パパ育休と通常育休の分割取得│期間制限・スケジュール・申請手続きを完全解説

パパ育休と通常育休の分割取得│期間制限・スケジュール・申請手続きを完全解説 パパ育休

目次

  1. パパ育休と通常育休の分割取得とは|制度の基本構造
  2. パパ育休と通常育休の分割取得パターン|4つのスケジュール事例
  3. 期間制限の詳細|「いつまでに・何回・何日間」を正確に把握する
  4. 給付金の計算方法|分割取得時の受給額シミュレーション
  5. 申請手続きの流れと必要書類|チェックリスト付き
  6. よくある質問(FAQ)

1. パパ育休と通常育休の分割取得とは|制度の基本構造

パパ育休(出生時育児休業)と通常育休を非連続で組み合わせる取得方法が、近年多くの父親に選ばれています。しかし「期間制限がよくわからない」「いつ申請すればいいのか混乱する」という声も多く聞かれます。

このガイドでは、育児・介護休業法に基づく法的根拠から実際のスケジュール・給付金計算・申請書類まで、分割取得のすべてを体系的に解説します。


パパ育休と通常育休の違い|各制度の対象期間と性質

まず2つの制度の違いを正確に理解することが、分割取得を上手に活用するための第一歩です。

比較項目 パパ育休(出生時育児休業) 通常育休(育児休業)
法的根拠 育児・介護休業法第9条の2 育児・介護休業法第5条
対象期間 子の出生〜生後8週間以内 子の出生〜1歳(最大2歳)
最大取得日数 4週間(28日) 最大約1年間
分割回数 2回まで分割可能 2回まで分割可能
申し出期限 取得希望日の2週間前まで 取得希望日の1ヶ月前まで
就業制度 労使協定で就業可能日の設定あり 原則として就業不可
給付金率 67%(2025年改正後80%※条件あり) 最初の180日:67%、以降:50%
主な役割 出産直後の集中サポート 長期的な保育・育児への対応

ポイント: パパ育休は「出産直後の短期集中型」、通常育休は「中長期の育児対応型」という役割分担があります。この2つを非連続で組み合わせることで、家庭の状況に合わせた柔軟なスケジュールが実現できます。


「分割取得」と「非連続取得」の法的定義

この2つの言葉は混同されやすいため、明確に区別しておきましょう。

分割取得:同一の育休制度(パパ育休または通常育休)を、複数回に分けて取得すること
– 例:パパ育休を生後2週で2週間取得→生後6週で再度2週間取得

非連続取得:パパ育休と通常育休を連続させず、間に就業期間を挟んで取得すること
– 例:パパ育休(生後0〜4週)→通常勤務復帰→通常育休(生後6ヶ月〜1歳)

本記事で主に解説するのは後者の非連続取得ですが、前者の分割取得との組み合わせも含めて解説します。


2021年法改正・2025年改正の重要ポイント

時期 改正内容
2021年6月成立 育児・介護休業法改正案が国会で成立
2022年4月〜10月 段階的施行。パパ育休(出生時育児休業)が2022年10月より施行
2025年4月(予定) 育児休業給付金の給付率を67%→80%に引き上げ(条件:父母ともに14日以上の育休取得など)

2025年改正の注意点: 給付率80%は「父母が一定期間以上それぞれ育休を取得する」などの条件を満たした場合に適用される見込みです。最新情報は厚生労働省の公式発表をご確認ください。


2. パパ育休と通常育休の分割取得パターン|4つのスケジュール事例

実際の取得場面でよく見られる4つのパターンを、タイムライン図表と合わせて解説します。


【パターン①】パパ育休→通常育休(連続取得型)

【父親のスケジュール】
出生
 ├─ 生後0〜4週:パパ育休(4週間)
 └─ 生後2ヶ月〜1歳:通常育休(約10ヶ月)

【ポイント】
 ・手続きが比較的シンプル
 ・給付金受給期間:最大約1年4週間
 ・申請:出産予定日1〜2ヶ月前に育休申出書を提出

この形が適している家庭: 父親がまとまった期間休む余裕のある職場環境で、母親の産後サポートと長期育児の両立を目指す場合


【パターン②】パパ育休のみ取得→母親と交代型

【父親のスケジュール】
出生
 ├─ 生後0〜4週:パパ育休(4週間)
 └─ 生後4週〜:職場復帰

【母親のスケジュール】
 ├─ 産前6週〜産後8週:産前産後休業
 └─ 産後8週〜1歳:通常育休(約10ヶ月)

【ポイント】
 ・父親は最低限の育休で家庭サポート
 ・収入面での安定を維持しやすい

この形が適している家庭: 父親のキャリアや収入を優先しながら、出産直後のサポートに集中したい場合


【パターン③】パパ育休(2分割)→通常育休(非連続型)★最もニーズが高い

【父親のスケジュール】
出生
 ├─ 生後0〜2週:パパ育休(第1回:2週間)
 ├─ 生後2週〜8週:職場復帰(6週間)
 ├─ 生後6週〜8週:パパ育休(第2回:2週間)←8週以内に完了
 ├─ 生後2ヶ月〜6ヶ月:職場復帰
 └─ 生後6ヶ月〜1歳:通常育休(6ヶ月)

【ポイント】
 ・パパ育休は「生後8週間以内」という期間制限に注意
 ・通常育休との間に就業期間を設けることが可能
 ・分割申請が2回必要

この形が適している家庭: 繁忙期を避けながら育休を取りたい、段階的に育児に参加したい父親に最適


【パターン④】父母同時取得型(給付金80%狙い)

【父親のスケジュール】
 ├─ 生後0〜4週:パパ育休(4週間)
 └─ 生後6ヶ月〜1歳:通常育休(6ヶ月)

【母親のスケジュール】
 ├─ 産前6週〜産後8週:産前産後休業
 └─ 産後8週〜1歳:通常育休(約10ヶ月)

【ポイント】
 ・父母ともに14日以上育休取得で2025年改正の給付率80%の対象となる可能性
 ・両親が同時に育休を取得する期間があってもOK(育児・介護休業法上問題なし)

3. 期間制限の詳細|「いつまでに・何回・何日間」を正確に把握する

分割取得を失敗なく実行するために、3つの期間制限を必ず確認してください。


①パパ育休の期間制限:「生後8週間以内・最大28日」

【絶対に守るべき期間制限】
✅ 取得できる期間:子の出生日〜生後56日(8週間)以内
✅ 最大取得日数 :28日(4週間)
✅ 分割回数   :最大2回まで
✅ 2回分割の場合:1回目+2回目の合計が28日以内

よくあるミス: 「2回取得できる=それぞれ28日ずつ」ではありません。合計28日が上限です。


②通常育休の期間制限:「子が1歳になるまで・最大2歳まで延長可能」

【基本期間】
✅ 原則:子が1歳になるまで(365日)
✅ 分割回数:最大2回まで
✅ 延長条件①:保育所に入れない場合→1歳6ヶ月まで
✅ 延長条件②:さらに保育所に入れない場合→2歳まで

「パパ・ママ育休プラス」について: 父母ともに育休を取得する場合、通常育休の取得可能期間が「1歳2ヶ月まで」に延長される特例制度があります。


③申し出期限の制限:「いつまでに会社へ伝えるか」

育休の種類 申し出期限 備考
パパ育休(初回) 取得希望日の2週間前まで 緊急時は事後申請も認められる場合あり
パパ育休(2回目) 取得希望日の2週間前まで 1回目の休業中に申し出ることも可能
通常育休(初回) 取得希望日の1ヶ月前まで 出産予定日基準で事前申請も可
通常育休(2回目) 取得希望日の1ヶ月前まで

対象者(受給要件)のまとめ

【雇用保険加入要件】
✅ 雇用保険に加入していること
✅ 育休開始前2年以内に「11日以上勤務した月が12ヶ月以上」あること

【雇用継続要件(有期雇用労働者の場合)】
✅ 同一の事業主に継続して雇用されていること
✅ 育休終了予定日が「雇用契約の満了日から30日以降」であること

4. 給付金の計算方法|分割取得時の受給額シミュレーション

育児休業給付金の基本計算式

【給付金額の計算】

育休開始から180日間(6ヶ月):
  1日あたりの給付額 = 休業開始時賃金日額 × 67%

育休開始から181日目以降:
  1日あたりの給付額 = 休業開始時賃金日額 × 50%

※パパ育休(出生時育児休業給付金)も同率67%が適用

【2025年4月改正(予定)後の給付率】
  条件を満たした場合:67% → 80%(手取りベースでほぼ10割相当)

シミュレーション例:月収30万円の父親が【パターン③】で取得した場合

取得期間 日数 日額 給付率 受給額(概算)
パパ育休(第1回・2週間) 14日 約10,000円 67% 約93,800円
パパ育休(第2回・2週間) 14日 約10,000円 67% 約93,800円
通常育休(6ヶ月) 180日 約10,000円 67% 約1,206,000円
合計 208日 約1,393,600円

計算の基礎となる「賃金日額」: ハローワークが育休開始前6ヶ月の賃金をもとに算出します。賞与は含まれません。詳細はハローワークの窓口または公式ウェブサイトをご確認ください。


5. 申請手続きの流れと必要書類|チェックリスト付き

申請の全体フロー

【STEP 1】出産予定日の1〜2ヶ月前
  └─ 会社(人事部門)へ育休取得の意向を伝える(口頭相談)

【STEP 2】出産予定日の1ヶ月前まで
  └─ 「育児休業申出書」を会社に提出

【STEP 3】子どもが生まれたら(出生後速やかに)
  └─ 出生届提出(出生後14日以内)
  └─ パパ育休の取得日を会社に最終確認

【STEP 4】育休開始後、約2週間以内
  └─ 会社がハローワークへ「育児休業給付金支給申請」を代行
  ※労働者本人が手続きする場合もあり(会社による)

【STEP 5】通常育休を取得する場合(取得希望日の1ヶ月前)
  └─ 「育児休業申出書(2回目)」を会社に提出

【STEP 6】給付金の受取
  └─ ハローワークから指定口座へ振込(2ヶ月ごとに支給)

必要書類チェックリスト

■ 会社へ提出する書類

  • [ ] 育児休業申出書(パパ育休・通常育休それぞれに必要)
  • [ ] 育児休業取扱通知書(会社から交付されるもの・受け取り確認)
  • [ ] 母子健康手帳のコピー(出産予定日・出生日の確認)

■ ハローワークへの申請(会社経由)

  • [ ] 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(会社が作成)
  • [ ] 育児休業給付金支給申請書(会社またはハローワークで入手)
  • [ ] 賃金台帳・出勤簿のコピー(直近6ヶ月分)
  • [ ] 母子健康手帳のコピー(出生日の確認)
  • [ ] 振込先口座情報

ポイント: 多くの企業では、ハローワークへの給付金申請を会社が代行します。ただし、会社の規模や体制によっては労働者本人が手続きを行う場合もあるため、事前に人事担当者へ確認してください。


有期雇用労働者が注意すべきポイント

有期雇用(契約社員・派遣社員等)で育休を取得する場合、以下の要件を満たす必要があります。

✅ 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
   ※2022年改正により要件が緩和。就業規則に特定の条件がある場合を除く

✅ 育休終了予定日の翌日から起算して
 「雇用契約の満了日まで」が30日以上あること

6. よくある質問(FAQ)


Q1. パパ育休を2回に分割した場合、2回目の申し出期限はいつですか?

A. 2回目のパパ育休も、取得希望日の2週間前までに会社へ申し出る必要があります。1回目の育休中に申し出ることも可能です。ただし、2回分の合計日数が28日(4週間)を超えることはできません。


Q2. パパ育休と通常育休の間に就業期間を挟んでも、給付金は受け取れますか?

A. はい、受け取れます。非連続取得の場合、それぞれの育休期間ごとに給付金が支給されます。ただし、通常育休の給付金は育休開始から180日間は67%、181日目以降は50% という計算が適用されるため、パパ育休の取得日数は通常育休の180日のカウントには含まれません。


Q3. パパ育休の「4週間」は、土日・祝日も含みますか?

A. はい、カレンダー上の日数(暦日) で計算します。土日・祝日も含めた28日間が上限です。就業日数ではないためご注意ください。


Q4. 妻(母親)がすでに育休中でも、夫(父親)はパパ育休を取得できますか?

A. はい、取得できます。育児・介護休業法では、父母が同時に育休を取得することを禁止していません。パパ育休の特徴の一つは、配偶者の育休取得状況に関わらず取得できる点です。


Q5. 保育園に入れなかった場合、育休はどこまで延長できますか?

A. 保育所への入所を希望したが入所できなかった場合(保留通知書等で証明)、育休を1歳6ヶ月まで延長できます。さらに1歳6ヶ月時点でも保育所に入れない場合は、2歳まで延長することが可能です。給付金も延長期間中(ただし1歳以降は50%)受給できます。


Q6. 育休ハラスメントを受けた場合はどうすればよいですか?

A. 育休の取得を理由とした不利益な扱いや、取得を妨げる言動は育児・介護休業法により禁止されています。まずは会社の相談窓口(ハラスメント相談窓口)や、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談することをお勧めします。匿名での相談も可能です。


まとめ|分割取得を成功させる3つのポイント

  1. 期間制限を必ず事前確認する:パパ育休は「生後8週以内・合計28日」、通常育休は「子が1歳(延長で最大2歳)まで」という制限を正確に把握する

  2. 申し出期限に余裕をもって準備する:パパ育休は2週間前、通常育休は1ヶ月前が期限。スケジュールは出産予定日の2ヶ月前から逆算して計画する

  3. 会社・ハローワークとの連携を早めにとる:必要書類の準備や給付金申請は会社経由が基本。人事担当者と早い段階でコミュニケーションをとっておくことが、スムーズな取得への近道


参考法令・情報源
– 育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)
– 雇用保険法第61条の7(育児休業給付金)
– 厚生労働省「育児・介護休業法について」
– ハローワークインターネットサービス「育児休業給付の内容と支給申請手続き

よくある質問(FAQ)

Q. パパ育休と通常育休を分割取得する場合、申請は何度必要ですか?
A. 各制度の分割時と非連続取得時に申請が必要です。パパ育休2回、通常育休2回の場合は最大4回の申請手続きが必要になります。

Q. パパ育休と通常育休の間に仕事に戻る場合、給付金はどうなりますか?
A. 各制度は独立して給付金が計算されます。パパ育休期間と通常育休期間それぞれで67%(または80%)の給付率が適用されます。

Q. パパ育休は最大何日間取得できますか?
A. パパ育休は子の出生から生後8週間以内に、最大4週間(28日)の取得が可能です。2回分割で取得できます。

Q. 通常育休を非連続で2回に分けて取得する場合、期間に制限はありますか?
A. 通常育休は子の1歳(最大2歳)までの間なら、計2回まで分割取得できます。間に就業期間を挟んでも問題ありません。

Q. 2025年改正で給付率が80%になるための条件は何ですか?
A. 父母がともに14日以上の育休を取得することが条件として検討されています。最新情報は厚生労働省の公式発表をご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました