複数回育休の給付金計算と再取得条件【2026年最新版】

複数回育休の給付金計算と再取得条件【2026年最新版】 育児休業制度

育休を一度取得した後、もう一度取得したい。そう考えているものの「2回目も給付金は出るの?」「条件はどうなるの?」と疑問を持つ方は多いでしょう。

本記事では、複数回の育児休業取得に関する条件・給付金の計算方法・必要書類・申請手順を、最新の法令に基づいて体系的に解説します。育休の再取得を検討している労働者の方はもちろん、社内制度を整備したい人事担当者の方にも役立つ内容です。

2022年10月の育児・介護休業法改正により、同一の子について原則2回まで育休の分割取得が可能になりました。一方、給付金は1回目と2回目を通算してカウントされるため、正確な計算が必須です。本ガイドを参考に、自社・自身の状況に照らし合わせて確認してください。


複数回育休とは?制度の基本と法的根拠

複数回育休とは、同一の子に対して育児休業を1回取得した後、一定の条件を満たすことで再度取得できる制度です。2021年・2022年の育児・介護休業法の改正により、複数回取得のルールが大幅に整備されました。

根拠法令の整理

制度名 根拠法令 主な内容
育児休業制度(取得権利) 育児・介護休業法 第5条〜第9条の3 取得回数・期間・対象者
育児休業給付金(お金) 雇用保険法 第61条の7 給付条件・支給額・上限
出生時育児休業(産後パパ育休) 育児・介護休業法 第9条の2 子の出生後8週以内・最大4週

ポイント:育休を「取れるかどうか」は育児・介護休業法、「給付金が出るかどうか」は雇用保険法が根拠です。両方の条件を満たす必要があります。

【複数回取得の大枠ルール(2026年時点)】

育児・介護休業法 → 同一の子について「原則2回まで」分割取得可
雇用保険法     → 同一の子について「通算2回まで」給付金を支給
                  ※出生時育児休業(産後パパ育休)は別途2回まで可

1回目と2回目で何が変わる?取得回数ごとの違い

2022年10月の法改正以降、育児休業は同一の子について原則2回まで分割取得できます。また、産後パパ育休(出生時育児休業)は別途2回まで分割取得できるため、組み合わせると父親は最大4回の休業が可能です。

比較項目 1回目 2回目
育休取得権利 あり(原則) あり(条件付き)
給付金の支給 対象(雇用保険加入が前提) 対象(通算上限内)
67%給付率の適用 開始〜180日目まで 1回目と通算で180日以内
申請書類 育児休業給付受給資格確認票など 育児休業給付金支給申請書(継続)

重要:2回目育休の「67%給付率」は1回目からの通算日数で判定されます。1回目で180日を超えていた場合、2回目は開始初日から50%になります。


公務員・パート・契約社員は対象になる?

雇用形態による適用可否は以下の通りです。

雇用形態 育休取得権 育休給付金 注意点
正社員 原則すべて対象
契約社員・派遣社員 同一企業1年以上継続雇用が条件
パートタイム 週所定労働日数3日以上などの要件あり
日雇い労働者 × × 雇用保険加入対象外のため不可
国家公務員 給付金は共済組合の手当で対応(雇用保険法対象外)
地方公務員 同上(各共済組合の規定による)

複数回育休を再取得できる条件と対象者

2回目の育児休業を取得するには、基本条件再取得が認められる特定のパターンの両方を満たす必要があります。

基本条件(共通)

  1. 同一企業に1年以上継続雇用されていること
  2. 子が2歳に達する日の前日までに育休が終了すること(延長含む)
  3. 週3日以上の勤務日がある等、雇用保険の加入要件を満たすこと

【パターン別】2回目育休が認められる4つのケース

✅ パターン①:1歳前の分割取得(法定の2回分割)

2022年10月の改正により、1歳までの期間を最大2回に分けて取得できるようになりました。

例)
出生 → [育休1回目:出生〜生後6ヵ月] → 一時復職
      → [育休2回目:生後6ヵ月〜1歳] → 終了

この場合、2回目は申請書類を改めて提出する必要があります。申請期限は休業開始予定日の2週間前までです。


✅ パターン②:待機児童による1歳〜2歳への延長

子が1歳になった時点で保育園に入園できない場合、最大2歳まで延長できます(育児・介護休業法第5条3項)。

  • 延長の条件:子が1歳(または1歳6ヵ月)になる日までに保育園の利用申込をしたが入所できない
  • 必要書類:市区町村が発行する「保育所等の利用申し込みに係る待機証明書(入所不承諾通知書)」
  • 申請先:ハローワーク(給付金の延長申請)+勤務先(休業延長の申出)
【延長の流れ】

1歳到達前 → 「保育所入所不承諾通知書」を取得
         → 勤務先に1歳6ヵ月までの延長申出(書面)
         → ハローワークへ給付金の延長申請
1歳6ヵ月 → さらに入所不可の場合、2歳まで再延長可能

✅ パターン③:配偶者との交互取得(パパ・ママ育休)

父母がそれぞれ育休を取得する場合、通常より2ヵ月長い期間(最大1年2ヵ月)の育休が認められます(いわゆる「パパ・ママ育休プラス」)。

  • 条件:配偶者が子の1歳の誕生日以前に育休を取得していること
  • 延長後の上限:子が1歳2ヵ月になるまで(給付金の上限は通算1年分)

✅ パターン④:配偶者の死亡・負傷など特別事情による再取得

育休終了後に以下の特別事情が生じた場合、例外的に再取得が認められます(育児・介護休業法第5条2項)。

  • 配偶者の死亡
  • 配偶者が負傷・疾病・身体・精神上の障害により育児が困難になった場合
  • 離婚等による配偶者との別居
  • 子の養育者である配偶者が育休を取得することになった場合

よくある落とし穴:再取得が認められないケースとは

以下のケースは申請が却下される可能性が高いため注意が必要です。

よくある誤解 実際のルール
「職場復帰後に自由に2回目が取れる」 1歳超の子について職場復帰後に再申請する場合、特別事情が必要
「子が1歳を超えてから初めて育休を申請できる」 原則として子が1歳になるまでの育休取得が前提
「2回目は別の給付金扱いになる」 1回目と通算されるため、給付日数・給付率に影響する
「延長すれば必ず給付金が出る」 給付金は雇用保険の加入要件・就労実績要件を満たす必要あり

給付金の計算方法と支給額の目安

育児休業給付金の基本計算式は以下の通りです。

【育児休業給付金の計算式】

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率

▶ 休業開始時賃金日額 = 育休開始前6ヵ月の賃金合計 ÷ 180日
▶ 支給日数 = 支給単位期間(原則30日)
▶ 給付率 = 67%(開始〜180日) または 50%(181日以降)

給付率67%と50%の切り替えタイミング

【給付率タイムライン】

育休開始日
  │
  ├─────────────── 180日目(通算)
  │  給付率 67%              │  給付率 50%
  │  (手取りのほぼ8割相当)  │  (手取りのほぼ6〜7割相当)
  │                          │
  └──────────────────────────┘
                            ※1歳以降の延長期間も50%

月収30万円の場合の目安

月収 日額換算 180日以内(67%) 181日以降(50%)
20万円 約6,667円 約134,000円/月 約100,000円/月
30万円 約10,000円 約201,000円/月 約150,000円/月
40万円 約13,333円 約268,000円/月 約200,000円/月

注意:賃金月額の上限(2025年度:約450,300円)があり、計算上の日額にも上限が設けられています。最新の上限額はハローワークの公式ページでご確認ください。


2回目育休の給付金は1回目と別カウント?通算の考え方

2回目の給付金は1回目と「通算」してカウントされます。 別々にリセットされるわけではありません。

【通算カウントのイメージ図】

1回目育休:90日間(給付率67%) ← 1〜90日目
           ↓ 一時復職(30日)
2回目育休開始
 91〜180日目:引き続き67%
 181日目〜  :50%に切り替わる

支給対象期間の上限まとめ

取得パターン 給付金の支給上限期間
通常の育休(1人) 子が1歳になるまで(最大365日)
パパ・ママ育休プラス適用 子が1歳2ヵ月になるまで(給付は通算365日まで)
待機児童による延長 最大2歳まで(給付は通算最大730日)
出生時育児休業(産後パパ育休) 最大28日(通算2回まで・別枠)

申請手続きと必要書類

ハローワークへの手続き手順

2回目育休の申請は基本的に勤務先経由で行います。本人が直接ハローワークに行く必要は原則ありません。

【申請の流れ】

STEP 1:勤務先への育休申出(休業開始2週間前までに書面で)
  ↓
STEP 2:勤務先が「育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書」を作成
  ↓
STEP 3:勤務先がハローワークへ提出(最初の支給申請は育休開始から4ヵ月以内)
  ↓
STEP 4:2ヵ月ごとにハローワークへ継続申請(勤務先経由)
  ↓
STEP 5:給付金が振り込まれる(申請から約2週間後が目安)

必要書類一覧

初回申請時(勤務先からハローワークへ提出)

書類名 入手先 備考
育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書(初回) ハローワーク or 厚生労働省サイト 勤務先が記入して提出
母子健康手帳(写し) 本人 子の出生日確認用
賃金台帳・出勤簿(写し) 勤務先 過去6ヵ月分
雇用保険被保険者証 本人 番号確認用
本人の振込先口座情報 本人 給付金振込先

延長申請時に追加で必要な書類

書類名 入手先 備考
保育所等の入所不承諾通知書(待機証明書) 市区町村 子が1歳到達日以降の延長時
育児休業期間変更申出書 勤務先の所定様式または自由書式 勤務先への延長申出

2026年の法改正ポイントと注意事項

2025〜2026年にかけて、育児・介護休業法・雇用保険法の改正が段階的に施行されています。主な変更点を確認しておきましょう。

改正内容 施行時期 概要
育休取得状況の公表義務(従業員300人超) 2025年4月〜 企業が育休取得率を開示する義務
柔軟な育休取得の推進(時間単位取得) 2025年10月〜(予定) 一部時間単位での育休取得検討中
給付率の引き上げ検討 2026年度以降 育休開始28日間は手取り実質100%相当を目指す方向性(法案審議中)

注意:給付率の変更等は法案審議中のため、最新情報は厚生労働省・ハローワーク公式サイトで必ずご確認ください。


人事担当者が知っておくべき企業側の対応

育休を複数回取得する社員が増える中、企業側にも以下の対応が求められます。

  1. 育休取得の申出を拒否できない:法定要件を満たす場合、企業は育休取得を拒否できません(育児・介護休業法第6条)
  2. ハラスメント防止措置の義務化:マタハラ・パタハラ防止のための研修・相談窓口設置が義務
  3. 給付金の申請代行義務:企業はハローワークへの申請手続きを速やかに行う義務があります
  4. 社内規定の整備:法改正に合わせた就業規則・育休規程の見直しが必要

よくある質問(FAQ)

Q1. 1回目の育休中に2人目を妊娠した場合、給付金はどうなりますか?

A. 1人目の育休を終了し、産前休業(出産予定日の6週間前から)に切り替えることになります。1人目の給付金は育休終了時点で打ち切りとなり、2人目の産休・育休については別途新たに給付が開始されます。ただし、雇用保険の加入期間算定の特例により、育休中の期間は雇用保険加入期間に算入されます。


Q2. 夫婦で交互に育休を取得する場合、給付金はそれぞれ別に計算されますか?

A. はい。夫婦それぞれが自身の賃金をもとに個別に計算されます。妻の育休給付金と夫の育休給付金は別々の申請・別々の支給となります。同時取得も可能で、双方が給付金を受け取れます。


Q3. 育休中にアルバイト・副業をすると給付金はどうなりますか?

A. 育休中の就労時間が一定の基準(就業日数が月10日以下、かつ就業時間が月80時間以下)を超えると、その月の給付金が減額または不支給となります。副業・アルバイトを検討している場合は、事前にハローワークへご相談ください。


Q4. 育休取得を会社に拒否されました。どうすればいいですか?

A. 法定要件を満たしている場合、会社は育休取得を拒否できません。まず都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談窓口があります。また、社内に育休拒否を理由とした不利益扱い(解雇・降格など)があった場合は、育児・介護休業法違反として会社を指導する対象となります。


Q5. 育休給付金はいつから振り込まれますか?

A. 最初の支給申請(休業開始から約4ヵ月以内が申請期限)をハローワークが処理してから、約2〜3週間後に本人口座へ振り込まれます。2回目以降は2ヵ月ごとの継続申請となります。申請が遅れると給付金の受取も遅れるため、勤務先と連携して速やかに手続きを行いましょう。


Q6. 2回目育休の開始日は自由に設定できますか?

A. 1歳以前の分割取得であれば、育休開始日を自由に設定できます。ただし、勤務先への申出は休業開始予定日の原則2週間前(最低1週間前)までに書面で行う必要があります。1歳を超えての再取得は特別事情がない限り認められないため、計画的に申請する必要があります。


Q7. パパ・ママ育休プラスを利用する場合の手続きは?

A. パパ・ママ育休プラスは勤務先への書面申出で成立し、特別な給付金申請書は不要です。ただし、配偶者が子の1歳の誕生日以前に育休を取得していることが条件となります。勤務先経由でハローワークに通常の給付申請書を提出すれば、自動的に延長期間(1歳2ヵ月まで)の扱いとなります。


まとめ

複数回の育休取得と給付金について、要点を整理します。

  • 同一の子について育休は原則2回まで分割取得可能(2022年10月改正)
  • 給付金は1回目と2回目を通算してカウントされ、180日までが67%・181日以降は50%
  • 延長(最大2歳まで)には入所不承諾通知書が必須
  • 申請はすべて勤務先経由でハローワークへ提出
  • 2026年度以降の法改正により給付率が変更される可能性があるため、最新情報の確認が重要
  • パパ・ママ育休プラスを活用すれば、両親合計で最長1年2ヵ月の育休取得が可能

育休制度は頻繁に改正されています。申請前にはハローワーク(0120-952-532)または都道府県労働局雇用環境・均等部への事前確認を強くおすすめします。


本記事は2026年1月時点の法令・情報をもとに作成しています。制度の詳細や最新情報は必ず厚生労働省・ハローワーク公式サイト(https://www.hellowork.mhlw.go.jp)にてご確認ください。

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