短時間勤務 給付金 兼ねる計算方法と申請手順【2025年最新版】

短時間勤務 給付金 兼ねる計算方法と申請手順【2025年最新版】 育児休業制度

育休から職場復帰した後、「短時間勤務で働きながら給付金も受け取れるの?」と疑問を持つ方は多いです。結論から言えば、育休復帰後の短時間勤務中に「育児時短就業給付金」を受け取ることができます。ただし育休中の給付金とは別制度であり、計算方法や申請手順も異なります。

本記事では、短時間勤務と給付金を「兼ねる」ための条件・計算式・申請手順を、労働者・企業の人事担当者どちらにも対応できるよう徹底解説します。本制度は令和4年の雇用保険法改正によって新設され、子ども未来戦略の重要な施策の一つとなっています。


短時間勤務と給付金は「兼ねる」ことができるのか?制度の全体像

「育休中にもらっていた給付金と、短時間勤務中の給付金はどう違うの?」この疑問が多くの方の出発点です。まずは2つの制度を正確に区別することが、正しい手続きの第一歩になります。

育児休業給付金と育児時短就業給付金の違いを一覧表で比較

以下の表で2つの給付金の違いを整理します。

比較項目 育児休業給付金 育児時短就業給付金
法的根拠 雇用保険法第30条の4 雇用保険法第30条の5
対象期間 育児休業中 育休終了後の短時間勤務中
給付率 賃金の67%(最初の180日)/50%(以降) 短時間勤務による賃金低下額の10%(上限あり)
管轄 ハローワーク ハローワーク
子の年齢 原則1歳まで(最長2歳) 満3歳未満まで
就労状況 休業中(原則就労なし) 短時間勤務で就労中
制度の目的 休業中の所得保障 職場復帰後の賃金低下の補填

育児時短就業給付金は令和4年の雇用保険法改正(子ども未来戦略方針)によって新設された比較的新しい制度です。育休中の給付金が「休んでいる間の所得保障」であるのに対し、育児時短就業給付金は「職場に戻った後の賃金低下を補う」ための制度という点が最大の違いです。

2つの給付金を「同時に」もらえる期間はあるのか?切り替えタイミングを解説

育児休業給付金と育児時短就業給付金を同時に受け取ることはできません。 2つの給付金は、育児休業の終了を境に切り替わる関係にあります。

切り替えのタイミングは以下のとおりです。

【育休中】
育児休業給付金を受給(就労なし)
         ↓
【育休終了日】←ここが切り替えポイント
         ↓
【育休終了日の翌日〜】
短時間勤務へ転換 → 育児時短就業給付金の受給開始(就労あり)

育休終了日の翌日から短時間勤務に転換した場合、翌日から育児時短就業給付金の対象期間がスタートします。申請手続きは転換後に改めて行う必要があるため、育休終了前からの事前準備が重要です。


育児時短就業給付金の対象者・受給要件を完全チェック

受給できるかどうかを確認するための7つの要件を整理します。すべての要件を満たす必要があるため、1つずつ丁寧に確認してください。

受給要件チェックリスト

  • [ ] ①雇用保険の被保険者であること
  • [ ] ②育児休業を終了した後に短時間勤務に転換していること
  • [ ] ③育休終了日の翌日から2年以内に短時間勤務へ転換していること
  • [ ] ④短時間勤務後の賃金が、短時間勤務前の賃金と比較して80%未満(=20%以上低下)であること
  • [ ] ⑤子が満3歳に達する日の前日までの期間であること
  • [ ] ⑥週所定労働時間が20時間以上であること
  • [ ] ⑦継続して就業していること(長期の中断がないこと)

このうち、特に見落としやすいのが③・④・⑤の3条件です。「育休から2年も経ってから短時間勤務に転換した」「賃金の低下が少なかった」「子が3歳を過ぎていた」といったケースで受給できないと気づく方が多いため注意が必要です。

よくある「対象外」パターン4選と判定基準

パターン 対象外になる理由 判定基準
賃金の低下幅が小さい 賃金低下率が20%未満の場合は給付対象外 短時間勤務前後の賃金を比較して算出
育休終了から2年以上経過後に短時間勤務を開始 申請期限(育休終了日翌日から2年以内)超過 育休終了日を起点に算定
子が3歳を超えた後も受給継続 子の年齢が上限を超えた時点で支給終了 子の誕生日前日まで
週20時間未満のパートタイムへ転換 雇用保険の被保険者要件(週20時間以上)を下回る 所定労働時間で判定

有期契約社員・パートタイム労働者が注意すべき継続性の条件

有期契約社員やパートタイム労働者の場合、契約更新の見込みがあるかどうかが受給要件に影響します。雇用保険の被保険者であることが前提のため、短時間勤務への転換後も継続して雇用保険に加入している状態が必要です。

契約期間満了が近い場合や、更新の見込みが明確でない場合は、事前に人事担当者またはハローワークに確認することを強くおすすめします。なお、育児介護休業法第23条の2は、3歳未満の子を育てる労働者に対して事業主に短時間勤務制度の設置を義務付けており、有期契約社員も保護の対象になる場合があります。


【計算式つき】賃金低下率と給付金額の具体的な算出方法

本制度の「核心」とも言えるのが、賃金低下率の計算と給付金額の算出です。「短時間勤務 給付金 計算」で検索されている方のニーズに直接応えるよう、具体的な数値例を用いて解説します。

賃金低下率の計算式と「分母・分子」

賃金低下率は以下の計算式で算出します。

賃金低下率(%)=(短時間勤務前の賃金 − 短時間勤務後の賃金)
                  ÷ 短時間勤務前の賃金 × 100
項目 内容
分子(低下額) 短時間勤務前の賃金 − 短時間勤務後の賃金
分母(基準額) 短時間勤務前の賃金(育休前または育休終了直前の賃金)
対象外ライン 低下率が20%未満の場合は給付対象外

具体例で確認しましょう。

  • 短時間勤務前の月収:30万円
  • 短時間勤務後の月収:22万円
賃金低下率 =(30万円 − 22万円)÷ 30万円 × 100
           = 8万円 ÷ 30万円 × 100
           = 約26.7%

→ 20%以上の低下があるため、給付対象となります

給付金額の計算式と月収別シミュレーション

育児時短就業給付金の給付額は「短時間勤務中に実際に支払われた賃金の10%」が基本となります(2025年時点)。ただし、支給額には上限が設定されています。

月額給付金 = 短時間勤務中の月額賃金 × 10%

月収別シミュレーション表

短時間勤務前の月収 短時間勤務後の月収 賃金低下率 月額給付金(目安)
30万円 22万円 約26.7% 約2.2万円
25万円 18万円 28.0% 約1.8万円
20万円 15万円 25.0% 約1.5万円
18万円 15万円 16.7% 対象外

⚠️ 上記はあくまで目安の試算です。実際の支給額は支給限度額・標準報酬月額の設定・端数処理などにより異なります。正確な金額はハローワークまたは社会保険労務士にご確認ください。


申請手続きの全ステップ【企業・労働者 両方の対応】

申請は企業と労働者が連携して進める必要があります。役割分担を明確にしておくことが、スムーズな手続きのポイントです。

企業側が行う事前準備(育休終了の約2週間前から)

  1. 育児休業終了の届出を行う  → 育休終了予定日の約2週間前までに社内手続きを完了
  2. 短時間勤務制度の適用を決定する  → 育児介護休業法第23条の2に基づく制度の整備・適用
  3. 支給要件確認申立書を作成する  → 事業主が労働者の就労状況・賃金情報を記載
  4. 賃金台帳・出勤簿など証明書類を準備する

労働者側が用意する必要書類

書類名 備考
育児時短就業給付金支給申請書 ハローワーク所定の様式
支給要件確認申立書 事業主が作成・記名押印
賃金台帳(短時間勤務前後) 賃金低下率の証明に使用
出勤簿またはタイムカード 継続就業の確認
母子健康手帳(子の生年月日確認) コピー可
雇用保険被保険者証 番号確認用

ハローワークへの申請フロー

STEP1:育休終了日の翌日から短時間勤務スタート
   ↓
STEP2:事業主が支給要件確認申立書を作成
   ↓
STEP3:労働者が申請書類一式を揃える
   ↓
STEP4:管轄のハローワークへ提出(郵送可の場合もあり)
   ↓
STEP5:ハローワークによる審査(通常1〜2週間程度)
   ↓
STEP6:支給決定通知書の受領 → 指定口座へ振込

申請のタイミングについての注意点: 育児時短就業給付金は、支給単位期間(通常は2か月ごと)ごとに申請が必要です。育休給付金と同様に、申請漏れ・期限超過には注意してください。申請期限については管轄のハローワークに事前に確認しておくことを強くおすすめします。


企業の人事担当者が押さえておくべき法的義務と実務対応

育児時短就業給付金は、事業主の協力なしには申請できない制度です。人事担当者として以下の点を特に確認しておきましょう。

育児介護休業法第23条の2による短時間勤務義務

事業主は、3歳未満の子を養育する労働者が希望する場合、1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務制度を設ける義務があります(育児介護休業法第23条の2)。この制度の整備が、給付金申請の前提条件となります。

制度が未整備の場合のリスク:
– 労働者からの申請に応じられず、法違反となる可能性
– 給付金申請の支給要件確認申立書が作成できない
– 労働局からの指導・勧告の対象になる

賃金計算・書類作成における人事担当者の実務ポイント

  • 短時間勤務前後の賃金を正確に記録・管理しておく
  • 支給要件確認申立書の作成は事実と異なる記載をしない(不正受給に問われる可能性あり)
  • 申請期限を労働者と共有し、申請漏れが起きないようカレンダー管理する

よくある質問(FAQ)

Q1. 育休から復帰せずに退職した場合、育児時短就業給付金は受け取れますか?

A. 受け取れません。育児時短就業給付金は、育休終了後に短時間勤務で継続就業することが要件です。退職した場合は対象外となります。


Q2. 育休を2回取得した場合、2回目の育休終了後も申請できますか?

A. 原則として、それぞれの育休終了後に要件を満たしていれば申請可能です。ただし、子ごとに年齢要件(満3歳未満)を確認する必要があります。詳細はハローワークにご確認ください。


Q3. 賃金低下が20%ちょうどの場合は対象になりますか?

A. 賃金低下率が「80%未満」(=20%以上の低下)が要件のため、ちょうど20%低下の場合は対象になります。ただし、小数点の扱いや端数処理については管轄ハローワークに確認することをおすすめします。


Q4. 短時間勤務の日数が変わったら給付金額も変わりますか?

A. はい、変わります。育児時短就業給付金は実際に支払われた賃金をもとに算出するため、短時間勤務の日数・時間が変化した月は給付額も変動します。賃金台帳の正確な管理が重要です。


Q5. ハローワーク以外(オンライン)で申請できますか?

A. 2025年時点では、一部のハローワーク手続きがオンライン化されています。ただし育児時短就業給付金については管轄ハローワークによって対応状況が異なるため、事前に確認してください。


Q6. 短時間勤務中に妊娠した場合、給付金はどうなりますか?

A. 新たに育児休業を取得する場合、その前の短時間勤務期間の給付金は終了となります。新しい育児休業期間は育児休業給付金の対象となり、その後の短時間勤務に再び育児時短就業給付金を申請できます。詳細はハローワークにご相談ください。


まとめ:短時間勤務と給付金を「兼ねる」ために押さえるべき3つのポイント

本記事の内容を3点に絞ってまとめます。

  1. 育休中の給付金(育児休業給付金)と復帰後の給付金(育児時短就業給付金)は別制度 であり、同時受給はできない。育休終了日の翌日を境に切り替わる。

  2. 賃金低下率20%以上・育休終了後2年以内・子が満3歳未満の3条件 が受給の核心要件。事前にシミュレーションして対象かどうかを確認する。

  3. 申請は企業(支給要件確認申立書の作成)と労働者(書類の提出)の連携が必須。ハローワークへの提出は支給単位期間(2か月ごと)に行う必要がある。

育休復帰後の生活設計に給付金をうまく活用するためには、早めの情報収集と企業の人事担当者との連携が不可欠です。特に賃金低下率の計算と支給要件確認申立書の作成は、不正受給を防ぐためにも正確性が求められます。不明な点はお近くのハローワーク、または社会保険労務士にご相談ください。


免責事項: 本記事は2025年時点の法令・制度に基づいて作成しています。制度の詳細・最新情報は厚生労働省またはハローワークの公式情報をご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました