育休給付金の計算方法と月額手取り予測【2026年最新版】

育休給付金の計算方法と月額手取り予測【2026年最新版】 育児休業制度

育休中の収入が「実際にいくらになるのか」を事前に把握しておくことは、家計設計の面でとても重要です。本記事では、育児休業給付金の計算方法・月額シミュレーション・手取り予測を、わかりやすい数値例と早見表を使って丁寧に解説します。2026年度の最新上限額にも対応していますので、ぜひ申請前の準備にお役立てください。


育休給付金の「月額手取り」はいくら?結論早見表で即確認

育休期間 給付率 月収30万円 月収40万円 月収50万円
開始~180日目 67% 約201,000円 約268,000円 約335,000円
181日目~ 50% 約150,000円 約200,000円 約250,000円
社会保険料免除 月約30,000円 月約40,000円 月約50,000円
実質手取り(180日目) 約231,000円 約308,000円 約385,000円

育休給付金は雇用保険から支給される所得補償給付です。まず「月収別の目安手取り」を早見表で確認しましょう。細かい計算手順を読む前に、自分のケースの概算をつかんでおくと理解が深まります。

月収別・育休給付金の月額手取り早見表(2026年度版)

休業前の月収(額面) 育休開始〜180日(給付率67%) 181日目以降(給付率50%) 手取り実感(67%期間目安)
20万円 約134,000円 約100,000円 約13〜14万円
25万円 約167,500円 約125,000円 約16〜17万円
30万円 約201,000円 約150,000円 約19〜20万円
35万円 約234,500円 約175,000円 約22〜23万円
40万円 約268,000円 約200,000円 約25〜26万円

※上記は概算値です。実際の支給額は「育休開始前6か月の賃金合計 ÷ 180日」で算出した賃金日額を基準に計算されます。上限額に達する場合は上限で頭打ちとなります(詳細はH2②で解説)。

早見表を見ると、月収30万円の場合、育休開始〜180日間は「約20万円前後」を手取りで受け取れることがわかります。これは決して少なくない金額ですが、育休前の手取りと比較すると一定の減少はあります。その差を補う仕組みも含めて、以下で詳しく確認していきましょう。


手取りが「月収の約50〜53%」になる理由

「給付率67%なら手取りも月収の67%になるはず」と思う方が多いのですが、実際の手取りはそれより少し低い50〜53%程度になります。理由は以下のとおりです。

育休給付金の「手取り率」の仕組み

月収の手取り ≒ 給付率67% − 雇用保険料 + 社会保険料免除メリット + 非課税メリット

社会保険料の免除(プラス要因)

育休中は健康保険料・厚生年金保険料が労使ともに全額免除されます(健康保険法第159条、厚生年金保険法第81条の2)。通常、社会保険料は月収の約14〜15%相当を占めるため、この免除は手取りを押し上げる大きな要因です。

所得税・住民税の非課税(プラス要因)

育休給付金は雇用保険給付であるため、所得税・住民税が課税されません。通常の給与に比べて税金分(所得税数%〜十数%)がかかりません。

雇用保険料の負担(マイナス要因)

育休中も雇用保険被保険者である場合、復帰後の賃金には雇用保険料がかかります。ただし、育休給付金そのものには雇用保険料はかかりません。

これらを総合すると、給付率67%の期間でも手取りは月収の約50〜53%、社会保険料免除の恩恵を含めれば実質的な手取りへの影響は軽減されています。


育休180日前後で給付率が変わるポイント

育休給付金の給付率は、育休を開始した日から180日目を境に変化します。

期間 給付率 具体例(月収30万円の場合)
育休開始〜180日目 67% 約201,000円/月
181日目以降〜育休終了まで 50% 約150,000円/月

180日のカウントで注意すること

  • 「180日」は暦日数でカウントします(就業日・休日問わずカウント)
  • 育休開始日が起算点となります
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した日数は、この180日にカウントされます

実務上よくある誤解

「180日分の給付金を受け取り終えたら67%が終わる」と思われがちですが、正確には「育休を開始した日から数えて180日が経過したら」50%に切り替わります。支給タイミングと給付率の切り替えタイミングは別物ですので混同しないようにしましょう。


給付金額の正確な計算式と3ステップ手順

育休給付金の計算式は以下のとおりです。

育休給付金(1か月)= 賃金日額 × 支給日数 × 給付率(67% or 50%)

この式を順番に分解して計算します。計算に慣れていない方でも理解しやすいよう、月収30万円の具体例を使いながら説明します。


ステップ1:賃金日額(基本給付日額)を求める

賃金日額は、育休開始前の賃金実績をもとに算出します。

計算式

賃金日額 = 育休開始前6か月の賃金合計 ÷ 180日

具体例(月収30万円の場合)

30万円 × 6か月 ÷ 180日 = 10,000円/日(賃金日額)

「育休開始前6か月の賃金」に含まれるもの・含まれないもの

含まれるもの(算入する) 含まれないもの(算入しない)
基本給 賞与(ボーナス)
通勤手当 臨時的・一時的な賃金(見舞金など)
住宅手当 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
時間外・休日・深夜割増賃金 育休開始前に支払いが確定していない手当
役職手当・職務手当など月単位の手当全般

重要: 通勤手当は算入されます。産前休業を取得している場合は、産前休業開始前の賃金が基準になります。産前休業直前の6か月が「育休前6か月」として扱われますのでご注意ください。

「休業開始時賃金月額証明書」とは

この計算の基礎となる書類が「休業開始時賃金月額証明書」です。事業主がハローワークに提出するもので、過去6か月の賃金実績が記載されています。給与明細を手元に保管しておくと、事業主への確認や計算の検証に役立ちます。


ステップ2:1か月の支給額上限・下限を確認する

計算した支給額が、法定の上限・下限の範囲内に収まるかを確認します。

2026年度の支給上限額・下限額(目安)

区分 上限額(月額) 下限額(月額)
育休開始〜180日(67%期間) 約315,769円 約50,868円
181日目以降(50%期間) 約235,250円 約37,980円

※上限額は毎年8月1日に改定される「賃金日額の上限」に連動して変更されます。最新の確定値はハローワーク(公共職業安定所)または厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

上限に引っかかるケースの例

月収50万円の方が67%で計算すると約33.5万円になりますが、上限額(約31.6万円)を超えるため、実際の支給額は上限額の約31.6万円に抑えられます。高収入の方ほど実質給付率が下がることを覚えておきましょう。


ステップ3:支給日数と実際の給付月額を確定する

通常、育休給付金は「支給単位期間」という1か月ごとの区切りで管理されます。

支給日数の考え方

  • 原則として1支給単位期間=30日で計算します
  • ただし、育休終了月(最後の月)は実際の育休日数が30日未満になることがあります
  • その場合は「実際の育休日数分」のみ支給されます

月収30万円・67%期間の計算例(フルまとめ)

① 賃金日額:30万円 × 6か月 ÷ 180日 = 10,000円
② 月額支給額:10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円
③ 上限確認:201,000円 < 315,769円(上限内)→ 201,000円が支給額

181日目以降(50%期間)の場合

① 賃金日額:10,000円(同じ)
② 月額支給額:10,000円 × 30日 × 50% = 150,000円
③ 上限確認:150,000円 < 235,250円(上限内)→ 150,000円が支給額

社会保険料免除を加味した「実質手取り」の計算方法

育休給付金の手取りを正確に見積もるには、社会保険料免除の効果も合わせて計算する必要があります。

社会保険料免除の仕組みと金額効果

育休中は、申請翌月から復帰前月までの健康保険料・厚生年金保険料が免除されます(月末時点で育休を1日でも取得していれば、その月の保険料も免除対象です)。

月収30万円の場合の免除額試算

保険料の種類 通常時の負担額(労働者分)の目安
健康保険料(全国健保標準) 約14,820円/月
厚生年金保険料 約27,450円/月
合計 約42,270円/月

つまり、月収30万円の方が育休中に受け取る「実質的な経済効果」は次のとおりです。

育休給付金(67%期間):201,000円
+ 社会保険料免除額:42,270円
= 実質手取り相当:約243,270円

これを月収30万円の通常手取り(約23〜24万円前後)と比較すると、育休中の経済的な落ち込みは思ったより小さいことがわかります。

「標準報酬月額」が変わらない点にも注目

社会保険料が免除されている期間も、厚生年金の「被保険者期間」としてカウントされます。将来の年金額が不利にならない設計になっている点も、育休取得を後押しするポイントです。


実際の申請手順と必要書類チェックリスト

計算方法を理解したら、次は申請の実務を確認しましょう。

申請フローの全体像

【産前6〜8週前】
 ↓ 事業主に育児休業の申し出(育児・介護休業法第5条)
【育休開始】
 ↓ 事業主が「育児休業給付受給資格確認票・申請書」をハローワークへ提出
【育休開始から約2か月後の初回申請期限(最初の支給単位期間終了後)】
 ↓ ハローワークへ書類提出
【審査・認定後、約2週間で指定口座に振込】
 ↓
【以降、2か月に1回の申請サイクル】

注意: 育休給付金の申請は、原則として事業主(会社)経由でハローワークへ提出します。労働者が直接ハローワークへ申請することは例外的なケースに限られます。会社の人事・総務部門との連携を早めに進めましょう。

必要書類チェックリスト(初回申請時)

書類名 用意する方 ポイント
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 事業主がハローワーク様式を準備 事業主が記入・押印して提出
休業開始時賃金月額証明書 事業主が作成 直近6か月の賃金実績が記載
母子健康手帳のコピー 取得者本人が用意 出生日・出産予定日の確認ページ
雇用保険被保険者証のコピー 事業主が保管している場合が多い 被保険者番号の確認
育児休業取得を確認できる書類 事業主が作成 育休開始日・終了予定日が記載されたもの
払渡希望金融機関の通帳コピー(口座情報) 取得者本人 本人名義の口座に限る

2回目以降の申請(確認申請)

初回申請後は、原則2か月に1回の頻度で「育児休業給付金支給申請書」を提出します。

  • 申請書には「育休中に就業した日数」を記入します
  • 月10日以下(または月80時間以下)の就業であれば給付金に影響しません
  • 月11日以上〜月20日以下の就業の場合は一部支給停止になります
  • 月21日以上就業すると、その月分は支給されません

パパ育休・出生時育児休業の給付金計算

2022年10月の育児・介護休業法改正により、出生時育児休業(産後パパ育休) が創設されました。父親が取得できるこの制度についても給付金の計算を確認しておきましょう。

出生時育児休業給付金の概要

項目 内容
取得期間 子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)
分割取得 2回まで分割可能
給付率 67%(180日カウントに含まれる)
申請先 ハローワーク(事業主経由)
就業制限 労使協定の定めがある場合、一部就業可能

産後パパ育休と通常育休の180日カウントの関係

産後パパ育休で取得した日数は、その後に通常の育休を取得した場合の「180日」にカウントされます。たとえば、産後パパ育休で28日間取得した後に通常育休を取得すると、育休開始から152日目に67%→50%の切り替えが起こります。計画を立てる際は合算でカウントしましょう。

夫婦で育休給付金を計算する場合の注意点

両親がともに育休を取得する場合、それぞれ個別に「育休開始前6か月の賃金」をベースに計算します。夫の給付金と妻の給付金は独立して計算・支給されます。


育休延長時の給付金の扱い

保育所への入所ができないなど、やむを得ない事情がある場合は育休を最大2歳まで延長できます(育児・介護休業法第5条第3項・第4項)。

延長区分 育休終了日 手続き
1歳到達時点での延長 子が1歳6か月になるまで 延長事由の証明書類をハローワークへ提出
1歳6か月到達時点での延長 子が2歳になるまで 同上

延長時の給付率について

1歳以降に延長した場合も、給付率は50%が適用されます(180日を既に超えているため)。なお、1歳6か月延長・2歳延長の場合の給付期間の上限は通算して2年間です。


ハローワークのオンライン申請とシミュレーションツール活用法

ハローワークインターネットサービスの活用

厚生労働省・ハローワークのポータルサイト「ハローワークインターネットサービス」では、育休給付金に関する情報を確認できます。2024年度以降、電子申請の整備も進んでいますが、最終的な申請は事業主経由が原則のため、会社のシステムや手順に従って進めましょう。

公的シミュレーションツールの使い方

厚生労働省や社会保険労務士会が提供するシミュレーションツールを使うと、自分の賃金情報を入力するだけで給付金額の試算ができます。

シミュレーションを使う際の入力データ準備チェックリスト

  • [ ] 直近6か月分の給与明細(残業代・通勤手当含む)
  • [ ] 育休開始予定日
  • [ ] 育休終了予定日(または予定期間)
  • [ ] 産後パパ育休の取得予定日数(父親の場合)
  • [ ] 雇用保険被保険者番号(被保険者証に記載)
  • [ ] 現在の健康保険・厚生年金の標準報酬月額(直近の「被保険者報酬月額算定基礎届」の結果通知等で確認)

シミュレーション結果の見方のポイント

  1. 月額給付金(税引前):これが支給される金額の基本値
  2. 社会保険料免除額:別途試算して加算すると「実質手取り」に近い数字になる
  3. 180日前後の切り替えタイミング:シミュレーション上で確認しておくと申請スケジュールを立てやすい

よくある疑問:計算・手取りに関するQ&A

給付金の計算に関して、多くの方から寄せられる質問をまとめました。制度を正しく理解するためにご確認ください。

Q1. 産前・産後休業中は育休給付金はもらえますか?

産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)・産後8週間の産休期間中は、育休給付金ではなく健康保険から「出産手当金」(標準報酬日額の3分の2)が支給されます。育休給付金は産後休業が終了し、育児休業に入った日から支給が始まります。産休と育休は制度が別なので混同しないようにしましょう。

Q2. 育休中にアルバイトをしても給付金はもらえますか?

就業日数が月10日以下(または就業時間が月80時間以下)であれば、原則として給付金は全額支給されます。月11日〜20日就業した場合は一部支給停止、月21日以上になるとその月の給付金は支給されません。副業・アルバイトも「就業日数」にカウントされますのでご注意ください。

Q3. ボーナスは給付金の計算に含まれますか?

含まれません。 育休給付金の基準となる「賃金日額」は、直近6か月の月例賃金(毎月支払われる賃金)をベースに計算します。賞与・ボーナスは「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」として算入対象外です。ボーナス分の減収は別途考慮して家計計画を立てましょう。

Q4. 育休を取得しても年金は減りますか?

減りません。 育休中は厚生年金保険料が免除されますが、年金の被保険者期間はカウントされ続けます。将来受け取る年金額も、保険料を支払ったとみなして計算されます(みなし特例)。ただし、産前・産後休業中も同様の仕組みが適用されています。

Q5. 給付金の振込タイミングはいつですか?

ハローワークへの申請が受理・認定されてから、通常約2週間後に指定口座へ振込されます。初回申請後は2か月ごとの申請サイクルになるため、2か月分まとめて振込されることが一般的です。会社によっては立替払いを行っている場合もあります。

Q6. 育休給付金は確定申告が必要ですか?

育休給付金は非課税所得であるため、確定申告の対象には原則なりません。ただし、育休取得中に一部就業した場合の収入や、他の所得がある場合は確定申告が必要になるケースがあります。また、住民税については前年の所得を基準に計算されるため、育休初年度は前年の収入に基づいた住民税の支払いが発生する点を忘れずに。

Q7. 申請が遅れてしまった場合はどうなりますか?

育休給付金の申請には時効(2年間) があります(雇用保険法第74条)。2年以内であれば遡って申請が可能ですが、申請が遅れると振込も遅れるため家計への影響が大きくなります。育休開始後は速やかに会社の人事担当者に連絡し、申請手続きを進めることをおすすめします。


まとめ:育休給付金の計算・手取り予測のポイント整理

本記事で解説した内容を最後に整理します。

確認項目 ポイント
給付率 育休開始〜180日:67%、181日目以降:50%
賃金日額の計算 育休前6か月の賃金合計 ÷ 180日(賞与は除く)
月額上限(67%) 約315,769円(2026年度目安)
月額上限(50%) 約235,250円(2026年度目安)
社会保険料 育休中は健康保険・厚生年金ともに全額免除
課税 育休給付金は非課税(所得税・住民税なし)
申請方法 事業主(会社)経由でハローワークへ
申請サイクル 2か月に1回(2か月分まとめて支給)
延長上限 最大2歳まで(要保育所未入所等の証明)

育休給付金を最大限に活用するためには、育休開始前の早い段階で計算・シミュレーションを行い、会社の担当者と連携しながら申請準備を進めることが最も重要です。本記事の計算式や早見表を参考に、ご自身の月収をベータに手取り予測を行ってみてください。不明点があればハローワークや社会保険労務士への相談も積極的に活用しましょう。

育休給付金制度は、子育て家族を経済的にサポートするためにしっかりと設計されています。制度を正しく理解し、安心して育休を取得できる環境づくりをお勧めします。


参考法令・根拠
– 育児・介護休業法(平成3年法律第76号)第5条、第9条
– 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第61条の4〜第61条の7
– 雇用保険法施行規則 第74条〜第80条
– 健康保険法 第159条(産前産後休業・育児休業中の保険料免除)
– 厚生年金保険法 第81条の2(育児休業等を理由とする保険料の免除)

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