短時間勤務「1日6時間」申請手続き完全ガイド|育休後の給付金対応

短時間勤務「1日6時間」申請手続き完全ガイド│育休後の給付金対応 育児休業制度

育休が終わり「そろそろ職場復帰を考えているけれど、いきなりフルタイムは難しい…」と感じている方は少なくありません。そんなときに活用したいのが短時間勤務(時短勤務)制度です。

この記事では、育休後に利用できる1日6時間の短時間勤務制度について、法的根拠・対象者の条件・申請手続き必要書類・給付金計算まで、手続きの全体像をわかりやすく解説します。2024年の法改正にも対応した最新情報をお届けします。


育休後の短時間勤務制度とは|1日6時間勤務の基礎知識

制度の法的根拠と事業主の義務

短時間勤務制度は、育児・介護休業法第23条に基づく法定制度です。事業主は、3歳未満の子を養育する労働者が希望した場合、必ず短時間勤務制度を導入・適用しなければなりません。

法律・条文 内容
育児・介護休業法 第23条 短時間勤務制度の事業主義務
育児・介護休業法 第24条 時間外労働の制限
育児・介護休業法 第25条 深夜業務の制限
雇用保険法 第63条の2 育児休業給付金(延長給付)
2021年改正法(第23条第2項) 短時間勤務・フレックスタイム・始業時刻変更の「選択肢化」

ポイント:短時間勤務制度は事業主に導入義務がある法定制度です。会社が「うちには制度がない」と断ることは原則できません。違反した場合、都道府県労働局から助言・指導・勧告の対象となります。


1日6時間勤務の特徴と他の制度との違い

2021年の法改正により、事業主は短時間勤務制度に加えて以下の選択肢を組み合わせて提供することができるようになりました。

制度 内容 メリット デメリット
短時間勤務(6時間) 1日の所定労働時間を6時間に短縮 勤務時間が明確・保育園の送迎に対応しやすい 給与が減額される
フレックスタイム制 出退勤時刻を柔軟に設定 生活リズムに合わせやすい 会社がフレックス制度を導入している必要がある
始業・終業時刻の変更 出社・退社を早める/遅らせる フルタイム勤務を維持しやすい 勤務時間の短縮にはならない

法律上の原則は「1日6時間の短時間勤務」が必須の選択肢です。企業がフレックスや始業時刻変更のみを提供し、6時間勤務を選択肢に含めない場合は法違反となります。


給付金との関係|育児休業給付金の延長給付とは

育休中に受け取っていた育児休業給付金は、育休終了とともに原則として支給が終わります。時短勤務に移行した後は給付金制度の仕組みが大きく変わるため、事前に理解しておきましょう。

育休終了後(時短勤務中)に受け取れる可能性のある給付・手当

給付の種類 対象 概要
育児休業給付金(延長分) 保育所に入れない場合など 最長で子が2歳になるまで延長可能
時短勤務中の給与 勤務時間に応じた賃金 フルタイムの給与から比例減額
児童手当 中学校修了前の子 所得に応じて月5,000円~1万5,000円
出産・育児一時金(社会保険) 既受給済みが多い 出産時に支給済みのケースが大半

育児休業給付金の延長給付について:保育所への入所を希望しても入所できない等、一定の要件を満たす場合は、子が1歳6ヶ月・2歳になるまで育児休業給付金の延長が認められます。ただし、時短勤務に移行した時点で育児休業は終了するため、延長給付も終了となります。


短時間勤務の対象者と適用条件

利用できる人の要件

項目 要件 備考
雇用形態 正社員・契約社員・派遣社員 雇用保険の被保険者が対象
子の年齢 満3歳未満 第1子・第2子以降も同様
被保険者期間 育休開始日前2年間に12ヶ月以上 雇用保険加入者に限る
勤続年数 原則制限なし 1年未満は労使協定で除外可能
週所定労働日数 週3日以上 週2日以下は除外可能
事業所規模 全規模対象 100人以下は一部例外あり

対象外となるケース

以下に該当する場合は、短時間勤務制度の適用が除外される可能性があります(育児・介護休業法第6条)。

  • 入社1年未満の労働者(労使協定がある場合)
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 業務の性質上、短時間勤務が困難な職種(労使協定が必要)
  • 日雇い労働者

注意:企業が「業務の性質上困難」として除外するには、必ず労使協定の締結が必要です。会社が一方的に除外することは認められません。除外された場合でも、企業はフレックスタイム制や始業時刻変更などの代替措置を提供する義務があります。


申請手続きの流れと必要書類

申請手続きの全体フロー

STEP 1:職場への事前相談(育休終了の1~2ヶ月前)
    ↓
STEP 2:申請書類の準備
    ↓
STEP 3:会社への申請書の提出(育休終了日の2週間前までが目安)
    ↓
STEP 4:会社が就業規則・シフトを調整
    ↓
STEP 5:短時間勤務の開始
    ↓
STEP 6:給与明細の確認・社会保険料の見直し

必要書類一覧

短時間勤務を申請する際に一般的に必要となる書類は以下のとおりです。

書類名 提出先 備考
短時間勤務申請書(育児) 会社(人事・総務) 会社所定の書式を使用
母子健康手帳のコピー(出生届記載ページ) 会社 子の年齢確認のため
育児休業終了予定通知書 会社 育休終了と同時申請の場合
保育所入所申込書のコピー(該当者のみ) 会社・ハローワーク 給付金延長申請の場合
雇用保険被保険者証 ハローワーク経由(会社経由) 会社が手続き代行する場合が多い

書式について:短時間勤務申請書は、会社所定の書式を使用するのが原則です。書式がない場合は、厚生労働省が公表しているモデル書式(「育児のための所定労働時間の短縮等の申出書」)を参考に作成することができます。


申請期限と注意点

タイミング 手続き内容
育休終了の1~2ヶ月前 上司・人事への口頭相談
育休終了の2週間前まで 書面での正式申請(就業規則で定める期限に従う)
職場復帰当日まで 勤務シフト・業務内容の確認
復帰後速やかに 給与・社会保険料の変更確認

申請期限に注意:多くの会社では就業規則に「1ヶ月前までに申請」と定めています。必ず自社の就業規則を確認し、期限内に申請するようにしましょう。


給与・給付金の計算方法|1日6時間勤務の場合

時短勤務中の給与計算

短時間勤務中の給与は、実際の勤務時間に応じて比例計算されるのが一般的です。

計算式:

時短勤務中の給与 = フルタイム時の月給 × (短縮後の勤務時間 ÷ 所定労働時間)

計算例:

  • フルタイム時の月給:30万円
  • 所定労働時間:1日8時間
  • 時短勤務後:1日6時間
30万円 × (6時間 ÷ 8時間) = 22万5,000円

手取りについて:給与が減額されると社会保険料の算定基礎も変わります。ただし社会保険料は月額変更届(随時改定)によって見直されるため、給与が大幅に減少した場合は3~4ヶ月後に保険料が下がる可能性があります。


育児休業給付金の支給額の目安

育休中の給付金額は以下の計算式で算出されます(延長給付を含む)。

【育休開始~180日目まで】
給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

【181日目以降~育休終了まで】
給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

計算例(月給30万円・育休6ヶ月経過後):

  • 賃金日額の算出:30万円 ÷ 30日 = 1万円
  • 支給日数:30日
  • 支給額:1万円 × 30日 × 50% = 15万円/月

重要:時短勤務に移行すると育休が終了するため、この給付金は終了します。時短勤務中は給付金ではなく「給与(時短分)」が収入となります。


社会保険料の育児特例|「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」

時短勤務で給与が下がると社会保険料が減額されますが、将来の年金額が減るリスクがあります。これを防ぐのが「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」です。

  • 申請先:会社経由で年金事務所に届出
  • 効果:時短前の高い標準報酬月額を年金計算に使用(厚生年金が将来目減りしない)
  • 申請書類:「養育期間標準報酬月額特例申出書」+戸籍謄本または住民票

この手続きは自動的には行われないため、忘れずに申請しましょう。


企業への相談・交渉のポイント

相談の進め方

時短勤務の申請をスムーズに進めるための相談ステップを解説します。

① まず直属の上司に口頭で相談する

育休終了後に時短勤務制度を利用したいことを早めに伝えることで、業務の引き継ぎや体制整備が進みやすくなります。

② 人事・総務部門に正式申請する

口頭での了承後、会社所定の書式で正式に申請します。口頭だけでは記録が残らないため、必ず書面で提出しましょう。

③ 会社が拒否した場合の対処法

会社から申請を拒否された場合は、以下の手順で対応することができます。

  1. 就業規則・労使協定を確認する
  2. 会社の労働組合または労働相談窓口に相談する
  3. 都道府県労働局「総合労働相談コーナー」に相談する
  4. 労働局による助言・指導・勧告の申立てを検討する

相談窓口:厚生労働省の「総合労働相談コーナー」(全国の労働局・労働基準監督署内)では、無料で相談を受け付けています。


2024年法改正のポイント|最新情報

2024年(令和6年)以降に施行が予定されている育児・介護休業法の改正では、以下の点が変更・追加されています。

改正内容 内容 施行時期
子の看護休暇の拡充 対象年齢が「小学校就学前」から「小学校3年生まで」に拡大 2025年4月
短時間勤務の対象拡大 3歳以降・小学校就学前の子を持つ労働者への努力義務化 2025年4月
残業免除制度の拡充 対象年齢の引き上げ(3歳未満→小学校就学前) 2025年4月
育児休業取得状況の公表義務 従業員300人超企業に公表義務 2025年4月

確認のお願い:法改正の内容は施行時期や詳細が変わる場合があります。最新情報は厚生労働省の公式サイトまたは最寄りの労働局でご確認ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 短時間勤務の申請を会社に断られた場合、どうすればよいですか?

まず就業規則と労使協定を確認し、適法な除外要件に該当するかを確認してください。該当しない場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談することができます。法令上の義務であるため、正当な理由なく拒否することは違法です。

Q2. 時短勤務中でも残業はできますか?

原則として、3歳未満の子を養育する労働者は所定外労働(残業)の免除を請求できます(育児・介護休業法第16条の8)。申請すれば会社は残業をさせることができません。

Q3. 時短勤務中の有給休暇はどうなりますか?

有給休暇の付与日数は、所定労働日数に基づいて算定されます。1日の勤務時間が短くなっても、週5日勤務であれば通常のフルタイムと同じ日数が付与されます。

Q4. 時短勤務は何歳まで利用できますか?

法律上の義務は子が満3歳になるまでです。それ以降は会社の任意制度(努力義務)となりますが、2025年4月からは小学校就学前まで企業の努力義務が拡大される予定です。

Q5. 育児休業給付金の延長申請中に時短勤務に移行するとどうなりますか?

時短勤務に移行した時点で育児休業が終了したとみなされるため、給付金の支給も終了します。給付金の受給期間と職場復帰のタイミングは慎重に計画しましょう。

Q6. パートタイム・派遣社員でも短時間勤務は申請できますか?

雇用保険の被保険者であり、育休取得の要件(育休開始日前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間など)を満たしていれば、パートタイムや派遣社員でも申請できます。ただし、勤続1年未満など労使協定による除外要件に該当する場合は適用外となることがあります。


まとめ|育休後の時短勤務申請チェックリスト

育休終了後の短時間勤務制度をスムーズに利用するために、以下のポイントを確認しておきましょう。

  • [ ] 子の年齢が満3歳未満であることを確認する
  • [ ] 会社の就業規則・短時間勤務制度の内容を確認する
  • [ ] 育休終了の1~2ヶ月前に上司・人事へ口頭で相談する
  • [ ] 会社所定の「短時間勤務申請書」を取り寄せる
  • [ ] 育休終了の2週間前(就業規則の期限内)までに書面で申請する
  • [ ] 給与の減額・社会保険料の変更を確認する
  • [ ] 「養育期間標準報酬月額特例申出書」を年金事務所へ申請する
  • [ ] 2024~2025年の法改正内容を確認する

短時間勤務制度はあなたの法的な権利です。不安なことや疑問点があれば、まず会社の人事担当者へ、それでも解決しない場合は厚生労働省の総合労働相談コーナーや社会保険労務士へ相談することをおすすめします。


参考・相談窓口

窓口 内容 連絡先
厚生労働省 公式サイト 制度の最新情報・モデル書式 https://www.mhlw.go.jp/
総合労働相談コーナー 労働問題全般の無料相談 全国の労働局・監督署内(0120-811-610)
ハローワーク 給付金の申請手続き 管轄のハローワーク
年金事務所 社会保険料・年金特例申請 最寄りの年金事務所

よくある質問(FAQ)

Q. 育休後に短時間勤務を申請できるのは、子が何歳までですか?
A. 子が満3歳未満であれば短時間勤務制度を利用できます。第1子・第2子以降も同様の条件で適用されます。

Q. 会社が短時間勤務制度を導入していない場合、どうすればいいですか?
A. 短時間勤務制度は事業主に導入が義務付けられた法定制度です。導入していない場合は、都道府県労働局に相談して指導を求めることができます。

Q. 時短勤務中も育児休業給付金をもらい続けられますか?
A. 育休終了時点で給付金は原則終了します。保育所に入れない等の要件を満たせば、子が2歳になるまで延長給付を受けられる可能性があります。

Q. 1日6時間勤務だと給与はどのくらい減りますか?
A. 給与は勤務時間に比例して減額されます。1日6時間は標準8時間の75%のため、給与も同程度の減額が一般的です。

Q. 派遣社員やパートでも短時間勤務制度を利用できますか?
A. 雇用保険の被保険者で、育休開始前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があれば、派遣社員やパートでも利用できます。

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