パパ育休 給付金なしで取得できる?辞退手続きと注意点【2026年】

パパ育休 給付金なしで取得できる?辞退手続きと注意点【2026年】 パパ育休

パパ育休(出生時育休)を取得したいけれど、「給付金を受け取らない場合でも育休は取れるの?」と疑問に思っている方は少なくありません。結論からお伝えすると、給付金を受けなくても育休の取得は可能です。これは育休を取る権利と給付金を受け取る権利が、法律上まったく別の制度だからです。

本記事では、社会保険労務士監修のもと、給付金なしで育休を取得できる理由・法的根拠・対象となるケース・注意点まで、わかりやすく解説します。「手続きが複雑そう」「税務上の問題があるのでは」といった不安も、この記事を読めば解消できるはずです。


パパ育休(出生時育休)は給付金なしで取得できるのか?【結論】

結論:YES、給付金なしでも育休は取得できます。

この理由は、育休取得の権利と給付金受給の権利が、法律上独立した別制度だからです。多くの人が「育休=給付金」と連動していると考えますが、実は違います。給付金を申請しなくても、育休取得権は消えませんし、法的に保護されています。

育休取得の根拠法と給付金の根拠法はどう違う?

「育休」と「育休給付金」は、根拠となる法律がまったく異なります。

制度 根拠法 条文 所管
育休(育児休業)の取得権 育児・介護休業法 第9条の2(出生時育休)・第5条 厚生労働省 雇用環境・均等局
出生時育児休業給付金 雇用保険法 第61条の9 ハローワーク(公共職業安定所)

育児・介護休業法は、労働者が「子が生まれたとき、一定期間休業できる権利」を保障する法律です。一方、雇用保険法の給付金は、育休中の収入減少を補うために雇用保険から支払われる「別途の経済的支援制度」です。

この2つの制度の関係を図で整理すると、次のようになります。

育児・介護休業法(第9条の2)
    ↓ 育休取得の「権利」を保障
    ┌────────────────────────────────────┐
    │  出生時育児休業(パパ育休)の取得  │
    └────────────────────────────────────┘
              ↓
    ┌──────────┬───────────────────┐
    │ 給付金を申請 │  給付金を申請しない  │
    │(雇用保険法)│  (育休取得権は維持)│
    └──────────┴───────────────────┘

つまり、「育休を取ること」と「給付金をもらうこと」は、連動しているようで法律上は独立した選択肢なのです。給付金を受け取らなくても、育休取得の権利が消えることはありません。

給付金を辞退しても育休取得権は消えない理由

育児・介護休業法に基づく育休取得権は強行法規として保障されています。強行法規とは、当事者の合意や選択によって排除・変更できない法律のルールです。

具体的には、以下の点が法的に保障されています。

  • 会社側は育休申出を原則拒否できない(育児・介護休業法第9条の2第3項)
  • 給付金の申請有無にかかわらず、育休取得権は影響を受けない
  • 給付金を受け取らないことを理由に育休を不許可にすることは違法

たとえば、「給付金の手続きが面倒だから申請しない」「税務上の理由から給付金は不要」という場合でも、育休取得の権利は完全に独立して行使できます。

給付金を申請しない場合、労働者が行う必要があるのは会社への育休申出のみです。ハローワークへの給付金支給申請は不要であり、申請しないことに対して特段の手続きは要りません。


給付金を受けずに育休を取得するケース|こんな人が該当します

給付金の受給要件を満たしていないケース

そもそも給付金の受給には、育休取得よりも厳しい条件があります。育休取得の要件は満たしていても、給付金の受給要件を満たしていない場合、育休は取得できても給付金は受け取れません。

育休取得の要件と給付金受給要件の比較

要件 育休取得(育児・介護休業法) 出生時育児休業給付金(雇用保険法)
雇用形態 正社員・契約社員・派遣社員など(原則、週3日以上等の一定基準を満たす者) 雇用保険被保険者であること
勤続期間 同一事業主に継続して1年以上雇用(一部例外あり) 育休開始前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上
就業実績 特に規定なし 上記12ヶ月のうち、各月11日以上就業していた月が12ヶ月以上
申出時期 出産予定日の8週間前まで(出生後でも可) 育休取得後にハローワークへ申請

給付金対象外になりやすい具体例

  • 入社・転職から1年未満で子が誕生した
  • 雇用保険に加入していなかった期間がある(自営業からの転職直後など)
  • 週の所定労働時間が20時間未満(雇用保険の加入要件を満たさない)
  • 日雇い労働などの特殊な雇用形態

こうしたケースでは、給付金は受け取れないが育休は取得できるという状況が現実的に発生します。転職してから1年未満で子が生まれた場合でも、前の職場と合算して雇用保険被保険者期間が12ヶ月あれば給付金を受けられる可能性があります。不明な場合は、お近くのハローワークで被保険者期間の記録を確認しましょう。

あえて給付金を申請しないことを選ぶケース

給付金の受給要件を満たしていても、あえて申請しないケースも存在します。代表的なケースを見てみましょう。

ケース①:配偶者の扶養に入る場合

育休中の収入がゼロになる場合、配偶者の健康保険の扶養に入ることを検討される方がいます。育児休業給付金は非課税所得であるため、扶養判定の収入には原則含まれません(健康保険の扶養は年収130万円未満が基準)。このため、給付金を受け取っても扶養には入れる場合が多いですが、会社や健保組合によっては「育休中でも収入ありとみなす」ケースもあり、状況によっては申請を控えたいと考える方もいます。

⚠️ 注意:扶養判定は健保組合や会社の規程によって異なります。扶養に入ることを検討している場合は、必ず加入している健保組合に事前確認をしてください。

ケース②:副業・フリーランス収入が一定以上ある場合

育休中は就業制限があります。出生時育休(パパ育休)中に就業する場合、労使協定がなければ就業できませんが、就業した場合は就業日数に応じて給付金が減額または不支給になる場合があります(育休期間の10日または80時間を超えると不支給)。副業・フリーランス収入が見込まれる場合、給付金の管理が複雑になることを避けて、最初から申請しないという選択をする方もいます。

ケース③:短期取得・象徴的な育休取得

2週間以内の短期育休の場合、給付金申請の手続き的なコスト(会社の人事部門への依頼、ハローワークへの申請代行など)に対して、受け取れる給付金が少額にとどまるケースがあります。

給付金の目安計算(例)

  • 月収30万円の場合
  • 出生時育休(最大28日間)の給付率:67%(最初の180日間)
  • 28日間取得の場合の給付金:30万円 ÷ 30日 × 28日 × 67% ≒ 約188,000円
  • 7日間取得の場合:30万円 ÷ 30日 × 7日 × 67% ≒ 約47,000円
  • 2週間(14日間)取得の場合:30万円 ÷ 30日 × 14日 × 67% ≒ 約93,800円

額の大小は個人の判断によりますが、受給のメリット・デメリットを天秤にかけた上で申請しない選択をする方もいます。


給付金を受けない場合の具体的な手続き

育休の申出に必要な手続きの流れ

給付金を申請しない場合でも、育休取得のための会社への手続きは必要です。

STEP 1:会社への育休申出(必須)

出生時育休(パパ育休)の場合、子の出生後8週間以内に取得する休業であり、原則として出産予定日の2週間前までに会社へ申し出る必要があります(緊急の場合は出生後すぐでも可)。

提出書類は会社によって異なりますが、一般的には次のとおりです。

書類 内容
育児休業申出書 取得期間・子の情報を記載
出生(予定)証明書類 母子手帳の写し・出生届受理証明書など
会社独自の書式(あれば) 各社の規程に基づく申請書

STEP 2:給付金の申請は行わない

給付金を受け取らない場合、ハローワークへの申請手続きは一切不要です。「辞退届」のような書類を提出する必要もありません。ハローワークへの申請は育休取得後に会社経由で行うものですが、申請しなければ手続きは発生しません。

会社の人事担当者には、「給付金は申請しない予定です」と事前に伝えておくとスムーズです。これにより、会社がハローワークへの申請準備をしなくて済みます。

STEP 3:社会保険料免除の手続き(育休中は対象)

ここは重要なポイントです。給付金を申請しない場合でも、育休中の社会保険料(健康保険・厚生年金)の免除は適用されます

育休中の社会保険料免除は「育児・介護休業法に基づく育休取得」に連動するものであり、給付金の申請とは無関係です。会社が年金事務所へ申請することで、育休期間中の社会保険料(本人負担分・会社負担分の両方)が免除されます。

給付金申請しない場合でも受けられるメリット
    ✅ 社会保険料の免除(本人・会社の双方)
    ✅ 雇用継続・育休取得権の完全な保障
    ✅ 育休明けの職場復帰権
    ✅ 育休期間は退職として扱われない
    ✅ 育休期間が年金加入期間として計算される

社会保険料免除の計算例

社会保険料の免除はかなり大きな経済的メリットがあります。

月収 健康保険料(本人負担) 厚生年金保険料(本人負担) 合計(本人分) 会社負担分も含む月額
20万円 約9,900円 約18,300円 約28,200円 約56,400円
30万円 約14,850円 約27,450円 約42,300円 約84,600円
40万円 約19,800円 約36,600円 約56,400円 約112,800円

※上記は標準的な保険料率での目安額です。都道府県・健保組合によって異なります。

28日間の育休を取得した場合、社会保険料の免除だけでも以下のメリットが生じます:

  • 月収30万円の場合:約42,300円 × (28日 ÷ 30日) ≒ 約39,400円の免除

給付金を受け取らなくても、これだけの経済的メリットがあります。


給付金を辞退することのデメリット・注意点

受け取れたはずの給付金を失うリスク

最も大きなデメリットは、本来受給できたはずの出生時育児休業給付金を受け取れなくなる点です。

出生時育児休業給付金の支給額は次のとおりです。

育休開始からの日数 給付率 月収30万円の場合の目安(28日間)
育休開始〜180日目 賃金の67% 約188,000円
181日目以降 賃金の50%

2025年の法改正で給付率が引き上げられます。一定の要件を満たす場合に給付率が最大80%(手取りベースでほぼ10割)に引き上げられる予定です。給付額はかなりの金額になるため、受給要件を満たしているにもかかわらず申請しない選択をする場合は、慎重な検討が必要です。

遡及申請はできない

育児休業給付金には申請期限があります。育休終了後2ヶ月以内にハローワークへ申請しなければ時効によって受け取れなくなります。「やっぱり受け取りたい」と後から思っても、申請期限を過ぎると受給できなくなるため、取得前に受給するかどうかを明確に決めておくことが重要です。

税務・社会保障上の影響

給付金は非課税所得のため、所得税・住民税の計算には含まれません。また、育休中の年収に影響しないため、翌年の住民税への影響も限定的です。扶養控除や配偶者控除についても、給付金の受給によって影響することはほぼありません。「給付金を受け取ると税金が増える」という懸念は基本的に不要であり、税務上の理由で辞退する必要はほとんどのケースで発生しません。


育休と給付金の制度を併用するケース

出生時育休と通常育休を組み合わせる場合

パパ育休(出生時育休)と通常の育児休業は分割して取得可能です。

子の出生
    ↓
【出生時育休(産後パパ育休)】
  ・出生後8週間以内
  ・最大28日間(2回まで分割可)
  ・就業も一部可能(労使協定必要)
    ↓
【通常育児休業】
  ・子が1歳(最大2歳)になるまで
  ・2回まで分割取得可能

このとき、出生時育休だけ給付金を申請して、通常育休は申請しない、あるいはその逆という選択も理論上は可能です。各休業期間について、個別に給付金申請の有無を判断できます。

ただし、実務上は混乱を防ぐために、会社の人事担当者や社会保険労務士に相談しながら進めることを強くおすすめします。


2025〜2026年の法改正ポイント

育休・給付金制度は近年急速に変化しています。2025〜2026年にかけての主要な改正点をまとめます。

改正内容 施行時期(予定) 概要
育児休業給付金の給付率引き上げ 2025年4月〜 夫婦ともに育休取得の要件を満たす場合、最初の28日間は給付率が実質80%(手取りベースで10割相当)に
育休取得の柔軟化 2025年改正対応 出生時育休の申出期間短縮・柔軟化
育休取得率の目標 政府目標 2025年度末に男性育休取得率50%を目指す

給付率の引き上げにより、給付金を受け取った場合の経済的メリットはさらに拡大します。受給要件を満たしているならば、ますます「申請する」選択が合理的になっています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 給付金を受け取らない場合、会社に何か書類を提出する必要がありますか?

A. 給付金を申請しない場合、「辞退届」のような特別な書類を会社やハローワークに提出する必要はありません。育休の申出書を会社へ提出するだけで育休を取得できます。ただし、後から「やはり申請したい」という場合には期限があるため、育休取得前に会社の人事担当者に意向を伝えておくとスムーズです。

Q2. 給付金を申請しなくても社会保険料の免除は受けられますか?

A. はい、受けられます。育休中の社会保険料免除は育児・介護休業法に基づく育休取得と連動しており、給付金の申請とは無関係です。会社が年金事務所へ申請することで免除が適用されます。月収30万円で28日間の育休を取得した場合、約39,000円の社会保険料が免除されます。

Q3. 入社して間もなく子が生まれた場合、給付金はもらえなくても育休は取れますか?

A. 育休取得には会社への勤続期間など一定の要件がありますが、給付金の受給要件(雇用保険被保険者期間12ヶ月以上)より緩やかなケースがあります。また、会社によっては独自の規程で勤続期間が短くても育休取得を認めている場合があります。まず会社の就業規則や人事担当者に確認してみましょう。

Q4. 出生時育休の期間中に少し働いた場合、給付金に影響はありますか?

A. 出生時育休中は、労使協定がある場合に限り就業が認められています。就業日数が育休期間全体の10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)を超えると、給付金が不支給になります。給付金を受け取っている場合は就業日数の管理に注意が必要です。

Q5. パパ育休を1週間だけ取得する場合でも給付金は申請できますか?

A. はい、期間にかかわらず給付金の受給要件を満たしていれば申請できます。ただし、支給額は日数に比例するため短期間では少額になります(月収30万円で7日間取得した場合、約47,000円が目安)。手続きの手間とメリットを比較した上で申請するかどうかを判断してください。

Q6. 妻(配偶者)が専業主婦の場合、パパ育休の給付金はどうなりますか?

A. パパ育休の給付金は、配偶者の就業状況に関係なく、本人(育休取得者)の雇用保険の被保険者期間等の要件で判定されます。妻が専業主婦であっても、夫が要件を満たしていれば受給可能です。

Q7. 給付金を申請しない場合、後から変更できますか?

A. 原則として、育休中に気が変わった場合でも申請することは可能ですが、育休終了後2ヶ月以内にハローワークへ申請しなければなりません。期限を過ぎると時効によって受給できなくなります。最初から「申請する」「申請しない」を明確に決めておくことをお勧めします。


まとめ

パパ育休(出生時育休)は、給付金を受けなくても取得できます。育休を取る権利(育児・介護休業法)と給付金を受け取る権利(雇用保険法)は法律上まったく別の制度であり、給付金の申請有無は育休取得権に影響しません。

ポイント 内容
育休と給付金は別制度 法的根拠が異なり、独立して行使可能
辞退に特別な手続きは不要 申請しなければよいだけ
社会保険料免除は適用される 給付金と無関係に育休取得で発動
遡及申請はできない 期限を過ぎると受給不可
給付率引き上げに注意 2025〜2026年の改正で受給メリット拡大

受給要件を満たしているにもかかわらず申請しない場合は、後悔のないよう事前に十分な情報収集と検討を行ってください。不明な点は、会社の人事担当者・社会保険労務士・お近くのハローワークへ相談することをおすすめします。


免責事項:本記事は2025年12月時点の法令・制度情報に基づいています。制度は改正されることがあるため、最新情報は厚生労働省・ハローワークの公式情報をご確認ください。また、個別のケースについては社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

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