出生時育休と通常育休の同時取得「2つのルール」完全ガイド

出生時育休と通常育休の同時取得「2つのルール」完全ガイド パパ育休

パパ育休を検討しているものの、「出生時育休と通常育休を組み合わせて取れるの?」「どのパターンが自分に合っている?」と悩むパパやその家族は多いはずです。

本記事では、育児・介護休業法第9条の5・第9条の6に基づく同時取得・併用のルールを、具体的なパターン別に徹底解説します。手続きの流れ・必要書類・給付金計算まで、実務レベルで役立つ情報をまとめましたので、ぜひ最後までご活用ください。

目次

  1. 出生時育休と通常育休の基礎知識
  2. パパ育休で同時取得が可能な4つのパターン
  3. 同時取得における「2つのルール」
  4. 給付金の計算方法と金額の目安
  5. 申請手続きと必要書類
  6. よくある疑問・注意点
  7. FAQ

出生時育休と通常育休の基礎知識

出生時育休(出生時育児休業)とは

出生時育休は、2022年10月1日施行の改正育児・介護休業法によって新設された制度です(法第9条の5)。

「産後パパ育休」とも呼ばれ、子どもの出生直後の集中的な育児参加を父親に促すことを目的としています。

項目 内容
取得可能期間 子どもの出生後8週間以内
最大取得日数 28日間(4週間)
分割取得 2回まで分割可能
申請期限 休業開始予定日の2週間前まで
法的根拠 育児・介護休業法 第9条の5

ポイント:出生時育休の最大の特徴は「柔軟さ」です。2回に分割でき、取得中に労使協定があれば就業も部分的に可能という、従来の育休にはない設計になっています。

通常育休との違い

通常育休(育児・介護休業法 第5条)と出生時育休の違いを整理しましょう。

比較項目 出生時育休 通常育休
法的根拠 第9条の5 第5条
対象期間 出生後8週間以内 子どもが1歳になるまで
最大取得日数 28日間 最大365日間(延長含む)
分割取得 2回まで 2回まで
申請期限 2週間前まで 1か月前まで
就業の可否 労使協定があれば部分就業可 原則不可

通常育休は1歳未満の子ども全期間をカバーする「長期型」、出生時育休は出生直後8週間に特化した「短期集中型」と理解するとわかりやすいでしょう。

制度改正の背景と対象者

2022年の育児・介護休業法改正は、日本の男性育休取得率が依然として低水準(2021年度:約13.97%)にとどまることへの対策として実施されました。

対象者の要件(出生時育休・通常育休 共通)

✅ 子どもの父親または母親(性別不問)
✅ 雇用保険に加入していること
✅ 同一事業主のもとで1年以上継続勤務していること
✅ 子どもが1歳になるまでに労働契約が終了しないこと

⚠️ 注意:有期雇用労働者の場合、「申出時点で同一事業主に1年以上継続して雇用されていること」が要件です。2022年4月の改正により、「1年以上」の労使協定による除外規定が廃止されたため、無期雇用と同等の条件になりました。

パパ育休で同時取得が可能な4つのパターン

出生時育休と通常育休は、条件が合えば組み合わせて取得できます。以下の4パターンが主な選択肢です。

パターンA:出生時育休4週→そのまま通常育休に移行

【タイムライン例】
出生日
 ├─ 出生時育休:第1〜4週(28日間)
 └─ 通常育休 :第5週〜子どもが1歳になるまで

特徴:最もシンプルな移行パターン。出生直後の28日間を出生時育休として取得し、終了後すぐに通常育休に切り替えます。

メリット デメリット
計画しやすい 申請が2段階になる
最長の育休期間を確保できる 通常育休は1か月前申請が必要
給付金が途切れない 書類が2セット必要

こんな家庭に最適:ママが産後すぐに職場復帰する予定がある、または長期間パパが主体的に育児を担う予定の家庭。

パターンB:出生時育休と通常育休を別々の期間で分割取得

【タイムライン例】
出生日
 ├─ 出生時育休①:第1〜2週
 ├─ 復帰:第3〜4週(就業)
 ├─ 出生時育休②:第5〜6週
 ├─ 復帰:第7〜8週(就業)
 └─ 通常育休 :子どもが3か月〜6か月のタイミングで取得

特徴:出生時育休を2回に分割し、さらに後日、通常育休を別途取得するパターン。

メリット デメリット
職場との調整がしやすい 計画の管理が複雑
ママの体調に合わせて柔軟に対応できる 申請回数が増える
収入の空白期間を最小化できる 職場への説明が必要

こんな家庭に最適:仕事の繁忙期を避けながら育休を取りたい、プロジェクトの区切りに合わせて育休を組みたいパパ。

パターンC:出生時育休の分割取得後、通常育休に移行

【タイムライン例】
出生日
 ├─ 出生時育休①:第1〜2週(14日間)
 ├─ 出生時育休②:第3〜4週(14日間)
 └─ 通常育休  :第5週〜(上記期間終了後すぐ開始)

特徴:出生時育休を2分割して取得し、その終了後すぐに通常育休を連結するパターン。

法的ポイント(法第9条の5第3項):出生時育休は最大28日間を2回に分けて取得できます。合計日数が28日を超えない範囲であれば、分割方法は自由です。

パターンD:ママの育休とパパの育休を同時並行で取得

【タイムライン例(パパとママの育休が重なる期間)】
       ママ:産後休業(8週間)→ 育休(〜1歳)
       パパ:出生時育休(0〜4週)→ 通常育休(4週〜)
       ↑ この期間、ママとパパが同時に育休中

特徴:法律上、ママとパパが同じ期間に育休を取得することは完全に合法です(育児・介護休業法 第5条・第9条の5)。「夫婦のどちらかが育休中なら、もう一方は取れない」というルールは存在しません。

メリット デメリット
産後の回復期にパパが完全サポートできる 世帯収入が一時的に大幅減少
夫婦で育児スキルを共に習得できる 両者とも申請手続きが必要
子どもと家族の絆が深まる 給付金の上限に注意が必要

同時取得における「2つのルール」

出生時育休と通常育休を組み合わせる際に、必ず守らなければならない2つのルールがあります。

ルール①:出生時育休は「出生後8週間以内」が絶対条件

出生時育休は、子どもの出生後8週間(56日)以内にしか取得できません(法第9条の5第1項)。

【ルール①の図解】
出生日 ─────────────── 出生後56日目
  │←───── この期間内のみ出生時育休OK ────→│
  │                     │
  └── この期間を過ぎると「通常育休」のみ対象

⚠️ 注意:たとえ28日間の枠が余っていても、出生後56日を超えた日付での出生時育休は無効となります。取得漏れがないよう、スケジュール管理は早めに行いましょう。

早産・帝王切開の場合:出産予定日前に生まれた場合は実際の出生日から8週間が起算されます。予定日より早く生まれても、カウントは変わりません。

ルール②:出生時育休の合計日数は「28日間まで」

分割取得を使っても、出生時育休の合計取得日数は最大28日間が上限です(法第9条の5第3項)。

【ルール②の計算例】
✅ 出生時育休① 14日 + 出生時育休② 14日 = 合計 28日(上限ちょうど・OK)
✅ 出生時育休① 7日  + 出生時育休② 10日 = 合計 17日(上限内・OK)
❌ 出生時育休① 20日 + 出生時育休② 15日 = 合計 35日(上限超過・NG)

この「28日上限」に達した後は、引き続き育休を取る場合は通常育休に切り替える必要があります。

給付金の計算方法と金額の目安

育休中の給付金は「育児休業給付金」として雇用保険から支給されます。出生時育休・通常育休ともに同じ計算式が適用されます。

給付率の基本

育休開始から経過期間 給付率(休業前賃金比) 手取りベースの実質補填率
育休開始〜180日目 67% 約80%相当
181日目以降 50% 約65%相当

2025年度改正情報:政府は育休給付金の給付率を最初の28日間について80%に引き上げる方針を検討・推進中です。2025年4月以降の施行を予定しており、最新情報は厚生労働省ホームページをご確認ください。

給付金の計算式

育児休業給付金(1日分)
= 休業開始時の賃金日額 × 給付率(67% または 50%)

賃金日額の求め方

賃金日額 = 育休開始前6か月間の賃金合計 ÷ 180

計算例(月収30万円のパパの場合)

項目 計算内容 金額
月収(税込) 基準額 300,000円
賃金日額 300,000円×6÷180 10,000円/日
28日間(67%)の給付金 10,000×67%×28日 187,600円
社会保険料の免除額(目安) 月額約45,000円分 約45,000円
実質的な手取り維持額 給付金+保険料免除 約232,600円

💡 育休中は社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除されるため、給付金67%でも実質的な手取りは休業前の約80%程度が維持されます。

申請手続きと必要書類

手続きの全体フロー

Step1:会社への申出(2週間前まで)
   ↓
Step2:育児休業申出書の提出
   ↓
Step3:会社がハローワークへ給付金の申請代行
   ↓
Step4:給付金の受取(原則2か月ごとに振込)

必要書類一覧

従業員が会社に提出する書類

書類名 内容 入手先
育児休業申出書 休業期間・子どもの情報を記載 会社の様式または厚生労働省モデル様式
出生証明書のコピー 子どもの出生確認 市区町村
母子健康手帳のコピー 出産予定日・出生日の確認 産院・保健センター
育児休業取扱通知書 会社から交付される確認書 会社が発行

会社がハローワークに提出する書類

書類名 提出タイミング
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 育休開始後すみやかに
育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書 初回:育休開始から4か月以内

申請期限のまとめ

手続き 期限
出生時育休の申出 休業開始の2週間前まで
通常育休の申出 休業開始の1か月前まで
給付金の初回申請(会社経由) 育休開始から4か月以内

⚠️ 申請期限の注意:特に通常育休は「1か月前」申請が必要です。出生時育休取得後すぐに通常育休に移行したい場合は、出生時育休開始と同時に通常育休の申出も行っておくことをお勧めします。

よくある疑問・注意点

注意点① 分割申請は「事前に回数を宣言」する必要がある

出生時育休を分割取得する場合、初回の申出時点で「2回取得する予定」である旨を申し出る必要があります。後から「やっぱり2回に分けたい」と変更することは原則できません。

注意点② 雇用保険の受給要件を確認する

育児休業給付金を受け取るには、育休開始前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上あることが必要です(11日以上出勤した月を1か月とカウント)。

転職直後や採用間もない方は要確認です。

注意点③ 出生時育休中の就業には「同意書」が必要

出生時育休中に就業する場合(部分就業)は、会社と労働者双方の合意が必要です。会社側が一方的に就業を求めることは法律上禁止されています。

FAQ

Q1. パパとママが同じ日に育休を取ることはできますか?

A. はい、可能です。 法律上、父母が同時期に育休を取得することを禁止するルールはありません。ただし、世帯収入が一時的に減るため、給付金シミュレーションを事前に確認しておくことをお勧めします。


Q2. 出生時育休を1回しか使わなかった場合、残りの日数を後で使えますか?

A. 使えません。 出生時育休は「出生後8週間以内」という取得可能期間があります。たとえ28日の枠が余っていても、この期間を過ぎると出生時育休としての取得はできません。残った期間は通常育休として申請し直す形になります。


Q3. 双子が生まれた場合、出生時育休の日数は増えますか?

A. 増えません。 子どもの人数に関わらず、出生時育休の上限は1回の出産につき28日間です。ただし、2人目・3人目が生まれた際には、それぞれの出産ごとに新たに28日間の権利が発生します。


Q4. 出生時育休の申請を会社が拒否することはできますか?

A. 原則として拒否できません。 対象者要件を満たしている従業員からの申出を、会社は拒否することができません(育児・介護休業法第9条の5)。ただし、業務の繁忙を理由に開始日を2週間の範囲内で変更することは認められています。


Q5. 育休給付金はいつ振り込まれますか?

A. 給付金は2か月に1回まとめて支給されます。初回の支給まで育休開始から2〜4か月かかることが多いため、育休前に生活費の準備をしておくことが重要です。会社によっては立替払いの制度があるケースもあります。


まとめ

確認ポイント 内容
ルール① 出生時育休は出生後8週間(56日)以内のみ取得可能
ルール② 出生時育休の合計取得日数は最大28日間
同時取得 ママとパパが同じ期間に育休を取ることは合法
給付金 最初の180日は賃金の67%(社保免除込みで実質約80%)
申請期限 出生時育休は2週間前・通常育休は1か月前

出生時育休と通常育休の組み合わせは、家庭のライフスタイルや職場状況に合わせて柔軟に設計できます。「2つのルール」(8週間以内・28日上限)さえ守れば、4つのパターンから自分に最適な取得方法を選べます。

まずは会社の人事担当者や社会保険労務士に相談し、育休取得計画書を早めに作成することをお勧めします。パパの育児参加が、家族全員の豊かな育ちにつながります。


📋 参考法令・ガイドライン
・育児・介護休業法 第5条・第9条の5・第9条の6
・厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイント(令和4年)」
・厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続き
※本記事の情報は2025年6月時点の法令に基づいています。制度改正が行われる場合がありますので、最新情報は厚生労働省ホームページまたは社会保険労務士にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 出生時育休と通常育休は同時に取得できますか?
A. はい、条件次第で可能です。出生時育休(最大28日)の後に通常育休へ移行したり、分割して取得したりできます。詳しくは記事の「同時取得パターン」をご参照ください。

Q. 出生時育休の申請期限はいつまでですか?
A. 休業開始予定日の2週間前までです。通常育休は1か月前申請が必要なため、早めの届出をお勧めします。

Q. 出生時育休中に仕事をすることはできますか?
A. 労使協定があれば、部分的な就業が可能です。通常育休中は原則就業できないため、この点が出生時育休の大きな特徴です。

Q. 出生時育休と通常育休で給付金は異なりますか?
A. 基本的な計算方法は同じですが、対象期間が異なります。詳しくは記事の「給付金計算方法」で具体例をまとめています。

Q. 有期雇用でも出生時育休・通常育休を取得できますか?
A. はい、2022年4月の改正により、無期雇用と同じ要件(1年以上継続勤務)で取得可能になりました。対象者要件をご確認ください。

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