で不支給になるリスクあり
育休延長の申出(保育所不承諾の場合) 子が1歳の誕生日の2週間前まで 延長が認められない可能性あり

育児休業給付金の計算方法(分割取得版)

給付率と給付額の基本構造

育児休業給付金(雇用保険法第61条の4)は、休業開始前の賃金日額を基準に計算されます。

休業期間 給付率 給付金額(目安)
育休開始〜180日目まで 賃金日額 × 67% 月給30万円の場合:約20.1万円/月
181日目以降 賃金日額 × 50% 月給30万円の場合:約15万円/月

重要:分割取得の場合、180日のカウントは通算で行われます。1回目の育休で100日取得した場合、2回目は80日間は67%、残りは50%の給付率となります。


賃金日額の計算式

賃金日額 = 育休開始前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180日
  • 賞与(ボーナス)は含まれません
  • 産前産後休業中の賃金は含めません
  • 育休開始前6ヶ月のうち、賃金支払基礎日数が11日未満の月は除外して計算

具体的な計算例

【前提条件】
– 月給:300,000円(固定)
– 育休パターン:産後パパ育休28日間(1回目)+14日間(2回目)+通常育休90日間(1回目)+60日間(2回目)

【STEP1:賃金日額の計算】

賃金日額 = (300,000円 × 6ヶ月) ÷ 180日
         = 1,800,000円 ÷ 180日
         = 10,000円/日

【STEP2:各取得期間の給付額計算】

育休の回 取得日数 通算日数(累計) 給付率 給付金額
産後パパ育休① 28日 28日目まで 67% 28日×10,000円×67% = 187,600円
産後パパ育休② 14日 42日目まで 67% 14日×10,000円×67% = 93,800円
通常育休① 90日 132日目まで 67% 90日×10,000円×67% = 603,000円
通常育休②(前半) 48日 180日目まで 67% 48日×10,000円×67% = 321,600円
通常育休②(後半) 12日 192日目まで 50% 12日×10,000円×50% = 60,000円
合計 192日 約1,266,000円

給付金の上限・下限額(2025年度)

区分 金額(日額)
賃金日額の上限(67%計算対象) 15,190円(67%適用時:10,177円)
賃金日額の上限(50%計算対象) 15,190円(50%適用時:7,595円)
賃金日額の下限 2,746円

上限・下限は毎年8月1日に改定されます。最新の金額はハローワークインターネットサービスでご確認ください。


育休中に就業した場合の調整

分割取得の「中断期間(就業期間)」に給付金は支給されません。ただし、育休中に一時的・臨時的に就業した場合(月10日以下または月80時間以下)は、就業日数や就業時間に応じて給付金が一部減額されます。

【就業日数が10日以下の場合】
調整後給付金 = 本来の給付金 −(賃金日額 × 就業日数)× 0.8

※ただし、給付金と就業収入の合計が休業前賃金の80%を超えないよう調整

産後パパ育休との組み合わせ実例

パターンA:夫が産後パパ育休2回+通常育休1回、妻が通常育休1回

        出生         子1歳
         │                     │
妻:──[産後休業]─┤───[育休(通常1回)]───┤──→ 職場復帰
         │                     
夫:──────────[PaP①]──[復帰]──[PaP②]──[復帰]─────[通常①]───→ 職場復帰
       (出生後1〜2週)         (出生後4〜8週)  (3ヶ月〜6ヶ月)

凡例:PaP = 産後パパ育休

パターンB:夫婦交互に育休を取り、ほぼ途切れなくカバーする

時期 取得者 制度 期間
出産直後〜6週 産後休業(法定) 8週間
出生後1〜3週 産後パパ育休① 3週間(妻の産後休業と重複可)
産後8週〜6ヶ月 通常育休① 4ヶ月
出生後6〜8週 産後パパ育休② 2週間
子3〜6ヶ月 通常育休① 3ヶ月(妻の育休と重複可)
子6ヶ月〜1歳 通常育休② 6ヶ月
子6〜10ヶ月 通常育休② 4ヶ月(妻の育休と重複可)

💡 ポイント:夫婦が同時に育休を取得することも2022年改正から明示的に認められています。「パパ・ママ育休プラス」制度(子が1歳2ヶ月まで延長可)と組み合わせると、さらに柔軟なスケジュールが組めます。


申請時のよくあるミスと対策

ミス1:「2回目以降の育休も1ヶ月前の申出が必要」を忘れる

分割取得の2回目・3回目も、取得希望日の1ヶ月前(産後パパ育休は2週間前)までの申出が必要です。「前回と同じ会社だから省略できる」と勘違いするケースが多く見られます。

対策:スケジュール表を作成し、各回の申出期限をスマートフォンのカレンダーに登録しておく。


ミス2:給付金の「通算180日ルール」を意識せず給付率が下がる

前述のとおり、給付率67%が適用されるのは通算180日までです。複数回の育休を合計すると意外と早く180日を超えてしまうことがあります。

対策:事前に取得日数の合計を計算し、67%適用期間を最大限活かせるよう休業期間を設計する。


ミス3:復職期間が短すぎて「就業実績なし」と判断される

分割取得の中断期間(就業期間)が形式的すぎると、実質的に連続した育休とみなされるリスクがあります。法令上の明確な日数規定はありませんが、少なくとも1週間以上の実就業期間を設けることが実務上推奨されています。

対策:会社の人事担当者・社労士と事前に相談し、就業期間の設定について確認を取る。


ミス4:有期雇用労働者が「雇用継続見込み要件」を確認しない

有期雇用の場合、育休申出時点で「子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されることが見込まれること」が要件です。この確認を怠ると、2回目以降の育休申出時に「対象外」と判断される可能性があります。

対策:育休申出前に労働契約書を確認し、更新予定が不明な場合は会社に確認書面を求める。


ミス5:ハローワークへの初回申請が遅れる

受給資格確認・初回支給申請は育休開始後4ヶ月以内に行う必要があります(実務上は1ヶ月以内が推奨)。事業主が申請手続きをしてくれると思い込み、確認を怠るケースがあります。

対策:育休開始前に「ハローワーク申請は事業主が行うか、自分で行うか」を人事部門に確認しておく。


ミス6:産後パパ育休と通常育休の間の就業期間を意識しない

産後パパ育休から通常育休への移行時に、「中断期間なしで連続取得できる」と勘違いするケースがあります。法的には特定の条件下で連続取得が可能ですが、給付金申請の手続きが異なるため注意が必要です。

対策:遷移時期の1ヶ月前までに、次の育休申出を事業主に提出し、ハローワークにも手続き内容を事前確認する。


FAQ:よくある質問

Q1. 育休を4回すべて取得した場合、給付金は4回分それぞれ申請が必要ですか?

A. はい、原則として育休の回ごとに支給申請が必要です。ただし、同一の受給資格の範囲内であれば、申請書の一部情報は省略できる場合があります。ハローワークの窓口か事業主の担当者に確認してください。


Q2. 産後パパ育休の期間中に育児休業給付金とは別に「出生時育児休業給付金」が支給されると聞きました。通常育休の給付金と何が違うのですか?

A. 2022年10月以降、産後パパ育休(出生時育児休業)に対応した出生時育児休業給付金が新設されました。給付率・計算方法は通常の育児休業給付金と同じ(67%または50%)ですが、申請様式が異なります。また、出生時育児休業給付金は通算日数のカウントに含まれます(産後パパ育休の日数も180日のカウントに算入)。


Q3. 2回目の育休申出を1ヶ月前より遅れて出した場合はどうなりますか?

A. 事業主は育休の開始日を申出日から1ヶ月後の日まで繰り下げることができます(育児・介護休業法第6条第3項)。ただし、あらかじめ会社に相談し、書面で合意した場合は開始日の変更が認められる場合もあります。いずれにしても、早めの申出が最善策です。


Q4. 育休を取得中に給与が一部支払われた場合、給付金はどうなりますか?

A. 育休中に事業主から賃金が支払われた場合、給付金と合わせた額が休業前賃金の80%を超えると給付金が減額され、100%以上になると給付金は支給されません。詳細な計算方法はハローワークに確認してください。

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