育休給付金の事前申請|育休終了前の「受け取り手続き」完全ガイド

育休給付金の事前申請|育休終了前の「受け取り手続き」完全ガイド 育休給付金

育休が終わる直前に「給付金がまだ振り込まれていない」と慌てた経験はありませんか?育休給付金には、育休終了前に受け取るための事前受給申請制度があります。

この記事では、育休給付金の事前申請制度の仕組みから、申請手続きの流れ・必要書類・申請期限まで、ハローワーク手続きで迷わないよう徹底解説します。


育休給付金の事前受給申請制度とは

申請方式 申請タイミング 給付開始時期 主な特徴
通常申請 育休終了後 申請後1〜2ヶ月 復帰後に手続き、給付金受取が遅れる可能性
事前受給申請 育休終了前(終了日の2週間前が目安) 育休終了日までに支給 事前手続きで復帰前に給付金を確保、安心
事前受給申請(2回目以降) 前月末までに提出 申請月の給付対象月に支給 継続中の育休に対する申請、月ごとの手続き

育児休業給付金(以下「育休給付金」)の事前受給申請制度とは、育休期間中に育休終了日の前に申請を行い、育休終了前に給付金を受け取れる手続き方法のことです。

通常の育休給付金は、支給対象月ごとに申請が必要であり、育休終了後に最終的な給付金が振り込まれるケースも多いため、職場復帰直後の家計が一時的に苦しくなるケースがあります。事前受給申請を活用すれば、復帰前に必要な資金を確保できる点が大きなメリットです。

この制度は、雇用保険法第61条の2に基づいており、育児・介護休業法と連携して運用されています。経済的な理由から育休取得を躊躇する労働者を支援し、育休制度の利用促進を目的としています。

ポイント:育休終了日の1〜2週間前に申請手続きを進めることで、育休中に給付金の受け取りが完結します。


通常申請と事前受給申請の違い

2つの手続き方法のタイムラインを比較してみましょう。

比較項目 通常申請 事前受給申請
申請タイミング 育休終了後に最終申請 育休終了日の1〜2週間前に申請
給付金の受け取り 育休終了後(復帰後になる場合あり) 育休終了前に振り込み完了
資金計画 復帰後に受け取るため空白期間が生じやすい 育休中に受け取れるため家計が安定
手続きの負担 育休終了後に手続き対応が必要 育休中に余裕をもって申請できる

職場復帰直後は保育園への入園準備や通勤用品の購入など出費が重なりがちです。事前受給申請を利用することで、復帰前に給付金を確保し、経済的な準備を整えられる点が最大の利点といえます。


制度の法的根拠と改正歴

育休給付金の事前受給申請は、以下の法令に基づいています。

  • 雇用保険法第61条の2(育児休業給付の支給)
  • 雇用保険法施行規則第106条・第107条(申請手続きの詳細)
  • 厚生労働省告示第140号・第141号(支給要件・給付率)
  • 育児・介護休業法第2条・第9条(育児休業の定義・取得要件)

近年の主な改正点としては以下が挙げられます。

  • 2022年10月:「産後パパ育休(出生時育児休業)」の創設により、父親の育休給付金制度が拡充
  • 2023年4月:育休取得率の公表義務化(従業員1,000人超の企業)
  • 2025年4月:育休給付金の給付率引き上げ予定(育休開始後180日以内の給付率が手取りベースで実質10割相当へ変更見込み)

最新の制度情報は、厚生労働省の公式ウェブサイトまたはお近くのハローワークで必ず確認してください。


事前受給申請の対象者と適用条件

育休給付金の事前受給申請を行うためには、まず育休給付金自体の受給要件を満たしている必要があります。以下の6つの基本要件を確認しましょう。

要件項目 条件の詳細
① 雇用保険被保険者であること 育児休業中も雇用保険に加入している労働者
② 被保険者期間 育休開始前の2年間に被保険者期間が12ヶ月以上
③ 賃金支払基礎日数 育休開始前の12ヶ月間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月以上
④ 育児休業の取得 育児・介護休業法に基づく育児休業を正式に取得していること
⑤ 対象となる子の年齢 1歳未満の子ども(延長の場合は1歳6ヶ月・2歳まで)
⑥ 育休中の就業状況 支給対象月における就業日数が月10日以下(または就業時間が80時間以下)

注意:6つの要件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けると申請が認められません。

対象外となる主なケース

  • 自営業者・フリーランス・業務委託契約者
  • 育休開始前2年間の被保険者期間が12ヶ月未満
  • 育休中に月11日以上就業している月がある
  • 育児休業を正式に取得していない(欠勤扱いなど)
  • すでに給付金を受給済みの期間に対する再申請

雇用保険被保険者期間の確認方法

被保険者期間の要件は「育休開始前2年間に12ヶ月以上」ですが、具体的な計算方法は以下の通りです。

計算の考え方

育休開始日の前日を起点として、過去2年間を遡る
     ↓
各月において「賃金支払基礎日数が11日以上」の月を1ヶ月としてカウント
     ↓
その月数が合計12ヶ月以上であれば要件を満たす

転職者の場合の注意点

前職と現職の被保険者期間は、雇用保険の被保険者資格を喪失した日から1年以内に再就職していれば通算できます。転職後すぐに育休を取得した場合などは、前職期間も含めて計算できるケースがあります。

確認方法としては、勤務先の人事担当者に「雇用保険被保険者台帳」の確認を依頼するか、最寄りのハローワークにて自身の加入状況を照会することができます。


賃金支払基礎日数の要件と確認方法

「賃金支払基礎日数」とは、賃金の支払い対象となった日数のことです。出勤日数だけでなく、有給休暇・慶弔休暇なども含まれます

確認すべきポイント

含まれるもの 含まれないもの
出勤日数 無給の欠勤日
有給休暇取得日 無給の育休・産休期間
慶弔休暇取得日 雇用保険非加入期間
会社指定の休日出勤

給与明細または勤務先の人事部門に問い合わせて、過去12ヶ月分の賃金支払基礎日数を確認しましょう。


事前受給申請の手続きの流れ

申請から給付金受け取りまでの全体像を把握しておきましょう。

STEP 1:育休取得の届け出(育休開始前)
  └→ 会社の人事担当者へ育休取得希望を申し出
  └→ 育休開始予定日・終了予定日を確認・書面で合意

STEP 2:初回の育休給付金支給申請(育休開始後)
  └→ 育休開始から2ヶ月経過後が最初の申請タイミング
  └→ 原則として育休開始から4ヶ月以内に初回申請を完了
  └→ 会社経由またはオンラインでハローワークに提出

STEP 3:事前受給申請(育休終了予定日の1〜2週間前)
  └→ 育休終了予定日が確定した段階でハローワークに申請
  └→ 最終支給対象月分の申請書を提出

STEP 4:ハローワークによる審査(申請後1〜2週間)
  └→ 就業状況・被保険者期間・書類の確認
  └→ 不備があると追加書類の提出を求められる場合あり

STEP 5:給付金の振り込み(審査完了後5営業日程度)
  └→ 登録口座へ振り込み
  └→ 支給決定通知書が郵送で届く

事前受給申請の必要書類

初回申請時の必要書類

初回の育休給付金支給申請の段階で以下の書類を準備します。

書類名 内容・備考
育児休業給付金支給申請書(様式第2号) ハローワーク窓口で入手、またはハローワークインターネットサービスでダウンロード可能
母子健康手帳の写し 子どもの氏名・出生日が記載されたページ(初回申請時のみ)
賃金台帳・出勤簿の写し 雇用保険の被保険者期間・賃金支払基礎日数の確認用
雇用保険被保険者証の写し 被保険者番号の確認用
振込先口座の通帳・キャッシュカードの写し 初回申請時のみ必要

事前受給申請(2回目以降)の必要書類

書類名 内容・備考
育児休業給付金支給申請書(様式第2号) 支給対象月分を記入
賃金台帳・出勤簿の写し 育休中の就業状況確認用(月10日以下の証明)

会社経由の申請の場合:多くの企業では、人事担当者がまとめてハローワークに提出します。提出書類の準備は会社側が代行する場合が多いため、自社の手続き方法を事前に確認しましょう。


給付金の計算方法と受取金額の目安

育休給付金の支給額は以下の計算式で算出されます。

支給額の計算式

【育休開始から180日(6ヶ月)以内】
  支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

【育休開始から181日目以降】
  支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

「休業開始時賃金日額」の計算

育休開始前6ヶ月間の賃金合計 ÷ 180日 = 休業開始時賃金日額

具体的な計算例

条件 計算内容
育休前6ヶ月の月給平均 30万円
休業開始時賃金日額 30万円 × 6ヶ月 ÷ 180日 = 10,000円/日
育休開始から180日以内の月(30日) 10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円/月
育休開始から181日以降の月(30日) 10,000円 × 30日 × 50% = 150,000円/月

上限額に注意:賃金日額には上限が設定されており、2024年度の上限は15,430円/日(毎年8月1日改定)です。月給が高い方は上限に達する場合があります。最新の上限額はハローワークまたは厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。


申請期限と注意すべきタイムライン

初回申請の期限

育休給付金の初回申請には期限があります。

  • 原則:育休開始日から4ヶ月を経過する日の属する月の末日までに初回申請を完了する必要があります
  • 期限を過ぎると給付金が受け取れなくなる場合があるため、育休開始後なるべく早めに手続きを開始することをおすすめします

事前受給申請の推奨タイミング

育休終了予定日の2週間前 ← この時点で申請書類を提出
           ↓
   ハローワークの審査(1〜2週間)
           ↓
   育休終了予定日の前に給付金振り込み完了

育休終了日の直前に申請すると、審査・振込が育休終了後にずれ込む場合があります。余裕をもって2週間前には申請書類を提出するのが理想的です。


オンライン申請の活用方法

2022年以降、電子申請(e-Gov)を活用したオンライン申請が普及しています。

オンライン申請のメリット

  • ハローワーク窓口への来所が不要
  • 24時間いつでも申請可能
  • 書類の郵送コスト・手間が不要

オンライン申請の手順

  1. e-Gov(イーガブ) または ハローワークインターネットサービスにアクセス
  2. マイナンバーカードまたはGビズIDで本人確認
  3. 「育児休業給付金支給申請」の申請フォームを選択・入力
  4. 必要書類をPDF等でアップロード
  5. 申請完了後、受付番号を保管

会社経由の申請の場合:事業主(会社)が電子申請を行う形式が一般的です。人事担当者と連携して手続きを進めてください。


よくあるトラブルと対処法

トラブル① 申請書類に不備があった

対処法:ハローワークから補正通知が届きます。指定された期日までに追加書類または修正した書類を提出してください。不備内容が不明な場合は、担当ハローワークに直接電話で確認するのが最も早い解決策です。

トラブル② 給付金の振り込みが遅れている

対処法:申請から2週間以上経過しても入金がない場合は、申請を提出したハローワークへ問い合わせてください。口座番号の誤りや書類不備が原因の場合があります。

トラブル③ 育休を延長した場合の手続き

保育所に入所できないなどの理由で育休を1歳6ヶ月・2歳まで延長する場合、延長申請の手続きが別途必要です。育休終了予定日の2週間前までに会社経由でハローワークへ延長申請書を提出してください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 事前受給申請は必ずしも育休終了前に給付金が振り込まれますか?

申請のタイミングや審査状況によっては、振り込みが育休終了日を数日過ぎる場合があります。確実に育休終了前に受け取るには、終了予定日の2週間以上前に申請することを強くおすすめします。


Q2. 育休給付金の事前申請は会社が行うのですか、それとも本人が行うのですか?

原則として事業主(会社)を通じてハローワークに申請します。ただし、会社の同意がある場合は本人が直接ハローワークに申請することも可能です。まず自社の人事担当者に申請方法を確認しましょう。


Q3. 産後パパ育休(出生時育児休業)でも事前受給申請は使えますか?

はい、使えます。2022年10月に創設された産後パパ育休(子の出生後8週間以内に最大4週間取得可能)も育休給付金の対象です。通常の育休給付金と同様の要件・手続きで申請できます。


Q4. 育休中にアルバイトをした場合、給付金はどうなりますか?

就業日数が月10日以下(または就業時間が月80時間以下)であれば給付金は支給されます。ただし、就業で得た賃金額によっては給付金が減額される場合があります。月11日以上就業した月は支給対象外となるため注意が必要です。


Q5. 申請書類はどこで入手できますか?

育児休業給付金支給申請書(様式第2号)は以下の方法で入手できます。

  • 最寄りのハローワーク窓口で配布
  • ハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/)からダウンロード
  • 会社の人事担当者から受け取る

Q6. 給付金の振込先口座は変更できますか?

変更可能です。口座変更の場合は、新しい口座の通帳またはキャッシュカードの写しを添付した変更届をハローワークに提出してください。


まとめ

育休給付金の事前受給申請制度を活用することで、育休終了前に給付金を受け取り、職場復帰前の資金計画を安定させることができます

手続きのポイントをまとめると以下の通りです。

チェック項目 内容
✅ 受給要件の確認 被保険者期間12ヶ月以上・就業日数月10日以下など
✅ 初回申請の期限 育休開始から4ヶ月以内
✅ 事前受給申請のタイミング 育休終了予定日の2週間前には申請
✅ 必要書類の準備 支給申請書・母子健康手帳・賃金台帳など
✅ 会社への連絡 人事担当者と申請フローを事前に確認

不明点はお近くのハローワーク、または厚生労働省の「育児休業給付」専用ページで最新情報を確認するようにしましょう。制度の詳細は改正によって変わる場合があるため、手続き前に必ず公式情報をご確認ください。


参考情報
– 厚生労働省「育児休業給付について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html
– ハローワークインターネットサービス:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
– 雇用保険法第61条の2

よくある質問(FAQ)

Q. 育休給付金の事前受給申請と通常申請の最大の違いは何ですか?
A. 事前受給申請は育休終了日の1~2週間前に申請し、育休中に給付金を受け取れます。通常申請は育休終了後の申請となり、復帰後の受け取りになるため、家計に空白期間が生じやすいです。

Q. 事前受給申請の対象者になるための基本要件は何ですか?
A. 雇用保険被保険者であること、育休開始前2年間の被保険者期間が12ヶ月以上、過去12ヶ月間に賃金支払基礎日数11日以上の月が6ヶ月以上などの6つの要件を全て満たす必要があります。

Q. 育休中に月11日以上働いている場合、事前受給申請は可能ですか?
A. いいえ、不可能です。支給対象月における就業日数が月10日以下(または就業時間80時間以下)が要件となっており、これを超えると申請が認められません。

Q. 自営業者やフリーランスは育休給付金の事前受給申請ができますか?
A. いいえ、できません。事前受給申請は雇用保険に加入している労働者が対象であり、自営業者・フリーランス・業務委託契約者は対象外です。

Q. 2025年以降に育休給付金の給付率は変わりますか?
A. はい、2025年4月から育休給付金の給付率引き上げが予定されており、育休開始後180日以内の給付率が手取りベースで実質10割相当へ変更される見込みです。

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