祖父母が施設入所したら育休給付金はどうなる?継続条件と手続き【2025年版】

祖父母が施設入所したら育休給付金はどうなる?継続条件と手続き【2025年版】 育児休業制度

育休中に祖父母が突然施設入所することになった——そのとき、真っ先に不安になるのが「育児休業給付金への影響」ではないでしょうか。

結論から言えば、祖父母の施設入所が育休給付金に直接影響することはありません。

ただし、給付継続には一定の要件を満たし続ける必要があり、介護が絡むことで間接的なリスクが生じるケースもあります。本記事では、社会保険労務士の監修のもと、法的根拠をふまえながら継続条件・注意点・手続きをわかりやすく解説します。

目次

  1. 育休中に祖父母が施設入所したら給付金はどうなる?結論を先に解説
  2. 育児休業給付金を継続受給するための基本条件一覧
  3. 祖父母の介護が必要になった場合の「介護休業制度」の活用法
  4. 祖父母施設入所に関連する手続きと申請書類まとめ
  5. よくある質問(FAQ)

① 育休中に祖父母が施設入所したら給付金はどうなる?結論を先に解説

育児休業給付金の支給要件とは(祖父母の扶養状況は非対象)

育児休業給付金は、雇用保険法第61条の4および雇用保険法施行規則第101条の11〜101条の19を根拠として支給されます。支給要件は以下のとおりです。

要件 内容
雇用保険被保険者 育休開始前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること
対象となる子 原則1歳未満の子(一定条件で1歳6ヶ月・2歳まで延長可)
育休の取得 育児・介護休業法に基づく育児休業を取得していること
就業日数の上限 支給対象期間(1ヶ月)中に就業した日数が10日以内であること
賃金額の制限 就業により支払われた賃金が休業開始時賃金月額の80%未満であること

ここで重要なのは、祖父母の施設入所・扶養状況・介護の有無は一切これらの要件に含まれないという点です。

育児休業給付金はあくまで「子の育児のために休業している労働者」を対象とした制度であり、同居家族や扶養親族の状況は算定根拠に含まれません。したがって、祖父母が老人ホームや介護施設に入所したとしても、給付金の金額・支給期間は変わりません。


「影響なし」でも注意が必要な3つの間接的リスク

給付金への直接的な影響はないものの、祖父母の施設入所をきっかけとして、以下の3つの間接的リスクが生じる可能性があります。

① 育休の途中復帰・短縮による給付停止

介護費用の増大などを理由に「早めに職場復帰しなければ」と判断した場合、育休を予定より早く切り上げることになります。育児休業給付金は育休期間中のみ支給されるため、復帰した時点で給付は終了します。

② 短時間勤務への切り替えによる給付への影響

育休終了後、育児と介護を両立するために「短時間勤務制度(育児・介護休業法第23条)」を選択する場合、就業状態となるため育児休業給付金は支給されなくなります。ただし、短時間勤務制度は育休とは別の制度であり、給付金の「代替」にはなりません。

③ 育休延長申請への影響

1歳を超えて育休を延長する際(保育所に入れない等の理由)、延長申請の手続きが必要です。祖父母の施設入所によって家族状況が変わると、申請書類の記載内容(子の養育状況など)の確認が求められることがあります。


② 育児休業給付金を継続受給するための基本条件一覧

就業日数と賃金の上限ルール(月10日以内・80%基準)

育児休業給付金を継続して受け取るためには、支給対象期間(原則2ヶ月ごとに申請)ごとに、以下の就業制限を守る必要があります。

【給付継続のための就業ルール(支給対象期間1ヶ月あたり)】

✅ 就業日数  :10日以内
  (10日を超える場合は、就業時間が80時間以内であれば可)

✅ 賃金の上限:休業開始時賃金月額の80%未満
  (80%以上になると給付金は全額不支給)

⚠️ 育休中の臨時就業(例:同僚の急な欠勤対応など)も日数にカウント

給付金額の目安

休業期間 支給率 具体例(月給30万円の場合)
育休開始〜180日目 休業開始時賃金日額×67% 約20万1,000円/月
181日目以降 休業開始時賃金日額×50% 約15万円/月

※賃金日額は「休業開始前6ヶ月の賃金合計÷180」で算出されます。


育休延長が必要になるケースと申請タイミング

以下の条件を満たせば、育休を1歳6ヶ月・さらに2歳まで延長でき、育児休業給付金も延長されます。

延長が認められる主な要件(育児・介護休業法第5条3項・4項)

  • 保育所等への入所を希望しているが入所できない
  • 配偶者が死亡・負傷・疾病・離婚等により養育が困難になった
  • その他これに準じる事情がある

⚠️ 祖父母が施設入所したことそのものは延長理由にはなりません。
ただし、祖父母の入所によって家族の育児補助が得られなくなり、結果として保育所を申し込んでいる(入れない)場合は、従来の延長要件に該当します。

延長申請の手続きタイミング

1歳到達日の2ヶ月前まで → 保育所の申し込み・不承諾通知の取得
    ↓
1歳到達日の前日まで  → 勤務先へ「育児休業申出書(延長)」提出
    ↓
ハローワークへ給付金延長の申請(勤務先経由)

延長を見落とすと給付が自動的に終了するため、入所不承諾通知を受け取ったら速やかに会社に連絡することが重要です。


③ 祖父母の介護が必要になった場合の「介護休業制度」の活用法

育児休業と介護休業——2つの制度の違いを整理する

祖父母が施設入所する前後に、自宅での一時的な介護が必要になるケースも少なくありません。こうした状況では「介護休業制度」が活用できます。

比較項目 育児休業 介護休業
根拠法令 育児・介護休業法第5〜9条 育児・介護休業法第11〜15条
対象 1歳未満の子(延長あり) 要介護状態の対象家族
給付金 育児休業給付金(雇用保険) 介護休業給付金(雇用保険)
給付率 67%→50%(段階的) 67%(一律)
取得期間 原則1年(最大2年) 対象家族1人につき通算93日(3回まで分割可)
対象親族の範囲 自分の子 配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫

祖父母は介護休業の対象家族に含まれます(育児・介護休業法第2条第4号)。


育休中に介護休業を取得できるか?同時取得の考え方

育児休業と介護休業は別々の制度であるため、原則として同時取得が可能です。ただし、以下の点を理解しておく必要があります。

同時取得可能なケース

例)子(1歳未満)のために育休取得中
  + 祖母が入所前の自宅介護のために介護休業を申出

→ 対象が「子」と「祖母」で異なるため、同時取得OK
→ ただし、育休中に介護休業を取得する場合、
  給付金の支給元はどちらも雇用保険であり、
  重複支給の扱いについてはハローワークへの確認が必要

注意点:給付金の二重受給について

現行の制度では、育児休業給付金と介護休業給付金を同一期間に重複して受け取ることはできません。どちらの休業を「主」として申告するかについては、会社の担当者およびハローワークと事前に相談することを強くお勧めします。なお、介護休業給付金は介護休業終了後にまとめて申請・支給される点も育休給付金と異なります。


介護休業給付金の申請手続きと必要書類

介護休業給付金は介護休業終了後にまとめて申請します(育児休業給付金のような2ヶ月ごとの支給ではありません)。

必要書類一覧

書類名 入手先 備考
介護休業給付金支給申請書 ハローワーク・厚生労働省HP 事業主経由で申請
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 会社 初回のみ提出
介護休業申出書(写し) 会社 申出を証明する書類
対象家族の要介護状態を証明する書類 病院・ケアマネ等 介護認定通知書など

申請期限:介護休業終了日の翌日から起算して2ヶ月以内


④ 祖父母施設入所に関連する手続きと申請書類まとめ

祖父母が施設入所するタイミングで、育休中の労働者が確認・対応すべき手続きを時系列で整理します。

手続きチェックリスト

【育休継続を前提とした場合の対応フロー】

STEP 1:祖父母施設入所の決定
 └ 育児休業給付金への直接影響なし → 手続き変更不要

STEP 2:介護対応が一時的に必要か確認
 ├ 不要 → 育休をそのまま継続
 └ 必要 → 会社へ「介護休業申出書」提出を検討(最短5営業日前まで)

STEP 3:育休期間中の就業状況確認
 └ 就業日数・賃金が上限以内か毎月チェック

STEP 4:育休終了・復職の検討
 ├ 予定どおり復帰 → 終了日の1ヶ月前までに会社へ通知
 └ 介護による早期復帰 → 育休短縮申出(育児・介護休業法第9条)

STEP 5:育休終了後の両立支援制度の確認
 └ 短時間勤務・所定外労働免除・介護休暇などを組み合わせて活用

主要書類と提出先一覧

書類名 提出先 タイミング
育児休業申出書 勤務先(人事・HR部門) 育休開始の1ヶ月前まで
育児休業給付受給資格確認票・申請書 ハローワーク(会社経由) 育休開始後、初回申請時
育児休業給付金支給申請書 ハローワーク(会社経由) 2ヶ月ごと
介護休業申出書 勤務先(人事・HR部門) 介護休業開始予定日の2週間前まで(口頭可、ただし書面推奨)
介護休業給付金支給申請書 ハローワーク(会社経由) 介護休業終了日翌日から2ヶ月以内
育児休業期間変更申出書 勤務先(人事・HR部門) 変更が生じたとき随時

ポイント: 全ての給付金申請は事業主(会社)経由でハローワークへ提出します。個人がハローワークへ直接申請するものではありません。


育休中に祖父母が施設入所しても、焦らず制度を正しく理解して対応することが大切です。不明な点は勤務先の人事担当者やお近くのハローワークへ相談しましょう。


⑤ よくある質問(FAQ)

Q1. 祖父母が施設入所したことを会社に報告する義務はありますか?

A. 法的な報告義務はありません。ただし、介護休業の取得を希望する場合や、育休期間の変更を申し出る場合は、会社への申出が必要です。また、就業状況や家族構成が変わることで制度利用に影響することもあるため、人事担当者へ相談しておくと安心です。


Q2. 育休中に祖父母の介護で少し働いた場合、給付金はもらえますか?

A. 育休中に就業する場合、支給対象期間(1ヶ月)中の就業日数が10日以内(または就業時間が80時間以内)であれば、給付金は継続して支給されます。ただし、就業によって得た賃金が「休業開始時賃金月額の80%以上」になると給付金は全額不支給となります。祖父母の介護を名目とした就労かどうかにかかわらず、就業日数・賃金のルールは同様に適用されます。


Q3. 育休と介護休業を同時に取得すると、給付金は2つもらえますか?

A. 同一期間において育児休業給付金と介護休業給付金を重複して受け取ることはできません。どちらの給付金が適用されるかは、主たる休業の種別によって決まります。実務的には会社とハローワークに事前に確認することを強くお勧めします。なお、介護休業給付金は介護休業終了後にまとめて申請・支給される点も育休給付金と異なります。


Q4. 育休中に祖父母が亡くなった場合、給付金への影響はありますか?

A. 祖父母が亡くなっても、育児休業給付金への直接的な影響はありません。育休・給付金の要件はあくまで「子の養育目的」に基づくものだからです。ただし、祖父母の死亡により介護の必要がなくなった場合や、相続手続きなどで忙しくなった場合でも、育休の終了・変更手続きは別途必要となります。


Q5. 育休中に保育所の申し込みをした方がよいですか?

A. 育休を延長する可能性を見据えると、早めに保育所の申し込みをしておくことを強くお勧めします。1歳以降の育休延長には「入所不承諾通知書」が必要な場合が多く、申し込みをしていないと延長要件を満たせない可能性があります。祖父母が施設入所して家庭内での育児サポートが得られにくくなった場合も、保育所の活用を早めに検討することが大切です。


まとめ:育休中の祖父母施設入所、給付金で押さえるべきポイント

チェック項目 内容
給付への直接影響 なし(祖父母の扶養・介護状況は支給要件に含まれない)
給付継続の条件 就業日数10日以内・賃金が休業開始時の80%未満を維持
介護が必要なとき 介護休業制度(給付率67%・通算93日)を別途活用
重複給付 育休給付金と介護休業給付金の同一期間受給は不可
延長を検討中なら 保育所申し込みと入所不承諾通知の取得を早めに
書類提出 すべて会社(事業主)経由でハローワークへ

祖父母の施設入所という予期せぬ事態が重なったときこそ、正しい知識が家計の安定を守ります。給付金の仕組みを理解し、必要に応じて会社の人事部門やハローワーク、社会保険労務士に相談してください。育児と介護の両立は十分可能です。


参考法令・資料
– 育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)
– 雇用保険法第61条の4・第61条の6
– 雇用保険法施行規則第101条の11〜101条の19
– 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」(2025年版)
– ハローワークインターネットサービス「育児休業給付の内容と支給申請手続」

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