2025年4月から育児休業給付金の支給率が段階的に引き上げられます。現在の67%(+家族手当相当額)から2025年4月に75%、2026年4月に80%へ段階的に移行します。本ガイドでは、改正スケジュール、申請手続き、給付金計算式、対象者条件を図解で詳しく解説します。
【2025年改正の全体像】育休給付金支給率がいつ80%に引き上げられるか
| 時期 | 支給率 | 家族手当相当額 | 実質受給率 |
|---|---|---|---|
| 現在(2025年3月まで) | 67% | 別途加算 | 67%+α |
| 2025年4月~ | 75% | 廃止予定 | 75% |
| 2026年4月~ | 80% | 廃止予定 | 80% |
段階的引き上げスケジュール
育児休業給付金の支給率は、以下のスケジュールで段階的に引き上げられます。
| 実施時期 | 給付率 | 構成内容 | 対象者 |
|---|---|---|---|
| 2024年3月まで(現行) | 67% + 家族手当相当額 | 基本給付67%+家族手当相当額最大3.25% | 全対象者 |
| 2025年4月1日~2026年3月31日 | 75% + 家族手当相当額 | 基本給付75%+家族手当相当額最大3.25% | 第1子・第2子 |
| 2026年4月1日以降 | 80% | 基本給付80%(家族手当相当額廃止) | 第1子・第2子 |
| 参考:第3子以降 | 80% | 既に2022年4月1日から80%適用 | 第3子以降 |
改正の背景と目的
この改正は、少子化対策の一環として、育児休業取得の経済的負担を軽減し、特に男性の育休取得を促進する目的で実施されます。80%への段階的引き上げにより、育休中の生活水準維持がより容易になります。
2024年3月までの現行制度(給付率67%+家族手当相当額)
改正前の育児休業給付金は、基本給付の67%と家族手当相当額(最大3.25%)の併給制度によって構成されていました。この二層構造は、2026年4月の最終段階で80%一本化により廃止されます。
現行制度の給付構造例:
– 月給30万円の場合:30万円 × 67% = 201,000円(基本給付)+ 9,750円(家族手当相当額)= 210,750円
2025年4月~2026年3月の第1段階(給付率75%)
2025年4月から2026年3月までの期間は、給付率が現行の67%から75%に引き上げられます。この引き上げにより、育児休業中の経済的支援が大幅に強化されます。家族手当相当額(最大3.25%)は継続して支給されるため、実質的な給付が増加します。
第1段階の給付構造例:
– 月給30万円の場合:30万円 × 75% = 225,000円(基本給付)+ 9,750円(家族手当相当額)= 234,750円
– 現行制度との差額:234,750円 – 210,750円 = 24,000円(月額増)
2026年4月以降の最終段階(給付率80%、家族手当相当額廃止)
2026年4月以降は、給付率が80%に統一され、家族手当相当額は廃止されます。この段階では、給付構造がシンプルな一本化となり、管理上の手続きが簡潔になります。なお、第3子以降は既に2022年4月1日から80%の給付率が適用されており、今回の改正の対象外となります。
最終段階の給付構造例:
– 月給30万円の場合:30万円 × 80% = 240,000円(基本給付のみ)
【対象者は誰か】2025年改正による育休給付金の受給要件
育児休業給付金を受給するには、複数の要件を満たす必要があります。2025年改正では、要件自体に大きな変更はありませんが、対象となる時期について明確に理解することが重要です。
基本的な適格要件(2025年改正に変更なし)
育児休業給付金を受給するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
被保険者要件
- 雇用保険の被保険者である
- 育児休業開始日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上ある
- 育児休業終了予定日の翌日から3ヶ月以内に雇用契約終了予定がない
補足説明: 前2年間の被保険者期間中に、失業等給付を受けた期間は、要件の対象期間から除外されます。
契約社員・パート・派遣社員の方へ: 雇用保険に加入していれば、雇用形態に関わらず受給対象となります。
対象児童要件
- 1歳未満の子(場合によっては最大2歳まで延長可)を養育する
- 配偶者の就労状況による制限はなし(2021年改正で撤廃)
- 同一の子について夫婦で同時取得可能(2022年4月以降)
重要な変更点: 2021年の改正以前は、配偶者の就労状況が給付対象の判定条件となっていましたが、現在は完全に撤廃されており、配偶者が働いていても育児休業給付金の受給対象となります。
就業時間・日数要件
育児休業中の就業制限が給付対象の判定に重要です:
- 育児休業中に就業した日数が月10日以下(または80時間以下)の場合、給付対象
- 月11日以上就業した月は給付対象外
- 保育所入所までの短時間就業は対象です
就業日数の計算方法: 給付金算定対象期間に就業した日が対象となります。以下の場合は就業日に含まれません:
– 代休日
– 特別休暇(忌引休暇等)
– 育児休業に含まれるみなし就業期間
給付金の計算式【2025年改正対応】
月額給付金の計算方法
2025年4月~2026年3月(第1段階:75%)
月額給付金 = 標準報酬月額 × 75% + 家族手当相当額
標準報酬月額とは:
– 育児休業開始日が属する月の前月と前々月の賃金の平均値
– 被保険者が社会保険の対象である場合、その標準報酬月額を使用
– 給与・賞与・各種手当を含む
家族手当相当額:
– 配偶者がいる場合:給与の3.25%(上限額あり)
– 配偶者がいない場合(単独養育):給与の3.25%(上限額あり)
2026年4月以降(最終段階:80%)
月額給付金 = 標準報酬月額 × 80%
※家族手当相当額は廃止され、80%一本化されます。
具体的な計算例
例1:月給30万円、配偶者あり、2025年6月から育児休業取得の場合
【2025年4月~2026年3月】
月額給付金 = 30万円 × 75% + 家族手当相当額
= 22万5,000円 + 9,750円(30万×3.25%)
= 23万4,750円 / 月
【2026年4月以降】
月額給付金 = 30万円 × 80%
= 24万円 / 月
→ 月額5,250円の増加
例2:月給25万円、配偶者なし、2026年5月から育児休業取得の場合
【2026年4月以降適用】
月額給付金 = 25万円 × 80%
= 20万円 / 月
※家族手当相当額はなし
給付金の支払い頻度
- 支払い単位:2ヶ月ごと
- 育児休業期間中、毎2ヶ月分をまとめてハローワークから指定口座へ振込
- 初回支払いは育児休業開始から約2ヶ月後(書類審査期間を含む)
申請手続きの流れ【2025年改正対応】
Step1:育児休業の申し出(育休開始前)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時期 | 育児休業開始予定日の1ヶ月前までに申し出 |
| 対象者 | 本人(労働者) |
| 提出先 | 勤務先の人事部・総務部等 |
| 方法 | 企業指定の申出書(様式任意) |
申し出に含める情報:
– 育児休業開始予定日
– 育児休業終了予定日
– 対象児童の出生予定日(または出生日)
Step2:育児休業給付受給資格確認票の作成
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時期 | 育児休業開始日の前後1ヶ月以内 |
| 対象者 | 勤務先(企業の担当者) |
| 提出先 | ハローワーク |
| 必要書類 | 受給資格確認票、母子健康手帳(写し)等 |
企業が準備する主要書類:
– 育児休業給付受給資格確認票(ハローワーク様式)
– 育児休業開始予定日が記載された申出書
– 被保険者の雇用契約書(写し)
– 勤務先の雇用契約終了予定日確認書
Step3:育児休業給付金請求書の提出
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時期 | 育児休業期間中、2ヶ月ごと |
| 対象者 | 本人(労働者)または企業代理 |
| 提出先 | 管轄のハローワーク |
| 方法 | 書面提出またはe-Gov電子申請 |
| 請求期限 | 対象月の翌月初日から2ヶ月以内 |
給付金請求時の注意点:
請求書提出が期限を超過した場合、給付金が支給されなくなる場合があります。特に月末月初は書類処理が集中するため、早めの提出が推奨されます。
必要書類一覧【2025年改正対応】
受給資格確認時に必要な書類
| 書類名 | 提出者 | 入手元 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 育児休業給付受給資格確認票 | 企業 | ハローワーク | ハローワークから送付される様式を使用 |
| 母子健康手帳(写し) | 本人 | 市区町村 | 子の出生日が確認できるページを複写 |
| 身分証明書(写し) | 本人 | 自身 | 運転免許証またはマイナンバーカード |
| 雇用契約書(写し) | 企業 | 企業 | 雇用期間、雇用形態が明記されたもの |
| 給与明細(写し) | 企業 | 企業 | 前月と前々月分(標準報酬月額算定用) |
| 配偶者就業状況申告書 | 本人 | ハローワーク | 配偶者の育休取得状況確認用 |
給付金請求時に毎回必要な書類
| 書類名 | 提出者 | 備考 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金請求書 | 本人または企業代理 | ハローワーク様式、2ヶ月分をまとめて提出 |
| 給与明細(写し) | 企業 | 対象月の給与実績を証明 |
| 育児休業期間申告書 | 本人 | 休業中の就業状況(0日/月10日以下)を確認 |
デジタル化対応: 2025年4月以降、e-Gov電子申請システムの利用が推奨されます。書面提出よりも処理速度が速い可能性があります。
【企業担当者向け】2025年改正への対応ポイント
給与計算システムの確認と更新
2025年4月以降、育児休業給付金の給付率が75%に上がることに対応するため:
- 給与計算システムの給付金試算機能を更新
- 従業員への給付予定額通知の再計算
- 2026年4月の80%への移行スケジュール準備
具体的な対応例:
– システムベンダーへの相談による改修依頼(1月~2月)
– テスト計算による検証(2月~3月)
– 従業員通知用資料の準備(3月)
従業員への周知
| 周知内容 | 時期 | 方法 |
|---|---|---|
| 給付率引き上げスケジュール | 2024年12月まで | 社内通知、説明会 |
| 2025年4月改正の詳細 | 2025年3月まで | FAQ配布、個別相談対応 |
| 2026年4月最終段階の案内 | 2026年3月まで | 社内通知 |
周知資料の工夫:
– シミュレーション表による給付額イメージの提示
– Q&Aによる頻出質問への対応
– 管轄ハローワークの相談窓口案内
ハローワークとの連携
- 新様式の育児休業給付受給資格確認票の確認
- 地域管轄ハローワークへの事前相談(質問がある場合)
- 毎月の給付金請求書提出スケジュール管理
育休取得期間の延長【1歳以降の給付について】
1歳以降の育児休業給付(標準的なケース)
| 取得時期 | 条件 | 給付率 |
|---|---|---|
| 1歳未満 | 基本:1歳まで | 75% → 80%(段階的) |
| 1歳~1歳6ヶ月 | 配偶者が保育所不承諾など | 75% → 80%(段階的) |
| 1歳6ヶ月~2歳 | 同上 + 保育所未入所等 | 75% → 80%(段階的) |
延長給付の対象要件:
– 配偶者が保育所の利用を申し込んだが入所できない
– 配偶者が疾病または負傷により育児ができない
– 配偶者が育児休業取得中である
重要: 2025年改正は「1歳未満」の給付率が主な対象です。1歳以降の延長給付にも段階的に適用されます。
よくある質問【FAQ】
Q1. 2025年4月より前に育児休業を開始した場合、いつから新しい給付率が適用されますか?
A: 育児休業開始日ではなく、給付金請求書を提出する対象月が2025年4月以降であれば新給付率が適用されます。
例:2025年2月に育児休業開始 → 4月~5月分の請求時から75%が適用
Q2. 第3子以降の場合、80%から変わりませんか?
A: はい、変わりません。第3子以降は既に2022年4月1日から80%が適用されており、2025年改正の対象外です。
Q3. 給付金の手取り額から税金や社会保険料が引かれますか?
A: 育児休業給付金は非課税所得です。所得税は引かれません。ただし、育休中も社会保険料(健康保険・厚生年金)の保険料納付義務は継続します。企業が保険料を控除する場合があります。
Q4. 配偶者が同時に育児休業を取得した場合、給付金は両方受け取れますか?
A: はい、2022年4月以降、夫婦で同一の子について同時取得する場合でも、両者が給付金を受給できます。各自の給付金を別々に請求してください。
Q5. 育休中に短時間就業した場合、給付金はどうなりますか?
A: 月10日以下(または80時間以下)の就業なら、給付対象月として計算されます。ただし、実際の給付額は調整される場合があります。具体的な計算はハローワークに相談してください。
Q6. 2025年4月より前に給付金請求書を提出した場合、差額は支給されますか?
A: いいえ。遡及適用はありません。2025年4月以降の請求分から新給付率が適用されます。
Q7. e-Gov電子申請で育児休業給付金を申請できますか?
A: 2025年4月以降、e-Gov電子申請システムを通じた申請が利用可能になる予定です。詳細は管轄のハローワークにご確認ください。
Q8. 育休給付金の振込口座を変更する場合の手続きは?
A: 口座変更申請書をハローワークに提出してください。変更完了まで通常1~2週間かかるため、早めの申請をお勧めします。
まとめ:2025年改正で育休給付金は段階的に80%へ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 改正スケジュール | 2025年4月→75%、2026年4月→80% |
| 対象者 | 第1子・第2子(第3子以降は既に80%) |
| 給付金計算 | 標準報酬月額 × 給付率(+ 家族手当相当額) |
| 申請期限 | 育児休業開始から2ヶ月ごと、対象月翌月から2ヶ月以内 |
| 企業の対応 | 給与計算システム更新、従業員への周知が必須 |
この改正により、育児休業中の経済的負担がさらに軽減され、仕事と育児の両立がより現実的になります。疑問点は、管轄のハローワークまたは勤務先の人事部に相談しましょう。
関連サイト・参考資料
- 厚生労働省: 育児休業給付金に関する情報
- ハローワーク: 全国ハローワーク検索
- e-Gov電子申請: 育児休業給付金申請
- 雇用保険法第61条の4 – 育児休業給付金の法的根拠
よくある質問(FAQ)
Q. 2025年4月から育休給付金はいくら上がりますか?
A. 現行の67%から75%に引き上げられます。月給30万円の場合、月額約24,000円増加します。さらに2026年4月には80%にまで引き上げられる予定です。
Q. 育休給付金の段階的引き上げスケジュールを教えてください。
A. 2025年4月に75%、2026年4月に80%に段階的に引き上げられます。第3子以降は既に2022年4月から80%が適用されています。
Q. 家族手当相当額はいつ廃止されますか?
A. 2026年4月以降に廃止されます。それまでは家族手当相当額(最大3.25%)が給付率に加算されて支給されます。
Q. 派遣社員やパートでも育休給付金を受け取れますか?
A. はい、雇用保険に加入していれば、派遣社員・パート・契約社員など雇用形態に関わらず受給対象となります。
Q. 配偶者が働いていても育休給付金はもらえますか?
A. はい、2021年改正で配偶者の就労状況の制限は廃止されました。配偶者が働いていても受給対象となります。

